株式会社メドレーの決算/売上/経常利益を調べ、IR情報を徹底調査

執筆: 山中恵子

営業黒字に転換!新型コロナ対応でCLINICSオンライン診療を調剤薬局向けに提供開始した「メドレー」の通期決算

2019年12月期 通期決算

  • 売上高: 47億6,500万円(前期比+62.5%)
  • EBITDA:2億4,900万円
  • 営業利益:1億5,300万円
  • 経常利益:1億7,800万円
  • 当期純利益:△3億8,100万円

人材プラットフォーム事業、医療プラットフォーム事業を展開する「メドレー」の決算を見ていきます。なお、メドレーは、2019年12月12日に東京証券取引所マザーズに上場しています。

2019年12月期通期の業績は、前期に対し売上高は+62.5%成長、営業利益は黒字に転換しています。

全セグメントにおいて前期比で増収を達成していますが、なかでも主力事業の人材プラットフォーム事業が牽引。人材プラットフォーム事業が堅調に推移したことにより、決算発表直前の1月31日に通期の業績予想は上方修正されています。

【グラフ】売上高推移

営業利益は黒字化を達成していますが、人材プラットフォーム事業の利益をもとに積極的な成長投資を続けているとのこと。

特に人員増強に力を入れており、当第4四半期において、2020年に向けた採用活動を前倒しで実施したことにより全社共通費用が拡大しています。

【グラフ】営業利益推移

なお、親会社株主に帰属する当期純損失が3億8,100万円となったのは、2019年3月に日本医師会標準レセプトソフト「ORCA」の開発を担う株式会社NaClメディカル(島根県)の全株式を取得し連結子会社(完全子会社)としたことに伴い、のれんの減損損失4億9,448万円を計上したことによるものです。

新型コロナ対応

2月28日、厚生労働省より「新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて」という事務連絡が発出。

これを受けメドレーは、国家戦略特区での事例を除き診療所・病院に限定していたCLINICSオンライン診療の提供を一時的に調剤薬局にも拡大し、調剤薬局向けの導入相談窓口を設置。

CLINICSオンライン診療が調剤薬局に導入されることで、患者はオンライン診療と服薬指導を同一アプリ内で完結し、外出することなく診療を受け薬剤を受けとることが可能となりました。

2020年12月期の業績予想

2020年12月期は、大幅な増収増益、最終黒字に転換する見込みです。

  • 売上高: 66億円〜69億円(前期比+38.5%〜+44.8%)
  • EBITDA:5億円〜8億円(前期比+100.8%〜+221.3%)
  • 営業利益:3億3,000万円〜6億3,000万円(前期比+115.5%〜+311.3%)
  • 経常利益:3億5,000万円〜6億5,000万円(前期比+96.2%〜+264.5%)
  • 当期純利益:3億円〜5億5,000万円

成長率や新規事業立ち上げなど、一定の不確定要素が含まれることからレンジ予想となっています。

また、引き続き高成長が見込まれますが、診療報酬改定の影響や各種規制緩和の影響は織り込まれていません。

2020年度は歯科向けサービスも開始予定。中長期的には、年平均成長率30%の増収を継続しつつ、成長投資も行っていくとのこと。

オンライン診療の規制緩和など、医療ヘルスケア業界におけるデジタル活用の推進に向けた法整備(規制緩和)が進む中、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、オンライン診療は俄然注目を浴びています。

オンライン診療の普及が進むか、今後の動向に注目です。

メドレーとは

メドレーは2009年、医療ヘルスケア領域の課題を解決することをミッションに設立されました。

創業者で現社長の瀧口浩平氏は開成中学中退、東京学芸大学付属高校在学時に起業、大学には進学せずという異色の経歴を持ちます。メドレーは2社目の起業。祖父の病気がきっかけだったそうです。

まず、医療介護現場の人材不足という課題解決を目的に、医療介護の求人サイト「ジョブメドレー」の提供を2009年より開始。

2015年には共同経営者として、代表取締役医師・豊田剛一郎氏が就任。豊田氏は東京大学医学部卒の脳外科医でしたが、医師を辞めてメドレーの共同経営者に。アナウンサーの小川彩佳さんと結婚されたことでも知られています。

同年、社内外の医師監修による医療メディア「MEDLEY(メドレー)」を提供開始。さらに、プラチナファクトリー株式会社を完全子会社化し、介護施設の検索サイト「介護のほんね」の運営を開始。

2016年、オンライン診療システム「CLINICS(クリニクス)」を提供開始。

オンライン診療を取り巻く環境としては、2015年の厚生労働省からの事務連絡より、遠隔診療が事実上の解禁となり、2018年にはオンライン診療の診療報酬が新設されたものの、厳しい制限が伏され、なかなか普及は進んでいません。

2019年に、日本医師会標準レセプトソフト「ORCA」の開発を担う株式会社NaClメディカル(島根県)の全株式を取得し連結子会社(完全子会社)化。

創業10周年の節目となる2019年には、「医療ヘルスケア分野の課題を解決する」から「医療ヘルスケアの未来をつくる」にミッションが変更されました。

事業内容

グループは、メドレー及び連結子会社の株式会社NaClメディカルの2社で構成されています。

「医療ヘルスケアの未来をつくる」というミッションのもと、医療ヘルスケア領域において各種インターネットサービスを開発・提供。

具体的には、医療ヘルスケア領域における人材の不足や地域偏在という課題を解決する人材プラットフォーム事業として「ジョブメドレー」を、医療機関の業務効率の改善や患者の医療アクセスの向上等を実現するための医療プラットフォーム事業として「CLINICS」及び「MEDLEY」を展開。

また、介護施設を探す方のための介護施設検索サイト「介護のほんね」等の新規開発サービスにも取り組んでいます。

ビジネスモデルは、顧客事業所に対してSaaS型のサービスを提供することを中心に収益を上げています。

1

人材プラットフォーム事業

 

医療ヘルスケア領域における人材の不足や地域偏在という課題を解決するために成果報酬型の人材採用システム「ジョブメドレー」を運営・提供しています。

 

2

医療プラットフォーム事業

 

① クラウド診療支援システム「CLINICS」

 

オンライン診療システムに加え、患者予約管理システムやクラウド型電子カルテ等を開発・提供しています。

 

 

② 医療情報提供サービス「MEDLEY」

 

グループ所属の医師による編集や700人を超える外部の協力医師により、医療情報を最新の情報に更新し、1,400以上の病気、3万以上の医薬品、16万以上の医療機関の情報をインターネット上で無償公開しています。

 

 

③ 株式会社NaClメディカル

 

連結子会社(完全子会社)である株式会社NaClメディカルとして医事会計ソフトウェアの受託開発等

3

新規開発サービス

介護施設検索サイト「介護のほんね」を運営・提供しています。

画像出典元:「株式会社メドレー」成長可能性に関する説明資料・決算説明資料・公式HP

 

 

新規上場<第10期決算公告>(19年11月更新)

  • 売上高:29億3,304万円
  • 経常利益:△8,783万円
  • 当期純利益:△1億5,356万円

となっております。

第10期決算公告(2019年5月更新)

業績推移

決算期
(百万円)
16/12
(第8期)
17/12
(第9期)
18/12
(第10期)
当期純利益 449 35 △153
利益剰余金 △931 35 △117

株式会社メドレーは、医師がつくるオンライン医療辞典「MEDLEY」やオンライン診療システム「CLINICS」、医療介護求人サービス「JoBMedley」などを提供しています。

2018年4月にオンライン診療も実施できるクラウド型電子カルテ「CLINICS(クリニクス)カルテ」の医療機関への提供を開始しました。

そして11月には医療業界全体がインターネットテクノロジーの恩恵を受けられるようにしていくことを目的に、医療ヘルスケア分野で事業展開を行う企業や医療情報システム技術の開発を行う企業を対象に出資、プロダクト開発・マーケティング・コンプライアンス体制構築など幅広い支援をおこなう「MEDLEY DRIVE」プロジェクトを開始しました。

今後さらに医療ヘルスケア分野のテクノロジー化に力を入れるようです。

出典:公式HP

 

 

第9期決算公告

 

会社概要

会社名 株式会社メドレー
事業内容 メドレー事業
クリニクス事業
ジョブメドレー事業
介護のほんね事業
所在地 東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー22F
設立日 2009年6月
代表 瀧口 浩平
資本金 5,000万円
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