2019年11月20日をもってZホールディングスの子会社となった「ZOZO」の決算を見ていきましょう。
2020年3月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収減益となっています。また、計画未達で着地。
なお、当第3四半期より商品取扱高の表示方法について一部変更されています。ZOZO社負担値引施策については値引額控除後の金額を表示していましたが、「ZOZOARIGATO」施策と同様に値引前の金額を表示するよう変更され、過去の商品取扱高実績についても遡及して修正されています。
ではまず、商品取扱高、売上高について。商品取扱高、売上高はともに前年同期比で増加したものの、成長は鈍化しています。これは、当第3四半期において、消費増税や暖冬の影響を受けたことによるものです。また市況悪化を受け、プロモーションを控えたこともあり、四半期推移で2桁増が続いていた商品取扱高は当第3四半期では0.3%増にとどまりました。
なお、 2019年12月17日にZOZOTOWNがPayPayモールに出店したことより、当第3四半期からPayPayモールの売上高も開示されています。PayPayモールの商品取扱高に占める割合は0.2%、売上高は1億1,400万円と貢献度はまだまだ低いですが、オープン後、GMVは順調に拡大しているとのこと。
営業利益は、商品取扱高の大幅な未達による粗利の低下と販管費増が主要因で前年同期比で減益となりました。
販管費は、ZOZOSUITの配布枚数が減少したものの、人件費増や、PGA・バスキア展等により前年同期比で6.8%増に。10月に開催されたPGA TOUR トーナメント「ZOZO CHAMPIONSHIP」ではスポンサー費用が発生し、「バスキア展」はZOZOが特別協賛としてサポートしました。
PGAは、記録的な豪雨により中止や無観客試合といったトラブルに見舞われましたが、「ZOZO CHAMPIONSHIP」を通じたチャリティー活動により、台風第19号の災害義援金と支援活動を続ける活動資金として日本赤十字社へ、ゴルフを通じた青少年教育プログラムの支援金としてザ・ファースト・ティ・オブ・ジャパンへ総額約3,000万円を寄付を実施。
消費増税と暖冬の影響で成長が鈍化したZOZOですが、2020年をZOZOイヤーと位置付け(「2020」が「ZOZO」に見えることにちなんで)、さまざまな施策を実施予定です。
まず、ZOZOTOWNは昨年末にPayPayモールへ出店しましたが、約9割のショップが参加し、注文者の約6割が新規客、そしてPayPayモール内ではファッションカテゴリで圧倒的No.1の地位を確立し、視界は良好と胸を張る澤田社長。
今後は、ZOZOTOWN本店とPayPayモール店のすみ分けにより、ユーザー拡大を狙っていくとしています。
また、2019年12年10日には中国版ZOZOTOWN「ZOZO」の提供を開始。7年前に一度失敗し撤退した中国向けECサイトですが、今回は評判も上々で、2月を目処にマーケティングを実施し、本格的に展開していくとのこと。
MSP(マルチサイズプラットフォーム)事業については、2019年6月24日付で先行予約の受付を開始していたZOZOMAT(ゾゾマット)が2月下旬にようやくリリース予定。ZOZOTOWNでの靴カテゴリーの商品取扱高拡大を目指すとしています。
なお、業績予想について変更はありません。前期比で2桁増収増益を見込んでいます。
画像出典元「株式会社ZOZO」決算説明会資料・補足資料
ファッションECサイトZOZOTOWN、ファッションメディア『WEAR』を運営する「ZOZO」の決算を見ていきます。
2020年3月期第2四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し売上高は+6.5%成長し、すべての利益項目で2桁増益となっています。
計画に対してはやや下回って推移しているように見られますが、下半期に売上が伸びる傾向にあるので計画どおりに推移していると言えるでしょう。一方、純利益は特別損失を計上したことにより計画を大幅に下回っています。
事業別に見ると、ZOZOTOWN事業、PB事業、BtoB事業、広告事業、その他事業、すべての事業で増収を達成。なかでも、広告事業の売上高は11億3,100万円(前年同期比4.8倍)と拡大しています。
ZOZOTOWN事業においては、ZOZOUSEDの売上高が前年同期比で減少したものの、受託ショップと買取ショップはともに増収を達成。
当第2四半期連結累計期間末のZOZOTOWN出店ショップ数は、前期末比67ショップ増の1,312ショップに。主な新規出店ショップは、英国発アウターウェアブラン「MACKINTOSH(マッキントッシュ)」、著名スノーボードブランド「BURTON(バートン)」、株式会社チヨダが運営する靴の大型専門店「シュープラザ」など。退店数のほうが多い時期もありましたが、順調に出店ショップ数を増やしています。
ZOZOTOWNにおいての年間購入者数は約820万人(前年同期比5.9%増)、年間購入金額は約4万7,500円(前年同期比3.0%増)といずれも増加。新規会員の伸びは鈍化していますが、会員歴の長い既存会員の購入金額増により年間購入金額を押し上げるかたちとなっています。
一方、平均商品単価は3,463円(前年同期比5.2%減)となりましたが、これは消費税増税前にセールイベントを実施したことによるものです。
BtoB事業においては、ユナイテッドアローズが今秋からECサイトを自社運営に切り替えるとしていましたが、開発の遅延によりZOZO子会社のアラタナに再委託しています。また、当第2四半期よりMSP(マルチサイズプラットフォーム)事業をローンチ。9月6日からZOZOTOWN上にて受注予約を開始しています。
営業利益は、受託ショップの手数料売上増、広告事業粗利増、ZOZOSUIT配布減によるプロモーション費用減等により前年同期比で2桁増益に。2桁増益といっても、前年同期はZOZOSUITの無料配布に伴う広告宣伝費の増加により大幅な減益がありました。そこから2桁増益なので、好調に推移しているとは言い難いです。
純利益が大幅に計画を下回ったのは、投資有価証券評価損(特別損失)として 11億5,000万円を計上したことによるものです。
ZOZOは9月12日、ヤフー(現Zホールディングス)のTOB(株式公開買付け)によりヤフー傘下に入ることを発表。あわせて、前澤 友作氏が代表取締役社長を辞任し、澤田 宏太郎氏が同日付で代表取締役社長兼CEOに就任したことを発表し、世間を驚かせました。
ヤフーとZOZOの共同記者会見では、何かと話題のソフトバンクグループ会長の孫 正義氏も途中登場するというサプライズも。
記者会見の中で前澤氏は、社長を辞任した理由として「宇宙に行く準備」と「もう一度事業をやりたい」という2点を挙げました。2023年に月への渡航を計画しているが、それ以外にも宇宙に行く計画があり、それに向けてのトレーニングに時間を割きたいとのこと。
また、もう一度事業をやりたいというところでは、 社長辞任直後に株式会社スタートトゥデイを設立。スタートトゥデイはZOZOの旧社名です。事業内容は明らかにされていませんが、新事業を起こしていくとツイッターにて発表しています。
なお、公開買付期間は11月13日までとなっています。
公開買付終了後もZOZOは上場を維持し、引き続きZOZOTOWNを運営。12月中にはPayPayモールへの出店を予定しています。また、時期は未定ですが、早期にZOZOTOWNにて決済サービスPayPayを導入するとしています。
ZOZOの株価推移
画像出典元:SBI証券
9月12日の発表後、ZOZOの株価は急上昇。社長交代により、ZOZOはトップダウン型組織から組織力を活かす体制に移行するとのこと。
なお、通期の業績予想に変更はありません。今後のZホールディングスとの協業に期待がかかります。
画像出典元:「株式会社 ZOZO 」決算説明会資料
ファッション通販サイトZOZOTOWNを運営する「ZOZO」の決算を見ていきます。
2020年3月期第1四半期の連結業績は、前年同期に対し売上高は+6.2%成長し、すべての利益項目で2桁増益となっています。
ZOZOTOWN事業、PB事業、BtoB事業、広告事業、その他事業、すべての事業で増収に。
主力のZOZOTOWN事業では、商品取扱高、出店ショップ数、年間購入者数ともに増加。一方、既存会員の年間購入金額、平均商品単価は前年同期比で減少しています。
【グラフ】売上高の推移(四半期)
営業利益が大幅に増加したのは、取扱高の増加に加え、ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)配布数の減少、ZOZOSUIT配布減少に伴う荷造運搬費の低下等によるものです。
今秋にはMSP(マルチサイズプラットフォーム)事業をローンチ予定。マルチサイズとは、身長と体重を選択するだけで、理想のサイズが見つかる新しい洋服の買い方だそうです。
なお、ビジネススーツなどのフォーマルアイテムについては、引き続きZOZOSUITによる体型計測データを基に受注生産するとのこと。
2018年第2四半期決算説明会で、ZOZO前澤友作社長はZOZOSUITを廃止の方向に進めていると発表しましたが、現段階では完全廃止となっていません。
体型計測デバイスとしては、足の形の3Dデータ化を行い靴選びに必要な複数部位の計測を可能とするZOZOMAT(ゾゾマット)の先行予約の受付(2019年秋冬より順次発送予定)を6月24日に開始しています。
こちらも無料配布なので費用がかさむと思われますが、今後ZOZOは靴カテゴリーの販売強化に取り組んでいく模様です。
なお、業績予想に変更はありません。
画像出典元:「株式会社ZOZO」決算説明会資料・決算説明会補足資料
2019年3月期通期の業績は、前期に対し増収減益となりました。
商品取扱高が前期比19.4%増となり、売上高も伸長しました。期初計画は達成できませんでしたが、1月に下方修正した修正後計画においては0.3%上回りました。
【グラフ】売上高の推移
営業利益は、販売費及び一般管理費が793億800万円(前期比37.2%増)と大幅に増加したことから、大幅な減益に。上場以来、初の減益となりました。
販管費上昇の要因は、「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」の無料配布に伴う広告宣伝費の増加、荷造運搬費の増加、人件費の増加等によるものです。
営業利益の増減分析(対前期比)
なお、第4四半期において、特別損失として総額21億800万円を計上しています。
PB事業の赤字、ブランド離反等あり、株価も営業利益率も低下しましたが、営業利益率は21.7%、ROEは50.5%と依然高い水準を維持しています。
フリマ事業は、2017年6月30日をもってサービスを終了しています。
ZOZOTOWN事業は「受託ショップ」「買取ショップ」「ZOZOUSED」の3つの事業形態で構成され、全体の売上の約8割を占めます。
当期においてZOZOTOWNへ新規出店したショップ数は213ショップ、退店したショップは79ショップとなり、出店ショップ数は前期末比134ショップ増の1,245ショップに。
右肩上がりに増加していたZOZOTOWN出店ショップ数ですが、第4四半期では10ショップ純減となりました。
これはブランドの終了、統合又は売上不振による退店に加え、「ZOZOARIGATOメンバーシップ」の実施に伴う一部ショップの退店が主な要因です。
【グラフ】ZOZOTOWN出店ショップ数推移
入会すると、商品を税抜き価格から10%OFFのARIGATO価格で購入でき、割引した金額で各支援団体や購入したショップの応援をすることができる会員制サービス。
割引分はZOZOが負担し、年会費は3,000円(税抜)、または月間費500円(税抜)。
2018年12月25日より開始したサービですが、2019年5月30日をもってサービスを終了しました。
半年も経たずにサービスを終了した「ZOZOARIGATOメンバーシップ」ですが、背景には大手アパレルの出品停止が続いたことがあります。
常時割引によるブランド価値の低下を懸念し、オンワードホールディングスは全ブランドの出品停止をいち早く決定しました。続いて、ミキハウスも撤退。数は少ないですが、他にも退店が続いたことにより「ZOZO離れ」という言葉も生まれました。
通期で見ると退店以上に新規出店が多いため、今のところ業績に与える影響は軽微なものとなっています。
2018年1月よりプライベートブランド「ZOZO」の展開を開始したPB事業は143億7,600万円の赤字となり、ZOZOTOWN事業の足を引っ張る形となっています。
採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT」の開発費や無料配布に伴う広告宣伝費の増加に加え、計測および購入率が想定を下回ったことが要因です。
また、「ZOZOSUIT」で採寸したビジネススーツの発送の遅れや、サイズが合わないという計測精度の問題も露呈しました。結果、「ZOZOSUIT」は廃止の方向となりました。
【グラフ】営業利益・営業利益率(対商品取扱高)の推移
従来「ZOZO」の商品を購入するためには「ZOZOSUIT」による計測を行う必要がありましたが、2018年9月より「ZOZOSUIT」なしで購入できるようになりました。
理由は、これまで計測された豊富な体型データを活用した体型推測アルゴリズムにより、計測を行うことなく、最適なサイズの商品購入ができる新たな計測手法を導入したためとのこと。
PB事業の海外展開については見直しを行い、ドイツとアメリカを拠点に展開していた海外事業から撤退することに。
これに伴い、固定資産に係る減損損失として9,800万円、たな卸資産評価損として6億9,100万円、事業整理損失として8億2,200万円を計上しました。
ブランドの自社ECサイトの構築及び運営を受託しており、2019年3月末現在で受託サイト数は23サイト(2018年12月末は18サイト)になりました。
今期はユナイテッドアローズが自社主導での開発・運営体制に切り替える影響により、BtoB事業は減収となる見込みです。
2018年9月より本格的に広告事業に参入。初年度の2019年3月期は30億円を目指すと謳っていましたが、乖離した数字となりました。
今期は21億円の売上予想となっています。中期経営計画策定時の50億円と比較して大幅なダウンとなっているのは、 ZOZOTOWN事業への集中を最優先事項と考えているためとのことです。
2020年3月期は、前期に対し増収増益となる見込みです。
月旅行計画や1億円ばらまき、剛力彩芽さんとの交際など、本業以外で何かと話題となった代表の前澤氏ですが、業績予想を大幅に下回ったことで「本業に集中します」と一時ツイッターを休止したことは記憶に新しいのではないでしょうか。
2018年4月27日付で発表した中期経営計画の数字と、2019年3月期の業績、2020年3月期の業績予想ともに乖離した数字となりました。
そのような中、新規事業としてZOZOTOWNの中国進出を決定。ファッションメディアECとして、今期中のサービス開始を目指すとしています。
ZOZOTOWNは、2011年10月にも中国向けのECサイトを展開しましたが、2013年1月にクローズしています。同じ失敗を繰り返すのか、それとも成功するのか今後の動向に注目です。
株式会社ZOZOの前身は、代表の前澤友作氏がバンド「SWITCH STYLE」のドラマーとして活動していたかたわらで始めた、輸入CD・レコードの通信販売を目的に1998年に設立した有限会社スタート・トゥデイ。同時期にメジャーデビューも果たしています。
2000年に株式会社スタートトゥデイへ組織変更。アパレル商材を中心としたインターネット通販に切り替え、2001年にバンド活動は停止。本社を千葉に移転。
2004年にインターネット上のショッピングサイト「ZOZOTOWN」の運営を開始。2007年に東京証券取引所マザーズ市場に上場。2012年に東京証券取引所市場第一部に市場変更。
2018年にプライベートブランド 「ZOZO(ゾゾ)」を販売開始し、株式会社ZOZOへ商号変更しました。
グループは、ZOZOのほか、主要連結子会社であるZOZOテクノロジーズ、ZOZOUSED、アラタナ、ZOZO Apparel USA, Inc.によって構成されており、ファッションECサイト「ZOZOTOWN」、ファッションメディア「WEAR」等の運営を主な事業として行っています。
なお、ZOZO Germany GmbHについては、2019年2月開催の取締役会において会社清算の決議を行っています。
事業内容はEC事業の単一セグメントですが、各事業区分の事業内容は以下のとおりです。
「受託ショップ」「買取ショップ」「ZOZOUSED」の3つの事業形態で構成され、全体の売上の約8割を占めます。
「ZOZOTOWN」に各ブランドがテナント形式で出店を行い、出店後の運営管理を行う事業で、各ブランドの掲載する商品を物流拠点に受託在庫として預かり、販売を行っています。
当事業と買取ショップとの大きな違いは、基本的なマーチャンダイジングをテナント側が実施することと、受託販売形態であるため在庫リスクを負担しないことです。
当事業に係る売上高は、販売された商品の手数料を受託販売手数料として計上しています。
各ブランドからファッション商材を仕入れ、自社在庫を持ちながら販売を行う事業です。
個人ユーザー等から中古ファッション商材を買い取り、自社在庫を持ちながら販売を行う二次流通事業です。ZOZOUSEDが主体となって手掛けています。
ユーザー個人の体型に合わせた自社企画アパレル商品を販売する事業。2018年1月よりプライベートブランド 「ZOZO (ゾゾ)」を展開しています。
アパレルメーカーが独自に運営するECサイトのシステム開発、デザイン制作、物流請負、マーケティング支援など、必要に応じて各種フルフィルメント関連業務を支援する事業。主に子会社のアラタナが担っています。
「ZOZOTOWN」及び「WEAR」が誇るユーザーリーチ基盤を活用し、取引先ブランドや広告代理業者に広告枠を提供し、広告収入を得る事業。2018年9月より本格的に広告事業に参入しました。
ZOZOTOWN事業に付随した事業(有料会員収入、送料収入、決済手数料収入等)。
画像出典元:「株式会社ZOZO」決算説明会資料・公式HP
2019年上半期は売上高が+25.9%成長している一方で、営業利益は減益となっています。主に、
など、販管費が389億円と前年度に比べて52.4%増加したことが原因と考えられます。
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