自ら考えて飛行する完全自律型ドローンの開発・製造・販売を行う「株式会社自律制御システム研究所(ACSL)」の決算を見ていきます。
第3四半期累計で3億3,500万円の売上を計上し、大型案件の増加による売上の下期偏重及び国家プロジェクトの金額減少により、前年度対比では売上は減少いたしました。
【グラフ】四半期別の売上高、営業利益
案件獲得見込みは7億900万円でソリューションの構築、機体販売は、これまでの第3四半期に比較して横ばいとなりましたが、国家プロジェクトの売上が減少(昨年度6,500万円、今年度1,800万円)既存顧客からもソリューションの構築に関する需要が強く、大型案件の取り組みを行っており、また、通期における業績見通しに変更はなく、コストに関しても業績予想時点からコスト構造の大きな変化はないようです。
既存顧客を中心に実業務の導入に向けた取り組みが加速し、また新規顧客の開拓も順調に拡大し、安全性や信頼性の観点から、国産ドローンに対する直近の需要が高まっていくようです。
なお、業績予想に変更はありません。
画像出典元:「自律制御システム研究所」決算説明資料
となりました。
となっております。
ドローン関連事業を展開する「株式会社自律制御システム研究所」の決算を見ていきます。
2020年3月期 第1四半期の累計業績(非連結)は、前年同期に対して減収減益となっています。
【グラフ】売上高の推移
前年度は第1四半期に国家プロジェクトの売上(約6,500万円)を計上したため、前年度対比で売上高は減少しました。
ソリューション構築(STEP1,2)は新規顧客からの新規案件、既存顧客からの別用途に応じて14件を実施。前年同期比で順調に拡大しています。
また、機体販売 (STEP3,4)は前年同期比で販売台数は横ばいとなるも、単価が増加し、売上高は大きく増加しました。
【グラフ】四半期別の売上高、営業利益
売上高・営業利益の推移を見ると、プロジェクトの大型化により、売上計上は下期に大きく変動する特徴があり、今年度も同様の傾向が見込まれます。
【グラフ】売上総利益・研究開発費の推移
研究開発費は、年間を通じて計上時期のばらつきがあるものの、一定規模の投資を維持。
画像処理(Vision)を軸とした自律制御・エッジ処理の高度化、4Gネットワークを活用した飛行制御の技術開発、飛行性能及び安全品質を支える基盤技術向上、操作に関連するユーザーインターフェース強化等を継続。
また、それらを活用し、顧客フィードバック、業務ノウハウを反映した用途特化型のカスタム開発を実施しています。
プラットフォーム製品としては、PF-1に続く次期プラットフォーム機PF-2および小型機(Mini)の製品化への投資を継続するとのこと。
今年7月、海外展開として「株式会社リバネス」及び「リバネスシンガポール」と連携して、東南アジアへの事業展開を本格化することを発表。
スタートアップ支援のリバネスと、東南アジア地域での活動拠点確保や現地事業、会社・政府との連携、人材採用等で連携し、東南アジア諸国に対するドローン・ソリューションの社会実装に取り組む方針です。
なお、業績予想に変更はありません。
画像出典元:「株式会社自律制御システム研究所」決算説明会資料
2019年3月期通期の業績は、前期に対し大幅な増収となりました。売上高は前年同期比で2倍以上となり、業績予想の8億300万円を達成しました。
また売上拡大に伴い、売上総利益率も改善し、営業損失等も縮小しています。
自律制御システム研究所(ACSL)はドローン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はありません。
【グラフ】売上高の推移
売上高は、「ソリューションの構築(STEP1,2)」と「機体販売(STEP3,4)」で区別しています。どちらも順調に増加しており、特に機体販売は大幅な増加となっています。
【グラフ】機体販売売上高の推移
機体販売は、顧客企業でのドローンシステムの導入が進み、販売台数は前期の40台から今期は106台へと大幅に拡大しました。
それに伴い、機体販売売上も前期の4.26倍の3億8,400万円となりました。
【グラフ】ソリューション構築売上高の推移
ソリューション構築は、新規顧客の開拓に加えて、既存顧客からの別用途の活用ニーズも増え、案件数が大きく増加しました。
【グラフ】その他の売上高
その他の売上高として、累積機体導入数の増加に伴い、部品販売等のメンテナンスの売上高も増加。また、一部の国家プロジェクトにおいて、収受する補助金に関して、営業外収益としてを売上計上しています。
【グラフ】売上総利益・研究開発費の推移
売上拡大に伴い、売上総利益率は増加し粗利益率は50%を実現しました。
また、研究開発費は事業拡大に対して一定規模を維持しており、売上高比率は年々順調に低下しています。
2020年3月期は、前年に対し増収増益を見込んでおり、今期も高い売上成長率を維持し、14億円の売上高を見込んでいます。
売上高は、ソリューションの構築によるさらなる顧客基盤拡大に加え、顧客先での導入が進む事により、機体販売が増加すると発表。20年3月期はソリューション案件数は110件、機体販売台数は220台を目標としています。
【グラフ】利益の見込み
国家プロジェクトによる助成金の収入に伴い、経常利益は1億円以上の黒字を見込んでいます。
20年3月度より利益の黒字化を目指します。
画像出典元:「株式会社自律制御システム研究所(ACSL)」決算説明資料
2019年第3四半期累計期間の業績は、前年同期に対し大幅な増収となりました。ドローン関連事業領域の良好な市場環境により売上が拡大し、赤字幅も縮小しました。
売上拡大に伴い、売上総利益率は2017年の42.5%から48.1%に上昇しました。研究開発費は一定規模の投資を継続していますが、売上に対しての比率は2017年の231%から74%に低下しました。
ドローン関連業界を取り巻く環境は、物流・郵便、インフラ点検、防災・災害支援分野を中心にオペレーションの高度効率化・無人化・IoT化等の開発投資が続いています。
労働人口減による労働不足を補う意味でも産業向けドローンの活用は期待されています。
国や規制機関においては、第三者上空飛行並びに目視外飛行を主としたドローンの活用に関するルールやガイドラインの整備が進んでいます。今後、民間を中心とした様々な産業分野でのドローンの利活用が期待され、産業向けドローンに関連する市場はさらなる拡大が見込まれています。
ACSLでは、高いレベルでの自律飛行を多頻度で行うことが求められる「物流・郵便」「インフラ点検」「防災・災害対応」市場の展開に注力しています。
2018年11月に航空法審査要領改訂後、全国初の補助者無し目視外飛行に日本郵便が許可され、ACSLドローンにて小高・浪江郵便局間の9kmの配送を開始。これにより従来トラックで約25分かかっていた距離を約15分に短縮できました。
大手化学プラント企業に対して、プラント内の配管をドローンが自動で撮影・判定し、点検調書まで作成できるシステムを提供。これによりプラントでの腐食点検の無人化が可能となりました。
国土交通省より超特例として九州豪雨災害時の飛行許可を受け、往復6kmの範囲を50km/hで飛行し、消防庁の情報収集に貢献しました。
売上高は第4四半期に集中する傾向にあり、今期においても第4四半期の売上高の比重が高くなることを見込んで売上高予想を策定しています。
大企業及び官公庁が関連するプロジェクトにおいてドローンの機体販売や概念検証サービスの提供を行っているため、予算消化サイクルと連動して年間契約案件の検収が年度末に集中する傾向にあります。
通期の予想は以下のとおりです。
人件費や研究開発費にかかる費用負担が大きいため、損益については赤字で推移することを想定しています。
「ドローンは、空の産業革命をもたらす」というヴィジョンを掲げ、完全自律型ドローン(自ら考えて飛行する小型飛行ロボット)の開発・製造・販売を行っています。
コンシューマー向けドローンは業務の一部しか代替ができませんが、ACSLの産業向けドローンは飛行前のシミュレーションや、経路設定をはじめ、飛行時のドローンの制御、飛行後のデータ解析まで、自社開発のアプリケーションを用いることで一気通貫で業務無人化・IoT化を実現しています。
主な顧客は大手企業及び官公庁で、ビジネスモデルはドローンを活用したソリューション構築による特注システムの直接販売となっています。
STEP型の概念検証型アプローチによる販売モデル
最初のステップとして、顧客企業からのドローン導入の打診に基づき、顧客企業の課題に対してドローン活用による課題解決が可能かどうかの検討を行う概念検証を行います。
次のステップとして、それぞれの顧客のドローン活用用途に応じ、特注システム全体のカスタム設計・開発を行います。
顧客先における試用(パイロット)もしくは商用ベースでの導入として、特注システムの生産供給を行います。さらに、特注システムの繰り返し生産並びに保守・メンテナンスサポートを実施します。
STEP4は、各事業年度の発注数量が10台以上の生産供給と定義しています。
産業向けドローン・プラットフォームであるACSL-PF1を軸に展開してきましたが ドローン分野以外においても、Visual-SLAM(画像処理による自己位置推定)技術を中心として制御システムの展開を開始しています。
ACSL-PF1に続く次期プラットフォーム開発に向けた投資を継続しています。
画像出典元:「株式会社自律制御システム研究所(ACSL)」決算説明資料
当期純利益は4億6,041万円の赤字となりました。
自律制御システム研究所(ACSL)は、物流・空撮・測量・点検等、産業用に特化したドローンを開発しています。千葉大学特別教授の野波 健蔵氏の完全自律型ドローン技術を応用して、2013年に設立されました。
楽天のドローン配送サービスの「そら楽」で使われている機体の製造も行なっています。
画像出典元:「自律制御システム研究所」公式HP
世界最大手のドローンメーカーである中国のDJIの2017年の売上高は27億ドル。ドローン市場は2020年までに150億ドルまで拡大すると言われている中、ACSLの売上高は3億円に留まっています。
ようやく国土交通省が8月に離島や山間部でドローンによる遠方への荷物の配送を解禁。2020年以降に都市部での商用化を本格的に推進していくと発表したので、これからのACSLの活躍が楽しみです。
ACSLはこれまで巨額の資金調達に成功しています。
2016年3月には楽天およびUTECから総額7.2億円の増資を完了し、経営力の強化・売上の成長を遂げています。
また2018年1月9日には、未来創生ファンドおよびiGlobe Partners・みずほキャピタル・東京大学エッジキャピタルが運営するファンドと、投資家の千葉功太郎氏が運営するDrone Fundを引受先とする、総額21億2000万円の第三者割当増資の実施を発表しました。
今後の海外進出によるグローバル環境での競争、技術革新の加速を見据えた中期的な経営資本の増強が目的です。
これにより、ACSLがこれまでに調達した資金は累計で約28億となりました。
2018年12月21日に東証マザーズ市場に上場しました。
公開価格3400円を下回る初値となりましたが、国産ドローン・ベンチャーによる初のIPOとして注目を集めました。
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