HR×ED Tech領域で、日本を代表するソリューションカンパニーを目指す「アイスタディ」の決算を見ていきます。
2020年10月期第1四半期の連結業績は、売上高4億1,900万円、EBITDAは1,000万円となっています。営業利益が赤字となっているのは、M&Aによるのれん償却費を計上しているためで、すべての事業において売上高、利益ともに順調に推移し、計画上振れで着地しています。
売上高は前年同期比で+78%成長していますが、これは主にエイム・ソフト、ネクストエッジ、東京テックの3社を連結子会社化したことが寄与したことによるものです。
事業別では特にEラーニング事業が好調で、既存製品の法人向け学習管理システム「iStudyLMS」は大型案件のライセンス受注が増加。また、2019年11月にローンチした「SLAP(スラップ)」も中堅企業からの引き合いが堅調とのこと。
さらに、企業のテレワーク推進により、スタジオ利用回数も増加。第2四半期から業績に寄与する見込みです。
【グラフ】売上高推移
EBITDAは各事業が堅調に推移したことにより、第1四半期赤字予想から一転、黒字で着地。
今期、正味のキャッシュフロー創出力は過去最高水準となる見込みで、これに伴い、配当金は1株あたり7円と2倍に増額されました。
アイスタディは2月3日、エイム・ソフトがネクストエッジを吸収合併すると発表。
ネクストエッジは、2012年にエイム・ソフトの100%子会社として設立され、フリーランスエンジニアの人材紹介およびマッチング事業を展開してきましたが、当第1四半期においても販管費を吸収できるだけの売上総利益の確保には至っていません。
エイム・ソフトとの合併で、経営効率化や間接費最適化による収益拡大を実現することが期待できます。企業結合日は3月31日予定。
2月25日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、対法人企業向けオンライン学習システム「SLAP」を臨時休校の恐れがある学校教育機関向けの教育支援ツールとして提供開始すると発表。
さらに3月2日には、企業における入社式、新人研修、学生向けの採用イベントなどへも影響が生じている状況を受け、各企業が2020年5月末まで予定している新人向けの集団研修や各種イベントのWeb配信、学生の就職活動に対するWeb 説明会の支援を行うと発表しました。
各事業とも順調に推移していることに加え、新型コロナウィルスの影響でイベント・セミナーをオンライン配信にて実施したいといった特需の発生も見込まれるものの、経済トレンドを慎重に見極める必要があるとし、通期の業績は据え置かれています。
今後は、先端IT領域のeラーニングコースにおいて、「セキュリティ」「秘密計算」といった先端領域の新設コースのローンチも予定しています。
今期より、報告セグメントが「ソフトウェア事業」と「研修サービス事業」の2つから、「Eラーニング事業」「研修サービス事業」「インキュベーション事業」の3つに変更されました。
画像出典元:「アイスタディ株式会社」決算説明会資料・公式HP
人材育成のソリューションを提供する「アイスタディ」の決算を見ていきます。2019年10月期通期の業績は、売上高7億5,400万円、最終1,800万円の赤字となっています。
アイスタディは、2019年10月1日付でシステム開発を行う株式会社エイム・ソフトならびにエイム・ソフトの子会社でフリーランス中心のITエンジニア紹介事業を展開する株式会社ネクストエッジを子会社化したことに伴い、2019年10月期第4四半期より連結決算へ移行しています。
なお、当期は子会社の損益計算書は合算せず、子会社取得のためのアドバイザリー費用4,100万円を、子会社株式取得原価から販売費及び一般管理費に振り替えて計上しています。
また、2019年10月期より決算期を12月31日から10月31日に変更し10ヶ月決算となったため、対前期増減率はありませんが、計画対⽐は以下のとおりとなっています。
売上高は計画を達成しましたが、利益に関しては大幅に計画を下回っています。これは、2019年10月期までに受注した案件の売上総利益の計上(約2,000万円)が次期に持ち越しとなったことや、LMS事業における先行投資が響いたことによるものです。
2019年10月期は中期経営計画1年目でしたが、利益に関しては当初想定より進捗に遅れが生じています。
アイスタディは、11月1日付でソフトウェアの企画・開発・販売・運用管理を行う株式会社東京テックを子会社化。エイム・ソフト、ネクストエッジ、東京テックの3社を連結範囲に含めたことに伴い、2020年10月期より報告セグメントの区分が変更されます。
従来の「ソフトウェア事業」「研修サービス事業」は統合し、セグメントの名称を「E ラーニング事業」に変更。「研修サービス事業」に含まれていた有料職業紹介事業「iStudyACADEMY」は「アカデミー事業」に。そして新たに「インキュベーション事業」が報告セグメントに追加されます。
子会社化したエイム・ソフト、ネクストエッジ、東京テックについて、2020年10月期より業績(個別損益計算書)の連結が開始されます。
営業利益は当初想定より進捗に遅れが生じていますが、リカバリをするための事業運営体制面の強化が整いつつあるとし、中期経営計画の最終年度の業績見通しとして掲げた売上高30億6,000万円、営業利益7億7,200万円は断念することなく目指していくとしています。
また12月20日、アイスタディ株式会社から株式会社クシムへと商号を変更すると発表。変更日は2020年5月1日です。
画像出典元:「アイスタディ株式会社」決算説明会資料
2019年10月期第2四半期累計期間の業績は、前年同期に対し減収減益となっています。前四半期は赤字でしたが、黒字に転換。
売上高は、前年同期に特需案件があったことによる反動で減少となっていますが、過去4年で2番目の高水準に。大幅な減益は、先行投資を行ったことによるものです。
【グラフ】上期累計売上・営業利益推移
財政基盤は、流動比率630%、自己資本比率87%と安全性に問題はないと言えるでしょう。
セグメント別にもう少し詳しく見ていきましょう。
ビジネス・ビデオ「QUMU」は、顧客数が順調に増加するなど好調に推移。
法人向け学習管理システム「iStudy LMS」は既存製品バージョンの開発終了を迎え、新たに新規製品バージョンの開発に着手していることから新規案件の獲得を控え、既存案件のカスタマイズに注力。
その結果、売上高2億3,300万円(前年同期比29.3%減)、セグメント損失400万円(前年同期はセグメント利益1,400万円)と赤字に。
ビデオ収録・映像配信などのイベントサービス事業が堅調に推移し、業績は引き続き堅調に推移。
一方、新規事業である「iStudyAcademy」事業が先行投資の段階であることなどから、売上高2億2,100万円(前年同期比4.6%増)、セグメント利益は700万円(前年同期比52.2%減)と増収減益に。
通期の業績予想に変更はありません。
新規「iStudy LMS」は11月末にローンチ予定。アカデミー事業においては、今後AI&ブロックチェーンのコース体系に注力。また、コスト削減にも努めていくとしています。
画像出典元:「アイスタディ株式会社」決算説明会資料
2019年10月期累計期間の業績は、前年同期に対し減収減益、最終2,100万円の赤字となりました。
法人向け学習管理システム「iStudy LMS」の新規製品バージョン、新規事業として展開している有料職業紹介サービス「iStudy Academy」への先行投資により売上・利益ともに軟調に着地しました。
「iStudy LMS」の既存製品バージョンは衰退期を迎えつつあるため新規案件の獲得を控え、既存案件のカスタマイズに注力。なお、新規製品バージョンは7月以降にデモ版をリリース予定です。
一方、ソフトウェア事業におけるビジネスビデオ「QUMU」、研修サービス事業におけるビデオ収録・映像配信などのイベントサービス事業は堅調に推移しました。
TOB(株式公開買い付け)により、2019年4月17日をもって親会社が株式会社ブイキューブから株式会社カイカに異動しました。
定時株主総会資料(2019年3月27日)
カイカは、フィンテック関連分野の中でもブロックチェーン技術を適用した仮想通貨ビジネスを注力領域としています。一方、アイスタディは高度 IT人材に特化した人材の募集から育成、転職支援までを提供するビジネスモデルを第3の成長エンジンと位置付けています。
お互いが保有する技術やノウハウを補完し合ったり、人材交流を行うことによって戦略領域でのシナジーが期待できます。
非開示であった通期業績予想が開示されました。
今期より、決算期を12月31日から10月31日に変更。今期は10ヶ月決算となるため、対前期増減率については記載がありません。
アイスタディは、今期からHRテック×Edテック領域に本格シフト。
テクノロジーの活用によって人材育成や採用活動、人事評価などの人事領域の業務の改善を行うソリューション群を指す言葉で、HR(Human Resources)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語
Education(教育)とTechnology(テクノロジー)を組み合わせた造語
HR Tech × Ed Tech の分野にて⽇本を代表するソリューションカンパニーを目指し、2022年10月期には
時価総額:230〜300億円規模
を達成と、強気な目標を掲げています。
アイスタディは、主に人材育成・採用支援を事業の柱としています。
アイスタディのルーツは、1997年に設立された株式会社アイキャン。1999年に「iStudy」シリ-ズの販売を開始し、iLearning事業を開始。2002年に東京証券取引所マザーズに株式を上場し、2014年に東京証券取引所市場第二部へ市場変更。
2015年に株式会社ブイキューブと業務提携し、翌2016年に社名をアイスタディ株式会社へ変更。2017年にフィスコグループと業務提携し、ブイキューブ・フィスコグループとのシナジーが加わり黒字企業に。
2019年4月より、親会社が株式会社ブイキューブから株式会社カイカに異動しましたが、ブイキューブとの協業は継続。今後は、「iStudy Academy」を核に、人材サービス事業の拡大を進めていく予定です。
売上高構成比:49%
売上高構成比:51%
画像出典元:「アイスタディ株式会社」中期経営計画・事業説明資料
2018年12月期通期の業績は前期に対し大幅な増収となり、創業以来過去最高の売上高を達成しました。第2創業期の成長エンジンが売上拡大を牽引し、中でも法人向けビデオソリューションの「Qumu(クム)」が好調に推移しました。
営業利益は、新規事業である「iStudy ACADEMY」への先行投資が響き業績予想を下回ったものの2年連続で倍増しました。
一方、特別損失として投資有価証券評価損1億5,100万円を計上したことにより当期純利益は△6,900万円となりました。これは、保有している投資有価証券のうち株式会社フィスコデジタルアセットグループ(FDAG)の株式について、FDAG の業績が当初想定した計画を下回って推移したこによるものです。
ソフトウェア事業は、法人向け学習管理システム「iStudy LMS」、法人向けビデオソリューション「Qumu」の製品群から構成されており、売上高は6億1,900万円(前期比56.2%増)、セグメント利益6,600万円(前期比447.2%増)となりました。
昨年度より販売を開始した法人向けビデオソリューション「Qumu」は、18ヶ月で顧客数が7倍に増加しました。企業内におけるビデオ活用が急拡大し、その多くがクラウドサービスによる契約であるためストック型の売上が堅調に推移しました。
また、大手生命保険向けのフロー型のスポット売上もあり、売上高が当初予想を上回りました。
研修サービス事業は、各種研修サービス、eラーニングコンテンツ、ビデオ収録・映像配信などの製品・サービス群から構成されており、売上高は4億8,100万円(前期比34.1%増)、セグメント利益5,400万円(前期比56.4%増)となりました。
昨年度に親会社である株式会社ブイキューブより取得したビデオ収録・スタジオ配信サービスが計画通り推移しました。
今後は、第3の成長エンジン「iStudy ACADEMY」を核に人材サービス事業の拡大を進めていきます。
経済産業省の「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果(2016年)」によると、高度IT人材不足は今後ますます深刻化し、2020年で30万人、2030年で59万人程度まで不足規模が拡大されると予想されています。
そのような環境下、有料職業紹介事業者の免許を取得し、新たに第3の成長エンジンとし「iStudy ACADEMY」の事業を本格的に開始しました。
iStudy ACADEMYは、業界のエキスパートを講師に迎えて、ディープラーニング、ブロックチェーン、ITセキュリティ、データサイエンスなど先端ITスキルを習得できる各種学習コースを提供し、コース終了後には転職支援サービスも行います。
企業の人材育成ニーズに応えるソリューションを提供し、企業の人手不足に向けた取り組みをサポートしていく予定です。
画像出典元:「アイスタディ株式会社」決算説明会資料
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