RIZAPグループ株式会社の決算/売上/経常利益を調べ、IR情報を徹底調査

記事更新日: 2019/05/17

執筆: 山中恵子

最終193億円の赤字転落!積極的なM&Aに足を引っ張られた「RIZAPグループ」の通期決算

2019年3月期 通期決算

  • 売上収益:2,225億円(前期比+82.3%)
  • 営業損益:△93億円
  • 税引前利益:△123億円
  • 当期利益:△193億円

2019年3月期通期の業績は、前期に対し増収減益となりました。RIZAP関連事業の順調な成長、ワンダーコーポレーションの子会社化が寄与し7期連続の増収、過去最高の売上収益を達成。

主力のボディメイク事業は堅調で、2019年3月末時点で累計会員数13万人、国内店舗数129店舗、海外店舗数6店舗に。営業利益は過去3年間で3.5倍に成長しました。

一方、1年以内にグループ入りした企業の経営再建の遅れや、事業構造改革関連費用等の影響により、予想を大幅に上回る最終193億円の赤字に転落。

ここ数年、積極的に行ってきたM&A(企業の合併や買収)がもたらしたものはグループの成長ではなく膨張で、利益の大半は負ののれんでかさ上げしたものでした。


2018年11月より新規M&Aを凍結したため、負ののれんによる利益が消失。本業の儲けである営業利益については、当初230億円を予想していたのが一転、11月には営業損失△33億円に下方修正。

さらに第4四半期で、緊急性の高い構造改革施策を早期に完了させるため構造改革関連費用を追加計上した結果、予想を大幅に上回る93億円の営業赤字となりました。

構造改革関連費用93億円の内訳は以下のとおり。

  • 戦略的な店舗閉鎖等:約40億円
  • 映像・音楽ソフトを中心とした在庫評価減等:約40億円
  • 女性用アパレルを手掛けるアンティローザ等数社ののれんの減損等その他:約13億円

また、主な赤字子会社の営業損失は以下のとおり。

  • サンケイリビング新聞社:△9.2億円
  • 健康コーポレーション:△7.6億円
  • アンティローザ:△7.5億円
  • ワンダーコーポレーション:△48.2億円
  • ぱど:△5.0億円

RIZAPグループは、大幅な損失を計上したことにより継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると認識していながらも、緊急性の高い構造改革施策を完了したことにより、経営基盤の強化は着実に進捗したとしています。

また、株主に迷惑をかけたとして株主優待制度の内容を大幅拡充し、優待利回りは8.0%に。費用は2年分で20億円引き当てるとのこと。

構造改革の内容

構造改革の内容は、「グループ会社・事業の経営再建の早期完遂」「強靭な経営体質への変革」「事業の選択と集中」「新規M&Aの原則凍結」「成長事業への経営資源集中」等。

2019年3月期下期では、損失を確定させ、緊急性の高い構造改革施策を完了させました。

構造改革の全体像

コーポレートガバナンス改革

新たなグループ戦略の実行に最適な体制へと移行。

  • 取締役会の構成変更

「構造改革担当取締役」職を解消し、新たに「取締役会議長」職を設置するとともに社外取締役を3名から5名に増員。

  • 取締役 構造改革担当 松本 晃氏について

2019年6月22日付で取締役を任期満了で退任、同日付で特別顧問に就任。

経営のプロである松本氏が取締役を退くことについては、今後の経営に不安視する声も少なくありません。

大幅な店舗閉鎖

黒字店舗も含む戦略的閉店の実施により、219店舗閉店。

店舗詳細については明らかにされていません。

事業の縮小・撤退・売却

  • SDエンターテイメント一部事業を譲渡
  • ジャパンゲートウェイを譲渡
  • タツミプランニングの戸建住宅事業・リフォーム事業を譲渡

ほかにも、シナジー効果が期待できない企業は手放すべきではないかという声に、瀬戸社長と松本氏は「シナジーはあってもなくてもいい。シナジーにこだわる必要はない」と。

その他、グループ組織体制の刷新、経営管理KPIの導入、コスト削減など、痛みを伴う構造改革を実施しました。

今後の見通し

2020年3月期の業績予想は、増収増益、黒字転換を見込んでいます。

  • 売上収益:2,250億円(前期比+1.1%)
  • 営業損益:32億円
  • 当期利益:5億円

2019年3月期下期は膿を出す期間でしたが、2020年3月期は成長基盤の構築を行っていく期間。RIZAP事業を中心にヘルスケアに重点的に投資を行っていくとしています。

好調を維持する主力ボディメイク事業においては、今まで「結果を出すダイエット」に注力してきましたが、これからは「健康寿命の延伸」にも注力。

RIZAPは100を超える医療機関とも連携しており、また糖尿病での研究で権威がある朝日生命成人病研究所と共同研究も行っています。会員の2カ月間の食事データを提供し、低糖質食の研究に貢献。肥満症の改善に対し低糖質の安全性と効果性を証明し、6月には米国糖尿病学会で発表予定

取締役を退く松本氏は、「半年でぜい肉をそぎ落とし、健康で健全になった。もし、RIZAPが医療産業に参入すれば大きな成長ドメインになる」と。

再び成長軌道に乗ることができるか、それともM&Aによる拡大路線に逆戻りするのか、今後の動向に注目です。

画像出典元:「RIZAPグループ株式会社」決算説明会資料

 

 

2019年3月期 第3四半期 累積業績(19年2月更新)

  • 売上収益:1,724億円(前年同期比+173.9%)
  • 営業損益:△57億円(前年同期比△138億円)
  • 税引前利益:△73億円(前年同期比△143億円)
  • 四半期利益:△81億円(前年同期比△133億円)

2019年第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収減益となりました。主力事業であるパーソナルトレーニングジム「RIZAP」が着実に業績を上げたことと、新規連結の影響が寄与し大幅な増収となりました。同期間において7期連続の増収を達成しました。

一方、構造改革関連費用等が響き、最終△81億円の赤字となりました。

過去1年以内にグループ入りした企業・事業の経営再建が遅れていること、また在庫や不採算事業の減損等、構造改革関連費用を含む非経常的損失等を計上したことから、第2四半期連結累計期間には△88億円の営業損失を計上しました。

それを受け、第3四半期においては構造改革を実施しました。第3四半期営業利益の約半分はRIZAPボディメイク事業の貢献によるものですが、四半期での黒字転換を達成し赤字幅を縮小することができました。

構造改革の進捗状況

1. コーポレートガバナンス改革

  • 取締役改革

取締役12名体制から取締役5名体制(うち社内取締役2名、社外取締役3名)に変更し、瀬戸健社長と構造改革担当の松本晃取締役以外は退任。これにより迅速な意思決定と監督機能を強化。

  • 執行役員制度の導入

監督と執行を分離することにより執行権限および執行責任を明確にし、経営の機動性・計画実行の確実性の向上を図る。

  • 代表取締役1名体制への移行 

松本晃代表取締役は代表権を返上し、創業者である瀬戸健社長のみが代表権を持つ。

2. 事業整理・撤退

  • SDエンターテイメントの一部事業を譲渡

SDエンターテイメント株式会社のエンターテイメント事業を2018年12月20日、北海道SOキャピタル株式会社に売却。これにより、ライザップグループとのシナジーが高く見込まれるフィットネスジムの経営が主力であるウェルネス事業に経営資源を集中する。

  • ジャパンゲートウェイを譲渡

収益改善が難しいヘアケア・ボディケア・フェイシャルケア商品の企画販売を行うジャパンゲートウェイを2019年1月25日、株式会社 萬楽庵に売却。売却損 △7.7億円は第4四半期に計上する予定。

3. グループ会社の経営再建

これまで経営再建完了前に新規M&Aを行ってきたが、2018年11月より新規M&Aを凍結し、既存事業の改善が見えるまで再建に集中する。

今後の見通し

今期は構造改革に伴う損失を確定することを最優先事項とし、第4四半期ではグループ会社の整理を推進するとともに、不動産売却、在庫圧縮等のグループ横断的な経営合理化を加速させていきます。

通期の業績予想は昨年11月に下方修正して以降、変更はありません。最終△70億円の赤字見込みです。

  • 売上収益:2,309億円(前年同期比+69.5%)
  • 営業利益:△33億円
  • 税引前利益:△49億円
  • 当期利益:△70億円

画像出典元:「RIZAPグループ株式会社」決算説明会資料

 

 

2019年第2四半期 累積業績(18年11月更新)

  • 売上収益:1,091億円(前年比+74.3%)
  • 営業利益:△88億円(前年差-138億円)
  • 四半期利益:△99億円(前年差-133億円)

2019年第2四半期累積業績は、売上収益は前年比+74.3%で1,091億円、営業利益は△88億円、純利益は△99億円となりました。

売上収益が増加した一方で、営業利益が減益となった理由は、グループ入り1年未満の子会社の赤字幅の増加にあります。

以下、損失を計上した企業。

  • ジャパンゲートウェイ:△20.3億円
  • タツミプランニング:△5.0億円
  • サンケイリビング:△5.2億円
  • ワンダーコーポレーション :△32.3億円
  • ぱど:△5.9億円
  • MRKホールディングス:△5.8億円

第2四半期の業績悪化に伴い、RIZAPグループは通期営業利益を△263億円下方修正しました。

今後の方針としては85社に上るグループ企業のうち、収益改善が難しい事業・グループシナジーが見込めない企業を積極的に売却。また、RIZAPグループの戦略の要であった新規M&Aを原則行わないことを発表しました。

RIZAP瀬戸社長は、今回の業績不振を重く受け止め、役員報酬を全額返上することを発表しています。


下半期に向けてどう立て直していくのか注目していきたいです。

 

 

2019年3月期 第1四半期(18年5月更新)

2019年第1四半期の売上収益は9年連続過去最高を記録。前年同期比82%増と急速に成長しています。

もう少し詳しく見ていきましょう。

売上収益が前年同期比82%増加しているにも関わらず、営業利益は前年度に比べて64億円も減少しています。この営業利益の損失は先行投資で、2019年第4四半期に回収が予定されています。

セグメント別の売上

セグメント別の売上収益を見てみましょう。

セグメントは大きく3つに分けられます。

  • 1.美容・ヘルスケア
  • 2.ライフスタイル
  • 3.プラットフォーム
  •  

特に成長著しいのはプラットフォーム領域。買収した企業の売上です。

RIZAPはM&Aによってグループを拡大し、全セグメントの収益効率化を図っています。実際、前年度から184億円の増収、449%成長しました。

一方で、課題も浮かび上がります。買収企業が50社以上と急速なM&Aによって、

  • 社内文化の醸成や人材育成に時間がかかる
  • 赤字企業の財務リスク

などが挙げられます。M&Aを優先するあまり、メイン事業のボディメイクに影響が出ないかどうかがポイントとなってきます。

RIZAPの株価動向

RIZAPの株価は、2017年11月24日に急落してから横ばい状態が続いています。当時の下落の原因は、東証一部上場が噂され、過熱状態にあったRIZAP株が投機目的で大量に売られたと考えられます。高値3,090円からわずか20分で2,340円まで売り込まれました。

しかし、2018年8月29日にRIZAPは正式に東証1部上場を目指すと発表したので、再び株価が上昇する可能性があります。M&Aを含めたニュース性のある企業なので、今後の株価の動向、そして2019年の決算の情報に注目が集まります。

 

 

2018年3月期 通期決算

※2018年5月15日更新

2018年3月期の売上収益は1,362億円と前年同期比43%増加。営業利益は135億円と前年同期比33%増加、どちらも過去最高を達成しました。売上収益は6期連続の増収となりましたが、四半期ごとの売上成長率を見てみましょう。

2017年の売上成長率は60%台を維持。2017年4Qは94%まで増加しましたが、2018年は50%前後とやや鈍化傾向にあります。

瀬戸社長は決算説明会で、2018年の先行投資によって2019年の売上収益2,500億、前年同期比84%増を目指すと語っています。つまり、先行投資をして2019年の収益増加を目標としているので、2018年の売上成長率は鈍化したと見られます。実際、8月に開かれた2019年第1四半期の決算発表会で、2019年1Qの売上成長率は82%と急激に伸びました。

それでは、具体的に2018年は何にどれだけの先行投資をしたのか見てみましょう。

RIZAPの先行投資

2018年は以下の3つに総額91.5億の投資をしました。

  • 1.ボディメイク事業
  • 2.新規事業
  • 3.M&A関連
  •  

RIZAPと言えば、有名人のだらしないお腹が別人のように引き締まるというCMが人気です。そのボディメイク事業の広告宣伝費やトレーナーなどの人材に37.3億円を投資し、来期の成長に繋げています。

また、RIZAP急成長の原動力はM&Aです。2018年に入ってからはワンダーコーポレーション、フリーペーパー発行のサンケイリビング新聞社、さらには湘南ベルマーレの経営権を取得しました。

RIZAPのM&Aの特徴は、経営不振の企業を買収し、業績を改善して利益を稼ぐことです。株価が純資産よりも低い企業を再建することで、負ののれん代を利益に計上し、かさ上げしています。実際、2018年3月の営業利益150億のうち、負ののれん代による利益は50億円と33%近くに上ります。

経営再建した企業の具体例としては、MARUCOやパスポートがあります。

両社は2016年ライザップグループに入り、翌年2017年には営業利益が黒字に。2019年はさらに増収を見込んでいます。

のれん/資本 比率も下がっていることが分かります。

営業キャッシュフローから見るRIZAPのビジネスモデル

RIZAPの2017年、2018年の営業キャッシュフローを見ていきましょう。

特徴的なのは、1Q~3Qの営業キャッシュフローに比べて、4Qだけ飛び抜けて増加していることです。

営業利益の構成比を見ても分かります。

営業利益の構成比

直近5年の上半期と下半期の営業利益の構成比を比べると、下半期に集中しています。このことから、RIZAPは上半期に先行投資をし、下半期で回収するというビジネスモデルを組んでいることが分かります。

画像出典元:「RIZAPグループ」決算説明会資料

会社概要

会社名 RIZAPグループ株式会社
事業内容 健康食品やダイエット食品の製造・販売など
所在地 東京都新宿区北新宿2-21-1 新宿フロントタワー31F
設立日 2003年4月
代表 瀬戸 健
資本金 14億75万円

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