求人、住まい、中古車などのサイトを一括検索できるサービスを運営する「じげん」の決算を見ていきます。
2020年3月期第2四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収増益となっています。上場来23四半期連続の前年比増収増益を達成も、売上収益、営業利益ともに伸び率は鈍化。
これは主に、非積み上げ型インターネットメディアの収益が減少したことによるものです。
下のグラフは非積み上げ型インターネットメディア事業の売り上げ推移ですが、当第2四半期に売上が減少しているのがわかります。大手のメディア顧客の事業終了や、各メディア顧客の予算減少といった事象が発生したということですが、この傾向は人材領域だけでなく、不動産・生活ともに同様の傾向が見られます。
このほか、香港デモの影響で香港向け出国者数減少に伴うアップルワールド社の業績悪化や、三光アドにおける一部売上処理方針の変更も伸び率鈍化の要因となりました。
一方、積み上げ型収益全体ではほぼ期首計画通りに進捗しています。インターネットメディア事業では「リジョブ」や「スモッカ」が好調。また、ブレイン・ラボなどのシステム事業においては期首計画に対して上振れて推移しているとこのこと。
いまだ非積み上げ型収益の割合は50%弱と大きいですが、今後は積み上げ型収益の拡大を最優先していくとしています。
足元の業績を踏まえ、通期の業績予想を下方修正しています。通期の業績は、前期に対し増収減益となる見込みです。
非積み上げ型収益の下振れに加え、アップルワールドにおけるセミマクロ環境や三光アドにおける売上処理方針変更等の影響も勘案し、下期は前年同期比で減収となる見込み。
また、収益持続性の高い積み上げ型収益へ経営資源を集中するため、今期を積み上げ型収益の投資期間としています。
画像出典元:「株式会社じげん」決算説明資料
2020年3月期第1四半期の連結業績は、前年同期に対し売上高は+15.9%成長、すべての利益項目で増益となっています。
ライフメディアプラットフォーム事業における人材領域、不動産領域、生活領域すべて好調に推移し、上場来22四半期連続の前年比増収増益を達成。
【グラフ】四半期業績
積み上げ型収益の拡大施策により、着実に収益が積み上がっています。
具体的な施策としては、インターネットメディア事業においては、外部提携やM&Aによる顧客社数の増加、アップセル商材による顧客単価の上昇。加えて、ブレイン・ラボにおけるSaaS型商材の拡販やシステム利用料の積み上げ等。
これらの施策により、過去3年間で積み上げ型収益の売上収益は2.8倍、前年比+33%となっています。
じげんは8月7日、外国人留学生、技能実習生向けに少額短期保険を提供する株式会社ビバビーダメディカルライフの株式を取得し、子会社化すると発表。実施されると、上場以来、M&A累計実施件数は13件目となります。
画像出典元:「株式会社ビバビーダメディカルライフ」トップページ
近年、留学生、実習生の日本国内総数は増加傾向が続いています。また、少額短期保険の市場規模についても、2018年度における契約件数は831万件(前年比10%増)、収入保険料は1,032億円(前年比11%増)と市場拡大が続いています。
ビバビーダを子会社化とすることで、将来的には各既存領域における少額短期保険関連商材の開発、販売も視野に入れているとのこと。今後は保険分野にもサービスを拡大していく模様です。
なお、通期の業績予想に変更はありません。約3.5億円の先行費用予定も2桁増収増益を見込んでいます。
画像出典元:「株式会社じげん」決算説明会資料
2019年3月期通期の業績は、前期に対し大幅な増収増益となりました。主力のインターネットメディア事業が好調に推移し、2006年の設立以来、12期連続の増収増益を達成。
第4四半期(1-3月期)では、インターネットメディア事業のユニークユーザー数が前年同期比で+38%と大幅に増加し、単月のユニークユーザー数は1,800 万を超えて推移しました。
2018年3月期より注力してきた集客施策の効果が発現し、主力の「アルバイト EX」「スモッカ」「中古車 EX」 といった、それぞれ人材、不動産、生活領域におけるメディアが大幅に増加しました。
顧客数は16,360社となり、初めて16,000 社を超え、中期的な単価上昇に不可欠な顧客基盤を築くことができました。
【グラフ】売上高・売上収益と営業利益推移
費用は、広告宣伝費+販売促進費が最大で、人件関連費がそれに続きます。マッチングッドの連結開始や既存事業、コーポレート部門の体制強化により従業員も増加しました。
営業利益率は前期比0.7ポイント減の31.7%、自己資本比率は68.8%となりました。
【グラフ】領域別売上収益推移
人材、不動産、生活の全領域において、前年同期比で大幅な増収となりました。特に 1~3 月は不動産領域が季節的に繁忙期となり、 前年同期比+38%となりました。
人材領域においては、非インターネット事業(紙媒体)の三光アドが第4四半期において前年同期比で減収となったため+15%にとどまりましたが、三光アドを除くインターネットメディア事業だけで見ると人材領域においても25%程度の高い成長率を達成しています。
じげんは、2018年6月27日付で東証マザーズから東証1部へ市場変更しました。
上場以来、2019年4月末までに12件、総額約100億円(株式取得価額)のM&Aを実施。M&Aソーシング(案件発掘)総数は、年間で100 件ソーシングしています。
2020年3月期も引き続き、2桁増収増益を見込んでいます。また、広告宣伝費および人材関連費に約3.5億円投資していく予定です。
旅行領域の国内インターネット化比率は45%と高い一方で、人材、不動産、自動車といった領域においては10%以下と低く、商流構築等の観点から参入障壁は高いものとなっています。
この分野に注力するじげんは、今後も安定的な成長が期待できます。
画像出典元:「株式会社じげん」決算説明会資料
2019年第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収増益となりました。ライフメディアプラットフォーム事業の人材領域、不動産領域、生活領域すべて順調に推移しました。
第3四半期においては、売上収益が前年同期比+31%、営業利益が前年同期比+28%となり、過去最高の売上収益と営業利益を達成しました。上場以来、20四半期連続で売上と営業利益を伸ばし続け、四半期営業利益は初の10億円超えを達成しました。
【グラフ】領域別売上収益推移
昨年度後半から取り組んできたSEO対策や集客施策が功を奏し、第3四半期の月平均ユニークユーザー数は1,490万UUとなり、前年同期比で+34%と大幅な増加となりました。
特に、じげん本体で運営しているアグリゲーションメディアの「アルバイトEX」「賃貸スモッカ」「中古車EX」といった主力メディアが大幅増に寄与しました。
人材領域においては、IndeedやGoogle for Jobsといった新たなプレイヤーが台頭しており、検索エンジンのアルゴリズム変更も不定期に行われています。今のところ影響は限定的ですが、集客経路の多様化を推進しています。
業容拡大に伴い、リスティングをはじめとするインターネット広告への出稿量は大幅に伸長しています。連結広告宣伝費は年々増加し、2018年で約25億円、2019年には30億円を超える見込みです。
一方で、検索エンジンに頼らない集客方法も多様化させています。
具体例として、株式会社NTTドコモと連携して運営する「dジョブスマホワーク」の会員登録数は順調に伸びており、2019年1月時点で60万人を突破しています。また、「リジョブ」はアプリ経由の応募数が1年強で2.5倍になっています。
いずれも検索エンジンを経由せずに、アプリや「dジョブ」といった入口を通じて直接訪れたユーザーとなります。
今期の業績予想に変更はありません。創業以来、12期連続の増収増益を見込んでいます。また、引き続きM&Aを含む投資戦略を積極的に進める方針です。
収益が伸び悩んでいる非インターネットメディア事業(紙媒体中心)の株式会社三光アドは、東海地方を中心に求人広告媒体「DOMO」等を運営する株式会社アルバイトタイムスと合弁契約を2月13日に締結しました。6月には合弁会社を設立し、両社の企業価値向上を目指すとしています。
2019年1月4日、人材関連会社向けに採用管理支援システムを提供するマッチングッド株式会社の100%株式を取得し、連結子会社化。4月1日にはブレイン・ラボとマッチングッドを合併します。
今後は、運営するメディア事業との協業により、求職者、就労者の集客から採用、就業管理までを一気通貫で提供できる総合的なサプライチェーンの構築を目指します。
人材領域のサプライチェーンを一気通貫でカバー
2018年12月末時点で自己資本比率 68.9%、のれん対資本倍率は0.6倍と健全水準にあります。こうしたバランスシートの状況や足元の株価水準に鑑みて、機動的な資本政策の遂行により株主価値を高めるため、上限4億円の自己株式取得を決定しました。
「じげん」という社名は「次元」という言葉に由来しています。2006年創業、2008年よりライフメディアプラットフォーム事業を開始。
事業内容は、「生活機会の最大化」を目指した、ライフメディアプラットフォーム事業の運営とその他事業で構成されています。「生活機会の最大化」とは、「人々がより良く生きるための選択肢」を指します。
ライフメディアプラットフォーム事業は、求人領域や住まい領域、自動車領域、旅行領域と複数の領域にて30サイト超のサービスを幅広く展開しています。
その他事業においては、株式会社にじげんを中心に、コンシューマ課金サービス、事業化を検討している新規事業を営んでいます。
「P on P(Platform on Platform)」というビジネスモデルで、複数のインターネットメディア・リアルメディアの情報を統合し、一括して検索・応募・問い合わせを行うことができるEXサイトや、特定の業種や地域の企業の情報をバーティカルに集約した特化型メディア、及び提携先のメディアや企業へのソリューション提供といった、複数のビジネスモデルを展開しています。
M&Aにも注力しており、上場以来のM&A累計実施件数は12件、株式取得総額は約100億円。 M&Aの目的は自社とシナジー効果のある「事業の買収」であり、確実に成長できる事業を買収してきました。今後も積極的なM&Aを実施していく予定です。
全体の売上収益のうち、7割が人材領域となっています。
主力の人材領域においては、景気に相関する掲載課金モデルと景気に相関しづらい成果報酬課金モデルを両有し、景気に連動せず安定的な収益を生み出すプラットフォームを確立。
人材領域のビジネスモデル
不動産領域は、人材領域に次いで大きなセグメントです。不動産領域の売上収益のうち80~90%は住宅賃貸のメディアとなります。
2017年6月にローンチしたリノベーション特化中古物件売買ポータルサイト「ミノリノ」では、連携不動産企業や展開地域の拡大、掲載案件数の順調な増加により、事業損益も改善傾向となっています。
不動産領域のビジネスモデル
生活領域のサービス規模は小さいですが、伸び率は非常に高いものとなっています。
2018年10月には国内外のホテル検索サイト「Travery(トラベリー)」を個人ユーザー向けにローンチし、新規事業の展開も推進しています。
生活領域のビジネスモデル
画像出典元:「株式会社じげん」決算説明会資料
2019年第2四半期連結累計期間において、上場来19四半期連続の前年比増収増益を達成しました。
第2四半期としても売上収益が前年比+24%の30億円、営業利益が前年比+14%の9億円となり、過去最高の売上収益と営業利益を更新しました。
主力事業である人材領域は第1四半期が繁忙期で、第2四半期・第3四半期の比較的閑散期は売上が落ちやすい傾向ですが、不動産領域・生活領域の増収が全体の売上向上につながりました。
株式会社NTTドコモとの提携事業である「dジョブ スマホワーク」の会員登録数は40万人を突破し、「リジョブ」でもアプリ経由応募数が増加傾向にあり、人材領域においてユーザーの資産化が進展しています。
自動車分野においては、「中古車EX」の収益が成長しています。2018年10月31日には中古車輸出支援サイト「トレードカービュー」を株式会社カービューから取得し、アフリカ地域を中心とする海外ユーザー向け中古車関連メディアの事業成長の加速を企図しています。
株式会社じげんは、マッチングテクノロジーやプラットフォーム構築力といった強みを活かし、創業以来毎年度、新規事業、新規サービスを立ち上げ、業績拡大を伴う展開領域の拡張を実現してきました。今後も、M&Aを含む投資戦略を積極的に進めていく方針です。
画像出典元:「じげん」決算説明会資料
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