Zホールディングス(ヤフー)の親会社「ソフトバンク」の決算を見ていきます。なお、2019年3月期の実績は、Zホールディングスを連結子会社化したことに伴い、遡及修正されています。
2020年3月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収増益となっています。全事業で増収増益を達成し、利益は計画上振れで着地。
増収増益となった主な要因は、端末売上は減少したものの、スマートフォンや光回線サービスの契約数増により通信サービス売上が増加したことによるものです。
端末販売に関しては、改正電気通信事業法や消費増税の影響で9月に駆け込み需要があった反動で10月、11月は販売数が落ち込んだものの、ワイモバイル(Y!mobile)が好調に推移したことにより、他社ほどの落ち込みは見られなかったとのこと。
スマートフォンの累計契約数は全ブランドで純増を達成し、1年で202万件増と増加幅も拡大。解約率も過去最低となりました。
連結子会社のZホールディングス(ヤフー)も増収増益を達成し、「子会社化以降、Zホールディングスの利益は回復している」と宮内社長は強調。そのZホールディングスは、10月にLINEと経営統合する予定です。
なお、1月25日、元ソフトバンク社員が社内の機密情報を持ち出しロシアに譲渡したことで警視庁に不正競争防止法違反の容疑で逮捕されましたが、持ち出された文書は機密性が低く、機密性の高い情報は一切含まれていないとのこと。ソフトバンクは引き続き、操作に協力していくとしています。
ソフトバンクが注力する新領域については、スマホ決済サービス「PayPay」、AIタクシー配車プラットフォーム「DiDi」、次世代モビリティサービス「MONET」は順調に成長し、コミュニティ型ワークスペース「WeWork」に関しては世界ではいろいろ問題となっているものの、「WeWork Japan」は堅実に成長しているとのこと。
一方、「OYO Hotels Japan」に関しては、保証金が支払われない、連絡をしても返信が来ない、いきなり価格を下げるよう要求されるなど数々の契約トラブルが発生。
このことに対して、「初期段階ではホテルオーナーとの行き違いがあったが、10月には契約内容も全面刷新しリスタートしている。誠意をもって対応しているので、ネガティブな要因については収束できる」と。また、保有している25%の株式を売却する予定はないとしています。
足元の業績を踏まえ、通期の業績予想が上方修正されました。
スマホの契約が順調に増加していること、法人事業のソリューション等が伸長していることにより、売上高と営業利益はともに上方修正されました。
一方、純利益に関しては、ZホールディングスとLINEの経営統合に伴う法人税195億円を第3四半期に計上ししため据え置きとなっています。
ソフトバンクは2019年12月6日、経営資源を5Gへ集中するため、2024年1月下旬に3Gサービスを終了すると発表。5Gサービスは3月開始予定ですが、宮内社長は「5Gは、これから間違いなく爆発する」と断言。料金については改めて発表するとのこと。
新型肺炎については、今のところ影響はないそうですが、長期化すると端末仕入れなど3月商戦に何らかの影響があると思われます。
画像出典元:「ソフトバンク株式会社」決算説明会資料・投資家向け説明会資料
移動通信サービスの提供、携帯端末の販売を行う「ソフトバンク」の決算を見ていきます。
2020年3月期第2四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収増益となっています。ドコモ、KDDI(au)ともに上半期減益となるなか、3大キャリアのうち唯一増益を確保。計画に対する進捗率は売上高49%、営業利益62%、純利益68%と、利益に関しては計画を上回って推移しています。
コンシューマ、法人、流通、ヤフーすべての事業で増収を達成。営業利益は、ヤフー事業は減益となりましたが、主力のコンシューマ事業のモバイル、ブロードバンドが大きく貢献し増益に。
スマートフォンの契約数はソフトバンク、ワイモバイル、LINEモバイルの3ブランドすべて伸長し、当第2四半期連結累計期間末のスマートフォン累計契約数は前年同期比194万件増の2,303万件に。
一方、端末販売台数は減少しています。これは、どのキャリアに対しても同じことが言えますが、機種変更のサイクルが長くなっていることが要因です。
10月1日には通信料金と端末代金の完全分離を盛り込んだ改正電気通信事業法施行により「端末値引きは上限2万円」「契約解除料は上限1000円」となることに加え、消費税増税もあり、直前の9月にはスマートフォンの駆け込み購入が相当数あった模様です。
10月1日以降は高価格帯のブランド端末の販売は減少したものの、低価格端末は増加、また法人が好調なので、それほど大きな減少はないとのことです。
11月13日、「ヤフーとLINE経営統合へ」という報道がありましたが、翌14日、両社とも「協議を行っているものの決定事項ではない」と発表。ヤフーを傘下に持つZホールディングスの株価は急騰、LINEの株価はストップ高となり、親会社のソフトバンク、ソフトバンクグループの株価も上昇しました。
とはいえ、ソフトバンクの株価は公開価格の1,500円をわずかに上回った程度で、ソフトバンクグループに至っては急落していた株価がわずかに持ち直した程度です。
まず、「PayPay」について。
政府のキャッシュレス・消費者還元事業の後押しもあり、累計登録ユーザー数はサービス開始13か月で1,900万人、月次決済回数は10月単月で約 8,500万回とユーザー数、決済回数ともに爆発的に増加。
現金以外で思い浮かぶ決済手段は、クレジットカード以外のキャッシュレスサービスで交通系電子マネーを抜いて第1位と、認知度は完全に独走状態です。
今後はさらにユーザー数を3,000万、4,000万と増やし、金融サービスを展開、そしてPayPayをスーパーアプリへと成長させていくとしています。
次に、ワークスペースを提供・運営する「WeWork Japan」について。
ニューヨークに本社を置くWeWorkは巨額な赤字、上場延期と大炎上していますが、ソフトバンクとWeWorkが出資して設立した合弁会社WeWork Japanは稼働率も高く好調で、リストラどころか、むしろ増員が必要なレベル。黒字も間近だそうです。
そのほか、AIタクシー配車プラットフォーム「DiDi」、10月23日に正式にローンチした「OYO Hotels Japan」も順調に推移。
特に、「OYO Hotels Japan」はプレローンチ段階から順調に推移。OYO加盟後に稼働率が大幅にアップしていることから、今後はITゼロの中小ホテルの活性化、また地方創生も期待できるだろうと宮内社長は期待を滲ませています。
上半期の利益は計画を上回って推移していますが、下半期は新しい事業への投資も予定しているため業績予想は据え置かれています。
楽天のキャリア事業本格参入の遅れについて宮内社長は、「基地局建設が一番コストがかかる部分であり、そんなに簡単にできるものではないと当社の技術者はみんな知っていた」「楽天がどんな値段を出しても戦える」と自信を見せていますが、やはり楽天が本格的に参入すれば一定程度の影響は受けると思われます。
下半期は、消費税増税や分離プランが何らかの影響を与えるかどうか、そしてやはり一番の注目は子会社のZホールディングスとLINEの提携。今後の動向に注目です。
画像出典元:「ソフトバンク株式会社」プレゼンテーション資料
移動通信サービスの提供、携帯端末の販売を行う「ソフトバンク」の決算を見ていきます。
ソフトバンクは2019年6月27日付でヤフーを子会社化したことにより、今期よりヤフー事業が追加。それに伴い、比較情報(前年同期の業績)は遡及して修正されています。
2020年3月期第1四半期の連結業績は、前年同期に対し増収増益に。ドコモ、KDDI(au)ともに減益となるなか、3大キャリアのうち唯一増益を確保しました。
コンシューマ、法人、流通、ヤフー・その他すべての事業で増収を達成。
主力のコンシューマ事業は、モバイル・ブロードバンドともに好調に推移しましたが、なかでもスマートフォンが牽引。「スマホデビュープラン」や、50GBの「ウルトラギガモンスター+(プラス)」など競争力のあるプランを数多く販売したことが増益につながりました。
「スマホデビュープラン」は、3,000万人いると言われるフィーチャーフォン(従来型携帯電話)ユーザーを狙ったプランで、旧プランと比較すると3倍以上の加入者数獲得に成功しています。
50GBの「ウルトラギガモンスター+」は若者に人気とのこと。また、法人のスマホ利用も増加しています。
SoftBank、Y!mobile、LINEモバイルの3ブランドともに好調に推移し、当第1四半期のスマートフォン累計契約数は前年同期比8%増の2,245万件に。
2019年10月より「第4のキャリア」として楽天が参入しますが、楽天対抗の新料金はY!mobileで発表するとしています。なお、業績予想については変更ありません。
ソフトバンクは非通信分野である新領域にも注力していますが、ヤフーを子会社化したことで収益源の多様化が進み、新領域分野の成長も加速すると思われます。
一方、ヤフーとアスクルの対立について、ソフトバンク社長の宮内氏は「ヤフーの決断は、将来的には皆さんにわかっていただけると思う」とヤフーを支持するコメントを決算説明会にて述べています。
下期には楽天のキャリア参入、消費税増税、分離プラン義務化など懸念材料がありますが、今後も好調な業績が続くのか注目です。
画像出典元:「ソフトバンク株式会社」プレゼンテーション資料
2019年3月期通期(2018年度)の業績は、前年に対し増収増益、売上高・営業利益ともに過去最高を更新しました。
スマートフォンの契約数増加が寄与しました。昨年末の大規模な通信障害後、4~5日間で1万件以上の解約がありましたが、以降は順調に契約数を伸ばしました。
SoftBank、Y!mobileともに契約数が増加しましたが、特にY!mobileは格安スマホ市場で圧倒的No.1の契約数を誇ります。
これに2018年4月に子会社化したLINEモバイルが加わり、2019年3月末時点でのスマートフォン累計契約数は2,208 万件(前年比10%増)となりました。
一般社団法人 電気通信事業者協会によると、2018年度の携帯電話・PHSの事業別契約数は、1位がNTTドコモで7,845万2,800件、2位がauで5,522万5,400件、3位がソフトバンクで4,168万5,600件となっています。
コンシューマ事業、法人事業、流通事業、全てのセグメントにおいて増収増益となりました。売上においてはモバイルとブロードバンドが、利益面においてはコンシューマ事業が貢献しました。
スマートフォン契約数の増加、端末の割賦契約期間の長期化、光回線サービス「SoftBank 光」契約数の増加などにより増収増益となりました。光セット割引サービスにより解約率が大幅に改善され、解約率は過去最低に。
家庭向け高速インターネット接続サービスである「SoftBank 光」の契約数は順調に伸び、契約数は前年度末比で94万件増の592万件となりました。
物販等においては、「おうちでんき」サービスの提供エリアが拡大し、売上高が増加。一方、端末の販売台数が減少し、端末売上は減少しました。
スマートフォン契約数の増加、ソリューション等におけるクラウドサービスやデジタル広告売上の増加により増収増益となりました。特にソリューション等の売上増が顕著で、前年比12.5%増の1,450億円となりました。
一方、固定通信の売上は減少しました。
法人向けのPC・サーバーなど既存商材の販売が堅調に推移したことや、クラウドサービスのライセンス数拡大などの安定的な収益源が増加したことにより増収増益となりました。
ソフトバンクは5月8日、ヤフーの連結子会社化を目指して、ヤフーが実施する第三者割当による新株式発行を引受けることを発表しました。
兄弟会社でもあるソフトバンクとヤフーは、これまでもお互い様々な取り組みを行ってきましたが、新たな資本提携を行うことで巨大なシナジーが期待できるとし、社長の宮内氏自ら親会社であるフトバンクグループの孫氏へ申し出たとのこと。
6月までに、ヤフーが発行する新株式15億1,147万8,050株を4,565億円で取得予定です。
ヤフーの連結子会社化の目的は、「新領域(非通信)の強化」「戦略・サービス・リソースの統合」「ヤフーの成長を加速、シナジーを最大化」としています。
ソフトバンクは2018年12月19日、東京証券取引所市場第一部に上場しました。
史上最大の新規上場(IPO)とも言われましたが、初値は公開価格(1,500円)を下回り1,463円に、終値は15%下回り1,282円と、期待を裏切る結果に。調達金額は約2兆4,000億円となり、当初計画していた2兆6,000億円を下回りました。
業績は好調なものの、通信障害、ファーウェイ問題、米中摩擦の影響、PayPayの不正利用という不安材料に加え、携帯電話の値下げ圧力により今後の収益性に疑問を抱く人が少なくありませんでした。
2020年3月期(2019年度)の業績予想は、ヤフーの連結子会社化が完了することを前提としたものとなっています。
ヤフーの連結子会社化と、スマートフォン契約数・ブロードバンド契約数の増加や法人事業の成長等により増収増益を見込んでいます。
2019年度には、5G(第5世代移動通信システム)のプレサービスを開始する予定。
今後は、ソフトバンクが提供予定の5Gサービス、ヤフーが持つビッグデーダ、ソフトバンクグループが投資するAI企業群との連携によって生み出される新領域(非通信)に注力。
スマホに加えて、5G×ビッグデータ×AIによる新領域(非通信)で、3〜5年以内に営業利益1兆円を目指すとのことです。
報告セグメントは、「コンシューマ」「法人」「流通」の3つに区分され、それ以外は「その他」に区分されています。
画像出典元:「ソフトバンク株式会社」プレゼンテーション資料
ソフトバンク株式会社は携帯電話事業やインターネット接続サービスなどの電気通信事業を行う、ソフトバンクグループの子会社です。
3月期決算は堅調に成長を続けているものの、先日の大規模通信障害の発生、取引先であるHuaweiの幹部の逮捕、ソフトバンクグループ全体での有利子負債は13兆を超えているなど、19日の東証1部上場は雲行きが怪しいです。
ボーダフォンの名で2005年まで上場しており、13年ぶりの東証1部ということになります。ソフトバンク株式会社の沿革を載せておきます。
1986年 鉄道通信株式会社として設立。
1989年 日本テレコム株式会社を吸収合併、商標変更
1994年 東京証券取引所市場第二部、大阪証券取引所市場第二部に上場
1996年 東京証券取引所市場第一部、大阪証券取引所市場第一部銘柄に指定
1997年 日本国際通信株式会社を吸収合併
2001年 ボーダフォン・インターナショナル・ホールディングスB.V.が親会社となる
2004年 ボーダフォン株式会社に商号変更
2005年 東京証券取引所市場第一部、大阪証券取引所市場第一部上場廃止
2006年 ソフトバンク株式会社の間接保有子会社BBモバイル株式会社が親会社となる
2006年 ソフトバンクモバイル株式会社に商号変更
2015年 ソフトバンク株式会社に商号変更
ソフトバンクグループ株式会社がBBモバイル株式会社と合併、そのためソフトバンクグループ株式会社が親会社となる
2016年 ソフトバンクグループジャパン合同会社の子会社になる
2017年 ソフトバンクグループインターナショナル合同会社の子会社になる
2018年 Wireless City Planning株式会社を子会社化
Lineモバイルを子会社化
株式会社IDCフロンティアを子会社化
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