株式会社メルカリの決算/売上/経常利益を調べ、IR情報を徹底調査

記事更新日: 2019/02/11

執筆: 山中恵子

日本事業は堅調も米国・メルペイ事業が重しで最終△44億円の赤字となった「株式会社メルカリ」の第2四半期決算

2019年6月期 第2四半期 累積業績

  • 売上高:237億8,800万円(※前年同期比+45.1%)
  • 営業利益:△36億5,400万円
  • 経常利益:△36億8,400万円
  • 四半期純利益:△44億7,500万円
  • GMV(総流通総額):2,459億円(前年同期比47.0%)

※「株式会社メルカリ」決算説明会資料より

2019年第2四半期連結累計期間の業績は、売上高は前年同期比45.1%増の237億8,800万円と大きく成長しましたが、米国事業とメルペイ事業への広告宣伝費等が響き、最終損益△44億7,500万円の赤字となりました。

当第2四半期連結累計期間におけるメルカリの日本国内流通総額は2,280億円となり、前年同期比で710億円増加しました。また、当第2四半期連結会計期間にサービス開始日(2013年7月2日)からの日本国内流通総額が累計1兆円を突破しました。

米国内流通総額は178億円となり、前年同期比で75億円増加しました。

第2四半期の連結業績は以下の通りです。

  • 売上高:132億3,500万円(前年同期比+45.0%)
  • 営業損益:△11億4,000万円
  • 当期純利益:△15億8,700万円
  • GMV:1,388億7,600万円(前年同期比+49.9%)

第2四半期において日本事業は30億円の営業利益を上げたものの、米国事業とメルペイ事業で△41億円の営業損失が出ました。米国事業とメルペイ事業合計の営業損失は第1四半期と同水準です。

AI等のテクノロジー投資及びガバナンスの管理体制強化のため優秀な人材を積極採用しており、人件費が増加しています。人件費増の傾向は今期末まで続き、その後は緩む見通しです。

メルカリ事業(JP)は堅調

日本事業における第2四半期の業績は以下の通りです。

  • 売上高:122億円(前年同期比+43.6%)
  • 営業損益:30億円(前年同期比+26.7%)
  • GMV:1,289億円(前年同期比+48.7%)
  • MAU:1,236万人(前年同期比+28.2%)

第2四半期の日本事業の業績は、前年同期に対し売上高43.6%増、営業損益26.7%増と大きく成長しました。主にアパレル、エンタメホビーが牽引しました。

第2四半期は冬物のコートなど単価の高い商品の取引が増えることもあり、前四半期に対しても売上高が25.4%増と大きく伸びました。また、ユーザー数以上にGMVが成長しており、取扱単価が上昇していることがわかります。

年間広告宣伝費率(対売上高)は25%で、ここ2年半で50%減となりました。今後も広告に依存しない成長を目指していく予定です。

一方、インセンティブ制度を刷新し、譲渡制限株式ユニット、通称「RSU(Restricted Stock Units)」の導入に伴う費用の後ろ倒しにより第3四半期の人件費は重くなる見通しです。

カテゴリー別ではエンタメホビー分野が伸びましたが、これはクリスマスシーズンによる玩具のほか、トレーディングカード、本の取引増加によるものです。

男性ユーザはカメラやゴルフ等、比較的単価が高い商品を取引する傾向にある一方、女性ユーザは小物やアパレル等の取引がメインで取引頻度が高い傾向にあります。

ユーザー層の拡大に向けて

これまではマス広告を主体として20~30代の若い女性を獲得してきましたが、特定カテゴリー強化に合わせたTVCMや新聞折込チラシ等で30~40代男性や中高年の新規ユーザ層獲得に向けた広告施策に取り組んでいます。

日本の家庭に眠る“かくれ資産”総額は推計37兆円以上、国民一人あたり約28万円に上ると言われています。男女ともに、年代が上がるにつれてかくれ資産の額が増加する傾向にあり、最も平均かくれ資産が多いのは60代以上の女性となります。今後は、中高年層のユーザー獲得が鍵となるでしょう。

特定カテゴリー強化においては、車好きのコミュニティアプリである「CARTUNE」を運営するマイケル株式会社を2018年11月に買収し、カーパーツに特化した売買機能「CARTUNEパーツ市場」を2月4日より開始しました。

「CARTUNE」とメルカリアカウントを連携させ、「CARTUNEパーツ市場」に出品するとメルカリにも同時出品されます。使い勝手を向上させた専用サービスを提供することで、メルカリの新規ユーザ層の利用促進・認知拡大につなげます。

メルカリ事業(US)の営業損失は1Q並み

米国事業においては、クーポンに依存しないGMVの成長を積み上げることができました。オフライン広告によって大都市中心に認知度が向上しましたが、さらなる認知度向上のため、マーケティング投資を継続します。

今後は、GMV月間100million USDに向けて、投資規律を保ちながら着実に成長させていく予定です。

メルペイのプロダクト開発中

メルカリエコシステムの構築に向けて、今期は初期投資フェーズとなります。メルペイのローンチ後、事業の進捗を踏まえて今後の投資方針を決めていく予定です。

日本事業で得た収益を米国事業及びメルペイに積極投資し、次なる収益の柱を構築していきます。

画像出典元:「株式会社メルカリ」決算説明会資料

 

 

2019年第1四半期 累積業績

  • 売上高:105億円5,200万円(前年比+43.3%)
  • 営業利益:△25億円1,300万円
  • 当期純利益:△28億8,700万円

2019年第1四半期の売上高は105億円5,200万円と前年に比べて43.3%成長。一方で、営業利益は△25億1,300万円と前年に比べて約6億円赤字額が膨らみました。

内訳をみると販管費が約108億円計上されています。従業員の増加に伴い人件費が増加、広告宣伝費やポイント費用が主なコストとなっています。

米国メルカリ事業

注目の米国メルカリ事業のGMV(総流通総額)を見ると、一時期は落ち込みましたが、再び右肩上がりで成長しています。

販管費を削減することで早期黒字化は達成できそうですが、先行投資を続けている状況をみるとまだまだ成長を期待できるでしょう。米国マーケットをどう攻略していくか注目です。

2018年第6月期 通期決算

決算期
(百万円)
16/06
(第4期)
17/06
(第5期)
18/06
(第6期)
売上高 12,256 22,071 35,765
営業利益 △42 △2,275 △4,422
経常利益 △97 △2,779 △4,741
当期純利益 △348 △4,207 △7,041
利益剰余金 △472 △3,978 △7,028

2018年第6期の売上高は357億、前年同期比62%増加と急速に伸びています。

前年同期からの売上成長率を見てみましょう。

今期は2017年4Qの売上成長率84%から、41%に減少しました。しかし、売上成長率が高いほど、急成長に伴い組織や経営管理の体制に問題が生じる可能性があります。今期の売上成長率は減少したと言うよりは、安定してきたと言う方が適切かもしれません。

実際、注文や配送対応が追いつかないという事態や、人員不足で業務効率が低下したためか、かなり積極的に人材採用を行なっています。

2017年4Qの596人から約2倍の1,140人が従業員として加わりました。特に注目すべきは、メルペイの従業員数です。2018年2Qに1人しかいなかった従業員が、6ヶ月後の4Qには175人まで増えています。メルペイ事業にかなり力を入れていることが分かります。

これだけの人材を採用すると、やはり気になるのは人件費などの販売費

決算期
(百万円)
16/06
(第4期)
17/06
(第5期)
18/06
(第6期)
売上総利益 11,470 19,350 28,958
販管費 11,513 22,126 33,381
営業利益 △42 △2,775 △4,422

今期の販管費は売上総利益の289億円を大きく上回る333億円が計上され、赤字の原因となっています。

では、販管費の内訳はどうなっているのでしょうか。

メルカリの販管費の内訳

メルカリの販管費は大きく分けると以下6つです。

  • 1.広告宣伝費
  • 2.ポイント費用
  • 3.その他費用
  • 4.支払い手数料
  • 5.人件費
  • 6.原価
  •  

この中で大部分を占めているのは広告宣伝費です。

今期の年間広告宣伝費率は35%の28億円、人件費の8億円の3倍以上も掛かっています。

メルカリの成長戦略

ところで、今期で357億円の売上を上げているメルカリは、なぜ70億円の最終赤字になるのでしょうか。

メルカリの成長戦略について見ていきましょう。大きく分けて3つあります。

まずは、1つ目。メルカリの日本事業についてです。

メルカリの日本事業だけを見ると既に黒字化を達成しており、安定成長フェーズにあると考えられます。売上高は334億円で前年同期比57.3%増、営業利益は74億円で前年同期比65.7%増。

売上の比率を見てみると、2014年に比べて女性関連以外のカテゴリーが伸びていることが分かります。

積極的な広告宣伝や出品や配送を簡単にすることによって、幅広い世代のユーザーの取り込みに成功したと考えられます。

 

成長戦略の2つ目は、海外事業です。

メルカリはサービスをリリースしてから1年後の2014年9月にアメリカに進出しています。2014年にはまだ「フリル」などの競合が日本にいたにも関わらず、創業1年足らずでサンフランシスコに会社を設立。当初からグローバルを視野に入れていたことが分かります。また、2016年にはイギリスにも進出しました。

そして、メルカリが連結決済で最終赤字になる理由は、この海外事業にあります。経営体制の強化や海外でのリブランディング、プロダクト強化をするために、日本事業で得た利益をかなり投入していると考えられます。

下の写真が、アメリカ事業を牽引する経営陣です。経験豊富なメンバーが揃っています。

まだまだ、成長フェーズの海外事業。これだけ大きな先行投資をしていることを考えると、連結決済での黒字化達成もそう遠くはないかもしれません。

 

最後に、3つ目の成長戦略はメルカリエコシステムの構築です。

メルカリエコシステムの中心を据えるのがペイメントプラットフォームの「merpay」です。メルペイの代表青柳直樹氏はドイツ証券に4年、GREEに10年半在籍。 GREEのCFOやGREE InternationalのCEOを歴任。1年間休息期間を経て、メルペイの代表に就任しました。

2018年3Qでは62人だった従業員数が、2018年4Qには約3倍の175人まで増員するなど、かなりの先行投資を進めています。

そんなメルペイですが、2018年8月10日に第1期決算が発表されました。 売上高はなし、約9億円の最終赤字となってます。

また、2018年7月8日にはmerpayの加盟店開拓を推進するために株式会社メルペイコネクトを設立しました。

創業1年目でメルペイ事業に9億円の投資をしたと考えると、これからの成長が期待できます。

メルカリの株価動向

メルカリの初値時価総額は6,700億円、上場初日に1株6,000円を付けたことが話題になりました。赤字での上場を考えると脅威の時価総額であることは間違いないです。株価に関しては、その後落ち着き、1ヶ月ほど4,500円付近を推移してます。

しかし、8月9日に発表した2018年6月期の業績が70億円の最終赤字と、前期よりも大幅に赤字が拡大したことで株価は急落しました。そのため、現在の株価は上場以来はじめて株価4,000円を割り、一時は3,600円台まで売り込まれています。

短期的に利益という実績を求める投資家と、長期的に投資先行で進めたい経営陣との間にはギャップが存在するため、引き続き両者の思惑が株価に反映されると思われます。また、既存株主が上場後に自由にメルカリ株を売却できない「ロックアップ」は上場後180日間であり、ロックアップ解除後は売り圧力が高まると想定されます。

画像出典元:「メルカリ」決算説明会資料

会社概要

会社名 株式会社メルカリ
事業内容 フリマアプリ「メルカリ」の企画・開発・運用
所在地 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー
設立日 2013年2月
代表 山田 進太郎
資本金 695億円

 

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