プラットフォームからアプリケーションまで、一環したクラウドソリューションを提供する「日本オラクル」の決算を見ていきます。
2020年5月期第3四半期累計期間の業績は、前年同期に対し増収増益と堅調に推移しています。なかでも、クラウドライセンス&オンプレミスライセンスとクラウドサービス&ライセンスサポートが好調に推移。
「Oracle Autonomous Database Cloud」をはじめとするクラウドサービスについては、2019年5月に開設した東京地区データセンターの利用量が引き続き順調に増加。2020年2月には大阪地域にデータセンターが開設されました。
営業利益は、販管費の増加を増収効果で吸収し、前年同期比で増益を確保。四半期推移を見ると、当第3四半期は第2四半期に引き続き2桁増益となっています。これを受け、株価は大幅反発。
なお、通期の業績予想に変更はありません。新型コロナウイルスの影響については精査中とのことです。
2020年5月期第2四半期累計期間の業績は、前年同期に対し増収増益と堅調に推移しています。
上期はすべてのセグメントで増収を達成しましたが、なかでもクラウド&ライセンスが牽引。クラウド&ライセンスの売上高は前年同期比8.0%増の785億円と好調です。
販管費は、業務委託費が減少したものの人件費と広告宣伝費が増加し、前年同期から6億6,400万円増加。広告宣伝費については、第1四半期においてデータセンターのオープニングイベントがあったことで一時的に増加しましたが、広告宣伝費の今後の増加トレンドは見込んでいないとのこと。
営業利益は、販管費増を増収により吸収し、増益を確保。累計では8.2%の増益ですが、第2四半期は11.1%と2桁増益。結果、上期の営業利益率は、前年同期から0.4ポイント上昇し30.8%に。また、自己資本比率は4.7ポイント上昇し、64.1%となりました。
なお、通期の業績予想に変更はありません。具体的な数字は非開示ですが、売上高は1.0~5.0%の成長を見込んでいます。
画像出典元:「日本オラクル株式会社」補足資料
2020年5月期第1四半期の業績は、前年同期に対し増収増益、計画通りの進捗となっています。
増収の要因は、クラウドサービス&ライセンスサポートの売上高が前年同期比9.0%増と好調に推移したことによるものです。
「Oracle Autonomous Database Cloud」をはじめとするクラウドサービスについては、パフォーマンスやセキュリティ、費用対効果を重視するお客からの引合いが多く、5月に開設した東京地区データセンターの利用量が順調に増加しています。
利益については、人件費、広告宣伝費の増加により販管費が前年同期比で増加したものの、増収効果により吸収し増益に。営業利益率は、前年同期から0.3ポイント上昇し30.0%となっています。
サプライズ乏しい決算を受けて株価は急落しましたが、一時的なものと思われます。なお、通期の業績予想に変更はありません。売上高は1.0~5.0%の成長を見込んでいます。
日本オラクルは、9月2日付でCEO(最高経営責任者)としてケネス・ヨハンセン氏が就任したと発表。ケネス・ヨハンセン氏はデンマーク出身で、ドイツ法人のカントリー・リーダーを務めていました。
前CEOで社長も兼務していたフランク・オーバーマイヤー氏は、引き続き日本オラクルの社長を務めます。
2019年5月期通期の業績は、前期に対し増収増益となりました。期初に公表した業績予想レンジを上回り、売上高は9期連続、営業利益・経常利益・当期純利益ともに8期連続で過去最高記録を更新。
主力のクラウド&ライセンス事業が売上高・営業利益ともに2桁増と貢献しました。
2018年12月には中堅・中小企業のIT・クラウド活用を推進・支援するための営業拠点として「Oracle DigitalHub Tokyo」を開設。
Oracle DigitalHub Tokyo
2019年5月には、ミッションクリティカルなワークロードに対応する次世代型データセンターを東京リージョンに開設し、「Oracle Autonomous Database」をはじめとする「Oracle Cloud」の拡販を図っています。11月をめどに大阪リージョンも開設。
なお、米オラクルの第4四半期も予想を上回る好決算となりました。
オラクルは今後、韓国・ソウル、インド・ムンバイ、オーストラリア・シドニーにリージョンの開設を予定しています。
クラウド&ライセンスは、前期に対し大幅な増収増益となりました。
第4四半期では、複数の大型案件を獲得。
全般的な需要動向としては、ミッションクリティカル・システム向けへのOracle Databaseを中心とするオンプレミス・ライセンスが堅調。
クラウドサービスについてはオンプレミス・システムとの親和性やPaaS、IaaSの機能の豊富さから、「Oracle Cloud Platform」に対する需要のほか、「Oracle Cloud Infrastructure」に対する需要が増加しています。
SaaSについても、特にミッドマーケット(中堅・中小企業向け市場)においてERPクラウドをはじめとするSaaSの検討、採用が進んでいます。
ハードウェア・システムズは、前期に対し増収減益となりました。
サービスは、前期に対し増収減益となりました。
オンプレミス環境からIaaS・PaaS環境への基盤移行、ERPクラウドをはじめとするSaaSとの連携案件など、総合的な製品サービス・ポートフォリオを活かした複合型案件が順調に推移しました。
具体的な数字は非開示ですが、売上高は1.0~5.0%の成長を見込んでいます。
注力ポイントである「大型案件の獲得」「Autonomousアップグレード」「ERPアップグレード」をさらに加速させるため、東京地域に開設した「Generation2 Cloud」データセンターに加え、大阪地域にデータセンターを開設し、エンタープライズのワークロード、セキュリティに対応したクラウドサービスを提供していくとのこと。
営業面では、ミッドマーケット向け営業組織「Oracle Digital」に加え、エンタープライズ向けクラウド営業組織「Autonomous Database Rep(営業)」を新たに設置し、コンサルティング部門との付加価値サービスの訴求により、クラウドビジネスの拡大を推進していくとしています。
日本オラクルは、「クラウド&ライセンス」「ハードウェア・システムズ」「サービス」の3つを報告セグメントとしています。
サーバー、ストレージ、エンジニアド・システムズ、ネットワーク機器等の販売及びハードウェア製品の技術サポート、修理、メンテナンス等の提供
コンサルティングサービス、アドバンストカスタマーサポートサービス、エデュケーション・サービスの提供
●25年続く社員犬制度
日本オラクルでは1991年に社員犬制度を導入。社員犬は4代目となり、オールドイングリッシュシープドッグのキャンディが務めています。
画像出典元:「日本オラクル株式会社」補足資料・公式HP・公式Twitter
2019年第3四半期累計期間においての業績は、増収増益となりました。
主力のクラウド&ライセンス事業が、売上高1,107億8,100万円となり全体を牽引しました。
売上高は、前年同期比6.5%増で1,107億8,100万円となりました。
内訳で見ると、クラウドライセンス&オンプレミスライセンスの売上高は289億100万円(前年同期比5.0%減)、クラウドサービス&ライセンスサポートの売上高は818億7,900万円(前年同期比11.2%増)となっています。
クラウドライセンス&オンプレミスライセンスの売上高が前年同期比で減少しているのは、前年の大型案件による反動減の影響です。
全般的な需要動向としては、四半期毎の変動はあるものの、ミッションクリティカル・システム向けへのOracle Databaseを中心とするオンプレミス・ライセンスが堅調です。
一方クラウドサービスは、オンプレミス・システムとの親和性やPaaS、IaaSの機能の豊富さから、「Oracle Cloud Platform」に対する需要が増加しています。
また、企業規模の拡大に伴い経営管理・リスク統制の強化、業務の効率化を目的とする利用者から、短期導入が可能であるとしてERPクラウドを始めとするSaaSの検討、採用が進んでいます。
売上高は、前年同期比3.5%増で129億7,500万円となりました。
サーバー、ストレージ、エンジニアド・システム、ネットワーク機器等のハードウェアの販売およびそれらのオペレーティングシステム(OS)や関連ソフトウェアを提供する「ハードウェアシステムズ プロダクト」、ハードウェア製品の技術サポート、修理、メンテナンスの提供およびOS等関連ソフトウェア の更新版等の提供を行う「ハードウェアシステムズ サポート」から構成されています。
売上高は、前年同期比6.0%増で160億2,700万円となりました。
製品の導入支援を行う「コンサルティングサービス」、予防保守サービスやIT環境の包括的な運用管理サービスを提供する「アドバンストカスタマーサポートサービス」、技術者や利用者向けの研修事業や技術資格の認定事業を提供する「エデュケーションサービス」から構成されています。
コンサルティングサービスでは、オンプレミス環境からIaaS・PaaS環境への基盤移行、ERPクラウドを始めとするSaaSとの連携案件など、総合的な製品サービス・ポートフォリオを活かした複合型案件が順調に推移しています。
【グラフ】営業利益対前年同期⽐
前年同期に比べ、販管費・売上原価共に増加しています。
人件費の増加は、引き続き、社員の専門性を高めるために社員へ継続的に投資を行っていることが要因です。
営業、コンサルティングサービス、サポートサービスが連携し、「大型案件の獲得」、「Autonomousアップグレード」、「ERPアップグレード」にフォーカスし、ビジネスを推進していく方針です。
オラクルでは、他のクラウドサービスとの差別化の1つとして、オラクルクラウドにAIを組み込み、パッチ適用やパフォーマンス・チューニングなどの保守運用の自律化を推進しています。
18年3月に提供を開始した「Oracle Autonomous Data Warehouse Cloud」に続き、同年8月にはオンライントランザクションを管理する「Oracle Autonomous Transaction Processing」の提供を開始。
他にも、ERPアップグレードを推進するためのサービスとして、オンプレミス環境で稼働している「Oracle E-Business Suite」をオラクルのERPクラウドに短期間で移行する「Oracle Soar」の提供を開始しました。
さらに、19年2月にオラクルと日本オラクルインフォメーションシステムズ合同会社は、クラウドサービス販売に関する代理店契約を締結。
それに伴い「Universal Credits」の提供を開始し、幅広い客層にオラクルのテクノロジーがより柔軟に利用できるようになりました。
クラウド&ライセンスビジネスの拡大に、積極的に取り組んでいます。
18年12月、中堅・中小企業のIT・クラウド活用を推進・支援するための営業拠点として「Oracle DigitalHub Tokyo」を開設しました。
当該マーケットをカバーする営業組織「Oracle Digital」と、クラウドERP「Oracle NetSuite」の部門を当拠点に配置し、全国の利用者ニーズにダイレクトに対応できるよう、最新のデジタルツールを活用し、オラクルのクラウド・ソリューション提案を推進していく予定です。
ちなみに、米国オラクル・コーポレーションの第3四半期決算は市場予想を上回り、全体的な売上高営業利益率は44%に向上したと発表しています。
利益幅の小さいハードウェア事業が縮小を続ける一方、利益幅の大きいクラウド事業が成長を続けています。
2019年第2四半期累計期間においての業績は、増収増益となりました。
国内の情報サービス産業においてシステム更新需要のほか、モバイル対応、IoT等デジタルデータを活用した業務効率化、エンドユーザーとの接点強化など企業成長、競争力強化を目的とするIT投資が堅調に推移しています。
第2四半期ではオンプレミスライセンスの売上が下がっていますが、これは季節的な要因で、クラウドについてはSaaS・PaaS・IaaS 全てにおいて順調に売上が伸びています。
クラウド&ライセンスの売上高は、726億7,500万円(前年同期比10.2%増)となりました。「Oracle Cloud Platform」「Oracle Cloud Infrastructure」に対する需要が増加しています。
ハードウェア・システムズの売上高は80億8,400万円(前年同期比2.5%増)、サービスの売上高は、104億9,300万円(前年同期比1.8%増)となりました。
人件費の増加は、社員の専門性を高めるために社員への継続的な投資を行っていることと、営業人員の採用を進めていることによるものです。クラウドビジネスの成⻑に向け、中堅中⼩企業向けだけでなくエンタープライズ向け営業の採⽤も実施していく予定です。
クラウドサービスへの高まる需要に応えるため、「Oracle Cloud」の国内データセンターの開設を2018年2月に発表しましたが、その準備も進んでいます。
画像出典元:「日本オラクル」補足資料
2019年5月期第1四半期の業績は、売上高456億4,600万円、営業利益135億5,500万円の増収増益となりました。四半期純利益も前年同期と比べ10.9%増となっています。
日本オラクルの売上高は、2010年5月期決算発表からこれまでの間、継続して右肩上がりに推移、営業利益・当期純利益も2011年5月期決算から連続で増益となっており、全ての項目において過去最高記録を継続して更新中です。
詳しい売上高の内訳を見ていきましょう。
前年同期に対し、クラウドおよびライセンスが42億1,300万円、ハードウェア・システムズでも1億9,800万円増収し、売上を伸ばしました。サービスは2,200万円減収していますが、全体の売上への影響は少なかったようです。
続いて営業利益についても詳しく見ていきましょう。
前年同期に比べ、販管費・売上原価共に増加しています。今回、売上高が大幅に伸びたことにより、コスト増加の影響を受けること無く、営業利益は135億5,500万円の増益となりました。
これまでの一貫した業績黒字を踏まえると、今後も継続した成長が期待出来そうです。
日本オラクルは、米国オラクル・コーポレーションの日本法人として1985年に設立されました。「データの価値を知として最大化させ、豊かな情報社会を実現する」を経営理念に掲げ、国内を拠点としクラウドNo.1を目指しています。
日本オラクルは、これまで情報システム構築のためのソフトウェア・ハードウェア製品、サポートサービス、コンサルティング、教育関連の事業など様々なビジネスを展開してきました。
主な収入源は、新規ライセンスおよびクラウド事業・アップデート&プロダクトサポート事業など。現在、このクラウド関連事業が、日本オラクルの売上約8割を占めています。オラクルが運営する「Oracle Cloud」は国内外の業界でもっとも多岐にわたって統合されたパブリック・クラウドであり、世界中でトップシェアを誇っています。
さらに、オラクルは社会貢献にも注力しており、活動は多岐に渡ります。教育関連では、次世代を担う子供たちにコンピュータサイエンスを学べる無償の教育プログラムを提供、日本ではNPOと連携し中高生向けのプログラム体験教室や小学生向けのワークショップなどを開催しました。
オラクルアカデミーが日本で開催した小学生向けトレーニング・ワークショップJava for Kidsの様子
他にも持続性に優れた製品開発等でサステナビリティに貢献。寄付やボランティア活動にも参加しており、日本オラクルでは2016年から5つの非営利団体への寄付を開始しています。
画像出典元:「日本オラクル」公式HP
2018年8月7日、オラクルの創業者ラリー・エリソンから、最新の自律型データベース・サービス「Oracle Autonomous Transaction Processing」の提供開始が発表されました。現在日本国内での導入は行われていません。来年2019年以降国内提供が開始されればさらなる売上向上が期待できます。
前月の7月18日には、日本オラクルから「Oracle Blockchain Cloud」の国内提供開始が発表されました。企業のブロックチェーン・ネットワーク構築を支援する、ブロックチェーン・プラットフォーム提供サービスです。既にパートナー企業への導入は始まっており、今後国内でシェアを伸ばしていく方針です。
画像出典元:「日本オラクル」公式HP・業績補足資料
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