企業にとって重要なマネジメント業務の一つとして「労務管理」があります。
労務管理は昔から存在する概念ですが、近年は時代背景とともに労務管理のあり方が従来とはだいぶ変わってきています。
今回は、今後より重要性が増してくる労務管理の課題を「雇用形態」「労働時間」「テレワーク」の3つを例に解説していきます。
このページの目次
最近の労務管理の課題は「想定外」や「未整備」への対応です。
「出社を前提としたタイムカードや出勤簿による勤怠管理」
「正社員などによる単一的な雇用管理」
「自己申告を中心とした労務管理」
上記のような従来の労務管理は大きく変化しています。
テレワークや正社員の副業解禁などは、働く選択肢が増える一方で、労務管理を難しくさせています。
まず最初に、雇用形態が多様化していることに伴う労務管理上の課題を見ていきます。
雇用形態の多様化とは「様々な働き方が社会的に認められるようになってきた状態」を指します。
例えば、サラリーマンのような正規雇用だけでなく、派遣社員やアルバイトなどの非正規雇用に加え、最近ではフリーランスなど個人事業主との業務契約を結ぶといった企業も増えてきています。
雇用形態の多様化の背景には、インターネットの発達や企業の慢性的な人材不足、人員コストの削減、個人のQOL(生活の質)向上など、複合的な要因があると考えられます。
これに伴い、企業の労務管理も従来型の固定的な方法では通用しなくなってきている点を、これから紹介する3つの課題を踏まえて理解していきましょう。
雇用形態の多様化に伴う課題の1つ目としては、就業規則の未整備があげられます。
就業規則は、労働基準法にもとづき一定の条件を満たす会社に作成義務が求められる書類です。
就業規則を作成することにより、会社側が示す労働条件や職務上のルールを明確にすることが可能なため、会社と従業員双方の利益保護の観点からも重要な書類となります。
しかし、雇用形態の多様化により、従来には存在しなかったことを視野に入れる必要が出てきています。
コンプライアンスが強く求められる上場企業であれば対応している企業も増えつつありますが、それ以外の中小企業では就業規則の整備に着手出来ていないのが現状でしょう。
雇用形態の多様化に伴う課題の2つ目としては、労働契約への未対応があげられます。
背景部分で紹介したように、現在ではサラリーマンのような正規雇用者だけではなく、派遣社員やアルバイトのような非正規雇用者を採用する企業も増加傾向にあります。
また、フリーランスに代表される個人事業主に必要業務を委託するケースも業種によっては増えつつあります。
従来であれば、サラリーマンを前提とした労働契約を労使間で締結すれば良かったですが、現在では状況に応じた労働契約を各関係者と結ぶ必要が出てきています。
日本ではアメリカに比べて訴訟件数は相対的に少ないですが、労働者との労働トラブルを防ぐ観点からも適切な労働契約を締結することを心掛けてみてください。
雇用形態の多様化に伴う課題の3つ目としては、雇用形態による不平等があげられます。
雇用形態としては、大きく分けて正規雇用と非正規雇用がありますが、企業側はコスト削減の観点から非正規雇用者への待遇を(正規雇用者と比べて)下げる傾向にあります。
2020年4月からは「同一労働同一賃金」の施行が始まっていますが、実質的に非正規雇用者と正規雇用者とが平等な取り扱いをされているかは不透明なのが現状です。
報酬面だけでなく、労働環境も含めて双方が納得いく労働環境を整備し、雇用形態に関わらず適切に労働者を評価する制度を進めてみてください。
続いて、労働時間管理の徹底に伴う労務管理上の課題を見ていきます。
労働時間の管理徹底とは、企業で働いている従業員の労働時間を会社としてしっかり管理・把握することを目的としているものです。
当たり前のような内容ですが、労働時間の管理徹底が求められている背景としては、働き方改革法案や長時間労働による過労死などが挙げられます。
働き方改革法案などにより時間外労働時間にも上限が設けられるようになりました。
先ほどと同様に、労働時間の管理徹底に伴う3つの課題も確認していきましょう。
労働時間の管理徹底に伴う課題の1つ目としては、時間外労働への対応があげられます。
働き方改革法案の施行前は、残業時間に関して具体的な上限は定められていませんでしたが、施行後は明確に残業時間の上限が定められています。
具体的には、週40時間を超える場合は残業とみなし、特別な事業がある場合をのぞいて、残業時間は月単位で45時間、年単位で360時間以内であるとしています。
従来以上に残業に対する細かな労働時間の把握が必要となるため、企業側は各従業員の時間外労働への意識を強く持つ必要があると言えます。
労働時間の管理徹底に伴う課題の2つ目としては、有給休暇の消化率があげられます。
日本企業の場合、長時間労働に加えて問題となっているのが、有給取得率の低さです。
働き方改革法案の施行に合わせる形で、企業には有給休暇の取得奨励が求められるようになっています。
具体的には、年10日以上の年次有給休暇が与えらえれている従業員に対して、最低でも
年5日分の有給を与える必要があります。
これも多様化な働き方を促進し、日本の労働生産性を向上させる点に目的があると言えますが、従来以上に各従業員の有給取得状況を把握・管理する必要性が出てきたと言えます。
労働時間の管理徹底に伴う課題の3つ目としては、労務コンプライアンスがあげられます。
働き方改革法案とも深く関連する内容にはなりますが、従来以上に「労務面」でのコンプライアンス徹底が強く求められるようになってきているということです。
これまで紹介してきた「時間外労働への対応」や「有給休暇の未消化解消」に加え、残業代未払といったコンプライアンス上問題を抱えている企業は、今後より一層各監督庁や社会から厳しい目を向けられるようになるでしょう。
続いて、テレワーク導入に伴う労務管理上の課題を見ていきます。
テレワークというのは、オフィスのような決められた場所でなく、自宅などのオフィスから離れた遠隔地で仕事をする形態のことを言います。
他にも「リモートワーク」や「在宅ワーク」などの言葉がありますが、本質的な意味は変わりません。
このテレワーク導入が進んでいる背景としては、働き方の多様化やオンラインツールの進歩に加え、新型コロナウイルス流行などによる影響が大きいでしょう。
先ほどと同様に、テレワーク導入に伴う3つの課題も確認していくことにします。
テレワーク導入に伴う課題の1つ目としては、労働状況の不透明さがあげられます。
出社で業務管理していた企業にとってテレワーク導入により従業員が必要業務を適切にしているか分からないという課題があります。
成果を出せば問題ないとする企業文化もある一方で、プロセスを気にする企業文化の会社があるのも事実です。
また、オンラインツールでのコミュニケーションは、直接会話をする場合と比べて非効率と感じている会社もあるようです。
バランスが難しいですが、テレワークでも適切な成果を生み出すための工夫が企業には求められていると言えます。
テレワーク導入に伴う課題の2つ目としては、テレワーク移行の難しさがあげられます。
日本でも新型コロナウイルスの影響により、テレワークの導入率が全体的に高まっていた時期はありますが、業種別の導入率は大きく異なっているのが現状です。
本来テレワークが出来る業種にも関わらず、下記のような理由からスムーズにテレワークへ移行出来ていない企業も多く存在します。
ITに関する最低限の知識を持ち合わせている必要もあるため、従業員への教育研修も含めた社内プロセスの整備・運用が重要になってきていると言えます。
テレワーク導入に伴う課題の3つ目としては、社内部署間での不平等があげられます。
会社によってテレワークの導入方法や体制は異なるので一概には言えませんが、一般的に経理や法務といったバックオフィス系の部署は、オフィス出社が必要となるケースが多いです。
一部の部署のみオフィス出社が必要という状況に対して、不満を感じる従業員がいてもおかしくないため、リモート経理や電子契約の導入といった改革案が企業には必要となります。
参考:厚生労働省テレワーク総合ポータサイト
参考:テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン
最後に、これまで紹介してきたいような労務面での課題を解決するためのポイントを紹介しておきたいと思います。
まずは、自社が抱えている労務面の課題を明確にすることが重要になります。
ひと言で「労務」と言っても、これまで紹介してきたように労務面での課題は多岐に渡る以上、何が企業の課題になっているかは会社によって大きく異なるためです。
企業側が悩んでいることや従業員が困っていることなど、労使間での環境を改善するためにも、しっかりと自社の課題を明確にしてみてください。
自社の課題を明確にした後は、ITシステムを積極的に活用するようにしてみてください。
具体的には、労務管理や勤怠管理に特化したシステムに投資することで、労働時間の正確な把握や勤怠状況の可視化など、課題解決につながる可能性が高まります。
労務コンプライアンスを徹底したい会社は企業戦略の一環として、IT活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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プラン | 月額費用 | 機能 | 従業員数 |
¥0プラン | 0円 | 一部利用できない機能あり | 30名まで |
スモールプラン | お問合せ | 労務手続きや情報管理の効率化 (小規模の企業向け) |
50名以下 |
スタンダードプラン | お問合せ | 人事・労務の効率化と従業員情報の一元管理(あらゆる規模の企業に対応) | 50名以上 |
どのプランでも初期費用はかかりません。
コンサルティング
101~250人
間違いやすい部分にコメントがあるのでわかりやすい
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メーカー
51〜100人
初期設定に時間がかかった
操作こそ簡単でしたが、初期設定に時間がかかりました。もっと簡単なマニュアル等があれば初期の稼働がスムーズにいったと思います。
画像出典元:「ジョブカン労務HR」公式HP
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51〜100人
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「結婚をしたあとの旧姓と新姓を使い分けての管理」が少々しにくいというのは気になる大きなデメリットであり、不便な箇所だと思います。女性社員も多い会社からするとこの箇所は強く改善を希望します。
画像出典元:「オフィスステーション 労務」公式HP
「オフィスステーション 労務」とは、大手企業を含む35,000社以上に導入(※)されている実績豊富な労務管理システム。
他社と比べて機能も充実しており、人事・労務における幅広い業務の効率アップ・ペーパーレス化に役立ちます。
勤怠や給与、年末調整、マイナンバー管理などの外部ソフトとの連携やe-GOVへの対応、セキュリティの高さなども魅力。
無駄な出費を抑え、低額で利用することができるのも大きな特徴です。
※「オフィスステーション」利用実績数
オフィスステーション 労務の料金プランは1種類。
初期費用は登録料の11万円(税込)で、毎月従業員ひとりあたり440円(税込)がかかります。
名目 | 費用 |
登録料 | 110,000円(税込) |
従業員ひとりあたりの月額利用料 | 440円(税込) |
ユーザー数 | 無制限 |
商社
251~500人
管理者向けにおすすめ
色々なシステムを検討して最後にスマートHRとオフィスステーションの2択になり、価格面をみてオフィスステーションに決めました。管理者にとってはオフィスステーションの方が使いやすいと感じました。
コンサルティング
11〜30人
社会保険の手続きの一部には対応しておらず
簡単な手続きはオフィスステーションで十分でしたが、オフィスステーションでは申請できない社会保険の手続きもありました。そこにも完全に対応したら、完璧なツールだったと思います。
「freee人事労務(フリー人事労務)」は勤怠管理・給与計算・年末調整・助成金の申請など、幅広い労務管理をカバーしてくれるシステムです。
複数の労務管理において共通で使用する情報は、freee人事労務がデータベースとなり入力を1回で済ませることができるので業務が効率化するでしょう。
社内では多くの労務管理に関する業務が散らばりがちですが、人事労務freeeであれば一気通貫で行って対応コストを削減可能です。
プラン | 月額料金 | 機能 | 従業員追加 |
ミニマムプラン | 1,980円~ (3名まで一律料金) |
基本的な労務管理全般 | 月額300円 /ユーザー |
ベーシックプラン | 3,980円~ | 従業員による勤怠打刻等追加 | 月額500円 /ユーザー |
プロフェッショナルプラン | 8,080円~ | フレックス制などに対応 | 月額700円 /ユーザー |
エンタープライズプラン | お問合せ | 従業員情報のカスタム項目 | お問合せ |
月額料金は年額プランの場合の金額です。どのプランでも初期費用はかかりません。
IT
1001人以上
労務まわりを一つに統合できる点が魅力
勤怠管理システムだけではなく給与計算や年末調整、労務手続き(入退社手続き)等を一つのシステムに統合できる点は、大きな魅力だと思います。一つに統合することでコストメリットが生かせました。
コンサルティング
11〜30人
電話対応が付かないプランがある
選んだ料金プランによっては電話によるヘルプデスク機能が付いてこない点が不便だと感じました。最初は一番価格の安いプランを選択していたが、人事、経理から電話で聞かないとわからないことがあると報告が上がってきたため、プランを変更しました。
「クラウドハウス労務」は労務に関わる業務をペーパーレスにすることで、コストや手間の大幅削減が可能。
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今回は、企業が直面している労務管理面の課題について、様々な角度から紹介してきました。
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労務管理に悩んでいる企業担当者の方の参考になれば幸いです。
画像出典元:Shutterstock
この記事を書いた人
TAK
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