株式会社自律制御システム研究所(ACSL)の決算/売上/経常利益を調べ、世間の評判を徹底調査

記事更新日: 2019/02/27

執筆: 山中恵子

売上高82%増!巨大な潜在市場を持つ産業用ドローンを開発・製造する「ACSL」の第3四半期決算

2019年3月期 第3四半期 累積業績

  • 売上高:4億1,400万円(前年同期比+82%)
  • 営業損失:△3億7,400万円
  • 経常損失:△2億1,500万円
  • 当期損失:△2億1,800万円

2019年第3四半期累計期間の業績は、前年同期に対し大幅な増収となりました。ドローン関連事業領域の良好な市場環境により売上が拡大し、赤字幅も縮小しました。

売上拡大に伴い、売上総利益率は2017年の42.5%から48.1%に上昇しました。研究開発費は一定規模の投資を継続していますが、売上に対しての比率は2017年の231%から74%に低下しました。

ドローン利活用の主な市場

ドローン関連業界を取り巻く環境は、物流・郵便、インフラ点検、防災・災害支援分野を中心にオペレーションの高度効率化・無人化・IoT化等の開発投資が続いています。

労働人口減による労働不足を補う意味でも産業向けドローンの活用は期待されています。

国や規制機関においては、第三者上空飛行並びに目視外飛行を主としたドローンの活用に関するルールやガイドラインの整備が進んでいます。今後、民間を中心とした様々な産業分野でのドローンの利活用が期待され、産業向けドローンに関連する市場はさらなる拡大が見込まれています。

ACSLでは、高いレベルでの自律飛行を多頻度で行うことが求められる「物流・郵便」「インフラ点検」「防災・災害対応」市場の展開に注力しています。

  • 物流・郵便事例

2018年11月に航空法審査要領改訂後、全国初の補助者無し目視外飛行に日本郵便が許可され、ACSLドローンにて小高・浪江郵便局間の9kmの配送を開始。これにより従来トラックで約25分かかっていた距離を約15分に短縮できました。

  • インフラ点検事例

大手化学プラント企業に対して、プラント内の配管をドローンが自動で撮影・判定し、点検調書まで作成できるシステムを提供。これによりプラントでの腐食点検の無人化が可能となりました。

  • 防災・災害対応事例

国土交通省より超特例として九州豪雨災害時の飛行許可を受け、往復6kmの範囲を50km/hで飛行し、消防庁の情報収集に貢献しました。

今後の見通し

売上高は第4四半期に集中する傾向にあり、今期においても第4四半期の売上高の比重が高くなることを見込んで売上高予想を策定しています。

大企業及び官公庁が関連するプロジェクトにおいてドローンの機体販売や概念検証サービスの提供を行っているため、予算消化サイクルと連動して年間契約案件の検収が年度末に集中する傾向にあります。

通期の予想は以下のとおりです。

  • 売上高:8億300万円(前期比+117%)
  • 営業損失:△3億200万円
  • 経常損失:△1億5,000万円
  • 当期損失:△1億5,000万円

人件費や研究開発費にかかる費用負担が大きいため、損益については赤字で推移することを想定しています。

ACSLの事業内容

「ドローンは、空の産業革命をもたらす」というヴィジョンを掲げ、完全自律型ドローン(自ら考えて飛行する小型飛行ロボット)の開発・製造・販売を行っています。

コンシューマー向けドローンは業務の一部しか代替ができませんが、ACSLの産業向けドローンは飛行前のシミュレーションや、経路設定をはじめ、飛行時のドローンの制御、飛行後のデータ解析まで、自社開発のアプリケーションを用いることで一気通貫で業務無人化・IoT化を実現しています。

ビジネスモデル

主な顧客は大手企業及び官公庁で、ビジネスモデルはドローンを活用したソリューション構築による特注システムの直接販売となっています。

STEP型の概念検証型アプローチによる販売モデル

  • ソリューションの構築(STEP1)

最初のステップとして、顧客企業からのドローン導入の打診に基づき、顧客企業の課題に対してドローン活用による課題解決が可能かどうかの検討を行う概念検証を行います。

  • ソリューションの構築(STEP2)

次のステップとして、それぞれの顧客のドローン活用用途に応じ、特注システム全体のカスタム設計・開発を行います。

  • 量産機体の販売(STEP3・STEP4)

顧客先における試用(パイロット)もしくは商用ベースでの導入として、特注システムの生産供給を行います。さらに、特注システムの繰り返し生産並びに保守・メンテナンスサポートを実施します。

STEP4は、各事業年度の発注数量が10台以上の生産供給と定義しています。

ACSLのこれから

産業向けドローン・プラットフォームであるACSL-PF1を軸に展開してきましたが ドローン分野以外においても、Visual-SLAM(画像処理による自己位置推定)技術を中心として制御システムの展開を開始しています。

ACSL-PF1に続く次期プラットフォーム開発に向けた投資を継続しています。

画像出典元:「株式会社自律制御システム研究所(ACSL)」決算説明資料

 

 

第6期 決算公告(18年8月更新)

  • 売上高:3億7,018万円
  • 経常利益:△4億5,415万円
  • 当期純利益:△4億6,041万円
  • 利益剰余金:△10億2,126万円

当期純利益は4億6,041万円の赤字となりました。

自律制御システム研究所(ACSL)は、物流・空撮・測量・点検等、産業用に特化したドローンを開発しています。千葉大学特別教授の野波 健蔵氏の完全自律型ドローン技術を応用して、2013年に設立されました。

楽天のドローン配送サービスの「そら楽」で使われている機体の製造も行なっています。

画像出典元:「自律制御システム研究所」公式HP

世界最大手のドローンメーカーである中国のDJIの2017年の売上高は27億ドル。ドローン市場は2020年までに150億ドルまで拡大すると言われている中、ACSLの売上高は3億円に留まっています。

ようやく国土交通省が8月に離島や山間部でドローンによる遠方への荷物の配送を解禁。2020年以降に都市部での商用化を本格的に推進していくと発表したので、これからのACSLの活躍が楽しみです。

多額の資金調達に成功

ACSLはこれまで巨額の資金調達に成功しています。

2016年3月には楽天およびUTECから総額7.2億円の増資を完了し、経営力の強化・売上の成長を遂げています。

また2018年1月9日には、未来創生ファンドおよびiGlobe Partners・みずほキャピタル・東京大学エッジキャピタルが運営するファンドと、投資家の千葉功太郎氏が運営するDrone Fundを引受先とする、総額21億2000万円の第三者割当増資の実施を発表しました。

今後の海外進出によるグローバル環境での競争、技術革新の加速を見据えた中期的な経営資本の増強が目的です。

これにより、ACSLがこれまでに調達した資金は累計で約28億となりました。

マザーズ上場へ

2018年12月21日に東証マザーズ市場に上場しました。

公開価格3400円を下回る初値となりましたが、国産ドローン・ベンチャーによる初のIPOとして注目を集めました。

会社概要

会社名 株式会社自律制御システム研究所(ACSL)
事業内容 自律制御型各種ロボットシステムの開発・製造・販売
所在地 千葉県千葉市美浜区中瀬二丁目6番地1 WBGマリブウエスト 32階
設立日 2013年11月1日
代表 太田 裕朗
資本金 30億4,201万(資本準備金含む)
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