再生医療関連事業を展開する「セルソース」の決算を見ていきます。
2020年10月期第1四半期の業績は、前期に対し増収増益となっています。創業以来の増収増益が続いており、業績予想に対して営業利益、経常利益、当期純利益の進捗率はいずれも30%を超過しています。
【グラフ】売上高
再生医療関連事業は順調に増加し売上高は四半期ベース過去最高で、新プロモーションを開始したコンシューマー事業は第2四半期以降の収益拡大を見込むようです。
【グラフ】販管費
事業拡大による人件費増加も、コンシューマー販売戦略変更に伴い広告宣伝費を抑制し、販管費も減少しました。
脂肪由来幹細胞加工受託件数、血液由来加工受託件数、提携医療機関数すべてにおいて大きく増加しており、売上高営業利益率は上昇しています。
なお、業績予想について変更はありません。
画像出典元:「セルソース株式会社」決算説明会資料
再生医療関連事業を展開する「セルソース」の決算を見ていきます。
2019年10月期通期の業績は、前期に対し増収増益となっています。創業以来、増収増益を続け、当期は計画上振れで着地。好調です。なお、セルソースは2019年10月28日に東京証券取引所マザーズに上場しています。
増収となった主な要因は、再生医療関連事業において加工受託数、提携医療機関数ともに順調に拡大したことによるものです。脂肪由来幹細胞加工受託件数は806件(前期比217件増)、血液由来加工受託件数は4,422件(前期比2,691件増)、提携医療機関数は296院(前期比163院増)と着実に増加。今後、さらに増加する見込みです。
一方、コンシューマー事業は前期比で減収となっています。
【グラフ】売上高推移
営業利益に関しては、再生医療関連事業、コンシューマー事業ともに増益を確保。コンシューマー事業は広告宣伝費抑制が奏功しました。営業利益率は前期比で4ポイント低下の20.3%となりましたが、これは上場に伴う人員・管理体制強化により販管費が増加したため。
財政状態は、現預金が13億3,300万円、自己資本比率87%、有利子負債ゼロと安定しています。
2020年10月期は、前期に対し2桁増収増益となる見込みです。
再生医療関連事業においては、再生医療に対する社会的認知度の一層の高まりにより、引き続き堅調な成長を継続していく見込みです。コンシューマー事業においては、2019年7月より化粧品「シグナリフト」シリーズがドラッグストア「トモズ」で店頭販売開始となりましたが、今後も販路を拡大しながら利益も確保していくとのことです。
また、2019年11月26日、住商ファーマインターナショナルと脂肪組織由来幹細胞の分譲契約を締結し研究用途での提供を開始したと発表。今まで輸入に頼っていた脂肪由来幹細胞をセルソースが提供することになりました。
再生医療の研究は進んでおり、整形外科領域・形成外科領域に加え、さらなる対象領域の拡大が見込まれます。今後の動きに目が離せません。
セルソースは、創業者である山川雅之氏(医師・現筆頭株主・元代表取締役)と裙本理人氏(現代表取締役社長)により、再生医療の産業化推進を目的として2015年に創業されました。
創業のきっかけは、2014年に再生医療等安全性確保法が施行されたこと。
裙本社長は神戸大学卒業後、約10年間住友商事でロシアの資源ビジネスを担当していましたが、この法律施行により再生医療周辺の新たなビジネスチャンスが創出されたと考え、趣味のトライアスロンを通じて知り合った山川医師とともに翌2015年にセルソースを創業。山川医師は現在経営から離れていますが、自由診療クリニックを多数創設しています。
これまで、薬機法(「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」)のもと、保険診療を目指し、多くのバイオベンチャーは赤字を掘りながら治験や研究開発を先行させてきましたが、再生医療等安全性確保法が施行されたことにより、国に届出をして認可を受けた治療に関しては自由診療で再生医療を推進できるようになりました。
セルソースの事業領域は、再生医療市場誕生による新しい領域であり、取引先はすべて医療機関。再生医療等安全性確保法により、医療機関は再生医療に用いる細胞の加工作業を外部企業へ委託することが認められるようになったため、セルソースはその細胞加工を一手に引き受けています。
現在行っている細胞加工サービスは、脂肪由来幹細胞加工受託サービスと血液由来加工受託サービスの2つで、ターゲットとする市場は、国内の推定有病者数2,530万人以上と言われる変形性膝関節症。今後、高齢化社会によりマーケットは拡大すると思われます。
そのほか、既に臨床応用しているのが乳房再建で、乳がんの患者が乳房を全摘出した後、再建手術の選択肢として幹細胞を用いた乳房再建を提案しています。
なお、報告セグメントは「再生医療関連事業」と「コンシューマー事業」の2つ。
① 脂肪・血液由来の組織・細胞の加工受託サービス
② コンサルティングサービス
③ 医療機器販売
再生医療センターでの脂肪由来幹細胞の研究に基づき開発された化粧品の製造販売を行うほか、美顔器の通信販売を行っています。
画像出典元:「セルソース株式会社」決算説明資料
となりました。
医薬品の研究開発には多額の初期投資を必要とし、その投資資金回収も他産業と比べ長期に及ぶため、ベンチャー企業の場合、一般的に期間損益のマイナスが先行する傾向にあります。しかしながら、セルソースの創業は2015年11月とまだ新興の企業ですが、バイオベンチャーの中で初年度から黒字化し、その後も急速に拡大しているので、今後の業績にも期待が膨らみます。
セルソース株式会社は、再生医療に用いる細胞等加工や研究開発を行うバイオベンチャーです。
医療機関が再生医療を提供するためには、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」で 規定される各種申請ならびに運用が必要となります。 再生医療を提供する際に必要な厚労省への申請業務と、参入後の各種運用手続きを「再生医療等安全性確保法」に基づいて一括サポートします。
コンシューマー事業では、再生医療の研究にもとづき開発した、複合成分「Signa-Peptide®(シグナペプチド®)」を配合した美容液をはじめ、人生、二度目の美肌へと導く、エイジングケア化粧品シリーズ「Signalift(シグナリフト)」を展開しています。
厚生労働省許可の特定細胞加工物製造施設 再生医療等の安全性の確保等に関する法律のもと、特定細胞加工物の製造許可を受けた専門施設「セルソース再生医療センター」にて細胞等の加工・培養を行っています。
2016年5月、世界的に実績のあるMedikan社(韓国)と独占的販売の契約を締結しました。
2017年2月には、厚生労働省より「特定細胞加工物製造許可」を取得、企業が設立され1年と3ヶ月で取得したことは、業界で最速となります。
2018年11月、箱根駅伝で“3代目山の神”と呼ばれていたプロランナーの神野大地選手と所属契約を結び、2020年東京オリンピックに向けてサポートしていくと発表しています。
世界の再生医療の市場規模は、2012年に3,400億円だったものが2050年には53兆円、国内でも260億円が3.8兆円まで成長すると予測されています。
巨大市場での成長が楽しみな企業です。
2019年9月19日、東京証券取引所マザーズへの新規上場が承認されました。
上場日は2019年10月28日の予定です。
出典:公式HP
営業黒字転換!3Qは消費増税と暖冬の影響を受けた「RIZAPグループ」の第3四半期決算
セ・リーグに所属する球団運営会社とその親会社の決算をまとめてみました!
出版社発マンガアプリサービスを中心に急成長する「Link-U」の第2四半期決算
事業拡大期で黒字を継続している「ツクルバ」の第2四半期決算
マザーズ上場へ!電子マネー決済やQRコード決済等、消費者ニーズに合わせた決済手段を提供「GMOフィナンシャルゲート」の第21期決算
世界最速でiPS細胞の具現化を目指すバイオベンチャー「ヘリオス」の通期決算
インフルエンサーマーケティングやMimiTVも好調の「トレンダーズ」の第3四半期決算
マザーズ上場へ!「ヒト.モノ.コト」の正しさを認証、セキュリティシステムで証明、サービスの信頼性を支える「サイバートラスト株式会社」の第19期決算
LINEがグループで300億円出資を決定!巣ごもり消費で需要拡大が期待される「出前館」の第2四半期決算
最終27億円の赤字!新型コロナ追い討ちで資金繰りが悪化している「ペッパーフードサービス」の通期決算