株式会社ツクルバの決算/売上/経常利益を調べ、IR情報を徹底調査

執筆: 編集部

事業拡大期で黒字を継続している「ツクルバ」の第2四半期決算

2020年7月期 第2四半期決算

  • 売上高:9億9,200万円
  • 営業利益:3,600万円
  • 経常利益:3,600万円
  • 当期純利益:2,800万円

リノベーション(大規模改修)した中古マンションの流通プラットフォームcowcamo(カウカモ)を運営する「ツクルバ」の決算を見ていきます。

【グラフ】全社売上高・売上総利益の推移

売上高が前年同期比で+40%増、売上総利益は前年同期比で+61%と継続的な成長を達成しており、売上、売上総利益共に順調に成長して、各段階利益における黒字を達成いたしました。

【グラフ】全社営業利益の推移

営業利益も継続的に黒字を達成いたしました。

 

LayerX社とのリノベ住宅ファンドへの参画・協業

 

2020年3月12日付けにて、フィンテックアセットマネジメント社が組成・運営する不動産ファンド「Re-Innovation Fund 1 号」に出資を行うとともに、ファンドに対し、物件取得からリノベーションのプロデュース、物件売却までをサポートすることで、最適な物件を市場により多く供給する仕組みの実現に向けた協業を開始すると発表いたしました。

先行投資期を終えて事業拡大期とのことですので、今まで獲得した売上総利益を、財務規律を保てる範囲で再投資し、売上総利益の拡大に注力する予定のようです。

また、業績予想には変更ありません。

 

画像出典元:「株式会社ツクルバ」決算説明会資料

 

2020年7月期 第1四半期 決算(20年1月更新)

  • 売上高:4億5,300万円
  • 営業利益:2,400万円
  • 経常利益:2,400万円
  • 当期純利益:1,800万円

リノベーション(大規模改修)した中古マンションの流通プラットフォームcowcamo(カウカモ)を運営する「ツクルバ」の決算を見ていきます。
売上総利益は前年同期比で+90.6%と約2倍の成長を実現し、各段階利益における黒字を達成いたしました。

【表】セグメント別業績

前期に引き続き、カウカモ事業が全体を牽引しており、売上総利益で約2倍、セグメント利益で約4倍の成長を遂げています。

 

【グラフ】カウカモトップラインKGI

カウカモは継続的に成長しており、会員数は12万人を突破いたしました。
引き続き会員獲得と組織拡大に投資をしつつ、セグメント利益を継続的に創出していく予定です。

 

スター・マイカグループとの事業提携開始

スター・マイカ供給の施工前物件と両社共同開発の”パターンリノベパッケージ”を組み合わせ、カウカモユーザへオリジナル企画物件を提供し、“施工前物件×複数のリノベパターン”の組み合わせで家を選ぶという、これまでの流通構造にない新しい家の買い方の創出も狙うとのことです。

2020年7月期の業績予想には変更はありません。


画像出典元:「株式会社ツクルバ」決算説明資料

2019年7月期 通期決算(19年10月更新)

  • 売上高:15億1,500万円(前期比+185.3%)
  • 営業利益:1,900万円
  • 経常利益:700万円
  • 当期純利益:1,000万円

リノベーション(大規模改修)した中古マンションの流通プラットフォームcowcamo(カウカモ)を運営する「ツクルバ」の決算を見ていきます。なお、ツクルバは、2019年7月31日に東京証券取引所マザーズに上場しています。上場後、初の決算です。

2019年7月期通期の業績は、前期に対し売上高は2.9倍と大きく成長し、利益はすべての項目で黒字化を達成しています。

大幅な増収の要因は、主力事業であるカウカモ事業の売上高が前期比3.3倍と大きく伸長したことによるものです。利益に関しては、カウカモ事業の先行投資期間が終わり、事業拡大期へと移行したことにより黒字に転換。

【グラフ】売上高・営業利益の推移

サービス開始から4年経ったcowcamoは、会員数が10万人を突破。首都圏中古マンションの成約価格は一貫して上昇を続けるなか、リノベーションした中古マンションを取り扱うcowcamoは大躍進。売上総利益も前期比2.4倍と飛躍的な成長を見せています。

ツクルバの株価推移画像出典元:SBI証券

一方、株価のほうは今ひとつ。ツクルバの初値は公募価格と同値の2,050円をつけ、その後上昇したものの、決算発表後に株価は急落。業績は悪くないのに公募価格を割り込むという状況になっています。

セグメント別の業績

セグメント別の業績を詳しく見ていきましょう。

 

cowcamo(カウカモ)事業(売上高構成比:84%)

  • 売上高:12億6,800万円(前期比+231%)
  • セグメント利益:3億4,400万円(前期はセグメント損失△1億2,900万円)

カウカモ事業の売上高は前期比3.3倍成長し、黒字に転換しています。売上高の主な増加要因は、会員数の増加等に伴う反響数の増加、エージェントの育成による成約率の向上です。エージェントとは、不動産仲介者のことです。

まず、cowcamoの会員数。会員数はサービス開始から順調に積み上がり、当第4四半期で10万人を突破しています。会員が増えても利用者が増えなくては意味がありません。会員MAUも積み上がり、現在約4万人となっています。

一方、現時点でオペレーションしている都区部のターゲット人口のうち、中古住宅の購入検討者は40万人いると推定。まだまだ拡大の余地があります。

cowcamoの特徴は、圧倒的な情報量とストーリー性。「暮らしを妄想する」という表現が使われていますが、物件に付けられた斬新なタイトルも目を引きます。サイト自体のファンとなる人も多いのではないでしょうか。

カウカモ事業では、さらなるユーザー数の拡大に再注力しています。ユーザー数の拡大後に収益機会の最大化、そしてcowcamoによる市場創出を目指しています。

シェアードワークプレイス事業(売上高構成比:16%)

  • 売上高:2億4,600万円(前期比+66%)
  • セグメント利益:4,100万円(前期比+310%)

シェアードワークプレイス事業は、前期に対し大幅な増収増益となっています。

売上高の主な増加要因は、「co-ba(コーバ)」と「HEYSHA(ヘイシャ)」の新店開店、受託案件の積上げ増など受注拡大によるものです。

2020年7月期の業績予想

2020年7月期の業績予想は、前期に対し2桁増収となる見込みすが、利益については非開示となっています。

  • 売上高:21億2,200万円(前期比+40.0%)

売上高・売上総利益ともに前期比40%以上の成長を目標とし、利益については黒字を見込んでいます。

現時点のカウカモ事業のフェーズは、あくまで事業拡大期であり、収穫期ではないとのこと。今後も、獲得した売上総利益を財務規律を保てる範囲で再投資していくとしています。

カウカモ事業の今後の成長可能性についてですが、まず中古住宅流通市場は2018年の首都圏のみで1.6兆円。政府目標によると全国では今後8兆円市場にまで拡大するとされています。

なかでもリノベーション住宅の市場規模は、2018年の5,000億円規模から2025年には8,000億円規模にまで拡大見込まれています。中古マンション流通市場は景気変動の影響を受けにくいとされており、カウカモ事業の成長の余地はまだまだあると言えるでしょう。

ツクルバとは

グループは、ツクルバと非連結子会社1社(株式会社マチニワ)の計2社により構成されています。ツクルバには多数のエンジェル投資家が出資していますが、モバイルゲーム事業を展開するアカツキもツクルバに出資しており、第5位の株主となっています。

ツクルバは、「「場の発明」を通じて欲しい未来をつくる。」という企業理念のもと、2011年に設立されました。共同創業者であるCEOの村上浩輝氏とCCOの中村真広氏は、もともと新卒で入社した不動産デベロッパー時代の同期。その後、村上氏はリーマンショックの影響でリストラされ、不動産情報ポータルサイトHOME’Sを運営するネクスト(現:株式会社LIFULL)へ。中村氏はミュージアムデザイン事務所や環境系NPOなどに従事。

2011年、ツクルバを共同創業し、最初に行ったのがコワーキングスペース「co-ba」の運営。渋谷に「co-ba shibuya」を開業以降、東京だけにとどまらず、宮崎、広島など全国展開し、今や20店以上に。

デザインを手がけた株式会社アカツキ

2012年には空間デザイン・プロデュース事業(現・シェアードワークプレイス事業)を開始し、メルカリやアカツキなどのオフィスデザインも手がけました。

2015年にcowcamoのβ版をリリースしたところ口コミで広がり、これを機にカウカモ事業へシフト。これが転換点となり、cowcamo正式版を公開後、急成長を遂げます。

2018年にスタートアップ特化の中規模オフィス提供サービス1号店「HEYSHA松濤」をオープン。

2018年7月期は先行投資により大幅な赤字となりましたが、2019年7月期に黒字化を達成。2019年に東京証券取引所マザーズに上場を果たしています。事業内容は、cowcamo(カウカモ)事業及び、シェアードワークプレイス事業を展開。

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cowcamo(カウカモ)事業

ITを活用したリノベーション・中古住宅流通プラットフォーム「cowcamo」において、オンラインメディアを通じた物件情報流通サービス及び自社エージェントによる仲介サービス、顧客ニーズや物件のデータを活用した売主・事業者向け支援サービスを主なサービスとして提供

 

 

主な収益源は、リノベーション・中古住宅の売買に関して売手及び買手から受領する売買仲介手数料、その他付随する手数料等、住宅取引の流通総額に対して課される手数料です。

 

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シェアードワークプレイス事業

リノベーションしたオフィス空間に様々なサービスを組み合わせた「働く場」をサブスクリプション型のサービスとして提供するワークスペースのシェアリングサービスを中心とした事業を展開

 

  • 「co-ba(コーバ)」
    スタートアップ、個人事業主、クリエイターなどを主要な顧客としたコワーキングスペース提供サービス

  • 「HEYSHA(ヘイシャ)」
    スタートアップ特化の中規模オフィス提供サービス

  • ワークスペースの仲介・設計等の受託サービス

画像出典元:「株式会社ツクルバ」決算説明資料・成長可能性に関する説明資料

 

 

第7期決算公告(19年7月更新)

  • 売上高:5億3,101万円
  • 経常利益:△4億8,681万円
  • 当期純利益:△4億172万円

となりました。

業績推移

決算期
(百万円)
16/07
(第5期)
17/07
(第6期)
18/07
(第7期)
売上高 223 347 531
経常利益 △30 △91 △487
当期純利益 △34 △27 △402

株式会社ツクルバはスタートアップ企業として有名です。
第7期は上場前の準備に資金が必要だったのか、経常利益が△4億8,681万円となっています。
関連会社株式を売却し株式売却益85,744千円を計上しているにも関わらず大きなマイナスとなっています。
不動産市場においては首都圏中古マンションの成約件数が過去最高を更新するなど好材料がありながら当期純利益も約△4億円となっています。

しかし2019年7月の単独業績予想は売上14.96億円になり前期比181.7%増、経常利益△4.86億円から100万円のプラスになる予想が出ています。

7月31日には東証マザーズへ上場もするので、黒字転換後の動向に注目したいです。

事業内容

cowcamo(カウカモ)

中古住宅特化の流通プラットフォーム

スペックだけでは語り尽くせない「すまい」を一つずつ取材して”物語”を集め、中古住宅に特化しています。

HEYSHA

スタートアップのためのオフィスサービス

HEYSHAは、40坪から80坪程度の中規模オフィスに入居を希望するスタートアップに対して、最短4ヶ月からご利用できるワークスペースを提供するサービスです。家具や設備を設置した状態で提供するので、移転時にかかる人的リソースや慣れない移転作業の煩わしさを軽減することができます。

co-ba

多様なチャレンジが集まる会員制シェアードワークプレイス

全国に広がるワーキングコミュニティで、仕事の拠点、暮らしに近い場所、出張で通う場所、仲間がいる場所など働き方やライフスタイルに合わせて、全国各地でco-baを展開しています。

受賞歴  

2016年度GOOD DESIGN賞
GooglePlayベストオブ2018隠れた名作部門・優秀賞
テクノロジー企業成長率ランキング「日本テクノロジー Fast50」2017年・2018年を2年連続で受賞

出典:公式HP

会社概要

会社名 株式会社ツクルバ
事業内容 ITを活用したリノベーション住宅の流通プラットフォーム「cowcamo(カウカモ)」事業
シェアードワークプレイス事業
インターネットサービスの開発
空間デザイン・プロデュースに関する調査分析・企画・デザイン
所在地 東京都目黒区上目黒1-1-5 第二育良ビル 2F
設立日 2011年08月
代表 村上浩輝
資本金 9,000万円
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