会社の従業員を管理する「社員管理」。
社員管理は導入により様々なメリットを得られますが、しっかり内容を理解してから導入しないと、多くの費用や時間がかかりかえって社内環境が複雑になってしまいます。
今回は、そんな社員管理の意味や導入のメリット、導入方法からおすすめの労務管理システムをまとめました。
これを読めば、社員管理の大まかなイメージを掴みつつ、効率よく社員管理を導入することができます。
このページの目次
まず、そもそも「社員管理」とは何を指しているのでしょうか。
まずは社員管理そのものについて、意味や役割などを確認していきましょう。
会社では主に「人」や「モノ」、「お金」を管理しています。
そのうち社員管理は「人」の管理に関する事柄全てを指しており、その内容は大きく次の2つに分けられます。
社員管理は、社員一人一人がどんな環境・パフォーマンスで機能しているか知るために、大きな役割を果たしています。
こちらについて、さらに詳しく掘り下げていきましょう。
社員管理は、大きく「人事管理」と「労務管理」に分けられます。それぞれの内容を押さえて、社員管理そのもののイメージをより深めていきましょう。
人事管理は、社員管理の中でも人材の確保・教育・配置・評価にまつわる管理業務を指しています。具体的には、
などが例として挙げられます。
一方、労務管理は社員が行う「仕事」や仕事を行う「環境」、仕事に対する「報酬」などにまつわる管理業務を指します。こちらの例としては、
などが挙げられるでしょう。
このように一言で「社員管理」と言っても、その中にはたくさんの業務が含まれています。
会社の社員管理制度を整備するのであれば、まずはそういった社員管理の全体像を押さえることが大切です。
では、なぜ会社で社員管理を行う必要があるのでしょうか。
前提として、会社の行う経営活動には何かしらの「目標」があります。当然、社員管理も会社の目標を達成するために行われるものです。
では、会社で立てた目標は、達成できればそれで良いのでしょうか?
もちろん、会社で設定された目標を達成できることは大切です。しかし折角なら、より効率よく、効果的に、少ないコストで目標を達成したいですよね。
社員管理の1番の目的は、この「会社の目標をより効率的に達成できるよう、社員を管理すること」にあります。
社員管理を丁寧に行うことで、従業員のパフォーマンスや勤務環境を多角的に把握できるため、売上を追うだけでは分からない会社・従業員の成果や課題を知ることができるのです。
社員管理を行うことで、会社側には次のようなメリットが生まれます。
これだけのメリットがある社員管理ですが、先ほどお話ししたように、社員管理には様々な業務が含まれます。
社員管理を人の力だけで行うには、膨大な作業量や時間、人員が必要になってしまうでしょう。
そこでおすすめなのが「社員管理システム」による社員管理です!
続いては、少ない負担で社員管理を行える「社員管理システム」についてご紹介します。
社員管理をより楽に行うため使われる「社員管理システム」。
社員管理の内容が多岐にわたっていることもあり、社員管理システムも様々な種類に分かれています。
社員管理システムの種類や役割などについて確認していきましょう。
社員管理システムはその名の通り、「社員管理」をスムーズに行うためのシステムです。
スピーディーかつ正確に、そして長期的に社員管理を行いたい会社にとって、社員管理システムは心強い味方になってくれます。
社員管理システムは、その役割によって次の6種類に分けられます。
これらのうち1つに特化したシステムもありますが、現在はいくつかの役割を持っているものや、全ての役割を網羅したものなども開発されています。
では、それぞれの役割について詳しく見ていきましょう。
社員に支払う給与を管理するシステムです。次のような業務に対応します。
給与管理システムは、煩雑な給与管理を一気に管理・処理してくれます。処理も正確なので、振り込み間違いや振り込み忘れを確実に減らせる点もメリットの1つでしょう。
社員の勤怠管理をしてくれるシステムで、次のような役割を果たします。
勤怠管理システムについては、フレックス制や変形労働制など勤務形式に合わせた記録機能を兼ね備えているものもあります。
複雑な勤怠管理をスムーズに行いたい会社や、様々な勤務形態の社員がいる会社にぴったりのシステムです。
人事管理システムでは、社員個人に関わる情報を管理できます。具体的には、以下のような業務に対応可能です。
社員の個人情報は様々な状況で活用できる一方、管理が難しいと感じている会社も多いと思います。そんな情報管理の負担を減らしてくれるのが、人事管理システムです。
評価管理システムは評価にかかる負担を減らしてくれるシステムで、以下のような役割を持ちます。
日常業務の中で社員一人一人に目を配るのは難しい場合もあるため、評価管理システムの力を借りて社員の評価とその内容の管理を行うのも方法の1つでしょう。
スキル管理システムは、社員一人一人の持つスキルにまつわる管理システムです。社員の持つスキル、資格、経歴を管理できます。
従業員は、資格など目に見えるスキルだけを持っているわけではないため、そういったスキルをまとめて管理、可視化できるのはスキル管理システムの強みでしょう。
社内における人材配置の際や、業務の割り当て時にも活用できるシステムです。
労務管理システムは、主に会社で必要な労務系の手続き・管理を行うシステムです。主に、以下のような業務に対応します。
これらはいずれも、提出期限が決まっていたり手続きが煩雑だったりと会社にとって負担の大きい手続きばかり。労務管理システムなら、それらの手続きを簡単にシステム化できます。
様々な性能を持つ社員管理システム。ここで、社員管理システムの種類を踏まえて、導入することで得られる効果について見ていきましょう。
「社員管理システムなら社員管理にかかる手間や時間を減らせる」ということを踏まえて考えると、分かりやすいかと思います。
社員管理システムは、導入によって業務効率を改善することができます。
システムの導入によって社内環境が整備されるため、煩雑な事務処理や情報の捜索などが減って業務効率の改善につながるのです。
社員管理システムを導入するとなると、今まで紙などで管理していた情報もデータで管理することになります。
加えて、社員管理システムには厳重なセキュリティ管理システムも搭載されていることが多いため、導入することで情報漏洩の防止にも繋がるのです。
社員管理システムを通して社員情報を社内で共有できる点も、社員管理システム導入によって得られる効果の1つです。
特に大きい会社だと、異動に伴う情報の共有も大変でしょう。社員管理システムならシステムを見ただけで従業員の情報が分かるため、情報共有にかかるコストやトラブルを減らすことができます。
また、社員管理システムの導入は「社員の人的ミスを減らす」ことにも繋がります。
情報管理・処理では、どうしても人の手によるミスが生まれてしまいます。しかし、情報管理システムには自動計算機能やスケジュールの通知機能もあるため、この人的ミスそのものを減らすことも可能になるのです。
社員管理システムがどういった役割を果たすのか、だんだんイメージできてきたでしょうか。
ここで、具体的な社員管理の方法や社員管理システムの選び方についてご紹介します。
自社の状況に合った社員管理システムを導入したい方はぜひ、参考にしてみてくださいね。
まずは社内の社員管理制度を整備するための、大まかな流れについてまとめました。
1. 現状、会社にある問題をピックアップする
2. 管理しきれていない部分を整理する
3. 必要な社員管理システムを検討する
4. 社員管理システムを導入、運用する
5. データを抽出し分析、改善等を行う
この流れを元に、社員管理制度を整備する際のポイントについてさらに掘り下げていきます。
様々な会社に共通する部分をまとめましたので、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
まずは現状の把握です。会社で煩雑に感じている部分をまとめ、それぞれどういった部分でつまずいているか整理しましょう。
続いては、1でまとめた問題の原因について見ていきます。
その問題が何かしらの管理不足によって起こっているのであれば、社員管理システムによって改善できるかもしれません。
ここで、整理した問題を元にどんな社員管理システムが必要か検討しましょう。先ほどご紹介したシステムの種類を参考にすると、より考えやすいかと思います。
また、システムを選ぶ際にはセキュリティにも配慮しましょう。
もちろん、より適切な管理システムがないか導入後も考えていくことは大切です。しかし、セキュリティに関しては情報漏洩を避けるため、最初から特に力を入れて検討しましょう。
システムを決めたら、あとは導入と運用です。業務の中でシステムを運用し、使い勝手や導入により生まれた変化などについてチェックしていきます。
社員管理システムでは、データの分析や抽出も行うことができます。だからこそ、必要になってくるのはシステム導入後の分析・改善です。
ポイントは、評価・改善などは公平に行うこと!特定の人物や部署だけではなく、平等にシステムを活用していきましょう。
さて、ここまで社員管理を整備していく流れを見ていきましたが…特に難しいのは3の「社員管理システムの検討」ではないかと思います。
そのため続いては、社員管理システムの選び方ついて詳しく見ていきましょう!
社員管理システムを選ぶ際には、次のようなポイントをチェックするのがおすすめです。
社員管理システムは、様々な社員が業務の中で使います。そのため、パソコンが苦手な方や外国人の方でも簡単に活用できるか考えることは大切です。
会社によってはシステムの見た目や使い勝手だけでなく、標準言語を切り替えできるかなどにも注目してみてください。
社員管理システムには、クラウド型とオンプレミス型があります。それぞれの特徴は以下の通りです。
クラウド型 |
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オンプレミス型 |
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現在主に利用されているのは、導入の手間も少ないクラウド型の社員管理システムです。しかし「使用人数に伴う金額アップ」などデメリットもあるため、事前にどちらのシステムを導入するか検討しておきましょう。
導入を検討している社員管理システムが、現在会社にあるシステムやファイルと連携できるかも検討しましょう。
せっかくシステムを導入しても、今社内にある情報を取得・連携できなくては意味がありません。
導入を検討している社員管理システムに、どんなサポート内容が付いているかもチェックが必要です。
社員管理システムにはしばしば、導入や運用の際に使えるサポート内容が付いています。その例がこちらです。
なるべくお得に社員管理システムを活用したい方は、サポート内容にも目を向けてシステムを検討してみましょう。
最後に、おすすめの社員管理システムについてご紹介します。
今回は特に選ぶのが難しい、労務管理システムからいくつかピックアップしてみました。
どのような負担を減らしてくれるシステムなのか、自社の性質と合ったシステムなのかなどについて、意識しながら読んでみてくださいね。
「freee人事労務(フリー人事労務)」は勤怠管理・給与計算・年末調整・助成金の申請など、幅広い労務管理をカバーしてくれるシステムです。
複数の労務管理において共通で使用する情報は、freee人事労務がデータベースとなり入力を1回で済ませることができるので業務が効率化するでしょう。
社内では多くの労務管理に関する業務が散らばりがちですが、人事労務freeeであれば一気通貫で行って対応コストを削減可能です。
プラン | 月額料金 | 機能 | 従業員追加 |
ミニマムプラン | 1,980円~ (3名まで一律料金) |
基本的な労務管理全般 | 月額300円 /ユーザー |
ベーシックプラン | 3,980円~ | 従業員による勤怠打刻等追加 | 月額500円 /ユーザー |
プロフェッショナルプラン | 8,080円~ | フレックス制などに対応 | 月額700円 /ユーザー |
エンタープライズプラン | お問合せ | 従業員情報のカスタム項目 | お問合せ |
月額料金は年額プランの場合の金額です。どのプランでも初期費用はかかりません。
IT
1001人以上
労務まわりを一つに統合できる点が魅力
勤怠管理システムだけではなく給与計算や年末調整、労務手続き(入退社手続き)等を一つのシステムに統合できる点は、大きな魅力だと思います。一つに統合することでコストメリットが生かせました。
コンサルティング
11〜30人
電話対応が付かないプランがある
選んだ料金プランによっては電話によるヘルプデスク機能が付いてこない点が不便だと感じました。最初は一番価格の安いプランを選択していたが、人事、経理から電話で聞かないとわからないことがあると報告が上がってきたため、プランを変更しました。
「SmartHR(スマートエイチアール)」は2万社以上の導入実績を誇る労務管理システムです。
最大の特徴は質問に答えるだけで重要書類が作成できる簡単さです。Web上で書類作成や管理が行われるため、紙もハンコも使う必要がありません。
e-Gov APIと連携しているため、役所やハローワークへの書類提出もWEB上で完結します。
実際にSmartHRを導入した企業では、「2人で1,700人分の給与計算が可能になった」「社員の60%の生産性が向上した」などの実績も出ています。
従業員情報を一元管理するクラウド人事労務ソフトなので、社労士がいなかったり従業員が多い企業には特におすすめです。
プラン | 月額費用 | 機能 | 従業員数 |
¥0プラン | 0円 | 一部利用できない機能あり | 30名まで |
スモールプラン | お問合せ | 労務手続きや情報管理の効率化 (小規模の企業向け) |
50名以下 |
スタンダードプラン | お問合せ | 人事・労務の効率化と従業員情報の一元管理(あらゆる規模の企業に対応) | 50名以上 |
どのプランでも初期費用はかかりません。
コンサルティング
101~250人
間違いやすい部分にコメントがあるのでわかりやすい
年末調整をこのSmartHRで行うようになって今年で2回目でしたが、間違いやすい部分は補足のコメントがあるのでとてもわかりやすいです。いつでもオンラインでパパっと作成・申請できるので大変便利でした。
メーカー
51〜100人
初期設定に時間がかかった
操作こそ簡単でしたが、初期設定に時間がかかりました。もっと簡単なマニュアル等があれば初期の稼働がスムーズにいったと思います。
画像出典元:「ジョブカン労務HR」公式HP
「ジョブカン労務HR」は、初めて労務管理システムを利用するという方に絶対的におすすめしたいシステムです。
導入実績はシリーズ累計で100,000社以上とかなり多くの会社で使われてて、とにかく使いやすく労務業務に不慣れな人でも書類作成から申請まで簡単に行うことができます。
たった1分で無料アカウントが発行できて、即日簡単に始められるという導入ハードルの低さも初心者にお勧めしたい理由です。
帳票は自動的に作成され、ボタンひとつで主要な社会保険・労働保険の書類を提出することができるため、役所まで足を運ぶ必要もありません。
「システム導入の際の初期設定が面倒だ」という方でも、初期設定を代行してくれるオプションプランもあるので安心です。
プラン | サポート&初期費用 | 月額費用 | 従業員数 |
無料プラン | 0円 | 0円/ユーザー | 5名まで |
有料プラン | 0円 | 400円/ユーザー | 無制限 |
小売
101~250人
膨大な社員情報がスムーズに管理できる
膨大な社員情報を管理しているような職種や部署におすすめできます。正確に、そして必要なときに目的のデータをすぐに出せるなど、情報管理がスムーズにできるようになります。
サービス
51〜100人
旧姓と新姓の管理がしづらいのがデメリット
「結婚をしたあとの旧姓と新姓を使い分けての管理」が少々しにくいというのは気になる大きなデメリットであり、不便な箇所だと思います。女性社員も多い会社からするとこの箇所は強く改善を希望します。
画像出典元:「オフィスステーション 労務」公式HP
「オフィスステーション 労務」とは、大手企業を含む35,000社以上に導入(※)されている実績豊富な労務管理システム。
他社と比べて機能も充実しており、人事・労務における幅広い業務の効率アップ・ペーパーレス化に役立ちます。
勤怠や給与、年末調整、マイナンバー管理などの外部ソフトとの連携やe-GOVへの対応、セキュリティの高さなども魅力。
無駄な出費を抑え、低額で利用することができるのも大きな特徴です。
※「オフィスステーション」利用実績数
オフィスステーション 労務の料金プランは1種類。
初期費用は登録料の11万円(税込)で、毎月従業員ひとりあたり440円(税込)がかかります。
名目 | 費用 |
登録料 | 110,000円(税込) |
従業員ひとりあたりの月額利用料 | 440円(税込) |
ユーザー数 | 無制限 |
商社
251~500人
管理者向けにおすすめ
色々なシステムを検討して最後にスマートHRとオフィスステーションの2択になり、価格面をみてオフィスステーションに決めました。管理者にとってはオフィスステーションの方が使いやすいと感じました。
コンサルティング
11〜30人
社会保険の手続きの一部には対応しておらず
簡単な手続きはオフィスステーションで十分でしたが、オフィスステーションでは申請できない社会保険の手続きもありました。そこにも完全に対応したら、完璧なツールだったと思います。
「クラウドハウス労務」は労務に関わる業務をペーパーレスにすることで、コストや手間の大幅削減が可能。
使いやすさにこだわった操作画面や充実したヘルプ機能で、スマホやパソコン上で誰でも簡単に操作ができます。
導入前・導入後のサポート体制も充実しているので安心して運用スタートできるでしょう。
ただし、労務業務に特化しており、給与計算や勤怠管理には対応していないため、検討の際には注意が必要です。
月数万円から利用可能。課題を踏まえた上で見積もり・提案をしてくれます。
社員管理の意味やメリット、社員管理を行う方法からおすすめのシステムまで見ていきました。
効率よく会社目標を達成するために、社員管理は重要な要素の1つです。
ぜひ今回ご紹介した内容を参考に、会社内の社員管理について見直してみてはいかがでしょうか。
画像出典元:o-dan
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