RIZAPグループ株式会社の決算/売上/経常利益を調べ、IR情報を徹底調査

執筆: 山中恵子

営業黒字転換!3Qは消費増税と暖冬の影響を受けた「RIZAPグループ」の第3四半期決算

2020年3月期 第3四半期決算

  • 売上収益:1,567億9,500万円(前年同期比△2.0%)
  • 営業利益:43億8,500万円
  • 税引前利益:23億1,800万円
  • 四半期利益:△4億8,600万円

パーソナルトレーニングジムRIZAPをはじめ、健康食品や化粧品・アパレル・出版などの子会社を持つ純粋持株会社「RIZAPグループ」の決算を見ていきます。

2020年3月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し減収、営業利益は黒字に転換しています。最終4億8,600万円の赤字となりましたが、前期から赤字幅は大幅に縮小。

売上収益が前年同期比で微減となったのは、前期に不採算店舗の閉鎖や事業売却を行ったことが影響しています。

主力のRIZAP関連事業は、前期の決算発表後、3ヶ月ほど入会者数が大幅に落ち込んだことが影響し、売上収益は前年同期比で減収となりましたが、年末以降は回復しているそうです。

【グラフ】セグメント別売上収益

営業利益は、IFRS第16号の影響に加え、構造改革関連費用がなくなったこと、構造改革が進展し多くのグループ会社が増益となったことにより黒字に転換しました。なお、IFRS第16号の影響を除くと、営業利益は6億円です。

子会社の状況としては、非上場子会社は赤字子会社がまだ残っていますが、上場子会社は、ぱど売却により全社黒字化達成。

ただ、累計では好調に推移しているように見えますが、第3四半期は消費増税と暖冬の影響を受け、上場子会社8社中7社が前年同期比で減益と厳しい結果に。特に、アパレル関連会社が苦戦しました。それでも瀬戸社長は、「黒字基調であること、第4四半期以降は回復しており、足元は順調に進捗している」と。

【グラフ】上場子会社 上期とQ3営業利益前期比較

親会社の所有者に帰属する四半期損失が4億8,600万円となったのは、グループ会社における繰延税金資産の取り崩しによる法人所得税費用の増加等によるものです。

財務状況は、現金及び現金同等物が前期末比162億円減の259億円、親会社所有者帰属持分比率は7.4ポイント低下の16.1%に。有利子負債は、リース負債を除くと504億円で、前期末628億円から124億円減少し、返済は順調に進んでいるとのことです。

今後の見通し

RIZAPは他のスポーツクラブと比較して、シニア世代の会員獲得には遅れを取っていることから、今後はシニア世代の獲得に注力していくとのこと。

資金面については、事業売却のほか、固定資産の売却等により事業活動に必要な資金を確保するための施策を講じており、当面の資金状況は安定的に推移する見通しです。

新型コロナウイルスの影響に関しては、上海や香港の店舗は休業を余儀なくされ、また中国で生産しているものについては今後納品の遅れがあるなどの可能性も含め注視していくとしています。

なお、業績予想に変更はありません。前期に対し増収増益、最終5億円の黒字に転換する見込みです。

【グラフ】シニア会員割合比較(ボディメイク)

画像出典元:「RIZAPグループ株式会社」決算説明会資料

 

 

2020年3月期 第2四半期決算(19年11月更新)

  • 売上収益:1,082億8,600万円(前年同期比+2.5%)
  • 営業利益:27億900万円
  • 税引前利益:13億7,800万円
  • 四半期利益:△6,600万円

2020年3月期第2四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収増益となっています。営業利益は黒字に転換、最終6,600万円の赤字となりましたが、赤字幅は大幅に縮小。

セグメント別では、美容・ヘルスケア、プラットフォームが減収となったものの、ライフスタイルの売上収益が前年同期比28.0%増と大きく成長したことが貢献し増収に。

営業利益については、構造改革関連費用が当第2四半期はなくなったこと、多くの上場子会社の業績が前期を上回ったこと、IFRS第16号の影響等により全セグメントで増益を達成し黒字に転換。

【グラフ】セグメント別損益

一方、利益を計上している子会社が想定より非支配持分をもつ上場子会社に偏ったことで、親会社の所有者に帰属する四半期損失は6,600万円となりました。

構造改革の進捗

構造改革は順調に進展しており、上場子会社の営業利益は前年同期比で57.9億円改善、非上場子会社は32億円改善しています。上場子会社は、「ぱど」以外すべて黒字に転換。

【グラフ】営業利益詳細(RIZAP関連事業を除く)

フリーペーパー大手の「ぱど」は2017年3月にグループ入りしましたが、近年の市場環境悪化により経営難に。経営再建に取り組み赤字は半減しましたが、「短期的に収益改善ができない、グループシナジーの実現ができない」と判断し、会社の整理・縮小・撤退を行うことを決定。11月6日、「ぱど」の売却を発表しました。

公開買付者はM&A仲介を手がけるFUNDBOOK代表取締役CEOの畑野 幸治氏で、譲渡価額は24億6,700万円、公開買付期間は11月7日から12月4日まで。ぱどの全株式の公開買付により、下半期に売却益約10億円計上する見込みです。

今後の見通し

今後のグループ全体の戦略としては、特にEC比率化を高めていくとしています。既にアンティローザのEC売上は拡大しており、「Auntie Rosa Holiday」はZOZOTOWNで人気ブランドランキング1位を獲得したことも。

また、RIZAPにおいてはヘルスケアに特化したシニア向けの新プログラムを開発中で、新プログラムは2020年に発表予定。

業績予想に関しては、変更ありません。特に利益に関しては計画を大きく上回って推移していますが、「ぱど」以外にも子会社の売却や事業の整理等に取り組んでおり、それに伴い発生する損益がいまだだ見通せない状況であるとして、現時点においては業績予想は据え置かれています。

画像出典元:「RIZAPグループ株式会社」決算説明会資料

 

 

2020年3月期 第1四半期決算(19年8月更新)

  • 売上収益:535億100万円(前年同期比+3.8%)
  • 営業利益:14億8,200万円
  • 税引前利益:10億900万円
  • 四半期利益:△1億4,000万円

パーソナルトレーニングジム「RIZAP(ライザップ)」をはじめ、健康食品や化粧品・アパレル・出版などの子会社を持つ純粋持株会社「RIZAPグループ」の決算を見ていきます。なお、今期よりIFRS第16号「リース」を適用しています。

2020年3月期第1四半期の連結業績は、最終1億4,000万円の赤字となったものの、売上収益は10期連続過去最高を更新、営業利益は14億8,200万円の黒字に転換しています。

売上収益は、RIZAP関連事業やインテリア雑貨のイデアインターナショナル、女性用補正下着のMRKホールディングス等、グループの主力企業が成長を牽引したことに加え、前期に連結子会社化した創建ホームズが寄与し、前年同期比+3.8%の535億100万円に。

【グラフ】セグメント別売上収益

営業利益については前年同期は13億9,000万円の赤字でしたが、構造改革が進展したことにより、当第1四半期では黒字化を達成。計画を大きく上回って推移しています。

構造改革の進捗としては、まず不採算事業売却により23億円の損失を解消。

上場グループ会社の再建も大幅に進展し、前年同期では9社中6社が赤字でしたが、当第1四半期では地域密着型フリーペーパーを発行する「ぱど」1社のみが赤字に。とはいえ、赤字は半減しています。

結果、上場子会社は前年同期3.7億円の赤字から7.6億円の黒字に転換し、グループの業績回復に寄与しています。

上場グループ会社の営業利益推移は以下のとおりです。

  • MRKホールディングス(旧マルコ)
    (黒転)△4億2,500万円→5,500万円

  • ジーンズメイト
    (減益)1億9,500万円→1億3,700万円

  • イデアインターナショナル
    (増益)4億1,500万円→6億2,900万円

  • HAPiNS(旧パスポート)
    (増益)4,900万円→6,200万円

  • ワンダーコーポレーション
    (黒転)△1,200万円→3億1,400万円

  • 夢展望
    (黒転)△800万円→4,000万円

  • 堀田丸正
    (黒転)△2,700万円→1,500万円

  • ぱど
    (赤字半減)△2億4,200万円→△1億2,400万円

  • SDエンターテイメント
    (黒転)△6,000万円→1億2,900万円

 

【グラフ】連結営業利益推移

そのほか、グループ横断的コスト削減により、販売費及び一般管理費は前年同期比で30億円も減少。

一方、財務状況は、借入金返済により有利子負債が前年同期比で127億円減少したものの、6月末時点の有利子負債は、リース負債を除くと570億円、リース負債を含めると1,207億円に上ります。

現金及び現金同等物の期末残高は、前年同期比245億円減少の352億円に。

資金面においては、2019年5月に取引金融機関(みずほ銀行、りそな銀行、三菱UFJ銀行)とコミットメントライン契約を締結。当面の資金状況は安定的に推移する見通しです。

投融資委員会を新設

RIZAPグループは、投融資活動におけるガバナンスの強化を目的に投融資委員会を新設。当委員会は瀬戸社長を除くメンバーで構成され、瀬戸社長は関与しないとのことですが、M&A再開を視野に入れていることが伺えます。

ただ、今すぐのM&A再開は考えておらず、まずは赤字の会社を黒字化し、そして収益性を高め、理解をしてもらえる状況になったらスタートしていきたいとのことです。

なお、営業利益が計画を大きく上回って推移していますが、通期の業績予想は据え置かれています。

事業内容

RIZAPグループは、純粋持株会社であるRIZAPグループと、連結子会社86社で構成されており、美容・ヘルスケア、ライフスタイル、プラットフォームの各セグメントにて事業を展開。

現在は札幌証券取引所のアンビシャス市場に上場していますが、東京証券取引所第一部への市場変更を目指しています。

各セグメントの主な事業内容は以下のとおりです。

1

美容・ヘルスケア

パーソナルトレーニングジム「RIZAP」及びRIZAP GOLF等のRIZAP関連事業の運営、体型補整用下着、美容関連用品・化粧品・健康食品、スポーツ用品等の販売等

 

【主要グループ会社】

RIZAP、MRKホールディングス(旧マルコ)、SDエンターテイメント、ビーアンドディー、湘南ベルマーレ、健康コーポレーション、ジャパンギャルズ、ディーエム(D&M)、エンジェリーベ 等

2

ライフスタイル

インテリア・アパレル雑貨・カジュアルウェア・意匠撚糸等の企画・開発・製造及び販売、住宅事業等

 

【主要グループ会社】

イデアインターナショナル、HAPiNS(旧パスポート)、ジーンズメイト、夢展望、 堀田丸正、シカタ、トレセンテ、ナラカミーチェジャパン、三鈴、アンティローザ、馬里邑、創建ホームズ 等

3

プラットフォーム

エンターテイメント商品等の小売及びリユース事業の店舗運営、フリーペーパーの編集・発行、出版事業等、開発・企画/生産/マーケティング・販売等といったグループ全体のバリューチェーンの基盤となる事業

 

【主要グループ会社】

ワンダーコーポレーション、ぱど、サンケイリビング新聞社、日本文芸社、五輪パッキング、エス・ワイ・エス 等

画像出典元:「RIZAPグループ株式会社」決算説明会資料

 

 

2019年3月期 通期決算(19年5月更新)

  • 売上収益:2,225億円(前期比+82.3%)
  • 営業損益:△93億円
  • 税引前利益:△123億円
  • 当期利益:△193億円

2019年3月期通期の業績は、前期に対し増収減益となりました。RIZAP関連事業の順調な成長、ワンダーコーポレーションの子会社化が寄与し7期連続の増収、過去最高の売上収益を達成。

主力のボディメイク事業は堅調で、2019年3月末時点で累計会員数13万人、国内店舗数129店舗、海外店舗数6店舗に。営業利益は過去3年間で3.5倍に成長しました。

一方、1年以内にグループ入りした企業の経営再建の遅れや、事業構造改革関連費用等の影響により、予想を大幅に上回る最終193億円の赤字に転落。

ここ数年、積極的に行ってきたM&A(企業の合併や買収)がもたらしたものはグループの成長ではなく膨張で、利益の大半は負ののれんでかさ上げしたものでした。

2018年11月より新規M&Aを凍結したため、負ののれんによる利益が消失。本業の儲けである営業利益については、当初230億円を予想していたのが一転、11月には営業損失△33億円に下方修正。

さらに第4四半期で、緊急性の高い構造改革施策を早期に完了させるため構造改革関連費用を追加計上した結果、予想を大幅に上回る93億円の営業赤字となりました。

構造改革関連費用93億円の内訳は以下のとおり。

  • 戦略的な店舗閉鎖等:約40億円
  • 映像・音楽ソフトを中心とした在庫評価減等:約40億円
  • 女性用アパレルを手掛けるアンティローザ等数社ののれんの減損等その他:約13億円

また、主な赤字子会社の営業損失は以下のとおり。

  • サンケイリビング新聞社:△9.2億円
  • 健康コーポレーション:△7.6億円
  • アンティローザ:△7.5億円
  • ワンダーコーポレーション:△48.2億円
  • ぱど:△5.0億円

RIZAPグループは、大幅な損失を計上したことにより継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると認識していながらも、緊急性の高い構造改革施策を完了したことにより、経営基盤の強化は着実に進捗したとしています。

また、株主に迷惑をかけたとして株主優待制度の内容を大幅拡充し、優待利回りは8.0%に。費用は2年分で20億円引き当てるとのこと。

構造改革の内容

構造改革の内容は、「グループ会社・事業の経営再建の早期完遂」「強靭な経営体質への変革」「事業の選択と集中」「新規M&Aの原則凍結」「成長事業への経営資源集中」等。

2019年3月期下期では、損失を確定させ、緊急性の高い構造改革施策を完了させました。

構造改革の全体像

コーポレートガバナンス改革

新たなグループ戦略の実行に最適な体制へと移行。

  • 取締役会の構成変更

「構造改革担当取締役」職を解消し、新たに「取締役会議長」職を設置するとともに社外取締役を3名から5名に増員。

  • 取締役 構造改革担当 松本 晃氏について

2019年6月22日付で取締役を任期満了で退任、同日付で特別顧問に就任。

経営のプロである松本氏が取締役を退くことについては、今後の経営に不安視する声も少なくありません。

大幅な店舗閉鎖

黒字店舗も含む戦略的閉店の実施により、219店舗閉店。

店舗詳細については明らかにされていません。

事業の縮小・撤退・売却

  • SDエンターテイメント一部事業を譲渡
  • ジャパンゲートウェイを譲渡
  • タツミプランニングの戸建住宅事業・リフォーム事業を譲渡

ほかにも、シナジー効果が期待できない企業は手放すべきではないかという声に、瀬戸社長と松本氏は「シナジーはあってもなくてもいい。シナジーにこだわる必要はない」と。

その他、グループ組織体制の刷新、経営管理KPIの導入、コスト削減など、痛みを伴う構造改革を実施しました。

今後の見通し

2020年3月期の業績予想は、増収増益、黒字転換を見込んでいます。

  • 売上収益:2,250億円(前期比+1.1%)
  • 営業損益:32億円
  • 当期利益:5億円

2019年3月期下期は膿を出す期間でしたが、2020年3月期は成長基盤の構築を行っていく期間。RIZAP事業を中心にヘルスケアに重点的に投資を行っていくとしています。

好調を維持する主力ボディメイク事業においては、今まで「結果を出すダイエット」に注力してきましたが、これからは「健康寿命の延伸」にも注力。

RIZAPは100を超える医療機関とも連携しており、また糖尿病での研究で権威がある朝日生命成人病研究所と共同研究も行っています。会員の2カ月間の食事データを提供し、低糖質食の研究に貢献。肥満症の改善に対し低糖質の安全性と効果性を証明し、6月には米国糖尿病学会で発表予定。

取締役を退く松本氏は、「半年でぜい肉をそぎ落とし、健康で健全になった。もし、RIZAPが医療産業に参入すれば大きな成長ドメインになる」と。

再び成長軌道に乗ることができるか、それともM&Aによる拡大路線に逆戻りするのか、今後の動向に注目です。

画像出典元:「RIZAPグループ株式会社」決算説明会資料

 

2019年3月期 第3四半期決算(19年2月更新)

  • 売上収益:1,724億円(前年同期比+173.9%)
  • 営業損益:△57億円(前年同期比△138億円)
  • 税引前利益:△73億円(前年同期比△143億円)
  • 四半期利益:△81億円(前年同期比△133億円)

2019年第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収減益となりました。主力事業であるパーソナルトレーニングジム「RIZAP」が着実に業績を上げたことと、新規連結の影響が寄与し大幅な増収となりました。同期間において7期連続の増収を達成しました。

一方、構造改革関連費用等が響き、最終△81億円の赤字となりました。

過去1年以内にグループ入りした企業・事業の経営再建が遅れていること、また在庫や不採算事業の減損等、構造改革関連費用を含む非経常的損失等を計上したことから、第2四半期連結累計期間には△88億円の営業損失を計上しました。

それを受け、第3四半期においては構造改革を実施しました。第3四半期営業利益の約半分はRIZAPボディメイク事業の貢献によるものですが、四半期での黒字転換を達成し赤字幅を縮小することができました。

構造改革の進捗状況

1. コーポレートガバナンス改革

  • 取締役改革

取締役12名体制から取締役5名体制(うち社内取締役2名、社外取締役3名)に変更し、瀬戸健社長と構造改革担当の松本晃取締役以外は退任。これにより迅速な意思決定と監督機能を強化。

  • 執行役員制度の導入

監督と執行を分離することにより執行権限および執行責任を明確にし、経営の機動性・計画実行の確実性の向上を図る。

  • 代表取締役1名体制への移行 

松本晃代表取締役は代表権を返上し、創業者である瀬戸健社長のみが代表権を持つ。

2. 事業整理・撤退

  • SDエンターテイメントの一部事業を譲渡

SDエンターテイメント株式会社のエンターテイメント事業を2018年12月20日、北海道SOキャピタル株式会社に売却。これにより、ライザップグループとのシナジーが高く見込まれるフィットネスジムの経営が主力であるウェルネス事業に経営資源を集中する。

  • ジャパンゲートウェイを譲渡

収益改善が難しいヘアケア・ボディケア・フェイシャルケア商品の企画販売を行うジャパンゲートウェイを2019年1月25日、株式会社 萬楽庵に売却。売却損 △7.7億円は第4四半期に計上する予定。

3. グループ会社の経営再建

これまで経営再建完了前に新規M&Aを行ってきたが、2018年11月より新規M&Aを凍結し、既存事業の改善が見えるまで再建に集中する。

今後の見通し

今期は構造改革に伴う損失を確定することを最優先事項とし、第4四半期ではグループ会社の整理を推進するとともに、不動産売却、在庫圧縮等のグループ横断的な経営合理化を加速させていきます。

通期の業績予想は昨年11月に下方修正して以降、変更はありません。最終△70億円の赤字見込みです。

  • 売上収益:2,309億円(前年同期比+69.5%)
  • 営業利益:△33億円
  • 税引前利益:△49億円
  • 当期利益:△70億円

画像出典元:「RIZAPグループ株式会社」決算説明会資料

 

 

2019年第2四半期決算(18年11月更新)

  • 売上収益:1,091億円(前年比+74.3%)
  • 営業利益:△88億円(前年差-138億円)
  • 四半期利益:△99億円(前年差-133億円)

2019年第2四半期累積業績は、売上収益は前年比+74.3%で1,091億円、営業利益は△88億円、純利益は△99億円となりました。

売上収益が増加した一方で、営業利益が減益となった理由は、グループ入り1年未満の子会社の赤字幅の増加にあります。

以下、損失を計上した企業。

  • ジャパンゲートウェイ:△20.3億円
  • タツミプランニング:△5.0億円
  • サンケイリビング:△5.2億円
  • ワンダーコーポレーション :△32.3億円
  • ぱど:△5.9億円
  • MRKホールディングス:△5.8億円

第2四半期の業績悪化に伴い、RIZAPグループは通期営業利益を△263億円下方修正しました。

今後の方針としては85社に上るグループ企業のうち、収益改善が難しい事業・グループシナジーが見込めない企業を積極的に売却。また、RIZAPグループの戦略の要であった新規M&Aを原則行わないことを発表しました。

RIZAP瀬戸社長は、今回の業績不振を重く受け止め、役員報酬を全額返上することを発表しています。


下半期に向けてどう立て直していくのか注目していきたいです。

 

 

2019年3月期 第1四半期決算(18年5月更新)

2019年第1四半期の売上収益は9年連続過去最高を記録。前年同期比82%増と急速に成長しています。

もう少し詳しく見ていきましょう。

売上収益が前年同期比82%増加しているにも関わらず、営業利益は前年度に比べて64億円も減少しています。この営業利益の損失は先行投資で、2019年第4四半期に回収が予定されています。

セグメント別の売上

セグメント別の売上収益を見てみましょう。

セグメントは大きく3つに分けられます。

  • 1.美容・ヘルスケア
  • 2.ライフスタイル
  • 3.プラットフォーム
  •  

特に成長著しいのはプラットフォーム領域。買収した企業の売上です。

RIZAPはM&Aによってグループを拡大し、全セグメントの収益効率化を図っています。実際、前年度から184億円の増収、449%成長しました。

一方で、課題も浮かび上がります。買収企業が50社以上と急速なM&Aによって、

  • 社内文化の醸成や人材育成に時間がかかる
  • 赤字企業の財務リスク

などが挙げられます。M&Aを優先するあまり、メイン事業のボディメイクに影響が出ないかどうかがポイントとなってきます。

RIZAPの株価動向

RIZAPの株価は、2017年11月24日に急落してから横ばい状態が続いています。当時の下落の原因は、東証一部上場が噂され、過熱状態にあったRIZAP株が投機目的で大量に売られたと考えられます。高値3,090円からわずか20分で2,340円まで売り込まれました。

しかし、2018年8月29日にRIZAPは正式に東証1部上場を目指すと発表したので、再び株価が上昇する可能性があります。M&Aを含めたニュース性のある企業なので、今後の株価の動向、そして2019年の決算の情報に注目が集まります。

 

 

2018年3月期 通期決算

※2018年5月15日更新

2018年3月期の売上収益は1,362億円と前年同期比43%増加。営業利益は135億円と前年同期比33%増加、どちらも過去最高を達成しました。売上収益は6期連続の増収となりましたが、四半期ごとの売上成長率を見てみましょう。

2017年の売上成長率は60%台を維持。2017年4Qは94%まで増加しましたが、2018年は50%前後とやや鈍化傾向にあります。

瀬戸社長は決算説明会で、2018年の先行投資によって2019年の売上収益2,500億、前年同期比84%増を目指すと語っています。つまり、先行投資をして2019年の収益増加を目標としているので、2018年の売上成長率は鈍化したと見られます。実際、8月に開かれた2019年第1四半期の決算発表会で、2019年1Qの売上成長率は82%と急激に伸びました。

それでは、具体的に2018年は何にどれだけの先行投資をしたのか見てみましょう。

RIZAPの先行投資

2018年は以下の3つに総額91.5億の投資をしました。

  • 1.ボディメイク事業
  • 2.新規事業
  • 3.M&A関連
  •  

RIZAPと言えば、有名人のだらしないお腹が別人のように引き締まるというCMが人気です。そのボディメイク事業の広告宣伝費やトレーナーなどの人材に37.3億円を投資し、来期の成長に繋げています。

また、RIZAP急成長の原動力はM&Aです。2018年に入ってからはワンダーコーポレーション、フリーペーパー発行のサンケイリビング新聞社、さらには湘南ベルマーレの経営権を取得しました。

RIZAPのM&Aの特徴は、経営不振の企業を買収し、業績を改善して利益を稼ぐことです。株価が純資産よりも低い企業を再建することで、負ののれん代を利益に計上し、かさ上げしています。実際、2018年3月の営業利益150億のうち、負ののれん代による利益は50億円と33%近くに上ります。

経営再建した企業の具体例としては、MARUCOやパスポートがあります。

両社は2016年ライザップグループに入り、翌年2017年には営業利益が黒字に。2019年はさらに増収を見込んでいます。

のれん/資本 比率も下がっていることが分かります。

営業キャッシュフローから見るRIZAPのビジネスモデル

RIZAPの2017年、2018年の営業キャッシュフローを見ていきましょう。

特徴的なのは、1Q~3Qの営業キャッシュフローに比べて、4Qだけ飛び抜けて増加していることです。

営業利益の構成比を見ても分かります。

営業利益の構成比

直近5年の上半期と下半期の営業利益の構成比を比べると、下半期に集中しています。このことから、RIZAPは上半期に先行投資をし、下半期で回収するというビジネスモデルを組んでいることが分かります。

画像出典元:「RIZAPグループ」決算説明会資料

会社概要

会社名 RIZAPグループ株式会社
事業内容 健康食品やダイエット食品の製造・販売など
所在地 東京都新宿区北新宿2-21-1 新宿フロントタワー31F
設立日 2003年4月
代表 瀬戸 健
資本金 192億44万円

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