TOP > SaaS > 【次に来るSaaSは?】2023年トレンド大調査!市場規模・法改正・AIやメタバースの将来像も
2023年以降のSaaS市場では、何がトレンドとなるのでしょうか?
コロナ禍、物価高、世界情勢の不安など、社会課題は引き続き山積みです。
しかしながら、スピード感の早いSaaS業界では、技術革新や新しいビジネスモデルの創出により、時代に対応したサービスが毎年産み出されており、2023年も注目企業が幾つも出てきそうです。
そこで今回は、SaaS企業の情勢に詳しい起業ログ編集部の視点から『2023年のSaaS業界トレンド』を解説します。
市場の変化、法改正の情報に加え、今後伸びるサービス、注目企業なども紹介していきますので、ぜひご参考になさってください。
このページの目次
SaaS市場は拡大しているというのは耳にしたことがあるかもしれませんが、どのくらいのペースで成長しているのでしょうか?
また、2023年以降どのような変化が予測されているのか、その動きをみてみましょう。
ITRの市場調査では、国内SaaSの市場規模は2025年に1,350億円*まで成長すると予測されています。
2022年は760億円なので、そこからたった3年で約1.8倍に拡大する非常に強い勢いをもっています。
相対するパッケージ型の市場はずっと横ばい傾向なのと比較しても、非常に目覚ましい成長です。
*出典:ITR「ITR Market View:ERP市場2022」
世界市場の規模でみた場合でも、同様の高い成長性がみられるそうです。
Report Oceanによると、SaaSの世界市場規模は、2021年の1,441億7,000万ドル(約18.7兆円)から、2030年には7031億9000万ドル(約91.4兆円)まで平均成長率18.83%で成長すると予測されています。
2022年後半には、米国・日本ともに、SaaS関連企業の株式や時価総額の下落のニュースもありましたが、その中でも成長率を保っている企業も存在しているのも事実です。
また、記事後半で紹介するような新しい顔ぶれの牽引により、市場全体としての成長傾向は継続していくものと予想されるでしょう。
ITRのIT投資動向調査では、2023年度の国内企業における新規導入・投資増額の期待されるカテゴリも調査・発表されました。
新規導入可能性の上位は、「電子契約/契約管理」「AI/機械学習プラットフォーム」でした。
また、投資増額の上位は、「BI/データ分析」「5G(パブリック)」でした。
電子契約カテゴリは、法改正の後押しもあり、2022年度に続いての1位ですが、「AI/機械学習プラットフォーム」「BI/データ分析」「IoT」は昨年より順位が上がっています。
また、「VR/AR/MR」「SFA/営業支援強化」などは、昨年の圏外から今年ランクインしており、今後の注目カテゴリともいえるでしょう。
なお、2022年のトレンドをあらためて振り返りたいという方は、以下の記事もご覧ください。
2023年に施行予定の主な法改正は次のとおりです。
施行年月 | 内容 | 何が変わる? | 影響を受けるシステム |
2023年3月 | 「人的資本開示」の義務化 | 有価証券報告書に、女性管理職比率や男性育児休業取得率などの記載が必要に。 | 人事管理システム タレントマネジメントシステム |
2023年10月 | 「インボイス制度」の義務化 | 請求書をインボイスの形式で発行しないと、消費税の仕入額控除が受けられなくなる。 | 請求書管理システム 受発注システム |
2023年12月末 | 電子帳簿保存法「電子保存義務」の猶予期間終了 | 請求書などの電子保存の義務化の猶予期間2年間が終了し、全ての企業にとっての義務に。 | 経費精算システム |
2023年3月から有価証券報告書の中に、人的資本に関する情報を記載することが義務化されます。
具体的には、女性管理職比率や男性育児休業取得率、男女の賃金格差などを記載することが求められ、有価証券報告書を作成している国内約4,000社が対象になります。
背景には、企業の市場価値はカネ・モノだけでなく、ヒト=人的資本が重要であるという考え方の広まりがあるといわれます。
そのため、市場や投資家に対して、ヒトに関する情報を開示すべきという流れになったのです。
また、単に数字をまとめるだけでなく、将来に向けての戦略・目標と実績も記していくことも求められています。
タレントマネジメントシステムや人事管理システムの集計・調査(サーベイ)機能などは、実態把握と戦略設計に役立ちますので活用してみるのもよいでしょう。
2023年10月1日から、インボイス制度の義務化が始まるため、対象事業者の経理部門では、書式の変更やシステムの改修が必要となります。
インボイスとは、正式には"適格請求書"と呼ばれ、国税庁の指定要件を満たした請求書のことです。
この要件を満たした請求書は、10%消費税と、食料品などの軽減税率8%の二種類の税率を正しく処理するために必要です。
仕入れ・販売を行う事業者は、制度開始以降、インボイス対応していないと、これら消費税の仕入額控除が受けられなくなるのです。
インボイス制度そのものについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
書式そのものは難しいものではありませんが、これまで使っていた請求書システムなどをその様式にあわせなければならないので対応が必要です。
SaaSの請求書発行システムや受取請求書データ化サービスには、インボイス対応を支援してくれるサービスも多数あるので、何をしたらいいのかわからない!という方はぜひ導入をご検討ください。
昨年2022年1月から「改正電子帳簿保存法(電帳法)」が施行され、電子取引で授受した請求書などは、"データで保存すること"が義務化されました。
つまり、"紙保存は廃止"なのですが、国税庁からの具体的な対応内容の発表が遅かったこともあり、対応が間に合わない企業が多くみられる事態に。
そこで、2023年12月末までの2年間は、やむを得ない事情がある場合は紙保存でもOKとなりました。
ただ、タイムリミットは迫っているので、まだ準備が進んでいない企業は2023年中に早急な対応が必要です。
また、単に電子データで保存すればよいのではなく、改ざん防止や検索性の確保など満たすべき条件が複数あるため、「自社流で法適合するのが難しい!」という場合は、『電帳法に対応したシステムを導入する』ことが一番の近道でしょう。
2022年も新しい分野のサービスが幾つも登場しましたが、2023年にはどのような市場が注目されているのでしょうか。
直近のトレンドから予測される、2023年伸びそうなサービスをピックアップして紹介します。
導入が手軽で比較的安価なSaaSは、ここ数年で、大手から中小企業まで幅広く利用が広がりました。
また一方でSaaSは部門特化・業務特化したものも多いため、部署単位で様々なSaaSが導入され、1社の中に数十以上のシステムが存在していることも珍しくありません。
そこで必要となってきたのが、「SaaSを管理」したり「SaaS間を連携」するシステムで、これをSaaS for SaaSと呼びます。
コロナ禍の期間は「とにかくリモートワークを円滑に進められるように」と、役立つツールをどんどん導入した企業も、今後は整理の段階に入るため、この市場は2023年以降成長が期待されます。
2022年は、画像生成AI元年ともいわれ、「MidJourney」や「Stable Diffusion」などのサービスが大きな話題になりました。
一般人には使いにくい、使う機会もないというイメージが少なからずあった「AI」の領域で、専門知識不要でカンタンにプロのような画像を作れる操作感に驚いた方も多かったのではないでしょうか。
「AI絵師」という言葉もSNS流行語大賞2022にノミネートされ、AIに何かを作ってもらうという行為が急に私たちの身近なものとなりました。
このようなサービスが出てきた背景には、言語処理の技術が超高精度に進化したことに加え、「Stable Diffusion」がオープンソース化し、一般公開されたことが影響しているといわれます。
LINEに言葉を打ち込むだけで画像を返してくれる「お絵描きばりぐっどくん」も、このStable Diffusionを用いたものです。
同様にオープンソースの技術を用いて、動画生成AI、3Dオブジェクト生成AI、漫画生成AIなどが2022年後半から次々登場しており、2023年も更に進化したサービスが生み出される可能性が非常に高い領域といえます。
2021年秋にFacebook社が「Meta」に社名変更したこともあり、2022年はメタバースの認知度が一気に上がった年でした。
技術面の進化も目覚ましく、unreal engineなどの登場によって仮想空間がこれまで以上に高画質で滑らかに表現できるようになりました。
また、コロナ禍からの推し活ブームからVTuberの人気も高まり、仮想空間に対する敷居が下がった年でもあったといわれます。
2023年にはこの市民権の広がりをベースに、さらなる新サービスが登場すると予測されます。
画像出典元:sony「mocopi」公式HP
例えば、2022年末にソニーが発表した「mocopi」の登場で、自分の体の動きを、より手軽に仮想空間で再現できることが可能になりますし、Metaが発売する「Meta Quest」も2023年に新しいモデルが発売されるとの情報もあります。
メタバースへの参加人数が増えると、仮想空間内の商取引や、アバター向けの商品の販売なども一層盛り上がっていくことでしょう。
既に参入している企業の例や、参入・活用方法が気になる方は、以下の記事もご覧ください。
IT・SaaSを取り巻く技術の進歩は日々目覚ましいですが、2023年以降、5年後~10年後に向けて盛り上がってくる市場にはどんなものがあるのでしょうか。
未来のトレンド予測について、調査期間などの発表を参考にご紹介します。
画像生成AIがブームとなった2022年ですが、文章生成に関してはどうなのでしょうか。
ニュアンスの表現が難しいとされる文章の作成は、2022年時点では「ビジネス文書の下書き程度」が限界といわれていました。
しかしながら、セコイアのレポートによると、2023年以降進化が一気に進み、2025年には、平均的な人間の文章力を超え、2030年には、プロのライターの文章力を超えるレベルになると予測されているそうです。
日本国内でも、広告、資料、メールなどの文章を生成してくれる「Catchy」などのサービスが登場し話題となっています。
高機能な文書作成ツールが登場することで、1日の業務量が格段に減り、ビジネス現場のリソースの割き方が大きく変わるとも予想されます。
一方で、フェイクニュースなどが手軽に誰にでも作れるようになるため、対策として、真偽を見極める方法やツールなども生まれてくるでしょう。
環境負荷の軽減や、食料危機の解決のため注目される「代替肉・代替食料」市場。
欧米では2020年以降、ビルゲイツやGoogleも出資するインポッシブル・フーズが、これまでにない本物の肉のような色や味を作り出して注目を浴びています。
この動きを受けて日本国内でも農林水産省が「フードテック研究会」を発足。
また、民間企業の参入も増えており、日本ハムや伊藤ハム、ロッテリアやモスバーガーが大豆などを利用した商品を販売、コンビニ大手3社も代替肉製品に参入しています。
画像出典元:モスバーガー公式HP
代替肉の品質向上には、「アグテック」と呼ばれるIT技術との連携も寄与しており、技術面・コスト面の課題の解決などにも今後もIT分野が活用されていくことも予想されます。
この記事では、2023年SaaSトレンド予測を起業ログ編集部の視点から調査・解説しました。
2022年の変化に引き続き、2023年以降も新しいサービスが次々生まれそうです。
ユーザーとしてそれを活用するのも良いですし、新たな売上の柱を探している担当者の方は、新規参入や連携を検討していくのもよいでしょう。
画像出典元:o-dan
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