従業員を雇うと社会保険の加入や変更、喪失の手続きが発生します。
様々な手続きをしなければいけない一方で、提出期限も短めです。
今回は社会保険の加入・変更・喪失の手続きを分かりやすく解説した上で電子申請をご紹介していきます。
このページの目次
社会保険の加入手続きは下記の通りの流れとなります。
1. 従業員から書類を提出してもらう
2. 関係団体に書類を提出する
3. 追加と変更の場合は別途手続きを踏む
具体的に説明していきます。
従業員から預かる書類は下記のとおりです。
新卒入社の場合は年金手帳を預かれば良いですが、中途入社の場合、雇用保険被保険者証及び源泉徴収票も必要となります。
また、従業員に記入してもらう書類として「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」があります。
社員を雇用したら、これらの書類を早急に預かりましょう。
関係団体に提出書類は下記のとおりです。
社会保険の書類は種類によって、提出先や期限が異なります。
健康保険・年金保険の書類の提出先は日本年金機構です。
各都道府県ごとに担当している事務センターがありますので、こちらに提出しましょう。
期限は採用した日から5日以内です。
雇用保険(労災保険)の書類の提出先はハローワークです。
こちらは採用月の翌月10日までの提出となっています。
提出は郵送でも大丈夫です。
期限が過ぎたからといって加入できないわけではありませんが期限内に提出しましょう。
社会保険に加入する人を追加したいまたは変更したい場合は別途手続きが必要となります。
例えば、被保険者の扶養者に追加・変更があった場合、健康保険被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)を提出しなければなりません。
また、氏名や住所、生年月日などに変更があった場合は健康保険・厚生年金氏名(住所・生年月日)変更届を提出する必要があります。
追加・変更の期限は事実発生から5日以内となっています。
判明した時点からすみやかに対応しましょう。
退職などにより従業員が社会保険の加入義務を喪失したときは喪失手続きを行わなければなりません。
具体的に説明していきます。
喪失手続きには、従業員からは下記のものを返却してもらう必要があります。
健康保険は在職中にのみ利用できるため、離職すると当然利用できません。
保険証は必ず返却してもらうようにしましょう。
従業員に返却するものは下記のとおりです。
いずれも次回の就職先や社会保険の受給に必要なものです。
必ず返却するようにしましょう。
健康保険・厚生年金の場合は「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」の記入が必要となります。
また、70歳以上の方は会社に勤務していても、保険料を支払う義務がなくなるため、この場合も「厚生年金保険70歳以上被用者不該当届」を用意する必要があります。
雇用保険の場合は「雇用保険被保険者証及び雇用保険被保険者離職証明書」を用意する必要があります。
雇用保険の場合はハローワークに従業員の退職から10日以内に「雇用保険被保険者証及び雇用保険被保険者離職証明書」を提出します。
「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届及び厚生年金保険70歳以上被用者不該当届」は事実発生から5日以内に年金事務センターに送付する必要があります。
提出方法は電子申請・郵送・窓口での提出となります。
「雇用保険被保険者証及び雇用保険被保険者離職証明書」は事実発生から10日以内にハローワークに提出する必要があります。
このように社会保険の取得や喪失時には速やかに書類を関係団体に提出しなければいけません。
そのために注目されているのが電子申請です。
社会保険の電子申請の詳細は、こちらの記事に記載されています。
社会保険と特定の条件を満たしている事業所と従業員が加入する公的な保険のことをいいます。
社会保険に加入する事業所は2つあります。
特定の条件を満たしており、必ず社会保険に加入しなければならない強制適用事業所と従業員の半数以上の希望で加入する任意適用事業所です。
平成27年の厚生労働省の調査では98%の事業所が社会保険に加入しているという調査結果となりました。
社会保険は様々な種類があります。
具体的に社会保険の種類と加入条件について確認していきましょう。
社会保険には広義と狭義の2つがあります。
広義の社会保険とは狭義の社会保険の総称のことです。
狭義の社会保険とは医療保険である「国民健康保険」「健康保険」、年金保険である「国民年金」「厚生年金」、労働保険である「雇用保険」「労災保険」のことをいいます。
具体的に確認していきましょう。
国民健康保険と健康保険は医療費の7割を国が負担してくれる保険です。
病院に行くと健康保険証を提出することで、医療費の自己負担が3割になるのは国民健康保険、健康保険に加入しているためです。
この他高額療養費制度により月の負担が約10万円になったり、出産育児一時金により出産にかかる費用の全額に近い金額を負担してくれたりします。
安心して医療を受けるための保険といえるでしょう。
国民年金や厚生年金は老後などに生活費が支給される保険です。
国民年金は別途基礎年金ともいわれており、自営業が主に加入する保険です。
国民年金はの支払い金額は一律です。
一方で、厚生年金は会社員が国民年金に上乗せして加入する保険です。
給料が高ければ高いほど支払い金額も増えていきます。
年金には主に3つあります。
いずれも生活に困ったときのために生活費を支給する保険となっています。
雇用保険は会社を退職したときに支給される保険です。
別名失業保険とも呼ばれています。
失業して再就職が決まるまでに安定的な生活をおくるための保険です。
労災保険は業務中や通勤時のけがや病気に対して支給される保険です。
万が一のときのための医療費や生活費を補填してくれる保険です。
社会保険の加入条件は種類によって異なります。
種類別に見ていきましょう。
厚生年金、健康保険は被保険者1名以上、または5名以上常時雇用者がいる個人事業所は加入が必須となっています。
これらの事業所に勤務している正社員、役員、法人代表者は必ず加入しなければいけません。
パート・アルバイトも、下記の全ての条件を満たしている場合は厚生年金、健康保険に加入が必要です。
上記の条件を満たしていない場合でも、正社員の1週間の所定労働の4分の3以上働いている場合、厚生年金と健康保険に加入する必要があります。
労災保険はパート・アルバイト問わず、全員が加入しなければなりません。
雇用保険は正社員・パート・アルバイト問わず、下記の条件のいずれかを満たした人が加入する必要があります。
今回は社会保険の加入、変更、喪失時の手続きについて解説してきました。
社会保険は様々な手続きをしなければいけない一方で、期限も5日や10日程度となっており、短い期間で事務処理をしなければなりません。
手続きのスピードをあげるためにもぜひ電子申請を活用してみてください。
画像出典元:O-DAN
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