ソニー株式会社の決算/売上/経常利益を調べ、IR情報を徹底調査

執筆: 山中恵子

イメージセンサー好調で通期業績予想を上方修正!新型肺炎の影響が懸念される「ソニー」の第3四半期決算

2020年3月期 第3四半期決算

  • 売上高及び営業収入: 6兆5,111億4,500万円(前年同期比△0.4%)
  • 営業利益:8,100億1,200万円(前年同期比△0.2%)
  • 税引前利益:8,034億3,300万円(前年同期比△10.6%)
  • 四半期純利益:5,695億4,700万円(前年同期比△31.2%)

2020年の年末商戦期にPS5を発売する「ソニー」の決算を見ていきましょう。2020年3月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し減収減益となっています。

減収となった主な要因は、ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野とエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)分野の大幅な減収によるものです。

主要製品である、プレイステーション4(PS4)、テレビ、デジタルカメラ、スマートフォンの販売台数は軒並み前年同期比で減少しています。

●同期間での累計販売台数の比較
  • PS4:1,520万台 → 1,210万台
  • テレビ:920万台 → 790万台
  • デジタルカメラ:300万台 → 240万台
  • スマートフォン:540万台 → 280万台

営業利益は、ゲーム&ネットワークサービス分野と音楽分野が大幅減益となったことが響き、前年同期比で減益となりました。

セグメント別の業績

それでは、減収減益となった主要因のセグメントを中心に見ていきましょう。

まずは、ゲーム&ネットワークサービス分野について。

ゲーム&ネットワークサービス分野は、PS Plus会員数は増加しているものの、ソフトウェアの売上については、フリー・トゥ・プレイ タイトルの大幅な減少により前年同期比で減少。また、ハードウェアについては次世代機プレイステーション5(PS5)の発表もあり、発売から7年目となるPS4ハードウェア販売台数は前年同期比で310万台減となりました。

とはいうものの、当第3四半期末においてPS4の累計販売台数は1億890万台を達成。

初代プレイステーション誕生から25年という節目となる2019年12月3日には、史上最も売れた家庭用ビデオゲームコンソールブランド(2019年11月7日時点で4億5,019万台)としてプレイステーションがギネス世界記録に認定されました。なお、ソニーのゲーム機史上最も売れたのはPS2で、販売台数は1億5,500万台。

次世代機PS5については発売日等の詳細はまだ公表されていませんが、海外のPlayStation公式サイトにおいてはPS5のページが公開されました。


画像出典元:英国のPlayStation公式サイト

次に、音楽分野について。

音楽分野が大幅な減益となった主な要因は、前年同期にはEMI Music Publishingの連結子会社化に伴う再評価益を計上していたこと、及び日本におけるモバイルゲーム「Fate/Grand Order(フェイト・グランドオーダー/略してFGO)」の減収などによるもので、これらを除くと、ストリーミング市場の成長により音楽事業は安定して成長しています。

なお、「FGO」はソニー・ミュージックエンタテインメントの子会社であるアニプレックスが手がけるスマートフォン専用ロールプレイングゲームのことです。


画像出典元:Fate/Grand Order公式サイト

また、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野は減収となったものの、モバイル・コミュニケーションでの構造改革や、各事業におけるオペレーション費用の削減などが奏功し前年同期比で増益を確保しています。

一方、好調なのがイメージング&センシング・ソリューション分野 (I&SS分野)。イメージセンサーへの需要は引き続き旺盛で、生産設備はフル稼働してもなお、当初計画していた戦略在庫の積上げができていない状況とのこと。

 

業績予想を上方修正

通期の業績予想について上方修正されましたが、前期比で減収減益となることには変更ありません。なお、新型コロナウイルス感染拡大による影響は含んでいません。

  • 売上高及び営業収入:8兆4,000億円 → 8兆5,000億円(前期比△1.9%)
  • 営業利益:8,400億円  →  8,800億円(前期比△1.6%)
  • 税引前利益:8,000億円  →  8,600億円(前期比△15.0%)
  • 当期純利益:5,400億円  → 5,900億円(前期比△35.6%)

ゲーム&ネットワークサービス分野とエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野は下方修正されたものの、イメージング&センシング・ソリューション分野は売上高500億円、営業利益300億円上方修正。

また、金融分野において、ソニー生命における特別勘定の運用損益改善により金融ビジネス収入が1,300億円上方修正されました。

ただ、ここに来て、新型コロナウイルス感染拡大の影響が懸念さる事態に。イメージング&センシング・ソリューション分野、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野については、製造、販売、サプライチェーンに多大な影響が生じる可能性があり、上方修正を打ち消す規模の大きな影響が出る可能性も否定できないとのことです。

事業内容

時価総額10兆円、言わずと知れたソニーが展開する主な事業内容です。

2019年度第1四半期より、従来の「ホームエンタテインメント&サウンド分野」「イメージング・プロダクツ & ソリューション分野」「モバイル・コミュニケーション分野」を合わせ、「エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野」にセグメント区分が変更となりました。

また、「半導体分野」は「イメージング&センシング・ソリューション分野」へと名称が変更されています。

1

ゲーム & ネットワークサービス(G&NS)分野

ネットワークサービス事業、家庭用ゲーム機の製造・販売、ソフトウェアの制作・販売

 

【代表的な製品】

PlayStation 4

2

音楽分野

音楽制作、音楽出版、映像メディア・プラットフォーム事業

 

【株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント】

3

映画分野

映画製作、テレビ番組制作、メディアネットワーク事業

 

【株式会社ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント】

4

エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)分野

 

  • 旧ホームエンタテインメント & サウンド(HE&S)分野
    テレビ事業、オーディオ・ビデオ事業

【代表的な製品】

テレビ BRAVIA(ブラビア)

ポータブルオーディオプレーヤー ウォークマン

 

  • 旧イメージング・プロダクツ & ソリューション(IP&S)分野
    静止画・動画カメラ事業

【代表的な製品】

デジタルカメラ Cyber-shot (サイバーショット)

 

  • 旧モバイル・コミュニケーション(MC)分野
    携帯電話の製造・販売、インターネット関連サービス事業

【代表的な製品】

スマートフォンXperia(エクスペリア)

5

イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野

  • 旧半導体分野

イメージセンサー事業

6

金融分野

日本市場における個人向け生命保険及び損害保険を主とする保険事業ならびに日本における銀行業

 

【ソニーフィナンシャルグループ】

ソニー生命保険株式会社

ソニー銀行株式会社

ソニー損害保険株式会社

ソニー・ライフケア株式会社 他

ソニーは、日本のみならず世界中で事業を展開しており、2018年度の売上高及び営業収入の実績は8.6兆円。

また、2018年度、最も利益をもたらしたのはゲーム & ネットワークサービス分野ですが、イメージセンサーが急成長していることから、今後はイメージング&センシング・ソリューション分野がソニーの成長の柱となっていくと思われます。

画像出典元:「ソニー株式会社」決算説明会資料・ソニーグループ概要

 

 

2020年3月期 第2四半期決算(19年11月更新)

  • 売上高及び営業収入:4兆479億8,300万円(前年同期比△2.1%)
  • 営業利益:5,098億8,000万円(前年同期比+17.3%)
  • 税引前利益:4,931億1,200万円(前年同期比△11.7%)
  • 四半期純利益:3,400億900万円(前年同期比△14.9%)

イメージセンサーが絶好調の「ソニー」の決算を見ていきます。

2020年第2四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し減収となったものの営業利益は2桁増益、過去最高を更新しています。

減収となった要因は、為替の影響に加え、ゲーム&ネットワークサービス分野とエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野の売上高が前年同期比で減少したことによるものです。主要製品であるプレイステーション4、テレビ、デジタルカメラ、スマートフォンは軒並み前年同期比で販売台数が減少しています。

前期まではゲーム&ネットワークサービス分野が圧倒的な売上高を誇っていましたが、今期より実施された区分変更により、従来のホームエンタテインメント&サウンド分野、イメージング・プロダクツ & ソリューション分野及びモバイル・コミュニケーション分野の3分野を合わせたエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野が売上高トップとなりました。



営業利益は、映画分野、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野、イメージング&センシング・ソリューション分野が牽引。なかでも、映画分野は前年同期比2.5倍、イメージング&センシング・ソリューション分野は前年同期比1.6倍と大きく成長。



セグメント別の業績

セグメント別の業績を見ていきましょう。

ゲーム&ネットワークサービス分野

プレイステーション4向けゲームソフトウェア及びハードウェアの減収や為替の悪影響により前年同期比で大幅な減収減益に。前年同期には「Marvel's Spider-Man(スパイダーマン)」の大ヒットがあったこと、フリー・トゥ・プレイ タイトルの貢献が前年同期比で大きく減少したことが響きました。

「Marvel's Spider-Man」の公式サイト

ソニー・インタラクティブエンタテインメントは10月8日、次世代機の名称が「プレイステーション 5」(PS5)であること、そして発売は2020年の年末商戦期に予定していると発表しました。

② 音楽分野

音楽出版事業でのEMI Music Publishingの連結効果や、グローバルでストリーミング配信売上が増加したことより増収増益に。

③ 映画分野

全世界劇場興行収入が11億ドルを突破し、ソニー・ピクチャーズエンタテインメントにとって歴代最高のヒット作となった「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」の貢献に加え、メディアネットワークにおけるポートフォリオ見直しの効果及びインドでの収益改善などにより増収増益に。


「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」オフィシャルサイト

「スパイダーマン」シリーズの次回作をめぐっては、ウォルト・ディズニー傘下のマーベル・スタジオとソニー・ピクチャーズとの間で条件が折り合わず対立していましたが、一転合意。次回作も無事制作されることとなりました。

④ EP&S分野

スマートフォンやテレビの販売台数の減少や為替の悪影響により減収となったものの、モバイル・コミュニケーションでの構造改革の効果やオペレーション費用の削減などにより増益を確保。モバイル・コミュニケーションは、第2四半期で黒字を達成しています。

⑤ I&SS分野

スマートフォンカメラの多眼化・大判化の進展によりイメージセンサーの需要が拡大し、販売数量が増加。加えて、製品ミックスの改善もあり、大幅な増収増益に。第2四半期は売上高、営業利益ともにI&SS分野の四半期業績としては過去最高を達成。

イメージセンサーの需要増により、ウェハーベースの生産能力を2020年度末までに月産13万枚まで拡張するという従来の計画を月産13万8,000枚まで引き上げました。

中期経営計画では、2020年度までの3年間で7,000億円の設備投資を実施するとしていましたが、旺盛な需要に応えるために、さらに数百億円程度増加の可能性があるとのこと。また、これまで検討中としていた長崎工場における増設棟投資も決定

⑥ 金融分野

ソニー生命において一時払終身保険を中心に保有契約高が拡大したことにより、保険料収入が増加。

営業利益を上方修正

7月に売上高を下方修正しましたが、さらに2,000億円減の8兆4,000億円に下方修正されました。一方、利益項目はいずれも7月時点の業績見込みから上方修正されました。

  • 売上高及び営業収入:8兆6,000億円 → 8兆4,000億円(前期比△3.1%)
  • 営業利益:8,100億円 → 8,400億円(前期比△6.1%)
  • 税引前利益:7,700億円 → 8,000億円(前期比△20.9%)
  • 当期純利益:5,000億円 → 5,400億円(前期比△41.1%)

業績予想が修正された要因について見ていきましょう。

まず、売上高が大幅に下方修正された大きな要因となったのがゲーム&ネットワークサービス分野の大幅な下方修正。これは、「The Last of Us Part II」の発売延期、フリー・トゥ・プレイタイトルの減速、為替の悪化が主な要因です。プレイステーション5の開発費用も増加する見込みです。

音楽分野は、ストリーミング売上が想定を上回って推移していることなどにより売上高、営業利益ともに上方修正。

映画分野では、映画製作において一部作品の公開時期を見直した結果、公開作品数が減少することなどから売上高を下方修正。一方、営業利益は、映画製作とメディアネットワークでの収益性の改善や全社的なコスト削減効果により上方修正されています。

エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野は、市況悪化の影響を反映しテレビの販売台数見通しを引き下げたことなどにより、売上高、営業利益ともに下方修正。

イメージング&センシング・ソリューション分野は、例年下期は上期より需要が低いものの、生産設備はフル稼働を継続し、来年度の需要に向けた戦略在庫を積む計画であるため売上高、営業利益ともに大幅に上方修正。

ソニーは中期目標として、2025年度におけるイメージセンサーの金額シェア60%、I&SS分野としてROIC(投下資本利益率)20~25%達成を掲げています。

画像出典元:「ソニー株式会社」決算説明会資料・IR Dayプレゼンテーション資料(2019年度)

 

 

2020年3月期 第1四半期決算(19年7月更新)

  • 売上高及び営業収入:1兆9,257億2,400万円(前年同期比△1.4%)
  • 営業利益:2,309億2,500万円(前年同期比+18.4%)
  • 税引前利益:2,310億1,800万円(前年同期比△26.0%)
  • 四半期純利益:1,521億2,200万円(前年同期比△32.8%)
  • マイクロソフトと戦略的提携に向けた意向確認書を締結した「ソニー」の決算を見ていきます。

2020年3月期(2019年度)第1四半期の売上高は前年同期比1.4%減の1兆9,257億2,400万円となりましたが、営業利益は第1四半期として過去最高を達成しています。

減収の主な要因は、「PlayStation 4」(プレイステーション4、以下PS4)のゲームソフトウェアの売上減少、テレビやスマートフォンなどの販売台数減少によるものです。

「ゴッド・オブ・ウォー」の大ヒットがあった前年同期から、自社制作ゲームソフトウェアの貢献が減少したことが響きました。

また補足資料を見ると、当第1四半期のPS4ハードウェア販売台数は前年同期比で横ばいの320万台ですが、テレビは23%減の200万台、デジタルカメラは20%減の80万台、スマートフォンは55%減の90万台と販売台数が大幅に落ち込んでいます。

一方、音楽分野、映画分野、イメージング&センシング・ソリューション分野は好調に推移しています。

なお、四半期純利益は前年同期比で32.8%減となっていますが、当四半期及び前年同期には一時的な損益が含まれており、これらの一時的な損益や税額への影響を除くと、四半期純利益は+4%の増益となっています。

イメージセンサーが急成長

今期より、「半導体分野」は「イメージング&センシング・ソリューション分野」へと名称が変更されています。

イメージセンサーは、スマートフォン用途を中心に年率約17%という非常に高い売上成長を遂げています。

それに伴い、「半導体分野」の売上に占めるイメージセンサーの割合は年々増加。当年度には約85%に達し、今後さらに高まる見通しです。自社生産設備もフル稼働の状況です。

イメージセンサーはソニーグループの成長戦略の柱の一つを形成する重要な事業となったことを考慮し、名称を変更したとのことです。

【グラフ】イメージセンサー 売上成長

今後は、イメージセンサーにAIを組み合わせインテリジェント化する、AIセンサーの開発を推し進めていくとしています。

売上高を下方修正

前回見通しから、売上高を2,000億円減の8兆6,000億円に下方修正しました。利益については変更ありません。

下方修正する分野は、ゲーム&ネットワークサービス分野とエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野です。

ゲーム&ネットワークサービス分野では、自社制作以外のゲームソフトウェア売上とPS4ハードウェア販売台数を下方修正。次世代機発売の報道もあり、PS4ハードウェアの販売台数は想定より若干弱まったため、前回見通しから100万台引き下げ1,500万台に下方修正されました。

とはいえ、発売から7年目を迎えても、なお年間1,500万台の販売が見込めるのは、PS4プラットフォームが多くのユーザーに支持されている証とも言えるでしょう。

エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野では、テレビやスマートフォンの販売台数の見通しを引き下げました。

モバイル・コミュニケーションは、当第1四半期ではオペレーション費用の削減により黒字となりましたが、通期では470億円の赤字となる見通しです。Xperia(エクスペリア)は今後どうなっていくのでしょうか。

また、マイクロソフトとの提携でゲームのあり方が変わっていくのかも注目です。

画像出典元:「ソニー株式会社 」決算説明会資料

 

 

2019年3月期 通期決算(19年4月更新)

  • 売上高:8兆6,657億円(前期比+1%)
  • 営業利益:8,942億円(前期比+22%)
  • 税引前利益:1兆116億円(前期比+45%)
  • 当期純利益:9,163億円(前期比+87%)

2019年3月期(2018年度)通期の業績は、前期に対し増収増益となりました。特に利益面ではすべてにおいて大幅増となり、過去最高益を更新。税引前利益は初めて1兆円を超えました。

ゲームソフトウェアの増収や「プレイステーション プラス」の加入者数の増加などでゲーム & ネットワークサービス分野が大幅な増収増益となったことと、音楽分野におけるEMIの連結子会社化が寄与しました。

一方、モバイル・コミュニケーション分野では、スマートフォンの販売台数が前年の半分と大きく落ち込み、赤字となりました。

各セグメントの業績

2019年度第1四半期より、従来のホームエンタテインメント&サウンド分野、イメージング・プロダクツ & ソリューション分野及びモバイル・コミュニケーション分野を合わせ、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野にセグメント区分が変更となりました。

そのため、見通しにおいては変更後のものとなっています。

ゲーム & ネットワークサービス分野

  • 売上高:2兆3,109億円(前期比+19%)
  • 営業利益:3,111億円(前期比+75%)

「プレイステーション4」のハードウェアの販売台数は減少傾向にあるものの、ゲームソフトウェアの増収、有料会員サービス「プレイステーション プラス」の加入者数の増加などで大幅な増収増益となりました。

【2019年度の見通し】

ゲーム分野は今やソニーの稼ぎ頭となっていますが、「プレイステーション4」のハードウェアの販売台数のさらなる減少、次世代機の開発にかかる費用の増加、自社制作ゲームソフトウェアの貢献の減少などにより減収減益を見込んでいます。

プレイステーション5(仮)の発売に期待がかかります。

音楽分野

  • 売上高:8,075億円(前期比+1%)
  • 営業利益:2,325億円(前期比+82%)

音楽制作におけるパッケージメディアが減収となったものの、ストリーミング配信売上の増加やEMIを連結したことで音楽出版において売上が増加したことなどにより、増収となりました。

大幅な増益は、EMIの連結子会社化により再評価益1,169億円を計上したことによるものです。

【2019年度の見通し】

EMIの期初からの連結による増収やストリーミング配信売上の増加により増収を見込んでいます。営業利益については大幅な減益となる見込みですが、これは前年度にEMI取得に関する利益の計上があったことが主な要因です。

映画分野

  • 売上高:9,869億円(前期比△2%)
  • 営業利益:546億円(前期比+33%)

「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」や「スパイダーマン:ホームカミング」などが好調だった前年度に比べ、「ヴェノム」「モンスターホテル3」を含む当年度の作品の劇場興行収入が減少し減収となりました。

大幅な増益の要因は、収益性の高い作品のテレビ向けライセンス収入や映像ソフト収入があったこと、劇場公開作品の広告宣伝費の減少により映画製作の収益が改善したことなどによるものです。

【2019年度の見通し】

ヒット作の続編が公開予定の映画製作、及びテレビ番組制作の増収などにより分野全体で増収を見込んでいます。

営業利益については、チャンネルポートフォリオの見直しの効果が見込まれること、及び増収の影響により増益を見込んでいます。

エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野

【ホームエンタテインメント & サウンド分野】

  • 売上高:1兆1,554億円(前期比△6%)
  • 営業利益:897億円(前期比+5%)

規模を追わない収益性重視の経営によるテレビの販売台数の減少や為替の影響などにより減収となりましたが、高付加価値モデルへのシフトなどにより増益を達成しました。

【イメージング・プロダクツ & ソリューション分野】

  • 売上高:6,705億円(前期比+2%)
  • 営業利益:840億円(前期比+12%)

コンパクトデジタルカメラの販売台数は減少しましたが、ミラーレス一眼カメラやその交換レンズなど、高付加価値製品の売上が増加したことと、オペレーション費用の削減により増収増益となりました。

【モバイル・コミュニケーション分野】

  • 売上高:4,980億円(前期比△31%)
  • 営業損失:△971億円

スマートフォンの販売台数は前年の半分と大きく落ち込み、赤字となりました。

【3分野を合わせた2019年度の見通し】

組替再表示(EP&S分野)

この4月に発足したエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション分野の2019年度見通しは、スマートフォンの販売台数の大幅な減少により減収、スマートフォン事業におけるオペレーション費用の削減により増益を見込んでいます。

初夏に国内発売予定の「XPERIA 1」

モバイル業界では、通信料金と端末代金を分けた「分離プラン」を総務省が推進していることもあり、スマートフォンの買い控えが懸念されています。今後のモバイル事業の動向に注目です。

半導体分野

  • 売上高:8,793億円(前期比+3%)
  • 営業利益:1,439億円(前期比△12%)

カメラモジュール事業の大幅な減収があったものの、モバイル機器向けイメージセンサーの売上高が+10%となり、全体では増収となりました。

営業利益は、研究開発費及び減価償却費の増加、前年度において一時的な益の計上があったことなどにより減益となりました。

2019年度の見通し】

モバイル機器向けイメージセンサーの販売数量の大幅な増加などにより増収を見込んでいますが、減価償却費及び研究開発費の増加などで営業利益は前年並みを見込んでいます。

金融分野

  • 売上高:1兆2,825億円(前期比+4%)
  • 営業利益:1,615億円(前期比△10%)

ソニー生命において保険料収入増加により増収となりましたが、前年度に投資目的不動産の売却益が計上されていたのに対し、当年度は有価証券評価損を計上したことにより減益となりました。

【2019年度の見通し】

ソニー生命における保険料収入増加により増収増益を見込んでいます。

2020年3月期 業績予想

  • 売上高:8兆8,000億円(前期比+2%)
  • 営業利益:8,100億円(前期比△9%)
  • 税引前利益:7,700億円(前期比△24%)
  • 当期純利益:5,000億円(前期比△45%)

2020年3月期(2019年度)の業績予想は増収となるものの、純利益は前期比で△45%と大幅な減益となる見込みです。

これは、稼ぎ頭のゲーム分野での減収減益とスマートフォンのさらなる販売台数減少の見込み、及び2018年度は音楽分野においてEMIの連結子会社化による再評価益の計上があったことによるものです。

「プレイステーション4」の後継機、現在足を引っ張っているモバイル事業の今後の動向に注目です。

画像出典元:「ソニー株式会社」決算説明会資料

 

 

2019年3月期 第3四半期決算(19年3月更新)

  • 売上高及び営業収入:6兆5,381億8,900万円(前年同期比△0.8%)
  • 営業利益:8,115億500万円(前年同期比+13.9%)
  • 税引前四半期純利益:8,990億1,400万円(前年同期比+30.2%)
  • 四半期純利益:8,284億1,000万円(前年同期比+63.2%)

2019年3月期(2018年度)連結累計期間の業績は、前年同期に対し減収増益となりました。

ゲーム & ネットワークサービス分野はゲームソフトウェアの売上が伸び好調に推移しましたが、モバイル・コミュケーション分野と金融分野が大幅な減収となりました。金融分野の減収は、ソニー生命における特別勘定の運用損益悪化によるものです。

モバイル・コミュケーション分野は、日本・欧州・中南米を中心にスマートフォンXperia(エクスペリア)の販売台数が減少し、赤字となりました。前期比で販売台数は半減となる見通しです。

モバイル・コミュケーション分野の売上高及び営業利益

大幅な増益の要因は、EMI Music Publishingの連結子会社化に伴う再評価益が含まれていること、及び米国において繰延税金資産に対する評価性引当金の一部を取り崩したことによるものです。

2019年3月期の業績予想

2019年3月期の業績予想においては、売上高を下方修正しました。

  • 売上高及び営業収入:8兆5,000億円(前期比△0.5%)
  • 営業利益:8,700億円(前期比+18.4%)
  • 税引前当期純利益:9,500億円(前期比+35.9%)
  • 当期純利益:8,350億円(前期比+70.1%)

イメージング・プロダクツ&ソリューション、モバイル・コミュニケーション、半導体、金融の分野で売上高を下方修正しました。

画像出典元:「ソニー株式会社」決算説明会資料

 

 

2019年第2四半期決算(18年10月更新)

  • 売上高:2兆1,828億円(前年比+6%)
  • 営業利益:2,395億円(前年比+17%)
  • 税引前利益:2,464億円(前年比+24%)
  • 株主に帰属する四半期純利益:1,740億円(前年比+34%)

セグメント別の状況

2019年第2四半期連結業績では、ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)と金融分野が大幅な増益に。一方で、携帯電話などのモバイルコミュニケーション分野が減益となりました。

会社概要

会社名 ソニー株式会社
事業内容 モバイル・コミュニケーション、ゲーム&ネットワークサービス、イメージング・プロダクツ&ソリューション、ホームエンタテインメント&サウンド、半導体、コンポーネント、映画、音楽、金融及びその他の事業
所在地 東京都港区港南1-7-1
設立日 1946年5月7日
代表 吉田 憲一郎
資本金 8,742億円(2019年3月31日付)

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