スペシャルティ・マーケットプレイス『BUYMA(バイマ)』を運営する「エニグモ」の決算を見ていきます。
2020年1月期通期の業績は、前期に対し2桁増収増益と好調に推移しています。取扱高・売上・利益とも過去最高を達成。
消費税増税や暖冬で苦戦を強いられているアパレル関連企業が多い中、売上高は堅調に推移。
BUYMA事業においては、マーケティング強化、品揃え強化、さらには欲しい商品を見つかりやすくするなど購入者側の利便性向上などの施策が奏功し、会員数は730万人(前期比18.9%増)を突破。新規登録会員数は2期連続で100万人超えを達成しています。
アプリの累計ダウンロード数は500万を突破し、今や取引のうち半分がアプリ経由に。
興味深いところは、年々メンズカテゴリの規模が拡大していること。新マーケティングミックスによる、「認知度向上」→「会員数向上」→「アクティブ数・リピート数向上」というサイクルがうまく回っている結果と言えるでしょう。
【グラフ】売上高推移
営業利益は、増収に加え、戦略的なコストコントロールにより前期比で2桁増益を確保。レコメンド機能強化やMAツールなどに投資する一方で、広告費は抑制されています。
営業利益率は、なんと前期比3.6ポイント上昇の44.2%に。ROEも28.9%と高収益体質を維持しています。
【グラフ】営業利益・利益率推移
BUYMAは日本語版のほかにも英語版がありますが、英語版BUYMA拡大に向けた各種施策も実施。世界各国での展開に期待がかかります。
また、2019年8月から「BUYMA TRAVEL(バイマトラベル)」の提供を開始していますが、こちらは新型コロナウイルス感染拡大の影響により、しばらくは低迷が続きそうです。
業績好調が続くエニグモですが、新型コロナウイルス感染拡大が業績に与える影響範囲が不透明であるため、2021年1月期の業績予想は未定となっています。
ただ、第1四半期におけるソーシャルコマース事業の総取扱高は、引き続き前期比110%程度の水準で堅調に推移する見込みです。
なお、中期的には、2025年1月期までに営業利益50億円、5カ年平均ROE25%を目標としています。また、既存事業のさらなる成長に加え、新規事業の創出、M&Aによる新市場への参入も行っていくとしています。
どのような新規事業を展開していくのか、今後の動向に注目です。
画像出典元:「株式会社エニグモ」決算説明会資料
海外ファッションを中心としたソーシャルショピングサイトBUYMA(バイマ)を運営する「エニグモ」の決算を見ていきます。
2020年1月期第3四半期累計期間の業績は、前年同期に対し2桁増収増益と好調に推移しています。
アプリ経由での取引が拡大したことに加え、購入単価も上昇し、全体の総取扱高成長は計画通り堅調に推移。カテゴリ別ではレディース、メンズ以外にも、ベビーキッズ、ビューティ、ホーム等も成長しています。
新マーケティングミックスが奏功し、会員数は696万3,172人(前年同期比20.3%増)、商品総取扱高は356億400万円(前年同期比17.5%増)と拡大。BUYMAアプリは、9月に450万ダウンロード突破しました。
なお、通期の業績予想に変更はありません。前期比で2桁増収増益の見込みです。
画像出典元:「株式会社エニグモ」決算短信
2020年1月期第2四半期累計期間の業績は、前年同期に対し2桁増収増益となっています。上期として過去最高益を更新。
前期に引き続き、新マーケティングミックスを効果的に展開したことで会員数が順調に成長し、アクティブ会員数も増加。ARPU(年間購入金額)も向上し、総取扱高は前年同期比17.5%増の230億円に。会員数は前年同期比22%増の約670万人、アクティブ会員数は112万人を突破しました。
売上高の計画に対する進捗率は43.8%。売上高は単価の高い冬物が売れる下期に伸びる傾向があるので、計画通りに推移していると言えるでしょう。
【グラフ】売上高推移
費用面は、人件費、広告宣伝費、システム関連費の投資により販管費が増加しましたが、売上成長率以下で推移したため営業利益は大幅な増益に。営業利益率は前年同期比1.0ポイント上昇の42.0%と高水準を維持しています。
財政状況は、現金及び預金が前年同期比2.4億円増の66.9億円、有利子負債はゼロ、自己資本比率86.4%と健全です。
【グラフ】エニグモの株価推移
画像出典元:SBI証券
エニグモは、ZOZOやメルカリとよく比較されますが、ヤフーがZOZOを買収すると発表した9月12日、ZOZOの株価上昇はもちろん、エニグモの株価も連れ高となりました。
2020年1月期の業績予想に変更はありません。前期比で2桁増収増益の見込みです。下期の取り組みとしては、まず品揃え強化としてメンズファッションの強化。
また、上期まで投資を進めてきたサイト機能及びマーケティング機能(「BIG DATA×AI」、パーソナライズドクーポン/ポイント)を活用し、効果と効率をさらに向上させるとのこと。また、アプリ機能向上やレコメンド機能強化も行っていくとしています。
画像出典元:「株式会社エニグモ」決算補足説明資料
ファッションを中心としたソーシャルショピングサイト”BUYMA(バイマ)” を運営する「エニグモ」の決算を見ていきます。
なお、エニグモは、2019年4月18日に東京証券取引所マザーズ市場から同取引所市場第一部へ市場変更しています。付け加えると、筆頭株主はソニー株式会社で、ソニーの持分法適用会社です。
2020年1月期第1四半期の業績は、前年同期に対し売上・利益ともに2桁増と好調に推移しています。
会員数は2019年1月に600万人を突破し、当第1四半期末では641万人になっています。1年で177万人増、直近3ヶ月では27万人増と右肩上がりに会員数が増加しています。なかでも、スマートフォン経由での新規会員獲得が好調に推移しているようです。連動するように、アクティブ会員数も順調に増加しています。
2018年2月にはBUYMAアプリダウンロード数が300万ダウンロードを突破したと発表しているので、1年経過した現在はさらに上積みされていると思われます。
好調な理由の一つとして、前期より実施している新マーケティングミックスが挙げられます。
新マーケティングミックスとは、TVCMをはじめとする「認知度向上」を起点とし、「会員数向上」→「アクティブ数向上」→「取扱件数向上」というサイクルを短期で展開することで取扱高の継続的な拡大を進めるという施策です。
前期は認知度向上を図るため、2018年11月に滝沢カレンさんを起用したTVCMを放映開始しています。目にした方も多いのではないでしょうか。
TVCM
さらに、2018年12月からはウェブCMも展開しています。「熱湯風呂」「グルグルバット」「箱の中身はなんだろな」という誰もが見たことがあるリアクション芸をモデルにトライしてもらうというユニークなウェブCMです。
ウェブCM
当第1四半期末の商品総取扱高は117億2,700万円(前年同期比18.6%増)と順調に拡大していることから、広告宣伝費を投下して認知度向上を図った新マーケティングミックスの効果が現れていると言えるでしょう。
今期は、独立したサイト「BUYMA TRAVEL」をオープンする予定。また、英語版サイト「BUYMA.US」もアメリカ圏を中心に成長を始めています。BUYMAのますますの成長に期待がかかります。
なお、2020年1月期の業績予想に変更はありません。
画像出典元:「株式会社エニグモ」公式HP
2019年1月期通期の業績は、前期に対し増収増益となりました。
2018年1月期下半期より実施したマーケティングミックスによる効果もあり、新規会員数、アクティブ会員数が好調に推移し、過去最高の総取扱高、営業利益を達成しました。
期初通期業績予想に対する売上高達成率は110%、営業利益達成率は123%で、予想を上回って着地しています。
株式会社エニグモの事業は単一セグメントとなっており、ソーシャル・ショッピング・サイト「BUYMA(バイマ)」を中心とした事業を展開しています。
【グラフ】2019年1月期 業績 ‒ 営業利益・利益率
営業利益は、前期(連結)比36.1%増の21億4000万円と過去最高益を更新しました。
営業利益率も40%台に改善しています。
BUYMA会員数は、スマートフォン経由での新規会員獲得が好調に推移したことで、前期比23%増の約614万人に達しました。そのうち、アクティブ会員数は109万人を突破。右肩上がりで成長しています。
会員のアクティブ化およびコンバージョン向上のため、ターゲット別のセールへの取り組み、オウンドメディアによる購買意欲の喚起、SNSを活用したアプリ訴求など、各サービス・機能の拡充を図ったことで、堅調に増加しました。
【グラフ】総取扱高
総取扱高は455億円で、前期比23%増と高成長水準を維持して着地となり、過去最高を達成しました。
BUYMA日本語版の年間新規会員数は、前期比17%増の115万人となりました。
2018年1月期下期に実施したTVCMによる認知向上、流入増を活かし、効率的な要素をコンパクトにまとめた〝新マーケティングミックス〟における刈り取り施策効果により、成長が加速しています。
上期好調に推移した利益を、一部TVCM及び動画広告に追加投資し、新マーケティングミックスをショートスパンで継続的に展開しました。広告費は前期比130%と増加しています。
パーソナルショッパー(出品者)との密な連携により、リアルタイムに豊富なトレンドアイテムを拡充させ、ターゲット別の特集やセールを効果的に実施しました。
それにより、レディースアイテム以外でも、メンズカテゴリ、ベビーキッズ、ビューティ、ホーム等各カテゴリで成長が加速。特に、メンズカテゴリの規模が拡大が目立っています。
また「ソク割り」導入により、申し込み件数・販売金額がともに大きく伸長しました。
「ソク割り」とは、2018年7月から開始した下取り即時割引サービスです。BUYMAにて過去に購入した商品データをもとに、当該商品の下取り額を自動で算出し、その下取り額分を商品購入時に即時に割引することができます。
ハイブランドリセールプラットフォーム「RECLO(リクロ)」と共同提供しています。
英語圏に合わせたSEO対策を実施し、オーガニック流入数が伸長しました。
USシフトが順調に進行し、取扱高は前年同期比63%増となりました。
アメリカの富裕層に着実に浸透し始め、単価も上昇しています。流入施策と出品者向け施策の両軸を強化し更なる成長を狙っていく方針です。
2019年1月期に成長したメンズカテゴリを強化することで成長率の底上げにつなげ、出品機能向上施策やアプリのユーザビリティ向上を図ることで、収益の向上につなげていくとしています。
また2018年7月にリリースした「BUYMA TRAVEL」では、独立サイトをリリースしエリア別出品を強化していく計画です。2020年1月期には、 東京証券取引所市場第一部へ市場変更を行う予定と発表しています。
2018年第3四半期は連結業績を開示していましたが、前期に実施した子会社の全株式の譲渡及び解散に伴い、当第1四半期より非連結での業績を開示しています。そのため、2019年第3四半期の実績及び対前年同四半期増減率は記載していません。
参考値となりますが、前年同期の連結業績と比較したところ、売上高は+15.9%(前年30億6,200万円)、営業利益は+48.3%(前年9億9,700万円)、経常利益は+50.8%(前年9億8,100万円)、四半期純利益は4.6倍(前年2億2,100万円)と増収増益となりました。
ソーシャル・ショッピング・サイト「BUYMA」のスマートフォン経由での新規会員獲得が好調に推移したことに加え、アクティブ会員数も堅調に増加しました。
レディースアイテム以外でも、メンズカテゴリ、ベビーキッズ、ビューティ、ライフスタイル等各カテゴリで成長を加速させています。会員数は570万人を超え、商品総取扱高も303億200万円(前年比21.5%増)と順調に拡大しました。
7月末には、世界150ヵ国に在住する約12万人のパーソナルショッパーから海外旅行者へ“現地ならではの体験”の幅広いサービスを提供する「BUYMA TRAVEL(バイマトラベル)」が始動しました。
ファッションアイテムだけでなく、旅行市場もCtoCモデルが拡大するか注目です。
画像出典元:「エニグモ」決算短信
2019年1月期第2四半期の売上高22億9,068万円、営業利益9億3,883万円の増収増益となりました。
エニグモは、設立2004年以降、ソーシャル・ショッピング・サイト「BUYMA(バイマ)」を中心とした事業を展開。
BUYMAの成功報酬型のビジネスモデル
売上高は、出品者および購入者、取引当事者双方の手数料から成っています。現在、BUYMAの手数料は、5〜7%程度。
また、2015年10月には「BUYMA-英語版-」をリリースしています。
「BUYMA」英語版公式サイト
現在、エニグモは、世界145ヵ国11万人のパーソナルショッパーを抱えており、配送国数は72ヶ国。国別配送率の高さは、日本を除いて、香港の59.5%がダントツトップとなりました。
今回の業績向上に繋がった主な要因として次の事が挙げられます。
販売費及び一般管理費の表を見てみましょう。
エニグモの販売費及び一般管理費の表
販管費の合計は、9億5,651万円。表から、エニグモが人件費および広告費に予算を割いていることが分かります。前年同期に比べ、広告費は17%増加、費用全体としては6%減という結果となりました。
2018年1月期、エニグモは、認知度向上のため2パターンのSALEを軸とした、計5日間のTVCMを放映。
「BUYMA」2017年10月6日にテレビ朝日系列番組にてCM放映
2019年1月期では、前期で得た成果を活かし、新マーケティングミックス施策をショートスパンで継続的に実行、BUYMAの会員登録者数増加に大きく貢献しました。
「BUYMA」会員登録者数の推移
現在、BUYMAでは、英語版・日本語版、合わせて550万人以上の登録者がいます。また、BUYMAでの新規決済手段の認知度・利用拡大や出品機能向上による海外出品数の増加、アプリリニューアルに伴いコンバージョン率が増加。
「BUYMA」取り扱い件数の推移
2019年1月期第2四半期では、取扱件数が113万件を突破しています。前年同期に比べ、13%増の結果となりました。
エニグモは、流動資産56億2,294万円に対し、流動負債11億2,407万円と、支払能力には問題ありません。エニグモの流動比率は500.2%、平均が120〜150%かつ理想とされる数値が200%以上であることからも、資金繰りには十分な余裕があると分かります。
また、純資産も年々増加、事業拡大に伴い、会社としての体力が伸びている様子が伺えます。また、純資産比率も80.2%と理想的。以上のことから、エニグモの健全性は高いと言えるでしょう。
現在、どのような戦略を立てているのか、中長期的な計画から順に、エニグモのこれからについて解説していきます。
エニグモの中長期的な計画の概要
エニグモは、中長期的な計画として、増収増益による営業利益50億円突破を目指すことを発表しました。
また、2019年1月期を、時価総額1000億円の早期達成に向けて複数の施策を仕掛ける攻めの一年と位置づけ。BUYMAのビックデータを活用し収益ポイントの最大化を目指します。
「BUYMA経済圏」に関連する施策
昨年発表された、2019年1月期の主な経営方針としては、以下の通りです。
方針に沿い、第1〜2四半期に掛けては、新マーケティング・ミックスをはじめとすると様々な施策を実行。高い成果をあげました。下期計画としては、 購入UU向上・1人あたりの購入件数向上や「GLOBAL BUYMA」の単月黒字化に関連する施策を押し進めていく考えでいます。
新マーケティングミックスに加えて上記施策の精度を高める方針
さらに、「BIG DATA×AI」を活用した1.5億円程度のマスキャンペーンの実施を計画、事業規模の拡大を図ります。また、エニグモは、2018年7月31日より新規事業として「BUYMA TRAVEL(バイマトラベル)」サービスの提供を開始。
今後は、世界145ヵ国に在住する11万人超のパーソナルショッパーを活用し、従来のファッションアイテムだけでなく、海外旅行者へ現地ならではの体験の提供も実現していきます。
エニグモの掲げているビジョン
エニグモは、2004年設立以来、ミッション・ステートメントとして「世界が変わる流れをつくる」ビジョンとして「ソーシャルコマースNo.1」を掲げてきました。これまでの常識をやぶり、ファッションを民主化しようとする取り組みには胸を打たれるものがありますね。
夢の実現に向け、現状にとどまらず新たな挑戦を続けるエニグモ。引き続き今後の動向に注目です。
画像出典元:「エニグモ」決算説明会資料
営業黒字転換!3Qは消費増税と暖冬の影響を受けた「RIZAPグループ」の第3四半期決算
セ・リーグに所属する球団運営会社とその親会社の決算をまとめてみました!
出版社発マンガアプリサービスを中心に急成長する「Link-U」の第2四半期決算
事業拡大期で黒字を継続している「ツクルバ」の第2四半期決算
マザーズ上場へ!電子マネー決済やQRコード決済等、消費者ニーズに合わせた決済手段を提供「GMOフィナンシャルゲート」の第21期決算
世界最速でiPS細胞の具現化を目指すバイオベンチャー「ヘリオス」の通期決算
インフルエンサーマーケティングやMimiTVも好調の「トレンダーズ」の第3四半期決算
マザーズ上場へ!「ヒト.モノ.コト」の正しさを認証、セキュリティシステムで証明、サービスの信頼性を支える「サイバートラスト株式会社」の第19期決算
LINEがグループで300億円出資を決定!巣ごもり消費で需要拡大が期待される「出前館」の第2四半期決算
最終27億円の赤字!新型コロナ追い討ちで資金繰りが悪化している「ペッパーフードサービス」の通期決算