人事労務管理とは?担当者が知っておくべき違いや業務内容を詳しく解説

人事労務管理とは?担当者が知っておくべき違いや業務内容を詳しく解説

記事更新日: 2025/07/30

執筆: 平塚みき

人事労務管理は「人」と「労働」に関するあらゆる管理を包括的に行う業務です。

その業務範囲は多岐にわたるため、全体像を把握しきれていなかったり、人事と労務の違いが曖昧だったりする担当者も多いのではないでしょうか。

この記事では、人事労務管理とは何か、人事と労務の違い、さらに現場で直面しやすい課題とその解決策まで、詳しく解説します。

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人事労務管理とは?

人事労務管理とは、人材に関する管理全般を指します。

業務範囲は人材の採用から勤怠管理、人事評価、法令順守までと幅広く、従業員一人ひとりが安心して能力を発揮できる環境を整えることを目的としています。

人事労務管理の重要性

働きやすい職場環境の整備は、従業員のモチベーションの向上や離職率の低下、ひいては企業全体の生産性向上につながります。

人事労務管理は、企業の持続的な成長を支える大きな役割を担っており、企業経営において極めて戦略的な位置づけにあると言えるでしょう。

人事管理と労務管理の違い

人事労務管理の業務は、人材の管理を行う「人事管理」と職場環境を整備する「労務管理」の2つの領域から成り立っています。

それぞれの役割や目的を正しく理解することで、効率的な運用が可能です。

人事管理

人事管理では、企業にとって必要な人材を確保し、育成・配置・評価を通じて、従業員の成長を支援します。

主な役割は、企業の目標達成に向けて、従業員の能力を最大限に引き出すことです。

人材を管理するだけではなく、従業員と企業がともに成長できる環境を整えることを重視しています。

労務管理

労務管理は、給与計算や社会保険手続きなどの労働に関する実務処理に加え、労働関係の法令を遵守することに重点を置いています。

主な役割は、法令に基づいた適切な労働条件を維持し、従業員が法的に守られた環境で働けるよう管理することです。

また、労務管理は、職場トラブルや労働条件に関する相談窓口としての側面も持ちます。

両者の違いについてもっと詳しく知りたい方はこちら

人事管理の主な業務内容

人事管理は、人材を戦略的に活用するための基盤を整え、効果的に運用する業務です。

具体的には、以下のような取り組みにより従業員の潜在能力を引き出し、企業全体の成長へとつなげます。

採用

採用は、自社が求める人材を確保するための重要な業務です。

新卒・中途・パート・アルバイトなど雇用形態によって採用目的や手法が異なるため、それぞれに適した計画を立てる必要があります。

採用業務は、採用計画の策定から始まり、募集、書類審査、面接、内定、入社手続きまでの一連の活動を担当します。

人材育成

採用した人材のスキルアップとキャリア開発を支援し、企業の戦力として育成します。

従業員のキャリア段階や役割に応じた研修プログラムを企画・実施することで、成長を促進することが可能です。

従業員の成長は企業の成長にもつながり、最終的には企業の目標達成にも大きく貢献します。

人事評価

人事評価では、従業員の能力や実績、勤務態度などを評価し、結果のフィードバック、処遇やキャリアへの反映まで一貫して行います。

評価制度の設計においては、公正かつ透明性のある仕組みを構築することが不可欠です。 

適切な評価制度は、従業員のモチベーション向上、成長意欲を高める効果が期待できます。

配置

配置とは、従業員のスキルや適性を考慮し、最適な部署や役職に割り当てる業務です。

配置後はフォローアップを行い、適応状況を定期的に確認することで、必要に応じたサポートや再配置が可能になります。

適材適所の配置は、企業全体の業績や効率性を最大限に高めます。

モチベーション管理

モチベーション管理とは、従業員のモチベーションを維持・向上させるための取り組みです。

一見すると人事管理とは別の領域に思えるかもしれませんが、実は人事管理における重要な業務の一つです。

定期的に従業員満足度調査や面談などを行い、モチベーション低下の要因を把握・改善する必要があります。

モチベーション管理は、従業員のエンゲージメント向上や離職防止にも大きく寄与する業務です。

人事管理についてもっと詳しく知りたい方はこちら

労務管理の主な業務内容

労務管理は法令を順守しつつ、従業員の雇用から退職まで、働く環境と条件を管理する業務です。

以下では、労務管理における主な業務内容を詳しく解説します。

労働契約に付随する業務

労働契約に付随する業務とは、従業員と企業の雇用関係を適切に維持・管理するために必要な手続きです。

従業員を雇用する際には、労働契約書や労働条件通知書、就業規則などの書類を作成します。

これらの書類は、労働基準法や労働契約法などに基づき、記載すべき項目や作成・交付の方法が細かく定められています。

担当者は、関連法令の内容を正確に理解した上で書類を作成しなければなりません。

勤怠管理・給与管理

勤怠管理と給与管理は、労務管理の中心をなす日常的な業務です。

従業員の出退勤時刻や残業、休日出勤、有給休暇の取得状況などを記録し、それに基づいて報酬を支払う必要があります。

これらの業務は、労働法令や税法と深く関わっており、誤りがあると労使トラブルや法的リスクに発展する可能性があります。

そのため、法令にのっとった正確な管理が重要です。

社会保険の手続き

従業員の生活や健康、老後を守るために、健康保険や厚生年金保険などの各種社会保険への加入・脱退、給付申請を行う業務です。

入社時の社会保険の資格取得、育児休業給付金の申請、負傷時の労災申請サポート、定年退職時の年金受給準備など、従業員のライフステージに応じて、さまざまな手続きが発生します。

従業員の人生に寄り添い、必要な保険手続きを迅速に行うことは、安心して働ける職場づくりの土台となります。

労働環境の整備

労働環境の整備は、時代とともにその範囲を広げています。

かつては労働安全衛生法に基づく管理体制の構築や、照明・空調などの物理的な環境整備が中心でした。

しかし近年では、メンタル面や人間関係への配慮など、心の健康が保てる環境づくりにも重点が置かれるようになっています。

ハラスメント防止体制の整備やメンタルヘルス対策、企業風土の改善などを通じて、健全な職場環境の維持・向上を図ります。

従業員の健康管理

従業員の健康管理は、労働安全衛生法によって企業に義務付けられた重要な責任です。

定期健康診断やストレスチェック、産業医による面談・健康指導などによって、早期に健康リスクを発見し、対応しなければなりません。

従業員が心身ともに健康を保ち、十分に能力を発揮できるよう、健康管理は継続的に行う必要があります。


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人事労務管理で起こる課題と対応策

人事労務管理は業務範囲が広く、内容も複雑です。

そのため、さまざまな課題が発生しやすい領域と言えます。

この章では、人事労務管理において起こりがちな課題と、その対応策をまとめました。

人手不足による業務の属人化

人事労務管理は従来より業務範囲が広がっており、これまでと同じ人員では対応しきれないほどの業務量が発生しています。

さらに、法的知識など専門性が求められるため、人材育成にも時間がかかり、人手不足に陥りやすい状況です。

人手が確保できないと、特定の担当者に業務が集中するため、属人化はますます進みます。

属人化を防ぐには、まず業務フローを整理し、誰でも対応できるようマニュアルを作成しましょう。

システムを導入し、業務の効率化や標準化を図るのも有効な手段です。

法改正や制度変更への対応

人事労務関連の法改正は頻繁に行われており、企業には迅速かつ正確な対応が求められます。

しかし、情報を収集し、その内容を理解するには多くの時間と労力を要します。

対応が遅れると、罰則の対象にもなりかねません。

社会保険労務士や弁護士など外部の専門家と連携し、助言を受けながら適切に対応することが最も効果的な方法です。

就業規則の改定など、実務面でのサポートも受けられるため、担当者の負担を軽減しながら法令遵守を徹底する体制が整います。


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アナログ管理による人的ミスの発生

勤怠管理や給与計算、各種届出業務で顕著に現れる課題です。

手書きのタイムカードやエクセルでの集計、紙の申請書類では、転記・計算のミスや記入漏れが発生しやすくなります。

こうしたミスは、従業員からの信頼を損ねるだけでなく、余分な修正作業に時間を費やすことにもなります。

ヒューマンエラーを軽減するには、デジタルツールやシステムの導入が非常に有効です。

勤怠管理システムや給与計算ソフトなどを導入することで、データ入力の自動化や計算ミスの削減が可能となり、業務の正確性と効率性が向上します。

情報管理が煩雑

人事労務管理では、従業員の個人情報や評価情報、給与情報、健康診断結果など、機密性の高い情報を大量に取り扱います。

膨大な量のデータを別々の場所やファイルで分散して管理すると、情報管理が煩雑になりがちです。

必要な情報を探す手間が増え、業務効率が低下するばかりでなく、管理が行き届かないことで情報漏えいのリスクも高まります。

煩雑さを解消するには、紙媒体の管理を減らし電子データでの一元管理が効果的です。

データの検索性が向上し、アクセス権限の設定によって情報漏えい防止対策も可能になります。


労務管理の課題について、さらに深く掘り下げたい方はこちら

人事労務管理にはシステムの導入がおすすめ

これまで見てきたように、人事労務管理の業務は複雑化しており、多くの課題を抱えています。

課題を根本的に解決し、業務の効率化と正確性を高めるには、システムの導入がおすすめです。

人事管理・労務管理それぞれのシステムのメリットを理解し、自社のニーズに合ったものを選ぶことが大切です。

人事管理システムのメリット

人事管理システムは、人事に関する情報を集約して管理できるシステムです。

すべてデータで管理されるため、情報の更新や共有がスムーズになります。

データを活用し、人材を最適なポジションへ配置するなど、戦略的人事が行える点も大きな利点です。

労務管理システムのメリット

労務管理システムは、勤怠管理や給与計算、社会保険手続きなどを自動化し、業務効率を大幅に向上させるシステムです。

電子申請に対応したシステムを選べば、ハローワークや年金事務所などの役所に足を運ぶことなく、さまざまな法定手続きをオンラインで完結できます。

また、法改正や制度変更があっても、システムのアップデートが提供されるため、スムーズな対応が可能です。

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まとめ

人事労務管理は、従業員の働きやすさと企業の持続的な成長を両立させるために欠かせない業務です。

人事と労務はそれぞれ異なる役割と目的を持ちながらも、互いに影響し合い、企業全体を支えています。

しかし、業務の複雑さや法改正への対応など、多くの課題を抱えているのも事実です。

改善にはシステムの導入も視野に入れる必要があるでしょう。

システムを活用した人事労務管理の最適化により、企業はより健全かつ安定した成長を実現できます。

画像出典元:Pixabay

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