Sansan株式会社の決算/売上/経常利益を調べ、IR情報を徹底調査

執筆: 編集部

広告宣伝費の減少により、営業利益は改善!名刺管理市場でシェア82%を誇る「Sansan」の第2四半期決算

2020年5月期 第2四半期 決算

  • 売上高:62億9,400万円
  • 営業利益:1億900万円
  • 経常利益:1,700万円
  • 四半期純利益:△9,100万円

法人向けクラウド名刺管理サービスでビジネスを円滑にするサービスを展開している「Sansan」の決算を見ていきます。

2020年5月期第2四半期決算は、連結売上高は前年同期比32.5%増、連結営業利益は黒字化となりました。

【表】セグメント別実績の概況

事業別で見てみますと、売上高はSansan事業は27.5%成長、Eight事業は139.8%成長し、営業利益はSansan事業は65.3%成長、Eight事業は1億4,200万円の赤字縮小となりました。テレビCMを中心として広告宣伝活動により、営業利益の進捗率が低くなるのは計画通りで、通期業績見通しに対して順調な進捗となりました。

【グラフ】連結営業利益・広告宣伝費の四半期別実績

売上高の伸長及び広告宣伝費の減少により、営業利益は改善いたしました。
第2四半期は広告宣伝費の増加により、他の四半期に比べて利益が出にくくなる傾向で、当第2四半期においても計画通り、テレビCMを中心とした広告宣伝活動を実施しております。

2020年5月期の連結業績予想については、変更はありません。
売上高は前年同期比35.4%増、営業損益以下の段階損益は黒字化の見通しです。


画像出典元:「Sansan株式会社」決算説明資料

2020年5月期 第1四半期 累積業績(19年10月更新)

  • 売上高:31億円
  • 営業利益:2億4,800万円
  • 経常利益:1億9,200万円
  • 四半期純利益:1億600万円

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2020年5月期第1四半期決算は、Sansan事業及びEight事業ともに順調に推移し、当第1四半期連結累計期間における売上総利益率は85.0%となりました。

【グラフ】売上高〜営業利益の内訳

課題であった、営業利益率は、知名度の向上などにより、売上高の伸長と広告費比率の低下を実現できたため結果として、252.8%の増益に結びつけることができました。

事業別の売上

【グラフ】sansan事業、Eight事業

事業別の売上では、sansan事業、Eight事業ともに前年同期比に対して、確実に数字を積み上げ増収を達成しました。

営業利益は、知名度の高いsansan事業では伸長が見られました。一方、Eight事業では未だ新しい事業と言えるため広告宣伝費比率などに圧迫されており、営業利益率は前年同期比に対して未だマイナスの数字を叩き出しています。

2020年5月期の連結業績予想については、2019年7月12日に公表した内容から変更はありません。

なお、Sansan事業において当第1四半期連結累計期間では大きな広告宣伝活動を実施していないことから、営業利益の進捗率は高くなりました。

しかし、第2四半期以降広告宣伝活動は積極的に実施する予定です。

画像出典元:「Sansan株式会社」決算説明資料・公式HP

 

 

2019年5月期 通期決算(19年7月更新)

  • 売上高:102億600万円(前期比+39.3%)
  • 営業利益:△8億4,900万円(前期は△30億6,100万円)
  • 経常利益:△8億9,100万円(前期は△30億7,700万円)
  • 当期純利益:△9億4,500万円(前期は△30億8,500万円)

名刺管理市場でシェア82%を誇るSansan株式会社は、2019年6月19日に東京証券取引所マザーズに上場しました。

サービス内容は、法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」と個人向け名刺管理アプリ「Eight」。競合他社の追随を許さない名刺情報のデータ化オペレーションを確立しています。

2019年5月期通期の業績は、前期に対し大幅な増収となり、赤字幅も縮小しました。

人材採用をはじめとした営業体制の強化やテレビコマーシャルを中心とした広告宣伝活動等に取り組んだことにより、Sansan事業は36.8%、Eight事業は102.8%成長。

営業損失が前期比で22億1,100万円改善した主な要因は、Sansan事業及びEight事業の成長が継続したことや、Eight事業における広告宣伝費が減少したことによります。

黒字化は目前で、既に営業活動によるキャッシュフローは当期で黒字に転換しています。

人員採用も順調に進んでおり、Sansan事業の営業部門を中心に、従業員数は前期比147名増の549名に拡大しました。

Sansanは、2013年から「早く言ってよ〜」でお馴染みのCMを、2017年には「友達、増やしたいわけじゃないんだよな」のフレーズが印象的なCMを展開し一気に認知度が向上しましたが、広告宣伝費がかさみ赤字続き。

サービスを利用してもらうためには認知度向上が必要であるため、赤字が続いてもTVCMを続けました。その裏には、極めて低水準の解約率があります。

解約率0.66%、つまり一度利用すると99%以上の人が継続するという驚異の継続率により利用者が積み上がり、年平均成長率は51%にハイスピードで成長しています。

セグメント別の業績

Sansan事業

  • 売上高:96億3,900万円(前期比+36.8%)
  • セグメント利益:29億900万円(前期比+102.4%)

2019年3月には、プロダクトコンセプトをこれまでの「名刺を企業の資産に変える」から「名刺管理から、ビジネスがはじまる」に刷新し、各種機能の改善やデザインのリニューアルを行う等、製品力の向上に努めました。

この結果、「Sansan」の契約件数は5,823件(前期比13.1%増)、直近12か月平均の月次解約率は0.66%(前期比0.1ポイント減)となりました。

営業利益率は前期比9.7ポイント増の30.2%に。

サービス開始当初は中小企業の導入がメインでしたが、徐々に1,000人以上の大企業も導入するように。特に、過去5年間は契約当たり単価の高い大企業からの収入が成長を促進させています。

ただし、多くの企業で利用従業者数は限定的であり、国内だけでも100倍の開拓余地が存在します。今後もSansanの成長が続くことが期待されます。

Eight事業

  • 売上高:5億6,600万円(前期比+102.8%)
  • セグメント損失:△12億1,200万円(前期はセグメント損失△29億6,400万円)

2018年12月にはiOS版、2019年3月にはAndroid版のアプリにおけるアップデートを実施し、ユーザーの利便性向上等に努めた結果、当連結会計年度末におけるユーザー数は244万人(前期比30万人増)となりました。

また、企業向けの新サービスとして、2018年9月に企業の課題解決を後押しするビジネスイベント「Meets」の提供を開始したほか、2019年1月には採用関連サービス「Eight Career Design」の提供を開始。

現在は将来の収益化に向けた先行的な投資を行っているフェーズですが、一方で広告宣伝活動を強化した前期と比較して損失額が大きく縮小しました。

 

2020年5月期の業績予想

2020年5月期は、前期に対し増収、黒字転換する見込みです。

  • 売上高:138億1,600万円(前期比+35.4%)
  • 営業利益:7億2,400万円
  • 経常利益:6億7,000万円
  • 当期純利益:黒字化

Sansan事業の継続的な成長に加え、Eight事業におけるマネタイズの進展が業績に寄与する見込みです。

なお、親会社株主に帰属する当期純利益の具体的な予想数値は非開示となっています。

Sansanのあゆみ

創業社である代表取締役社長の寺田氏が三井物産に8年勤めた後、2007年に名刺管理サービスを提供することを目的として三三株式会社を設立。当初、社名はアルファベットではなく漢字でした。創業メンバーは寺田氏を含めて5名。

同年に法人向けクラウド名刺管理サービス「Link Knowledge(現Sansan)」を提供開始。2012年より個人向け名刺アプリ「Eight」を提供開始。

2013年に5億円を調達し初めてTVCMを行い、その後6年間で総額100億を超える資金調達を行いました。

TVCMにより認知度が向上し、2018年には導入企業は7,000社、「Sansan」は業界シェアの82%を占め、6年連続となるシェアNo.1を獲得するに至りました。

2019年6月19 日に東京証券取引所マザーズに上場。初値は公開価格の4,500円を上回る4,760円となりました。

広告宣伝費がかさみ常に赤字でしたが、黒字転換まであと一息です。

画像出典元:「Sansan株式会社」決算説明資料・公式HP

 

 

第11期決算公告(19年5月更新)

業績推移

決算期
(百万円)
16/05
(第9期)
17/05
(第10期)
18/05
(第11期)
売上高 3,150 4,834 7,318
営業利益 △1,350 △656 △3,006
経常利益 △1,362 △657 △3,022
当期純利益 △1,366 △667 △3,294
利益剰余金 △1,366 △667 △3,294

2018年第11期の売上高は73億1,800万円、前年同期比51%増と急成長しています。しかし、当期純利益は32億9,466万円の最終赤字

赤字の原因は売上高を超える販管費、特にCMなどの広告宣伝費によるものと考えられます。2014年からの売上高と販管費の推移を見てみましょう。

売上高は2014年から右肩上がりとなっていますが、それに伴って販管費も急増しています。名刺管理ソフト市場は、LINEのmyBridgeやWantedlyのWantedly Peopleなど、競争が激化しています。そのため、Sansanはマーケティング活動を拡大し、一気にシェア獲得へ動いていることが分かります。

Sansanとは

Sansanは7,000社の企業が導入する名刺管理サービス「Sansan」と200万人が使う名刺管理アプリ「Eight」を展開しています。「Sansan」は法人向け名刺管理サービスで業界シェア81%を獲得しています。

マザーズ上場へ

5月16日、株式会社東京証券取引所より、東京証券取引所マザーズ市場への新規上場が承認されました。
2019年6月19日に上場予定です。

 

出典:公式HP・有価証券届出書

会社概要

会社名 Sansan株式会社
事業内容 クラウド名刺管理サービスの企画・開発・販売
所在地 東京都渋谷区神宮前5-52-2 青山オーバルビル 13F
設立日 2007年6月
代表 寺田 親弘
資本金 46億716万円(資本準備金も含む)
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