ハンドメイドマーケット『minne』やレンタルサーバー『ロリポップ!』など個人向けインターネットサービスを提供する「GMOペパボ」の決算を見ていきます。
2019年12月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収増益、すべての利益項目で2桁増益となっています。FREENANCEの事業に投資を行いつつも、過去最高業績を達成。
増収となった主な要因は、EC支援事業の業績拡大によるものです。なかでも、オリジナルグッズ作成・販売サービス「SUZURI」が大幅増収。「SUZURI」の会員数は堅調に推移し、累積会員数は33万人に。一方、ネットショップ開業・作成サービス「カラーミーショップ」の契約件数は41,657件(前年同期末比1,966件減)と減少しています。
営業利益は、増収に加え、プロモーションコストの減少により大幅な増益に。ハンドメイド事業はプロモーションの抑制や収益性改善を行った結果、黒字となっています。
ホスティング事業の成長は鈍化していますが、EC支援事業とハンドメイド事業が拡大し、今では両事業を合わせるとホスティング事業と同程度の規模にまで成長。今後も金融領域のサービスを含め、さまざまなソリューションを提供し、表現活動を支援する会社として圧倒的No.1を目指すとしています。
なお、通期の業績予想に変更はありません。売上高・各利益ともに過去最高となる見込みです。
画像出典元:「GMOペパボ株式会社」決算説明会資料
2019年12月期 第2四半期の連結累計業績は、前年同期に対して大幅な増収増益となり、前四半期に引き続き、過去最高の四半期売上高及び営業利益を達成しました。
第2四半期連結累計期間におけるレンタルサーバー「ロリポップ!」の契約件数は、プロモーションの効果もあり、2018年12月末から堅調に増加。
また、2015年より積極投資を行っているハンドメイドマーケット「minne」においては、プロモーションを抑制しながらも増収増益となり、前四半期に続き、第2四半期連結累計期間においても黒字を達成しています。
【グラフ】営業利益増減分析
営業利益は、売上高の増加に加えてプロモーションコストの減少も影響し、大幅な増益に。
セグメント別の業績は以下の通り。
【グラフ】セグメントサマリー
特に、国内最大級のネットショップ開業・作成サービス『カラーミーショップ』や、オリジナルグッズ作成・販売サービス『SUZURI』を展開するECショップが増収しています。
2019年6月にSUZURIにて実施したTシャツセールが奏功し、月間流通金額が過去最高の1億円を突破しました。
一方、ハンドメイド事業の『minne』は今後、「CtoCハンドメイドマーケット」から「ものづくりの総合プラットフォーム」へと変わり、事業領域を拡大すると発表。
具体的には、「取扱領域の拡大」として、従来の「ハンドメイド=作家自身の手で作られた作品」だけではなく、3Dプリンターやレーザーカッターなどの工作機械の利用やスキルマッチングサービスなどを通じて製作の一部の工程を第三者に委託して作った作品も、「ものづくり」という表現活動の一つであると捉え、出品が可能となりました。
また、この取扱領域拡大に伴い、「BtoCの展開」として「ものづくり」にこだわるブランドやメーカー等の企業も出品が可能となり、CtoC領域に加えて、BtoC領域にも展開していくとのこと。
スマートフォンアプリの累計ダウンロード数は1,073万DL(前年同期比12.6%増)、作家数は54万人(同21.8%増)、作品数は998万点(前年同期末比21.8%増)と順調に増加しています。
なお、業績予想については変更ありません。
画像出典元:「GMOペパボ株式会社」決算説明会資料
2019年12月期 第1四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し大幅な増収増益となり、過去最高の四半期売上高及び営業利益を達成しました。
ホスティング事業、 EC支援事業、ハンドメイド事業すべてにおいて増収となり、ハンドメイドマーケット「minne」は四半期初の黒字化を達成しました。
レンタルサーバー「ロリポップ!」は2018年第2四半期をピークに以降契約件数が減少傾向にありましたが、2019年よりプロモーション強化を図った結果、契約件数が前期末比で2,135件増となり、顧客単価も上昇しました。
売上高の増加に加え、ハンドメイド事業におけるプロモーションコストが大幅に減少したことにより営業利益は倍増。営業利益率は前年同期比5.7ポイント増の13.7%となりました。
2019年2月、フリーランス向けファクタリングサービス「FREENANCE(フリーナンス)」を運営するGMOクリエイターズネットワーク株式会社を子会社化。
セグメントとしては「その他」となりますが、4月1日から連結損益計算書に含まれるため、当第1四半期の業績には含まれていません。
フリーランス・個人事業主を支えるお金と保険のサービスです。
① 損害賠償保険が自動付帯
② 請求書の買い取り・即日払い(手数料3%〜10%)
昨年10月からサービスを開始以降、請求書買取額は順調に増加(額は非公開)。リピート率が高く、3月にはリピーターが85.6%に。今後は新規ユーザーをいかに獲得していくかが鍵となります。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)は4月、フリーランスなど個人で仕事を請け負う人の数が170万人にのぼると試算しました(「雇用類似の働き方の者に関する調査・試算結果等」より)。
公的機関による試算は初めてで、うち専業フリーランスが130万人、副業フリーランスが40万人という結果に。
また、GMOペパボは個人ユーザーを約530万人抱えており、「ロリポップ!」「SUZURI」「minne」などのサービス基盤と「FREENANCE」が連携することにより事業シナジーを創出することが期待されます。
さらに2月には、クラウド会計ソフト「freee(フリー)」を提供するfreee株式会社と業務提携しました。今後の「freee」と「FREENANCE」の連携に注目です。
なお、業績予想については変更ありません。
画像出典元:「GMOペパボ株式会社」決算説明会資料
2018年通期の業績は、前期に対し大幅な増収増益となりました。売上高及び純利益は過去最高を更新し、営業利益、経常利益ともに成長率+200%以上を達成。
ホスティング事業、EC支援事業、ハンドメイド事業すべて好調に推移しましたが、なかでもEC支援が売上拡大を牽引しました。
営業利益においては、プロモーションコスト(広告宣伝費、販売促進費、ポイント引当金繰入額)の減少とハンドメイドの利益改善が増益に貢献しました。
ホスティング事業及びEC支援事業が売上高の約8割を占め、ハンドメイド事業は約2割まで成長しました。
ホスティング事業の主なサービスは、レンタルサーバー「ロリポップ!」とドメイン取得代行「ムームードメイン」となります。ホスティング事業の業績は、以下のとおりです。
レンタルサーバーの契約件数は減少しましたが、登録ドメイン数は増加しました。両サービスともに顧客単価は上昇傾向にあります。
【2018年12月末時点】
レンタルサーバーサービスの契約件数は43万6,276件(前期末比1,895件減)となりました。
一方、新プラン「マネージドクラウド」の正式版の提供を開始し、ターゲット層の拡大を図るとともに、上位プランやオプション機能への誘導を強化した結果、顧客単価が358円(前期比6.0%増)となりました。
【2018年12月末時点】
サイトデザインの一新を図るとともに、ドメイン検索機能の改善も行ったことから、登録ドメイン数は124万1,668件(前期末比1万1,351件増)となりました。
EC支援事業の主なサービスは、ネットショップ開業・作成サービス「カラーミーショップ」となります。EC支援事業の業績は、以下のとおりです。
2018年4月1日に株式会社ベーシックよりオンデマンドオリジナルグッズ作成サービス「Canvath」事業を譲り受けたことが売上拡大に貢献。
カラーミーショップは情報流出の影響もあり契約件数が減少しましたが、顧客単価が伸びたことで増収となりました。オリジナルグッズ作成・販売サービス「SUZURI」の累積会員数は23万人となりました。
【2018年12月末時点】
2018年1月7日、カラーミーショップにおいて第三者による不正アクセスが発生し、最大7万7,385件の個人情報が流出した可能性があることが判明しました。一部クレジットカード情報の流出もありましたが、二次被害の報告はないとこのこと。
これにより、各種キャンペーンの実施を控えたことから契約件数は4万3,238件(前期末比2,006件減)となりましたが、継続的に行っていたアップセル施策により、顧客単価は2,608円(前期比8.6%増)となりました。
ハンドメイド事業の主なサービスは、ハンドメイドマーケット「minne」となります。ハンドメイド事業の業績は、以下のとおりです。
プロモーションコストは2億円減少し、流通額は年間120億円を突破しました。
【2018年12月末時点】
Web広告を中心としたプロモーションを実施し、10月6日にはスマートフォンアプリの累計ダウンロード数が1,000万DLを突破しました。
その他事業の主なサービスは、ブログサービス「JUGEM」となります。
2017年2月1日付けで「PEPABO WiMAX」を事業譲渡したことにより、前期に対し減収減益となりました。
GMOペパボは、GMOクリエイターズネットワーク株式会社を第三者割当増資引受により連結子会社化しました。
GMOクリエイターズネットワークは、ライター登録サイト「woofoo.net」など、個人クリエイターの活躍をサポートする様々なサービスを提供しています。
2018年10月には、フリーランスが安心して働くことができる環境を構築するべく、日本で初めてとなるフリーランス向けファクタリングサービス「FREENANCE(フリーナンス)」の提供を開始しました。
今後は、フリーランスをはじめとする個人のライフスタイルに合わせた多様な働き方を多方面で支援していくとのこと。
2019年12月期より連結決算に移行します。
2019月12月期は、営業利益、経常利益、当期純利益いずれも過去最高を見込んでいます。ハンドメイド事業は黒字転換を目指すとしています。
GMOペパボは、「インターネットで可能性をつなげる、ひろげる」というミッションの下、主に個人の表現活動を支援するための様々なウェブサービス及びスマートフォンアプリを提供しています。
創業者は、シリアルアントレプレナー(連続起業家)で有名な家入一真氏(現在は、株式会社CAMPFIRE 代表取締役・BASE株式会社 共同創業取締役・NOW株式会社 代表取締役)。
2001年に合資会社マダメ企画を設立し、「ロリポップ!レンタルサーバー」の提供を開始。2003年に有限会社paperboy&co.(現GMOペパボ)を設立し、翌2004年に株式会社化。それ以降、様々な個人向けインターネットサービスを展開してきました。
2015年に積極投資をし赤字に転落しましたが、それ以降は売上高が急成長。2019年の営業利益は積極投資前の水準を超える見込みです。
積極的な投資の姿勢は今後も変わらず、主力ストックサービスによる安定的な収益を基盤とし、新規サービスへの戦略的な投資を行うことで企業規模を拡大していく予定です。
また、M&A等を迅速に展開していくために、2018年7月には投資戦略室を新設しました。事業譲受及び資本提携を積極的に行っていき、他社サービスとの提携を通じてシナジーを創出していきます。今後の新規事業への展開に注目です。
画像出典元:「GMOペパボ株式会社」決算説明会資料
2019年第3四半期累積業績は、売上高は前年比+11%の60億8,900万円、営業利益は前年比+78.4%の3億9,800万円となりました。
第3四半期までの業績が好調に推移したため、2019年通期目標を上方修正しました。
画像出典元:「GMOペパボ」決算説明会資料
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