労務管理システムとは?導入メリットや自社に合った選び方を解説

労務管理システムとは?導入メリットや自社に合った選び方を解説

記事更新日: 2025/02/25

執筆: オオツカ アイ

労務管理システムは、勤怠管理や給与管理、社会保険書類の電子申請といった労務関連業務を効率化できる利便性の高いツールです。

法改正にも対応し、外部システムとの連携も可能なため、一からの導入だけでなく、既存システムを強化したいニーズにも適しています。

本記事では、労務管理システムの機能や導入するメリット、費用相場や選び方について解説します。

代表的なシステムも紹介するので、導入の参考にしてください。

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労務管理システムとは?

労務管理システムとは、労務関連業務を労働基準法や労働安全衛生法などの法令に則り効率化するツールです。

具体的には、以下のような業務が労務管理にあたります。

  • 勤怠管理
  • 入退社管理
  • 給与管理
  • 社会保険手続き
  • 福利厚生業務
  • 就業規則作成
  • 年末調整
  • 従業員情報の管理(名簿やマイナンバー管理など)
  • 人事評価

労務関連業務は、アナログ中心の対応では業務工数が無駄に増加するだけでなく、ヒューマンエラーの温床にもなります。

また、働き方改革により、企業に求められる労務管理の品質は非常に高まっており、労働時間の正確な把握や長時間労働の是正など、コンプライアンスへの配慮が欠かせません。

そこで労務管理システムを活用することで、労務関連業務を一元管理できるため、業務品質の向上と効率化が実現します。

また、法改正にもスムーズに対応でき、最新の法令に基づいた労務管理が行えるため、コンプライアンスの面でも安心です。


労務管理システムに備わっている主な機能

労務管理システムに備わっている主な機能は以下の通りです。

ただし、有している機能は各システムによって異なります。

主な機能 概要
勤怠管理 出勤・退勤記録、休暇取得管理、時間外労働管理、
欠勤・遅刻・早退管理など
従業員情報の管理 従業員名簿、住所・氏名変更、マイナンバー管理など
年末調整の手続き 給与支払報告書、源泉徴収票、扶養控除等申告書、
保険料控除申告書など年末調整書類の作成と提出
給与自動計算・Web給与明細作成 給与明細をWeb上で発行・配布
雇用契約書の作成 雇用契約書や秘密保持契約書の作成と締結
入退社に際しての社会保険・労働保険等の
書類作成と電子申請
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届・喪失届などの
作成と役所等への申請
人事評価 評価シートの作成・集計・評価進捗管理など

労務管理システムは3つに分けられる

労務管理システムは大きく3つのタイプに分かれます。

  • ベーシック型
  • 多機能型
  • 特化型

 それぞれの特徴を理解して、自社に最適なタイプを導入することが大切です。

ベーシック型

ベーシック型は、勤怠管理や給与管理、社会保険や雇用保険書類の電子申請、従業員情報管理といった労務管理の基本を網羅しています。

労務管理の電子化を一から導入したい企業や、基本機能を追加したいケースに最適です。

機能追加型のサービスもあるため、勤怠管理と給与管理からスモールスタートして順次手を広げたいというニーズにも適しています。

多機能型

ベーシック型に加えて、有給管理や入退社手続き、年末調整、人事評価やタレントマネジメントといった多方面の労務管理機能を有しているのが多機能型です。

すでに労務管理システムを導入済みで、ばらばらのデータを一元化したい、さらに業務効率化を図りたい企業に適しています。

ただし、不要な機能が多い、機能が多すぎて使いこなせないといったことにならないよう、サービス内容を慎重に見極める必要があります。

特化型

機能が絞り込まれた特化型のシステムは、「社会保険や雇用保険の申請手続きを自動化したい」「人事業務を一括管理したい」などの課題をピンポイントで解決したい場合におすすめです。

ただし、即効性を重視する場合は、自社にマッチした機能と操作性や連携の可否を精査しなければなりません。

また、それに伴いカスタマイズが必要な場合は、コストアップの可能性もあるため注意が必要です。

労務管理システムを活用するメリット

続いて、労務管理システムの活用で得られる主なメリットを5つ紹介します。

  • 労働時間を正確に把握できる
  • 効率的に書類作成が行える
  • 情報の一元管理が可能
  • 外部システムと連携できる
  • 素早く法改正に対応できる

労働時間を正確に把握できる

労働時間は、あらゆる労務管理業務の起点となる重要な情報です。

労務管理システムを使うと、勤務形態やロケーションに関係なく労働時間を正確に把握できます。

また、社内規則や法令を超えた長時間労働が発生するとアラートが通知されるタイプもあるので、管理精度の向上のみでなくハラスメント対策にも役立ちます。

効率的に書類作成が行える

労務管理では、社会保険や労働保険、扶養に関する書類が数多く存在します。

労務管理システムによっては、従業員がPCやスマートフォンで情報を入力した情報をもとに書類を自動作成できます。

アナログな対応では、転記に時間がかかり記載ミスの恐れもありますが、労務管理システムを導入することで、業務の正確性と効率が向上し、担当者の負担も軽減されます。

また、時間や場所に関係なく好きなタイミングで作業できるうえ、ペーパーレス化が進むのも魅力です。

情報の一元管理が可能

労務管理システムを導入すると、氏名・住所・家族構成・入社年月日、雇用形態といった基本情報を容易に管理できます。

特定の従業員の情報をスムーズに検索できるので内容の変更も簡単です。

また、職歴やスキル、人事評価、給与に至るまで秘匿性の高い情報を別枠で管理のうえ、アクセス権限を限定することもできます。

外部システムと連携できる

例えば、労務管理システムによって把握できる労働時間や残業時間、欠勤や遅刻などの情報を既存の給与システムと連携させると、給与計算が飛躍的に楽になり担当者への負担が軽減できます。

また、人事管理システムと連携すれば、従業員の異動や住所変更といったデータ変更情報も自動共有できるので利便性が高まります。

素早く法改正に対応できる

労務管理業務には、法改正への迅速かつ正確な対応が求められます。

近年、主流のクラウド型労務管理システムであれば、ベンダー側で法改正に合わせたアップデートが行われるため、法改正にもリアルタイムに対応できます。

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労務管理システムの費用相場

労務管理システムの料金プランは、ユーザー数に応じた従量課金制が主流です。

1ユーザーあたりの月額利用料は200〜800円前後で、サービスによっては0円〜20万円前後の初期費用が必要なケースもあります。

従業員が少ない企業なら必要最低限の機能を無料で利用できるサービスもあるのでチェックしてください。

労務管理システムの選び方5つ

労務管理システムには、サービスによってさまざまな特徴があります。

ここでは、最適なサービスを選ぶために留意すべき点を紹介します。

1. コストが予算範囲内か

労務管理システムの導入にあたっては、予算の範囲内で利用できるかを精査する必要があります。

例えば、従業員が一定数以上の規模であれば、従量課金制より定額制の方が安価に利用できる可能性があります。

逆に従業員が少ない小規模事業者の場合は、従量課金制の方がコストメリットがあるかもしれません。

また、機能を追加するとコストアップする可能性もあるので要注意です。

年間で支払うと割安になるケースもありますが、途中解約が可能か、その際は料金が返還されるのかといった条件についてもよく確認してください。

2. 自社業務とニーズが合うか

労務管理システムは、自社が必要としている機能を持つかどうかも重要です。

ベーシックな機能を一度に導入したい場合と、ある機能に特化したタイプが必要な場合とでは、ニーズが異なります。

また、クラウド型は導入が楽でコストも安いですが、オンプレミス型と比べるとカスタマイズ性で劣ります。

あらかじめ必要な機能をリストアップし、自社に見合ったサービスを見つけるようにしましょう。

3. 使いやすいか

労務管理システムを選ぶ際は、直感的に使えるシンプルな仕組みやわかりやすいレイアウトが必須です。

操作が複雑すぎると特定の従業員しか使いこなせず、業務の属人化を招くリスクがあります。

機能の充実度だけで判断せず、UIの分かりやすさや操作のしやすさにも注目し、無料トライアルで試すのもおすすめです。

4. 既存システムに連携可能か

社内の既存システムとの連携が可能な労務管理システムを選びましょう。

互換性がない場合、新たにデータベースを作り直したり、システムそのものを変えなければならなかったりする恐れがあるので注意が必要です。

5. 必要なサポート体制が整っているか

新システム導入後は、何かとトラブルが起きやすいものです。

サポート可能な曜日や時間帯、手段(電話やチャット・スタッフ派遣など)、それに伴う追加費用まで入念に調べておきましょう。

代表的な労務管理システム5つを比較!

数ある労務管理システムの中から、代表的なものを5つ紹介します。

それぞれの特徴や料金プランについて概要を解説するので、労務管理システム選びの参考にしてください。

1.freee人事労務

 画像出典元:「freee人事労務」公式HP

「freee人事労務」は、勤怠管理や給与計算、年末調整、入退社手続きなど、基本的な労務管理を効率化できます。

サポートデスクやWebマニュアル、解説セミナーも用意されているので、初めての方でも安心です。

料金

 
  ミニマム スターター スタンダード アドバンス
初期費用 無料
6名以降1名ごとの料金 400円/月 600円/月 800円/月 1,100円/月
最小5名分料金 年払い 2,000円/月 3,000円/月 4,000円/月 5,500円/月
月払い 2,600円/月 3,900円/月 5,200円/月 7,150円/月

2.SmartHR

画像出典元:「SmartHR」公式HP

「SmartHR」は、労務管理に加えて、採用・人事管理といったタレントマネジメントにも対応しています。

優れたUIデザインに加え、120以上の外部サービスと連携が可能です。

ユーザーコミュニティやチャットサポート、動画マニュアルなどの導入サポートも充実しています。

また、オンラインでの相談も可能で、課題や特徴に合った運用方法を提案してくれます。

料金

初期費用・サポート費用:0円

月額費用:「HRストラテジープラン」「人事・労務エッセンシャルプラン」「タレントマネジメントプラン」の3種類がありますが、詳細についてはお問い合わせが必要です。

 

3.ジョブカン労務HR

画像出典元:「ジョブカン 労務HR」公式HP

「ジョブカン 労務HR」は、入退社や扶養、氏名変更手続きなどを含むあらゆる手続きを自動化できます。年末調整に必要な控除申告書も従業員への簡単なアンケート形式で自動作成し、ワンクリックで役所へ提出が可能です。

30日間の無料トライアルもあります。

料金

  無料プラン 有料プラン
初期費用 無料
月額費用 0円(5名まで) 400円
(電子契約機能+200円/1送信(1件)

(税抜)

 

4.オフィスステーション 労務

画像出典元:「オフィスステーション 労務」公式HP

「オフィスステーション 労務」は、人事・労務の各種手続きと申請が直感的操作で行えるのが特徴です。

必要な機能だけ選べるアラカルト型で、多くの他社システムとのAPI連携も可能です。

30日間の無料トライアルもあります。

料金

 
従業員数 100名 500名 1,000名
登録料 110,000円
月額利用料 1名あたり440円
年額利用料 528,000円 2,640,000円 5,280,000円

 

 

5.クラウドハウス労務

画像出典元:「クラウドハウス」公式HP

「クラウドハウス」は、煩雑で作業の多い入社手続きを自動化し、雇用契約や年末調整、従業員の扶養家族や振込口座といった個人情報の変更はスマートフォンで完了できます。

従業員数が数百〜数万人と大規模の企業での導入例が多く、毎月10個前後のアップデートや追加機能開発も行っているため、長期的なメリットが期待できます。

料金

詳細についてはお問い合わせが必要です。

 


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まとめ

労務管理システムを導入すると、労務・人事管理の自動化や電子化が飛躍的に進み、大幅な業務効率化とコスト削減を実現できます。

ただし、導入にあたっては、コスト以外にも業務フローへの適性や使いやすさ、サポート体制などをよく確認する必要があります。

まずは、自社の労務管理における課題を洗い出し、どのような機能が必要かを明確にしたうえで、最適なシステムを検討してみてはいかがでしょうか。

画像出典元:photoAC、O-DAN

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