イオン株式会社の決算/売上/経常利益を調べ、IR情報を徹底調査

記事更新日: 2020/01/26

執筆: 山中恵子

総合スーパー181億円の営業赤字!次世代ネットスーパー立ち上げで巻き返しを狙う「イオン」の第3四半期決算

2020年2月期 第3四半期決算

  • 営業収益:6兆3,870億円(前年同期比+0.8%)
  • 営業利益:1,030億円(前年同期比△5.4%)
  • 経常利益:933億円(前年同期比△15.3%)
  • 四半期純利益:△63億円

国内小売業トップの売上高を誇る「イオン」の決算を見ていきます。

2020年第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収となったものの、子会社のカジタクとイオンクレジットサービス(フィリピン)の不適切会計の影響で最終63億円の赤字となっています。

不適切会計の影響を除くと、実質増収増益、営業収益・営業利益ともに過去最高を更新したことになります。

まずは、営業収益構成比を見てみましょう。営業収益は、イオンの主力事業であるGMS(総合スーパー)事業とSM(スーパーマーケット)事業とで約7割占められています。なお、ヘルス&ウエルネス事業は、主に子会社のウエルシアホールディングス株式会社のことです。

次に、セグメント別営業収益は、GMS事業、ヘルス&ウエルネス事業、総合金融事業、ディベロッパー事業が前年同期比で増収となっています。なかでも、ヘルス&ウエルネス事業と総合金融事業は10.5%増と好調に推移

ヘルス&ウエルネス事業は子会社のウエルシアホールディングスが好調に推移したこと、総合金融事業はカード会員と取扱高が拡大したことが寄与しました。

営業利益については、主力のGMS事業は181億円の赤字。また、SM事業も前年同期比で大幅な減益となっています。消費増税前の駆け込み需要があった9月やブラックフライデーがあった11月は売上が伸びましたが、依然、総合スーパー、スーパーマーケットは苦戦しています。

総合金融事業においては、国内事業におけるキャッシュレス推進施策に伴う広告宣伝費の増加や、海外事業における経済環境悪化、IFRS第9号の導入やフィフィリピン子会社で判明した過年度における不適切会計の影響等により前年同期比で大幅な減益に。

一方、ヘルス&ウエルネス事業は、絶好調のウエルシアホールディングスが寄与し、2桁増益となりました。

なお、子会社のカジタクの不適切会計に続き、フィリピン子会社でも不適切な会計処理が行われていたと2019年11月1日にイオンフィナンシャルサービス株式会社が発表。フィリピン子会社の不適切な会計処理による影響額は、過年度において経常利益で約12億円ですが、現段階では連結業績の予想に修正はありません。前期比で増収増益となる見込みです。

英国企業「Ocado」と提携

2019年11月29日、英国ネットスーパー企業Ocado Group plcの子会社であるOcado Solutionsと日本国内における独占パートナーシップ契約を締結したと発表。


画像出典元:Ocado Solutions公式HP

Ocadoは2000年に設立されたネットスーパーを運営する企業で、店舗を持たず、オンラインで食料品などの注文を受け、配送するサービスを提供しています。本提携により、イオンはデジタル、AI及びロボティクス機能の強化に向け、2020年3月までに新会社を設立し、2023年に日本で第1号のAIとロボットを駆使した最先端の顧客フルフィルメント・センター(中央集約型倉庫/CFC)を設立予定。

世界最先端の知見を得て「次世代ネットスーパー」を立ち上げ、運営することにより、2030年までに6,000億円の売上を目指すとしています。

23年ぶりの社長交代

2020年1月10日、3月1日付で岡田元也社長が会長に退き、吉田昭夫副社長が社長に昇格すると発表。岡田氏は創業者・岡田卓也氏の長男であり、衆議院議員の岡田克也氏の実兄でもあります。

岡田氏は1997年にジャスコ(現イオン)の社長に就任し、23年にわたり社長を務め、営業収益8.5兆円、時価総額1.9兆円の企業へと成長させました。一方、吉田氏は2015年にイオンモールの社長に、2019年にイオン副社長に就任しています。

23年ぶりの社長交代で、不振が続く総合スーパー・スーパーマーケット事業を立て直せるか注目です。

 

 

2020年2月期 第2四半期決算(19年10月更新)

  • 営業収益:4兆2,902億1,500万円(前年同期比+0.6%)
  • 営業利益:863億2,600万円(前年同期比△3.9%)
  • 経常利益:797億6,700万円(前年同期比△12.2%)
  • 四半期純利益:37億9,100万円(前年同期比△64.1%)

2020年2月期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収減益となっています。同期間として、営業収益は9期連続で過去最高を更新。子会社不正会計等の影響を除くと営業利益、経常利益も過去最高を更新しています。

増収となったのは、ヘルス&ウエルネス、総合金融、ディベロッパー、国際の4事業が増収となったことによるものです。なかでも、連結子会社のウエルシアホールディングス株式会社とイオンフィナンシャルサービス株式会社が成長を牽引。

ウエルシアホールディングスのトップページ

一方、中核事業であるGMS(総合スーパー)事業とSM(スーパーマーケット)事業は、消費マインドの冷え込みや7月の記録的な低温等の天候不順による影響を受け、前年同期比で減収に。

営業利益が減益となったのは、連結子会社のイオンディライト株式会社の子会社である株式会社カジタクで判明した過年度の不正会計処理及び誤謬の修正額を、当第1四半期連結累計期間に一括計上したことによるものです。不正会計処理の影響を除くと増益ですが、GMS事業は赤字、SM事業は減益と中核事業は不振です。

イオンの株価推移

画像出典元:SBI証券

第1四半期では子会社不正会計の影響で43億円の最終赤字となり、株価も急落しましたが、ドラッグストアという新たな稼ぎ頭の貢献により株価は持ち直しています。

子会社の不正会計

イオンの連結子会社であるイオンディライト株式会社は2019年4月5日、連結子会社である株式会社カジタクにおいて、不適切な会計処理が行われていた可能性があることが判明したと発表。4月11日に特別調査委員会を設置し、調査結果が6月28日に公表されました。


カジタクのトップページ

カジタクは家事支援事業と店頭支援事業を展開しており、不正が発覚したのは店頭支援事業のほうです。店頭支援事業は、小売店舗等に対して複写機や証明写真機の販売、保守等を行う事業で、売上高の8割を占めています。店頭支援事業は利益が出ていましたが、家事支援事業は赤字が続いていたという状況でした。

調査の結果、以下の不正会計が発覚しました。

  • 未設置物件請求による売上計上
  • 損益調整による架空売上げの計上等
  • B社に対する仕入れの未計上等
  • 中古複写機等の仕入れの未計上
  • 新品複写機の仕入れの未計上等
  • 実態を反映しない棚卸資産評価等 
  • 実態を伴わない売掛金・勘定残高の存在 
  • 実態を伴わない仮勘定残高の残置 
  • 修正を要するその他の不適切な会計処理

不正が行われていた背景として、コンプライアンス意識の欠如、杜撰な業務管理に加え、赤字続きの家事支援事業を補うため、店頭支援事業では売上げ及び利益を予算どおりに計上する必要があったと考えられます。

イオンディライトは、特別調査委員会の調査結果を踏まえ、カジタク不正行為に係る連結財務諸表への最終的な累積影響総額として、過去5期(2014年2月期~2018年2月期)および2019年2月期修正分、総額△162億5,200万円を計上することに。

今後は再発防止に努め、店頭支援事業は新規の機器販売、設置をいったん停止し、既存契約の改善に注力していくとしています。

セグメント別の業績

セグメント別の業績を簡単に見ていきましょう。

GMS事業

  • 営業収益:1兆5,304億3,100万円(前年同期比△0.3%)
  • 営業損失:△75億3,400万円(前年同期より16億7,400万円の減益)

イオンリテールは、7月の記録的な低温・長雨が売上に影響し前年同期比で減収に。

また、粗利率の低下により赤字幅が拡大しています。ドラッグストアやディスカウント業態などへの価格対応や、ナショナルメーカー各社からの値上げの要請等の結果、粗利率は悪化。さらに7月の長梅雨により、想定を上回る在庫処分が発生。GMS事業は苦戦しています。

 

SM事業

  • 営業収益:1兆6,051億5,500万円(前年同期比△1.5%)
  • 営業利益:28億1,500万円(前年同期比△74.7%)

SM事業も、前年同期比で減収減益と苦戦しています。競争激化や7月の天候不順により減収に。営業利益は人件費増に加え、商品仕入価格や物流費の上昇圧力により大幅な減益となっています。

消費者態度指数は12ヶ月連続で悪化し過去最低の数値となり、消費税増税、コスト増によりSM事業は今後も厳しい状況が続くと思われます。

 

ヘルス&ウエルネス事業

  • 営業収益 :4,347億4,100万円(前年同期比+10.1%)
  • 営業利益:169億5,900万円(前年同期比+24.5%)

好調です。特に、連結子会社のウエルシアホールディングス株式会社が前年同期比2桁増収増益と好調に推移し、グループの業績を牽引しています。

総合金融事業

  • 営業収益:2,393億9,700万円(前年同期比+13.0%)
  • 営業利益:342億700万円(前年同期比+7.1%)

こちらも好調です。国内のイオンカードの有効会員数は 2,857 万人(前年同期差51万人増)、カードショッピング取扱高は2兆8,368 億円(前年同期比+8.8%)と好調に推移しています。

ディベロッパー事業

  • 営業収益:1,846億2,500万円(前年同期比+3.6%)
  • 営業利益:302億3,900万円(前年同期比+18.9%)

国内、海外ともに好調に推移。海外事業は、中国、アセアンともに増収増益となっています。

サービス・専門店事業

  • 営業収益:3,789億600万円(前年同期比△4,2%)
  • 営業利益:22億1,500万円(前年同期比△83.9%)

大幅な減益となっていますが、カジタクの不正会計一括計上の影響を除けば増益。

国際事業

  • 営業収益:2,231億6,400万円(前年同期比+1.2%)
  • 営業利益:40億1,200万円(前年同期比+739.4%)

国際事業は前年同期に対し増収、営業利益は7.5倍と大幅な増益となっています。イオンマレーシア、イオンタイランドは好調に推移。中国においても売上が好調に推移し、損益が改善しています。

2020年2月期の業績予想

2020年2月期は、前期に対し増収増益となる見込みです。

  • 営業収益:8兆6,000億円(前期比+1.0%)
  • 営業利益:2,300億円(前期比+8.4%)
  • 経常利益:2,200億円(前期比+2.3%)
  • 当期純利益:2,500億円(前期比+5.8%)

イオンはGMS事業、SM事業が中核事業でしたが、ここ最近は低迷しています。一方、その他の事業は好調に推移しています。多様な事業展開が奏功し、子会社不正会計を計上してもなお、増益を確保する見込みです。

事業内容

イオンは、純粋持株会社及び293社の連結子会社、29社の持分法適用関連会社により構成され、GMS(総合スーパー)事業を核とした小売事業を中心として、総合金融、ディベロッパー、サービス・専門店等の各事業を複合的に展開しています。

1

GMS事業

総合スーパー、弁当惣菜専門店

2

SM事業

スーパーマーケット、ディスカウントストア、コンビニエンスストア、小型スーパーマーケット

3

ヘルス&ウエルネス事業

ドラッグストア、調剤薬局等

4

総合金融事業

クレジットカード事業、フィービジネス、銀行業

5

ディベロッパー事業

ショッピングセンターの開発及び賃貸

6

サービス・専門店事業

総合ファシリティマネジメントサービス業、アミューズメント、外食、ファミリーカジュアルファッション・婦人服・靴等を販売する専門店

7

国際事業

アセアン地区及び中国における小売事業

8

その他事業

モバイルマーケティング事業、デジタル事業等

画像出典元:「イオン株式会社」決算説明会資料

会社概要

会社名 イオン株式会社(純粋持株会社)
事業内容 小売、ディベロッパー、金融、サービス、およびそれに関連する事業を営む会社の株式または持分を保有することによる当該会社の事業活動の管理
所在地 千葉県千葉市美浜区中瀬1-5-1
設立日 1926年(大正15年)9月
代表 岡田 元也
資本金 2,200億700万円
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