任天堂株式会社の決算/売上/経常利益を調べ、IR情報を徹底調査

執筆: 山中恵子

売上高1兆円超え!Nintendo Switch好調で業績予想を上方修正した「任天堂」の第3四半期決算

2020年3月期 第3四半期決算

  • 売上高:1兆226億6,800万円(前年同期比+2.5%)
  • 営業利益:2,629億3,000万円(前年同期比+19.5%)
  • 経常利益:2,738億4,100万円(前年同期比+14.0%)
  • 四半期純利益:1,963億8,900万円(前年同期比+16.4%)

ゲーム機器やゲームソフトの開発・製造・販売を行う「任天堂」の決算を見ていきます。

2020年3月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収増益となっています。売上高は1兆円を超え、すべての利益項目で2桁増益と好調に推移。

まず、任天堂の売上高構成比を見てみましょう。任天堂の売上の9割以上がNintendo Switchで、地域別ではアメリカでの売上が最も多いものとなっています。

次に売上高推移ですが、増収となった主な要因は、Nintendo Switchのハードウェア及びソフトウェアの販売が好調に推移したことによるものです。

9月に携帯専用のNintendo Switch Liteが発売されましたが、Nintendo Switchは勢いを落とすことなく好調に推移。また、2019年12月より中国において、テンセント社を通じてNintendo Switchの販売を開始。中国での売上がどれほどのものか詳細はわかりませんが、通期の業績に貢献してくると思われます。

ソフトウェアに関しては、当期のミリオンセラータイトル数は他社メーカーのタイトルを含めて21タイトル、うち自社タイトルは以下のとおり。

【当期のミリオンセラー自社タイトル】

なかでも、昨年11月15日に発売した「ポケットモンスター」シリーズの最新作「ポケットモンスター ソード・シールド」は、2ヶ月足らずで1,600万本以上売り上げるという大ヒットを記録。これらの結果、ハードウェアの販売台数は前年同期比22.5%増の1,774万台に、ソフトウェアの販売本数は前年同期比30.1%増の1億2,313 万本となりました。

売上総利益率は、ゲーム専用機の売上に占めるソフトウェアの売上構成比率が上昇したことや、デジタル売上高の割合が増加したことにより、4.6 ポイント増の45.6%に。営業利益は、売上総利益の増加により前年同期比で大幅な増益を確保しました。

業績予想を上方修正

第3四半期までの実績および販売予想見直しを踏まえ、通期の業績予想を上方修正しました。

  • 売上高:1兆2,500億円 → 変更なし(前期比+4.1%)
  • 営業利益:2,600億円 → 3,000億円(前期比+20.1%)
  • 経常利益:2,600億円 → 3,000億円(前期比+8.2%)
  • 当期純利益:1,800億円 → 2,100億円(前期比+8.2%)

今期は増収となる一方で、経常利益・純利益は減益となる見込みでしたが、いずれも増益予想へと変更となりました。

また、Nintendo Switchハードウェアは1,800万台から1,950万台へ、Nintendo Switchソフトウェアは1億2,500万本から1億4,000万本に販売予想が引き上げられました。

今後の予定としては、自社ソフトでは1月に「幻影異聞録♯FE Encore」、3月に「ポケモン不思議のダンジョン 救助隊DX」「あつまれ どうぶつの森」を発売予定。

なお、2020年内にNintendo Switchの新モデルを発売する予定はないそうです。

画像出典元:「任天堂株式会社」決算参考資料

 

 

2020年3月期 第2四半期決算(19年11月更新)

  • 売上高:4,439億6,700万円(前年同期比+14.2%)
  • 営業利益:942億2,200万円(前年同期比+53.4%)
  • 経常利益:851億7,300万円(前年同期比△7.4%)
  • 四半期純利益:620億1,800万円(前年同期比△4.0%)

2020年3月期第2四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し2桁増収増益と絶好調です。経常利益、純利益が前年同期比で減益となったのは、為替差損が205億円発生したため。

増収となった主な要因は、Nintendo Switchのハードウェア、ソフトウェアの販売と、ゲーム専用機におけるデジタルビジネスが好調に推移したことによるものです。なお、デジタル売上高は前年同期比83.0%増の716億円となりました。

営業利益は、ソフトウェアの売上構成比率が上昇したことや、利益率の高いデジタル売上高の割合が増加したことにより大幅な増益に。

Nintendo Switchは、バッテリーの持続時間が長くなった新モデルを8月に販売開始し、続いて、小さく、軽く、持ち運びやすくなった携帯専用のNintendo Switch Liteを9月に発売。Nintendo Switchが安定的に販売台数を伸ばしている上に、Nintendo Switch Liteが上積みされ、当第2四半期連結累計期間のハードウェア販売台数は前年同期比36.7%増の693万台に。

特に第2四半期では、欧米は前年同期比25%増、日本は消費税増税前の駆け込み需要も重なり前年同期比72%増と大きく販売台数を伸ばしました。なお、Nintendo Switch Liteを含めたNintendo Switchハードウェア販売台数は累計で4,000万台を突破し、うち約8割が海外で販売されています

また、任天堂は11月5日、11月3日時点で日本国内における累計販売台数が1,000万台を突破したと発表しました。

次に、Nintendo Switchの自社ソフトウェアについて。

6月から9月にかけて、人気タイトルの続編や新規タイトルを切れ目なく発売したことでソフトウェアの販売本数は前年同期比38.8%増の5,849万本となり、当期のミリオンセラータイトル数は他社ソフトメーカーのタイトルを含めて11タイトルとなりました。

  • 「スーパーマリオメーカー 2」(6月発売):393万本
  • 「ファイアーエムブレム 風花雪月」(7月発売):229万本
  • 「ゼルダの伝説 夢をみる島」(9月発売):313万本

ミリオン連発の上記新作タイトルが大きく貢献したのはもちろんですが、自社ソフトウェアセルスルーは、前期までに発売したタイトルが6割を占めています。

一方、他社ソフトメーカーからも、Nintendo Switch向け新作タイトルが続々と発売されています。

具体的には

  • 「DAEMON X MACHINA(デモンエクス マキナ)」(マーベラス)
  • 「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S」(スクウェア・エニックス)
  • 「ディズニー ツムツム フェスティバル」(バンダイナムコエンターテインメント)
  • 「マリオ&ソニックAT 東京2020オリンピック」(セガゲームス)

など。これらソフトも、ハードウェア販売促進に寄与しています。

今後の見通し

通期の業績予想について変更はありません。第3四半期は売上が大きく伸びる時期である一方、広告宣伝費もかかる時期となります。また、海外売上比率が高いので、経常利益や純利益は為替の影響を大きく受けます。

なお、今年のホリデー商戦の軸となる新発売のタイトルは、「リングフィット アドベンチャー」「ルイージマンション3」「ポケットモンスター ソード・シールド」とのことです。

画像出典元:「任天堂株式会社」決算説明会資料

 

 

2020年3月期 第1四半期決算(19年7月更新)

  • 売上高:1,721億1,100万円(前年同期比+2.4%)
  • 営業利益:274億2,800万円(前年同期比△10.2%)
  • 経常利益:222億3,200万円 (前年同期比△49.3%)
  • 四半期純利益:166億400万円(前年同期比△45.7%)

Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)が好調な「任天堂」の決算を見ていきます。

2020年3月期第1四半期の業績は、前年同期に対し売上高は+2.4%成長したものの、利益面においてはすべての項目で2桁減益となっています。

当第1四半期では、Nintendo Switchハードウェアの販売台数は213万台(前年同期比13.2%増)、ソフトウェアの販売本数は2,262万本(前年同期比25.9%増)と堅調に推移し、売上を牽引しました。

また、海外の売上も好調に推移し、海外売上高は1,317億円に。海外売上高比率76.5%と海外での売上が拡大しています。

一方、為替差損が120億円発生したことにより、大幅な減益に。円高が響きました。

なお、業績予想については変更ありません。

画像出典元:「任天堂株式会社」決算短信

 

 

2019年3月期 通期決算(19年5月更新)

  • 売上高:1兆2,005億6,000万円(前期比+13.7%)
  • 営業利益:2,497億100万円(前期比+40.6%)
  • 経常利益:2,773億5,500万円(前期比+39.1%)
  • 当期純利益:1,940億900万円(前期比+39.0%)

2019年3月期 通期の業績は、前期に対し大幅な増収増益となりました。前期に引き続き、売上高1兆円超えを達成し、営業利益率は前期比4ポイント増の20.8%に。

Nintendo Switchのソフトウェアの販売が好調に推移し、ハードウェアの販売拡大に貢献しました。

当期のミリオンセラーのタイトル数は他社タイトルを含めて23タイトル、ハードウェアの販売台数は1,695万台(前期比12.7%増)、ソフトウェアの販売本数は1億1,855万本(前期比86.7%増)となりました。

日米欧を合算したNintendo Switch本体の累計セルスルー推移によると、11月から販売ペースが加速していることがわかります。

これは下期に大型タイトルが発売されたことが主な要因です。具体的には

  • 「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」:1,381万本
  • 「ポケットモンスター Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ」:1,063万本
  • 「スーパー マリオパーティ」:640万本

と下期に発売されたソフトウェアは大ヒットを記録しました。なかでも、ハードウェアの販売を最も牽引したタイトルが「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」です。

また、Nintendo Switch発売以来、デジタル売上高は伸長し、前期比約2倍と大幅に伸びました。主にNintendo Switchのパッケージ併売ソフトやダウンロード専用ソフト等による売上が好調でした。

一方、発売から8年が経過したニンテンドー3DSでは、ハードウェアの販売台数は255万台(前期比60.2%減)、ソフトウェアの販売本数は1,322万本(前期比62.9%減)となりました。

Switch中国発売へ

任天堂は、Nintendo Switchの中国での発売に向け、テンセント社(中国語名:騰訊控股有限公司)と協業していくと発表しました。発売時期は未定のため、業績予想には含まれていません。

4月18日に「中国広東省政府が、ニンテンドースイッチと同機用のソフト販売を中国ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)に認めた」と報じられた直後、任天堂の株価は急騰。

任天堂株価推移

中国発売には大きな期待がかかりますが、中国のゲーム市場は主にPCとモバイルが中心となっているため、Nintendo Switchがどれだけ食い込めるかは未知数となります。

2020年3月期 業績予想

今期発売予定の有力タイトルの一つは、「ポケットモンスター ソード・シールド」です。

その他に「Nintendo Labo Toy-Con 04: VR Kit」「スーパーマリオメーカー 2」「ファイアーエムブレム 風花雪月」「どうぶつの森(仮称)」「ゼルダの伝説 夢をみる島」などが発売予定となっています。

Nintendo Switchハードウェアの販売台数は1,800万台の予想です。一方、ニンテンドー3DSは、さらに縮小傾向となっています。

Nintendo Switchにより復活を果たした任天堂の勢いがどこまで続くか注目したいところですが、2020年3月期の業績予想は増収となる一方で、経常利益・純利益は減益となる見込みです。

  • 売上高:1兆2,500億円(前期比+4.1%)
  • 営業利益:2,600億円(前期比+4.1%)
  • 経常利益:2,600億円(前期比△6.3%)
  • 当期純利益:1,800億円(前期比△7.2%)

Nintendo Switch発売3年目となる今期は、業績予想、販売数量予想ともに中国進出の成功可否で大きく変更する可能性があります。中国でのNintendo Switchの動向に注目です。

事業内容

創業は1889年(明治22年)。当初は花札やトランプの製造が主たる事業で、現在に到るまで花札・トランプは製造され続けています。

1947年に株式会社丸福(現・任天堂株式会社)を設立。以来、多くの玩具を製造してきましたが、1983年に家庭用テレビゲーム機「ファミリーコンピュータ」、1985年にゲームソフト「スーパーマリオブラザーズ」発売を機にゲーム開発会社として広く認知されるようになりました。

それ以降、さまざまなゲーム機器やソフトが発売されてきましたが、ニンテンドーDSとWiiの発売を機に売上高1兆円を超える企業へと成長しました。

しかしながら、その後発売されたニンテンドー3DSとWii Uで失速。赤字に転落した時期もありましたが、研究費は削らずNintendo Switchを開発し、発売後は業績がV字回復。再び売上高が1兆円を超える企業へと返り咲きました。

現在は、「ゲーム専用機ビジネス」「モバイルビジネス」「IP展開ビジネス」を基本戦略としています。全体の売上の85%がNintendo Switchプラットフォームで、Nintendo Switch依存度は非常に高くなっています。

1

ゲーム専用機

売上高構成比:96%

 

  • ニンテンドー3DSプラットフォーム
  • Nintendo Switchプラットフォーム(Nintendo Switch Online含む)
  • その他
2

モバイル・IP関連収入等

スマートデバイス向け課金収入、ロイヤリティ収入等

3

その他

トランプ他

画像出典元:「任天堂株式会社」プレゼンテーション資料

 

 

2019年3月期 第3四半期決算(19年3月更新)

  • 売上高:9,972億9,500万円(前年同期比+16.4%)
  • 営業利益:2,200億2,900万円(前年同期比+40.6%)
  • 経常利益:2,402億6,800万円(前年同期比+23.5%)
  • 四半期純利益:1,687億8,500万円(前年同期比+24.9%)

2019年第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し大幅な増収増益となりました。経常利益及び純利益においては、通期の業績予想をも上回る好結果となりました。

昨年の10月から12月にかけて発売したNintendo Switchの新作タイトルが大ヒットを記録したことが要因です。

国内だけでなく、北米、欧州においても10月から12月にかけてのホリデー商戦期にハードウェア・ソフトウェア両面において販売を大きく伸ばすことができました。

全体の売上高のうち、実に85%をNintendo Switchプラットフォームが占めました。一方、ニンテンドー3DSは減速しました。

昨年の10月から12月にかけて発売したNintendo Switchの新作タイトルは

  • 「スーパー マリオパーティ」(10月発売):530万本
  • 「ポケットモンスター Let’s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ」(11月発売):1,000万本
  • 「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」(12月発売):1,208万本

これら以外のタイトルも順調に販売数を伸ばし、当期のミリオンセラータイトル数は他社ソフトウェアのタイトルも含めて20タイトルとなりました。

年末商戦ではソフトウェアによるハードウェア販売の大きな牽引も見られ、ハードウェアの販売台数は1,449万台(前年同期比19.5%増)、ソフトウェアの販売本数は9,464万本(前年同期比100.9%増)となりました。

【グラフ】売上高と営業利益率推移

一時期は業績が低迷していた任天堂ですが、2017年3月3日にNintendo Switchを発売して以降、売上高も営業利益率も好調を期し、今期の営業利益率は18.8%となる見通しです。

Nintendo Switchの予想販売数を下方修正

第3四半期までの販売状況を踏まえ、Nintendo Switchハードウェアの予想販売数を当初予想から300万台減の1,700万台と下方修正しました。大型タイトルの発売が10月から12月に集中したため、上期にハードウェアの売上を伸ばせなかったことが要因です。

下方修正したとはいえ、全世界累計販売台数は発売から2年足らずで3,000万台を突破。ソフトウェアにおいては、ホリデー商戦期に相次いで発売した新作タイトルのすべてが、異例とも言える売れ行きを見せました。

2019年1月末時点でのNintendo Switch向けソフトウェアの累計セルイン上位4タイトル中に、昨年12月に発売したばかりの「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」が、発売後わずか1か月足らずで3位にランクインしました。

「ポケットモンスター Let‘s Go! ピカチュウ・Let’s Go! イーブイ」は5位に、「スーパー マリオパーティ」は7位にランクイン。Nintendo Switchの勢いがどこまで続くか注目です。

今後の見通し

Nintendo Switchでは1月に「New スーパーマリオブラザーズ U デラックス」を、3月に「ヨッシークラフトワールド」を発売予定です。Nintendo Switchハードウェアの予想販売数を下方修正しましたが、通期の業績予想に変更はありません。

  • 売上高:1兆2,000億円(前年同期比+13.7%)
  • 営業利益:2,250億円(前年同期比+26.7%)
  • 経常利益:2,300億円(前年同期比+15.4%)
  • 当期純利益:1,650億円(前年同期比+18.2%)

売上高は前期同様、1兆円超えとなる見込みです。

画像出典元:「任天堂株式会社」プレゼンテーション資料・公式HP

 

 

2019年第2四半期決算(18年10月更新)

  • 売上高:3,889億円(前年比+4.0%)
  • 営業利益:614億円(前年比+53.7%)
  • 経常利益:919億円(前年比+32.1%)
  • 親会社株主に帰属する四半期純利益:646億円(前年比+25.4%)

2019年上半期の営業利益は、昨年発売したタイトルの売上が好調で前年比+53.7%となりました。一方で、Nintendo Switchの販売台数が507万個(前年比+3.7%)と通期目標である年間販売台数2,000万個に疑問の声も出ています。

任天堂は、10~12月のホリデーシーズンにNintendo Switchの新作タイトルを集中的に発売するなど対策を打っているので、第3四半期の業績に注目です。

画像出典元:「任天堂」決算説明会資料

会社概要

会社名 任天堂株式会社
事業内容 家庭用レジャー機器の製造・販売
所在地 京都市南区上鳥羽鉾立町11-1
設立日 1947年11月
代表 古川 俊太郎
資本金 100億6,540万円

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