家具・インテリア用品を製造・販売する「ニトリホールディングス」の決算を見ていきます。
2020年2月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収増益となっています。消費税増税前の駆け込み需要が追い風となり売上が伸びましたが、なかでもソファ・ベッドルーム家具、ウィンドウカバリングの売上の伸びが顕著。
既存店の売上高は、9月度119.5%、10月度113.0%と消費増税前の駆け込み需要は想定以上のものに。一方、11月度は93.1%と消費増税後は駆け込み需要の反動減が見られます。
販売費及び一般管理費は、物流業界における人手不足や賃金上昇等により業務委託費及び発送配達費が増加したものの、売上高販管費率は37.2%と前年同期から横ばいで推移。営業利益は、荒利益率が前年同期比で0.2ポイント改善し54.8%となったことで増益となりました。
当第3四半期連結累計期間における国内の出店状況は、店舗数は21店舗増加し526店舗に。
海外の出店状況は、台湾で2店舗、中国で1店舗を出店し、台湾で3店舗、米国で1店舗、中国で1店舗を閉店した結果、店舗数は台湾30店舗、米国2店舗、中国37店舗と合わせて69店舗となり、当第3四半期連結累計期間末における国内・海外の合計店舗数は595店舗となりました。
国内では向かうところ敵なし状態ですが、海外では苦戦が続いています。なお、通期の業績予想に変更はありません。
画像出典元:「株式会社ニトリホールディングス」決算説明会資料
2020年2月期第2四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収減益となっています。概ね計画通りに推移。
梅雨明けの遅れや天候不順の影響により季節商品の一部が低調に推移し、売上高は予想比16億円減となったものの増収を確保。
営業利益については、発送配達費や既存店の計画的改装による展示什器費等の増加が響き、前年同期比で減益に。減益とはなりましたが、予想比24億円増と上振れ着地しています。ニトリは9割の商品を海外で製造し輸入しているため、円高も追い風となった模様です。
当第2四半期連結累計期間における国内の出店状況は、店舗数は14店舗増加し519店に。
海外の出店状況は、台湾で2店舗、中国で1店舗を出店し、台湾で1店舗、米国で1店舗を閉店した結果、店舗数は台湾32店舗、米国2店舗、中国38店舗と合わせて72店舗となり、当第2四半期連結累計期間末における国内・海外の合計店舗数は591店舗となりました。
2020年2月期の通期業績予想に変更はありません。33期連続の増収増益を見込んでいます。
ニトリホールディングスは、下期決済見込み分を105円53銭/ドルで為替予約しています。これにより業績予想に対して利益が約35億円増加する見通しです。会長兼CEOの似鳥昭雄氏は為替・株価予想の達人とも言われ、この為替予約も利益を押し上げる要因となっています。
9月は消費税増税前の駆け込み需要で売上・客単価ともに大幅増となっている模様ですが、消費税増税後の消費動向に注目です。
画像出典元:「株式会社ニトリホールディングス」決算説明会資料
2020年2月期第1四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収増益となりました。キッチン用品や家電、ソファ、ベッドルーム家具が好調に推移し売上を牽引しました。
店舗売上が前期比で5.4%増なのに対し、通販売上は19.8%増と通販が好調に推移しています。
一方、物流業界における人手不足や賃金上昇等により発送配達費が増加。ただ、広告媒体の紙面媒体からWEB媒体への転換により広告宣伝費が減少したこともあり、営業利益は微増となりました。概ね計画通りとのことです。
出店状況においては、デコホームを中心として出店を行い、店舗数は10店舗増の515店舗となりました。
海外の出店状況においては、台湾で2店舗、中国で1店舗を出店した結果、店舗数は台湾33店舗、米国3店舗、中国38店舗と合わせて74店舗となり、当第1四半期連結累計期間末における国内・海外の合計店舗数は589店舗となりました。
物流業界では物流コストの高騰や人手不足が問題となっていますが、ニトリでは物流面における労働環境改善の施策としてスワップボディコンテナ中継輸送のトライアル運行を実施 。
コネクトエリア浜松(静岡県浜松市)を中継地点とする関東DC(埼玉県白岡市)と関西DC(兵庫県神戸市)間の中継輸送を行い、輸送業務と荷役作業を分離することで労働時間の削減を可能にし、ドライバーの負担軽減を図ります。
これらの取り組みを女性の活躍や働き方改革にも繋げていくとしています。
なお、2020年2月期の業績予想に変更はありません。33期連続の増収増益を見込んでいます。
画像出典元:「株式会社ニトリホールディングス」決算説明会資料
2019年通期の業績は前期に対し増収増益となり、32期連続の増収増益を達成しました。客数は前期比+0.8%、客単価は前期比+1.8%となりました。
季節商品を中心とした寝具・寝装品や機能性カーテンなどのウィンドウカバリング、ベッドルーム家具が好調に推移し売上を牽引しました。
販売費及び一般管理費は、新規出店による人件費及び賃借料、発送配達費が増加しました。
通販事業の純売上高は前期比+27.3%と大きく伸び、そのうち約20%はレコメンド経由。
顧客一人ひとりの趣向や属性などから個別に最適化されたマーケティングを行う「One to Oneマーケティング」施策が効果を上げました。2月末時点で、ニトリアプリの登録者は約350万人となりました。
ニトリは、商品の企画や原材料の調達から、製造・物流・販売に至るまでの一連の過程を、中間コストを極力削減しながらグループ全体でプロデュースする「製造物流小売業」というビジネスモデルを確立しています。
それを踏まえて、当期の業績を振り返っていきます。
ニトリが扱う品目数の90%以上は海外から調達。海外協力工場はアジアを中心として世界各地に約500ヵ所ありますが、当期はベトナムやタイの自社工場における製造を拡大しました。
ニトリでは、「誰もが気軽に買える価格設定と、高い品質・機能を両立させること」を軸に商品を開発しています。また、簡単にコーディネートできるのも特徴の一つです。
そのようにして生み出された商品の中で売上を大きく伸ばしたのが、接触冷感素材を使用した「Nクール」及び吸湿発熱素材を使用した「Nウォーム」シリーズです。
また、付け替えが簡単な掛けカバー「Nグリップ」シリーズ、花粉キャッチカーテン、ネジや工具を使用しないカラーボックス「Nクリック」シリーズなどの機能性商品が好調に推移しました。
季節ごとのトータルコーディネートの商品企画の各シリーズは、いずれも高いデザイン性が支持されました。
主な商品開発
ニトリは物流拠点も独自で保有していますが、物流量の増大に対応し、新たな物流センターを開設しました。
2018年10月に、アジア各地の生産・調達工場と日本を結ぶ物流拠点として中国江蘇省にグループ最大となる「太倉DC」を新設。国内では11月に、宮城県に「仙台DC」、茨城県に「五霞DC」を開設しました。
国内の店舗数は、前期末から38店舗増加し505店舗となりました。
海外の出店状況は、台湾に4店舗、中国に13店舗出店しました。米国は1店舗出店しましたが、3店舗閉店しました。米国の進捗は思わしくありませんが、台湾・中国への出店は拡大しています。
その結果、当連結会計年度末における国内・海外の合計店舗数は576店舗となりました。
店舗数は東京が最も多く、49店舗。続いて大阪、埼玉、兵庫が30店舗以上有しています。
ニトリは郊外に大型店舗を出店し続けてきましたが、近年は都市型店舗のデコホームやニトリEXPRESSの出店を拡大させています。特に、デコホームは女性を意識したかわいくポップな商品を展開し、店舗デザインも既存のニトリとの違いを明確にしています。
各店舗の特徴
2020年2⽉期の業績予想は、前期に対し増収増益を見込んでいます。店舗展開は、56店舗出店し、5店舗閉店する予定です。新たにグローバル商品本部を発足したニトリ、今後どのようにグローバル企業へと発展していくか注目です。
画像出典元:「株式会社ニトリホールディングス」決算説明会資料
2019年第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収増益となりました。
季節商品を中心とした寝具・寝装品や、「オーダーカーテンキャンペーン」によりウィンドウカバリングの売上が好調に推移しました。「ニトリFun!ウィーク」もソファ、ベッドルーム家具の売上を押し上げる要因となりました。
オムニチャネル化の推進等によりニトリネットでの販売も好調を維持しています。
一般管理費は、発送配達費が上昇しましたが、展示什器費及び備品消耗品費が既存店の改装を推進した前年同期と比較して減少したことにより、概ね計画通りの実績となりました。
既存店の客数、客単価は共に前年同期に対し微増となりました。
一方、実店舗とネット通販を連携するオムニチャネルの拡大により通販の純売上高は好調に推移し、前年同期に対し売上は28%増、店舗受取件数は65%増となりました。
国内の出店状況は、ニトリ13店舗、デコホーム13店舗、ニトリEXPRESS3店舗を出店し、デコホーム1店舗を閉店した結果、495店舗となりました。
海外の出店状況は、台湾3店舗、米国1店舗、中国9店舗を出店し、米国1店舗を閉店した結果、68店舗となり、2019年第3四半期連結累計期間末における国内・海外の合計店舗数は563店舗となりました。
10月より、自社最大規模となる物流センター「太倉DC」の稼動を中国にて開始しました。これによりグローバルな商品供給拠点の増強及びさらなる物流効率化と安定化を目指します。
画像出典元:「ニトリホールディングス」決算説明会資料
2019年2月期第2四半期の業績は、前年同期に対し増収増益となりました。売上高は3,016億円、営業利益は558億円となっています。他全ての項目でも前年同期の数値を上回っています。
現在、家具・インテリア業界は、業態を越えた販売競争の激化及び人件費の高騰、物流コストの上昇等により引続き厳しい経営環境が続いています。ニトリはこれに対し、家具の引取り無料サービス等のキャンペーンの実施や発送配達費の抑制などの取り組みで対応。
ニトリ家具の引取り無料サービスのイメージ
また、季節商品を中心とした寝具・寝装品や、機能性カーテン関連商品の販売実績・ニトリネットでの売上増加が、ニトリ全体の業績を押し上げた形となりました。
続いて、詳しい通販サイト売上高成長率の推移を見ていきましょう。
今回の通販サイトの売上高は188億円。前年同期同様、売上高成長率30%キープとなりました。ニトリのネット通販への取り組みは順調に機能していると言えるでしょう。
さらに、ニトリは、今後のさらなる通販事業拡大に備えて新規物理流センターの建設を決定、2018年6月には太倉にてオープンしています。
ニトリの新規物流センター開設計画イメージ
ニトリの業績を支えているのは、店舗事業と通販事業の2本軸、現在この2つの売上高の合計が、全体の96.1%を占めています。
これまで、ニトリは、順調に国内外での店舗数を増やしていき、2018年8月時点のニトリ合計店舗数は、545店舗となりました。内、海外店舗は合計で63店舗。台湾30店舗・米国5店舗・中国28店舗となっています。
ニトリ製品を店舗にて販売。季節に合わせた展示を行うホームファニシング事業、人気商品のみを取り扱ったデコホーム事業、ニトリ製品を豊富に取り揃えたショッピングモール事業の3種類があります。
ニトリ製品をネット上で販売。現在はニトリネットと楽天市場にて24時間365日いつでも購入が可能です。ネット限定商品の取扱などで徐々にユーザー数を獲得しています。
ニトリは、2022年の売上高、1兆円達成を目標に掲げています。また、達成に向け、発展したテクノロジーを活用しオンライン領域とオフライン領域の連携を強め、物流網再構築や商品開発および商品供給体制の構築を行なっていく方針です。
ニトリは、これまで、異業種との競争激化や物流コスト増加など様々な課題を抱えるなか、事業領域拡大や海外店舗を増やしグローバル化、ニーズに合わせた商品構成変更などの取り組みを行なってきました。また、ネット限定商品を販売、オンライン販売利用者増加への施策も講じています。
今後も引き続き、キャンペーンや商品開発を積極的に行なっていく方針です。
また、テクノロジー活用においては、今回全店への導入が完了したデジタルカタログに続き、渋谷にて接客ロボット「pepper」による売場案内実験を開始しました。
画像出典元:「ソフトバンク」公式HP
2019年2月期末に向けては、プラス40店舗、合計585店舗達成を目指す計画も打ち出しています。
ニトリは、これまで31期連続で増収増益を達成してきました。このまま店舗数増加による顧客数・取扱商品数増加や、ニトリネットの売上増加が続けば、今後の達成も十分に見込めるでしょう。
画像出典元:「ニトリホールディングス」決算説明会資料・公式HP
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