ソフトバンクグループ株式会社の決算/売上/経常利益を調べ、IR情報を徹底調査

記事更新日: 2019/09/04

執筆: 山中恵子

アリババ株売却で四半期ベースの純利益が1兆円を突破した「ソフトバンクグループ」の第1四半期決算

2020年3月期 第1四半期 累積業績

  • 売上高:2兆3,364億円(前年同期比+3%)
  • 営業利益:6,888億円(前年同期比△4%)
  • 当期純利益:1兆1,217億円(前年同期比+258%)

通信事業から戦略的投資持株会社へと移行した「ソフトバンクグループ」の決算を見ていきます。

なお、当第1四半期においてソフトバンクがヤフーを子会社化したことに伴い、「ヤフー事業」は「ソフトバンク事業」に含まれることになり、報告セグメントは「ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンド事業」「ソフトバンク事業」「スプリント事業」「アーム事業」「ブライトスター事業」の5つに変更となっています。

2020年3月期(2019年度)第1四半期の連結業績は、純利益が前年同期比3.6倍の1兆1,217億円となっています。四半期ベースの純利益として、初めて1兆円を突破。国内最大の四半期純利益となりました。

戦略的投資持株会社となったソフトバンクグループ にとって、売上高は意味を持たない数字ですが、増減だけざっと見ると、ソフトバンク事業、スプリント事業、アーム事業はいずれも増収、ブライトスター事業は減収となっています。

営業利益が前年同期比4%減となったのは、アーム事業において前年同期に中国子会社の合弁事業化に伴う一時益計上があったことによるものです。

一過性の利益を除くと、営業利益は24%の増益に。

これは、ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンド事業において、Uber(ウーバー)などへの投資の公正価値減少があったものの、OYO(オヨ)およびその関係会社、Slack(スラック)、Doordash(ドアダッシュ)などの投資先の公正価値増加に伴う未実現評価益4,085億円が貢献したことによるものです。

一方、ソフトバンク事業、ブライトスター事業は利益が改善したものの、スプリント事業、アーム事業は利益が悪化しています。

純利益が前年同期比3.6倍となったのは、アリババ株の売却益相当額及びデリバティブ金融負債の取り崩しによる利益等、合計1兆2,185億円を税引前利益として計上したことによるものです。アリババ株の保有率は28.9%から26.0%に下がりましたが、筆頭株主であることに変わりはありません。

株主価値は21兆円

ソフトバンクグループの保有株式は26兆円と、前期末より1兆円減少しています。

有利子負債は17兆円ありますが、うち返済義務のない有利子負債と現預金等を引くと、純負債は5兆円。よって株主価値は、26兆円ー5兆円=21兆円とのこと。

ソフトバンクグループの決算は好決算でしたが、株価は軟調に推移。投資先であるウーバーの株価下落の影響を受けたかたちとなっています。なお、ウーバーの2019年4-6月期決算は、最終損益が52億3,600万ドル(約5,500億円)の赤字でした。

スプリントとTモバイルの合併

アメリカ4位の通信キャリアSprint(スプリント)と、3位のT-Mobile US(Tモバイル)の合併について、2019年7月に米国司法省(DOJ)から条件付き承認を取得。連邦規制当局からの最終的な承認は9月までに得られ、本取引のクロージングに必要なすべての規制当局の承認は2019年下半期に得られる見込みです。

合併後は、スプリントは連結から外れ、持分法適用関連会社となります。

なお、この合併は反トラスト法に違反するとして、一部の州では合併差し止めを求めた訴訟を起こしています。9月4日現在、16州とコロンビア特別区が訴訟を起こしています。

「ソフトバンク・ビジョン・ファンド2」設立

7月26日、ソフトバンクグループは私募ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド2」を新たに設立したと発表。出資者の中には、Appleや Microsoftも名を連ねています。

現段階での出資予定額は11.7兆円ですが、話し合い中の出資者もまだ複数いるため、金額はさらに増加する見込みです。なお、ソフトバンクグループは4.1兆円の出資を行うことを機関決定したのこと。

もちろん、投資先はAIのユニコーン企業一本です。

画像出典元:「ソフトバンクグループ株式会社」プレゼンテーション資料

 

 

2019年3月期 通期決算(19年6月更新)

  • 売上高:9兆6,022億円(前年比+5%)
  • 営業利益:2兆3,539億円(前年比+81%)
  • 当期純利益:1兆4,112億円(前年比+36%)

2019年3月期通期(2018年度)の業績は、前年に対し増収増益となりました。

営業利益は前年比で81%増と大幅な増益。これは、ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンドからの利益が前年比4倍の1兆2,566億円と大きく伸びたことによるものです。 

2017年に開始したソフトバンク・ビジョン・ファンドが急成長しています。

最終利益は3期連続の1兆円超えとなりました。

一方、ソフトバンクグループの有利子負債は15.7兆円。うち返済義務のない有利子負債9.0兆円、現預金等2.3兆円を引くと、純負債は4.4兆円と試算。

保有株式は27兆円であるため、「(保有株式)27兆円ー(純負債)4兆円=23兆円が株主価値である」とソフトバンクグループ取締役会長兼社長の孫正義氏は強調。

株主価値である23兆円という数字が最も大事な数字であるとこのことです。

昨年上場したソフトバンク株式会社の時価総額は4.5兆円。それを大きく上回るのが中国・アリババグループの13.1兆円。ソフトバンクグループが保有する株式の約半分はアリババ株となっています。

各セグメントの業績

売上高においては、ソフトバンク事業、スプリント事業、ヤフー事業が増収となった一方、アーム事業とブライトスター事業はほぼ横ばいとなりました。

 

営業利益においては、ソフトバンク事業、スプリント事業、アーム事業、ブライトスター事業はセグメント利益が改善。

一方、ヤフー事業、その他のセグメント利益が悪化しました。主に、スマートフォン決済サービスを手掛ける PayPay㈱がユーザーやサービス利用可能店舗の拡大に積極的に取り組んだ影響で営業損失を計上したことによるものです。 

第2のビジョン・ファンドを準備中

孫氏は、5月9日の決算会見で第2のビジョン・ファンドを近々立ち上げると発表しました。規模は現ビジョン・ファンドと同規模の10兆円。

既に、ビジョン・ファンドの出資者や世界中の投資家が関心を寄せているとのこと。

サウジアラビアの政府系ファンドからの出資を受けて設立されたビジョン・ファンドは2年を経て投資先が80社を超えました。

AIに特化したユニコーン、かつそれぞれの分野でナンバーワンの企業に投資し、高い収益を上げています。ライドシェアリング・サービス最大手のウーバー・テクノロジーズも投資先の一つです。

5月10日にニューヨーク証券取引所に上場したウーバーは、当初株価が低調に推移し、筆頭株主であるソフトバンクグループの株価にも影響を与えましたが、6月5日には上場して以来初めて公開価格(45ドル)を上回りました。

アリババに次ぐ規模の大型上場となったウーバーの今後の株価推移に注目です。

今後の見通し

今後は、AI 群戦略によりソフトバンクグループの株主価値を増やしていくとのことです。

なお、2020年3月期の業績予想は非開示となっています。

事業内容

ソフトバンクグループは、「ソフトバンク事業」「スプリント事業」「ヤフー事業」「アーム事業」「ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンド事業」および「ブライトスター事業」の6つを報告セグメントとしています。 

1

ソフトバンク事業

  • 日本国内での移動通信サービスの提供、携帯端末の販売、ブロードバンドなど固定通信サービスの提供
  • 日本国内でのパソコン向けソフトウエア、周辺機器、携帯端末アクセサリーの販売 
2

スプリント事業

  • 米国での移動通信サービスの提供、携帯端末の販売やリース、アクセサリーの販売、固定通信サービスの提供 
3

ヤフー事業

  • インターネット上の広告事業
  • イーコマース事業
  • 会員サービス事業 
4

アーム事業

  • マイクロプロセッサーの IP および関連テクノロジーのデザイン
  • ソフトウエアツールの販売、ソフトウエアサービスの提供 
5

ソフトバンク・ビジョン・ ファンドおよび デルタ・ファンド(SVF)事業

  • ソフトバンク・ビジョン・ファンドによる投資事業
  • デルタ・ファンドによる投資事業 

ソフトバンク・ビジョン・ファンドは2017年に活動を開始。

次世代のイノベーションを引き起こす可能性のある企業やプラットフォーム・ビジネスに対して、大規模かつ長期的な投資を行うことを目指しています。

6

ブライトスター事業

  • 海外での携帯端末の流通事業 
7

その他

  • オルタナティブ投資の資産運用事業
  • 福岡ソフトバンクホークス関連事業
  • スマートフォン決済事業 

画像出典元:「株式会社ソフトバンクグループ」決算説明会資料

 

 

2019年3月期 第3四半期 累積業績(19年3月更新)

  • 売上高:7兆1,685億円(前年比+5%)
  • 営業利益:1兆8,590億円(前年比+62%)
  • 四半期純利益:1兆5,384億円(前年比+52%)

2019年第3四半期連結累計期間の業績は、増収増益となりました。
前期に引き続き、ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンド事業が好調です。

各セグメント別の業績

ソフトバンクグループは「ソフトバンク事業」「スプリント事業」「ヤフー事業」「アーム事業」「ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンド事業」「ブライトスター事業」の6つを報告セグメントとしています。

売上高は前年同期比5%増の7兆1,685億円となり、ソフトバンク事業、スプリント事業、ヤフー事業、ブライトスター事業が増収となった一方、アーム事業は減収となっています。

営業利益は前期に引き続き、ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンド事業が、前年同期比242.1%増の8,087億9,200万円と大きく貢献しています。

2018年9月にFlipkart Private Limited株式売却により1,466億8,200万円を計上したほか、第3四半期にソフトバンクグループから移管したUber Technologies,Inc.をはじめ、Oravel Stays Private LimitedやWeWork Companies,Inc.などの投資先の公正価値が増加したことにより、未実現評価益6,932億100万円を計上しています。

ソフトバンク事業で290億5,700万円、アーム事業で1,590億7,000万円、ブライトスター事業で429億700万円とセグメント利益が増加しました。
一方、スプリント事業で365億2,300万円、ヤフー事業で251億5,800万円、セグメント損益が悪化しました。

アーム事業のセグメント利益には、アームの中国子会社が合弁事業化により持分法適用関連会社となったことに伴い計上した、子会社の支配喪失に伴う利益1,762億6,100万円が含まれています。

ソフトバンク株式会社が上場

2018年12月19日、子会社のソフトバンク(株)が東京証券取引所市場第一部に上場しました。

上場において、ソフトバンクグループの100%子会社であるソフトバンクグループジャパン(株)は、所有するソフトバンク(株)株式の一部を売出し、手取金2兆3,498億3,200万円を受領しました。これにより、ソフトバンクグループのソフトバンク(株)に対する間接所有割合は99.99%から66.49%となっています。

ソフトバンク(株)は引き続きソフトバンクグループの子会社のため、今回の売出しにおける税金考慮後の売却益相当額は、資本剰余金として要約四半期連結財政状態計算書に計上されています。

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2019年第2四半期 累積業績(18年11月更新)

2019年上半期の累積業績は、売上高は前年比+6%で4兆6,539億円、営業利益は前年比+62%で1兆4,207億円、当期純利益は前年比+719%で8,401億円となりました。

営業利益の推移をみると、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの利益が急激に増加していることが分かります。

主に、Flipkart Private Limitedの株式売却により1,467億円を計上したほか、NVIDIA Corporatoinや Oravel Stays Private Limitedの公正価値の増加により未実現評価益 5,038億円を計上したことが背景にあります。

12月に新規上場予定

ソフトバンクグループのソフトバンク株式会社は12月に新規上場を予定しています。上場が実現すればソフトバンク・ビジョン・ファンドの資金が潤沢になるので、更なる成長が期待できるでしょう。

画像出典元:「ソフトバンク」決算説明会資料

会社概要

会社名 ソフトバンクグループ株式会社
事業内容 純粋持ち株会社
所在地 東京都港区東新橋1-9-1
設立日 1981年9月3日
代表 孫 正義
資本金 2,387億
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