モバイルオンラインゲームの開発・運営を行う「gumi」の決算を見ていきます。
2020年4月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し減収増益、黒字に転換しています。四半期ベースでは過去最高の営業利益、経常利益を達成。
売上高・利益ともに計画を上回って推移していることから、gumiは決算発表直前に第3四半期(2019年5月1日~2020年1月31日)の連結業績予想を上方修正。
これは、2019年11月に配信を開始した、株式会社スクウェア・エニックスと共同開発した「WAR OF THEVISIONS ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス 幻影戦争」が想定を上回り好調に推移したことによるものです。国内版は配信後、約3ヶ月で1,000万ダウンロードを突破しました。
前四半期比では大幅増収を確保した一方で、前年同期比では2桁減収に。減収となった主な要因は、「FFBE幻影戦争」が売上に大きく寄与したものの、一部主力タイトルの売上減少、及び不採算タイトルの早期撤退を行ったこと等によるものです。
営業利益は、開発運用費や広告宣伝費が減少した結果、前年同期比で大幅な増益となり、黒字化を達成。
一方、新規事業領域において、VRゲームの企画・開発・運営を行っている株式会社よむネコ及びその他一部投資先の減損を行ったことに伴い、特別損失5.9億円を計上しました。
新規事業領域は苦戦しているようです。
非開示だった通期の業績が開示されました。前期比で減収となるも、営業利益、経常利益は黒字に転換する見込みです。
第4四半期において、「FFBE幻影戦争」国内版は引き続き売上に貢献していくものの、配信直後の新規ユーザー流入や課金動向は落ち着くと思われます。また、主力タイトルは季節要因等により、前四半期比で減収を見込んでいるとのこと。
一方、利益に関しては、不採算タイトルの整理、スタジオの統廃合、広告宣伝費の適正化等に伴うコスト削減により、前期比で大幅な増益、黒字転換を見込んでいます。
「FFBE幻影戦争」海外言語版は今期中の配信が予定されています。減少傾向にある海外売上高が、どこまで回復するのか今後の動向に注目です。
画像出典元:「株式会社gumi」決算説明資料
2020年4月期第2四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し減収、営業利益及び経常利益は黒字に転換したものの、最終3,300万円の赤字となっています。
gumiは、決算発表前の12月2日に上期の業績予想を売上高は下方修正、営業利益及び経常利益は上方修正しています。売上高については、第2四半期に配信を予定していた新規タイトルに関して配信が行われなかったことから、前回発表予想より1億2,700万円減の88億8,700万円に下方修正。
営業利益、経常利益については、外注費の減少及び広告宣伝費の減少等に伴いコストが減少したことから、それぞれ上方修正。前年同期赤字から一転、黒字となりました。
なお、gumi Europeの事業撤退に伴う費用に関しては、子会社整理損として約2億5,000万円の特別損失を計上する予定でしたが、一部費用が減少したこと及び勘定科目の変更があったことから、当第2四半期連結累計期間の特別損失計上額は事業構造改革費用1億9,655万円となりました。
非開示だった第3四半期(累計)の業績予想が開示されました。親会社株主に帰属する当期純利益は、税効果の見積りが困難であるため非開示。
11月14日に配信を開始した「WAR OF THE VISIONS ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス幻影戦争」(スクウェア・エニックス配信)は売上ランキングが10位圏内を推移する等、好調な立ち上がりを見せています。海外言語版は、今期中の配信を予定しており、収益拡大に期待がかかります。
第3四半期は「FFBE 幻影戦争」の売上寄与等を想定し、前四半期比で増収となる見込み。
営業利益、経常利益に関しては、「乙女神楽 ~ザンビへの鎮魂歌(レクイエム)~」の大型アップデートに伴う外注費の増加や、「ファントム オブ キル」の5周年施策に伴う広告宣伝費の増加等、一時的なコストの増大を想定するも前四半期比で増益を見込んでいます。
また11月26日には、グループが有する「ブレイブ フロンティア」のIPを活用した新しいブロックチェーンゲームの開発を行うことを決定したと発表。開発及び運用において支出する費用は軽微とのことです。
画像出典元:「株式会社 gumi」決算説明資料・公式HP
2020年4月期第1四半期の連結業績は、前年同期に対し減収、営業利益および経常利益は黒字に転換しましたが、最終1億7,100万円の赤字となっています。
モバイルオンラインゲーム事業において、主力タイトルである「ファントム オブ キル」「誰ガ為のアルケミスト」「クリスタル オブ リユニオン」、株式会社スクウェア・エニックスと共同開発した「ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス」は堅調に推移したものの、2018年4月期と2019年4月期に配信を開始した新規タイトルが苦戦し、売上高は予想を下回って推移。
一方、前四半期比で増収となっているのは、「ファントム オブ キル」「誰ガ為のアルケミスト」の増収に加え、「乙女神楽 ~ザンビへの鎮魂歌〜」の配信開始によるものです。ただし「乙女神楽 ~ザンビへの鎮魂歌~」は立ち上がりこそ好調も、継続率等に課題があるとのこと。
費用面は、不採算タイトルの早期撤退やスタジオの統廃合等を実施したことに伴い開発運用費が減少。また、広告宣伝費や外注費も減少し、営業利益は予想0円を上回り黒字で着地。
【グラフ】売上高及び営業利益
経常利益は、投資事業組合運用損等を計上し4,100万円に。純利益は、gumi Europe SAS の事業撤退に係る特別損失を計上したこと等により1億7,100万円の赤字に。
なお新規事業は、XR領域及びブロックチェーン領域において、国内外の有力企業への投資を継続しています。新規事業は投資フェーズであり、収益はありません。
通期の業績予想、および親会社株主に帰属する当期純利益は非開示ですが、2020年4月期第2四半期(累計)は前年同期に対し減収、営業利益および経常利益は引き続き黒字となる見込みです。
モバイルオンラインゲーム事業において、一部主力タイトルの減収を想定しており、前四半期比でも減収となる見込みです。営業利益、経常利益は広告宣伝費等の減少により概ね第1四半期と同水準を見込み、黒字を維持すると予想。
開発中のタイトル数は、オリジナル3本と他社IP系3本の計6本。
他社IP系の「WAR OF THE VISIONS ファイナルファンタジーブレイブエクスヴィアス 幻影戦争」(スクウェア・エニックス配信)は、国内版の事前登録を6月10日に開始し、事前登録40万人を突破。年内には配信予定となっており、海外言語版も早期の配信を目指すとしています。
画像出典元:「株式会社 gumi」決算説明資料
2019年4月期通期の業績は、前期に対し大幅な減収減益、最終△16億9,500万円の赤字に転落しました。
モバイルオンラインゲーム事業において、「ファントム オブ キル」「誰ガ為のアルケミスト」「クリスタル オブ リユニオン」「ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス」は堅調に推移したものの、2018年3月期及び2019年4月期に配信を開始した新規タイトルが苦戦。
また、経営資源の選択と集中を図るべく一部タイトルの配信停止により売上が減少。開発費及び広告費は減少したものの、減収に伴い減益となりました。
経常利益は、持分法による投資損失3億4,500万円を計上したこと等により、予想値を大幅に下回りました。
VR/AR領域及びブロックチェーン領域において、国内外の有力企業への投資を継続しています。
第4四半期においては、季節要因や「ドールズオーダー」の配信権譲渡等により売上が大幅に減少。加えて「劇場版 誰ガ為のアルケミスト」制作費の計上等により広告宣伝費が増加し、大幅な赤字となりました。
財政状態は、現金及び預金が98.9億円、純資産比率が64.3%と健全な水準を維持していますが、現金及び預金は前期比で31億円減と大きく減少しています。
5月28日の取締役会において、連結子会社であるgumi Europe SASの事業撤退を決議。
gumi は、2012年よりモバイルオンラインゲームのグローバルなコンテンツ配信網の構築を図るべく積極的に海外展開を行ってきましたが、想定を下回って低調に推移。
モバイルオンラインゲーム市場が成熟期を迎えている状況下において、不採算タイトルの早期撤退等のコスト構造の見直しを実施するとともに、収益性の見込めるタイトルにリソースを集中させていくことが必要であると考え、事業撤退を決定したとのことです。
海外拠点の状況
gumi Europeの事業撤退をもって、不採算拠点の整理は完了。
2020年4月期第1四半期に子会社整理損として約2億5,000万円の特別損失を計上するものの、撤退完了後は営業利益が約6億円プラスになる見通しです。この発表を受け、株価は続伸しました。
今後は、gumi Asia(Primus、Taiwanを含む)を中心とした自社有力タイトルの海外展開に注力していくとしています。
5月7日に「株式会社gumi Cryptos」を設立し、ブロックチェーンに係る事業を吸収分割により承継。2020年4月期より事業セグメントにブロックチェーン事業を追加しました。
また、「VR/AR事業」に関しては、現状の投資領域に鑑み「XR事業(VR、AR、MR等)」へ名称を変更し、「株式会社gumi VR」を「株式会社gumi X Reality」へと商号を変更。
全社グループの組織体制
これにより、「モバイルオンラインゲーム事業」「VR/AR事業」の2つの報告セグメントが、2020年4月期より「モバイルオンラインゲーム事業」「XR事業(VR、AR、MR等)」「ブロックチェーン事業」の3つの報告セグメントへと変更されます。
引き続き、人員の適正配置等のコスト最適化を継続。
新規タイトルは、「乙女神楽 ~ザンビへの鎮魂歌~」「WAR OF THE VISIONSファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス 幻影戦争」(スクウェア・エニックス配信)を含む3~4本の大型タイトルを配信予定。
引き続き投資は継続も、「ソード・オブ・ガルガンチュア」「Wasteland : Frost Point」のグローバル配信等により上期から収益貢献を実現予定。
成長市場への早期参入により、将来の収益機会の創出。
2020年4月期の業績予想は、第1四半期の連結業績予想のみ開示されています。
売上においては、5月に配信を開始した「乙女神楽 ~ザンビへの鎮魂歌~」の収益貢献等を想定し、前期比では減収となるものの前四半期比では大幅な増収を見込んでいます。
不振が続くモバイルオンラインゲーム事業で巻き返すか、それとも新規事業の収益化が先か、今後の動向に注目です。
画像出典元:「株式会社 gumi」決算説明資料
2019年第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し大幅な減収、最終△3億2,800万円の赤字となりました。
主力タイトルは堅調に推移したものの、新規タイトルの苦戦、一部タイトルの配信停止により売上が減少しました。VR/AR事業への投資も響きました。
VR/AR事業は投資フェーズで、収益貢献には至っていません。
累積では赤字となりましたが、第3四半期は広告宣伝費の大幅な減少により黒字に転換しました。ただし、売上が減少していることには変わりがありません。海外の売上も減少しています。
第4四半期では再び赤字に転落する見込みです。
2019年通期の業績は、前期に対し大幅な減収、営業赤字△14億円となる見込みです。
第4四半期では、「劇場版 誰ガ為のアルケミスト」の制作費約5億円を計上予定のため、広告宣伝費が大幅に増加する見込みです。
今後は、コスト構造の見直し、新規タイトルの配信、VRゲーム・ブロックチェーンサービスなどの新規事業の収益貢献に取り組み、来期第1四半期には黒字化を目指します。
画像出典元:「株式会社 gumi」決算説明資料
2018年4月期第2四半期の営業利益は、△3億5,900万円の赤字となり、売上高も減少、他全ての項目で前年実績を下回りました。
経営資源の選択と集中を図るべく、一部タイトルの配信停止を行った結果、売上高が減少しています。
それでは、売上・営業利益の推移をより詳しくグラフで見ていきましょう。
売上高は前期に続き緩やかに減少し続けています。前期に比べ、海外売上高は伸びたものの、国内売上高が減少しました。
今期は広告宣伝費が大きく増加しています。これはTVCM放映や新規タイトルの配信に伴うプロモーションの実施等によるものです。
連結子会社である株式会社gumi VRが出資している、米国のゲーム制作会社inXile Entertainment Inc.に関し、Microsoft Corporationが買収を決定したため、inXile社の株式を売却することを決定し、これにより、特別利益(投資有価証券売却益)約92百万円を平成31年4月期第3四半期連結会計期間に計上します。
2018年4月期第1四半期の営業利益は、△2億5,400万円の赤字となりました。売上高も減少、他全ての項目でも前年実績を下回ったものの、2018年6月に開示した業績予想を上回り着地。四半期純利益は、一部投資有価証券売却による3億円の営業外収益と5億3,000万円の特別利益を計上した事で、7,400万円の黒字となりました。
それでは、売上・営業利益の推移をより詳しくグラフで見ていきましょう。
2016年第3四半期より売上高は、国内の業績低下に伴い緩やかに減少しています。海外売上高は多少上下していながらも安定。2017年第3四半期以降、営業利益は大幅減少となりました。
また費用面では、新規タイトルへの開発投資の強化に向け前四半期比売上原価が増加しているのに対し、広告宣伝費を抑える事でバランスを取っています。
2017年第2四半期を除けばこの一年で費用全体の推移に目立った変化はありません。
画像出典元:「日本経済新聞」gumi株価
株価は、2018年9月中旬までの1年間で約3分の1まで低下。
現時点では業績、経営共に芳しくない状態にあります。
その一方で2018年には、成長が著しいVR/AR事業等で開発支援、ブロックチェーン事業では他企業への投資や自社開発を積極的に進めています。取組内容からもgumiの中長期的な視点に立った意欲的な姿勢が伝わってきます。
今後の事業拡大に向け我慢の時間を迎えているgumi、現在の事業内容を見ていきましょう。
gumiは「私たちは、エンターテイメントを通じて世界共通の話題を提供し、人と人との関係を繋ぐことで、日々の生活に新しい楽しさと豊かさを提供します。」を経営理念に「情報革命時代を代表する、世界No.1エンターテイメント企業になる。」をビジョンに掲げています。
gumiを支えている事業は主に2つ。
モバイルアプリ配信プラットフォームにゲームコンテンツを提供するサービス。①国内ディベロップメント②海外パブリッシング③海外ディベロップメントを3本柱に事業を展開しています。
市場の状況に合わせて投資を行っていく方針。国内・海外にて主にファンド出資を通じたVR/AR関連企業の成長支援を実施。市場の成長期においてはVR/ARコンテンツの開発を主体的に取り組む予定です。
gumiは、国内外でモバイルオンラインゲームの開発と運営を行っています。さらに、市場の急拡大が見込まれるVR/AR市場において、優位なポジションを築くために早い段階から合計78社に投資を実行しました。
gumiでは主に、先行投資によるモバイルオンラインゲーム事業の拡大と、VR/AR事業やブロックチェーン事業などの新規事業への投資回収等を進めていく方針でいます。
モバイルオンラインゲーム事業の既存タイトルでは、主力タイトルに経営資源を集中し、売上の維持・拡大を図ります。そして、新規タイトルにおいては、大ヒットタイトルの創出に向けた投資を実行。開発環境を実績や他社との協業に長けたスタジオに集中していきます。
VR/AR事業においては、VTuber等の新たなコンテンツの開発支援に注力。
ブロックチェーン事業においては、投資先等との協業を通じたコンテンツ開発に取り組んでいく計画です。また、gumiは「gumi Cryptos匿名組合」を通じた国内外の有力企業への投資も継続予定。
続いて、第2四半期決算の業績予想を見てみましょう。
赤い枠内が、次回決算開示時の業績予想
売上高は、新規タイトルの複数配信予定があるものの、保守的に設定。営業利益・経常利益に関しては、大型プロモーションの実施・新規タイトルの配信に伴うプロモーションの実施等を想定し減益を見込んだ設定としました。
現在プロトタイプを含め十数本のタイトルを開発中。β版以降の開発フェーズに差し掛かったタイトルは7本となっています。
また、gumiは2018年8月下旬に、海外でのIP事業展開を見据えたバーチャルタレントを支援するActiv8株式会社へ約6億円の出資を実行しました。
画像出典元:「gumi」決算説明会資料
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