Eコマースプラットフォーム『BASE』やオンライン決済サービス『PAY.JP』を提供する「BASE」の決算を見ていきます。
【グラフ】売上高の推移
通期売上高は前期比+63.7%、売上総利益は同+59.7%で、プロモーション費及び人件費等への先行投資により第4四半期は赤字が拡大も、通期では赤字が縮少しました。
【グラフ】営業損益
売上総利益の高い成長により営業損益(プロモーション費除く)は前期比+525.6%と大きく成長し、前期に引き続きプロモーションに注力したため営業損益は赤字も、前期から大きく改善いたしました。
売上高は前期比+37.5%~44.1%、売上総利益は同+34.9%~39.6%の成長を見込んでおり、プロモーション費用等の先行投資は、外部環境、競合状況を見極めつつ実行していくとの予想です。
画像出典元:「BASE株式会社」決算説明資料
Eコマースプラットフォーム『BASE』やオンライン決済サービス『PAY.JP』を提供する「BASE」の決算を見ていきます。
2019年12月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し大幅な増収となったものの、最終2億8,300万円の赤字で着地しています。なお、BASEは2019年10月25日に東京証券取引所マザーズに上場しています。
大幅な増収となった主な要因は、BASE事業、PAY事業ともにGMV(流通総額)が前年同期比で2桁増と大幅に伸長したことによるものです。BASE事業、PAY事業ともに、決済に対する手数料収益が売上となるビジネスモデルであるため、GMVが伸びると売上高が伸びる構造となっています。
【グラフ】売上高の推移
一方、プロモーション費および人件費等への先行投資が響き、営業利益は赤字に。第2四半期はプロモーション費用を抑えていたため営業黒字でしたが、第3四半期はTVCMやWebマーケティング強化等の先行投資を強化。
【グラフ】営業損益の推移
プロモーション費用を抑えれば黒字となる水準でしたが、今期は認知度向上のためのテレビCMや、ショップ獲得のためのWeb広告に先行投資を継続。TVCMは、昨年は香取慎吾さんを起用しましたが、今年は元AKB48の小嶋陽菜さんを起用しています。
小嶋陽菜さん起用のTVCM
通期の業績予想は、前期に対し大幅な増収となるも、最終5億6,000万円の赤字となる見込みです。
引き続き、人件費やプロモーション費用等の先行投資を続けるため、今期は赤字計画。なお、GMVは、BASE事業は428億6,400万円(前期比+58.2%)、PAY事業は214億7,700万円(前期比+57.0%)とそれぞれ大幅増となる見込みです。
【グラフ】GMV(事業別)予想
BASE事業においては、2019年8月時点で開設ショップは80万ショップを超え、ネットショップ作成サービスとして日本ではNo.1のプラットフォームに成長。
ショップオーナーのほとんどがSMB(Small to Medium Business)層で、半数以上が1名で運営。ECサイト開設や決済機能導入が容易であること、初期費用・月額費用が無料というのが、同業サービスとの大きな差別化要因となっているようで、今後も開設ショップは増加すると思われます。
一方、PAY事業はBASE事業に比べてかなり収益性が低いビジネスであるため、黒字化に時間がかかる見込み。PAY事業への投資は限定的になるとのことです。
BASEグループは、BASE株式会社と連結子会社であるPAY株式会社及びBASE BANK株式会社の計3社で構成されています。
代表取締役CEOであり創業者の鶴岡裕太氏が、誰でも簡単にデザイン性の高いネットショッ プが作成できる仕組みを提供することを目的として2012年、BASEを設立。きっかけは、小売店を営んでいる母親の「ネットショップを作ってみたい。だけど、どれも難しくてよく分からない。」という言葉だったそうです。
その後、2014年にオンライン決済サービスを運営するピュレカ株式会社を子会社化(2018年5月に清算済)したことでオンライン決済サービス事業を加速させ、オンライン決済サービス「PAY.JP」、ID決済サービス「PAY ID」の提供を開始。
2018年、「PAY.JP」、「PAY ID」事業を分社化し、100%子会社となるPAY株式会社を設立。また、新規事業として金融サービスを手掛けるBASE BANK株式会社を2018年に設立。
2018年には、資金調達サービス「YELL BANK」の提供を開始。そして、2019年10月25日に東京証券取引所マザーズに上場を果たしました。
事業概要図
報告セグメントは、「BASE事業」「PAY事業」「その他事業」の3区分です。
Eコマースプラットフォーム「BASE」
誰でも簡単にデザイン性の高いネットショップを無料で作れるネットショップ作成サービスと、そこで開設された店舗の商品を購入できるショッピングアプリ等を提供するEコマースプラットフォームを展開
● 特徴
● ビジネスモデル
売上高は、「BASE」における流通総額に手数料率を乗じて算出される決済・サービス手数料及び特定の決済方法の決済毎に定額で受け取る購入者手数料から構成されます。開設ショップの継続利用により、GMVも継続的に蓄積されるストック性の高い積上型ビジネスモデルです。
【グラフ】GMV(BASE)の推移
① オンライン決済サービス「PAY.JP」
Webサービスやネットショップ(「BASE」により作成されたネットショップを除く)にクレジッ トカード決済を簡単に導入できる開発者向けのオンライン決済サービス
● 特徴
● ビジネスモデル
売上高は、「PAY.JP」における流通総額に手数料率を乗じて算出される決済手数料です。
② ID決済サービス「PAY ID」
一般カスタマー向けサービスとして、ID決済サービス「PAY ID」を提供
●特徴
資金調達サービス「YELL BANK」
「BASE」を利用するネットショップ運営者等に対して事業資金を提供するサービス
●特徴
画像出典元:「BASE株式会社」決算説明会資料
となりました。
2018年12月期の業績は売上高が前年同期比72.8%増の19億8,273万円となりましたが、経常利益は△6億1,361万円、当期純利益は△8億5,478万と減らしつつあるものの依然赤字が続いています。
2019年8月に「BASE」のネットショップ開設数は800,000ショップを突破し、2年連続でネットショップ開設NO.1となりました。
導入が簡単な決済機能、おしゃれなデザインテーマ、トランザクション解析ツールなどネットショップの運営に必要な機能を備えており、費用やWeb技術、時間などのさまざまな理由でこれまでネットショップをはじめることが困難だった人も、気軽に始めることができます。
トレンド、ファッション、インテリア、エンタメ、ホビー、コスメ、家電、スマホ、スポーツ、レジャー、食品、飲料(野菜や果物などの農産物、肉、魚等の生鮮食品もふくむ)など幅広いジャンルの商品を購入することができます。
ネットショップ作成サービス「BASE」を利用するショップオーナーが、リスクが無く、即時に資金調達できる金融サービスです。ショップの将来の売上金額を予測して「YELL BANK」がショップオーナーから将来の売掛債権を買い取ります。買い取った金額は即時にショップオーナーに支払われるため、ショップオーナーは将来の売上を"今すぐ"に利用することができます。
WebサービスやEコマースにクレジットカード決済を無料で簡単に導入できる開発者向けのオンライン決済サービスです。
購入者向けのID決済サービスです。予めユーザー情報を登録をすると、以降は、都度クレジットカード番号や届け先情報を入力する必要がなく、IDでログインするだけでスムーズにオンライン決済を行うことができます。また、アプリの販売リンク機能を使えば、支払いだけでなく、スマホだけで物販を行うことも可能です。
9月20日、東京証券取引所マザーズ市場への新規上場が承認されました。
上場日は2019年10月25日の予定です。
出典:公式HP
BASEの第5期決算は
となりました。注目すべきポイントは、売上高11億4,700万円に対して販管費が18億5,300万円にも上っている点です。
BASEが提供しているショッピングアプリやネットショップ作成サービスは競争が激化している分野です。競合に勝つためにもプロモーションを積極的に実施をしていることが背景にあるでしょう。2018年3月には元SMAPの香取慎吾さんを起用したCMを放映、8月に第2弾の放映しました。今期はさらに、販管費が膨らむと予想されます。
2018年4月にBASEが運営するネットショップ作成サービスの店舗開設数が50万店舗を達成しました。初期費用・月額費用が無料で開設の作業が簡単なこと、積極的なプロモーションの成果と言えます。
画像出典元:「BASE」プレスリリース
BASEは2018年1月にグローバル・ブレイン株式会社をリードインベスターとして、総額15億円の資金調達を実施しました。Eコマースプラットフォーム「BASE」や子会社が運営するお支払いアプリ「PAY ID」、オンライン決済サービスの「PAY.JP」の開発体制を整えるための人員拡充、マーケティング費用に充てるようです。
さらに、2018年4月には株式会社丸井グループから資金調達を実施し、業務提携を締結しました。
今後の展開にも注目していきたいです。
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