アパレル関連会社などを統括する持株会社「オンワードホールディングス」の決算を見ていきます。
2020年2月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収となったものの大幅な減益、最終226億7,200万円の赤字となっています。
増収となった主な要因は、ライフスタイル関連事業においてチャコット株式会社における新規ブランドの展開による収益改善に加え、新規連結子会社の株式会社大和が寄与したことによるものです。
一方、主力のアパレル関連事業は国内・海外ともに前年同期比で減収に。Eコマースでの販売は堅調に推移していますが、実店舗の販売が苦戦しています。
営業利益は、アパレル関連事業において国内は大幅な減益、海外は赤字と厳しい状況となっています。オンワードホールディングスは10月にグローバル事業構造改革を行うことを発表しましたが、それに伴い特別損失を計上したことにより大幅な赤字に転落しました。
オンワードホールディングスは2019年12月6日、希望退職者の募集を行うと発表。対象者は40歳以上かつ勤続3年以上の一般社員(販売職除く)で、募集人数は350名程度。募集期間は2020年1月7日から2020年1月30日までで、退職日は2020年2月29日となっています。
希望退職者募集に伴い発生する特別退職金と再就職支援に係る費用は特別損失として計上する予定。なお、現時点では応募者数が未確定であるため、通期の業績予想は修正されていません。
【グラフ】業績推移
中核事業会社のオンワード樫山の百貨店依存率は6割と高く、百貨店不振の影響により売上高は年々減少していますが、今後は好調なEコマースの販売をさらに拡大させていくようです。
グループは、オンワードホールディングス、子会社87社および関連会社22社の計110社で構成され、紳士服、婦人服等の繊維製品の企画、製造および販売(アパレル関連事業)を主な事業内容とし、さらにライフスタイル関連事業も展開しています。
衣料品等の企画・ 製造・販売
【主要な会社】
株式会社オンワード樫山、オンワード商事株式会社等
●主なオリジナルブランド
●主な海外ブランド
ダンス用品、ペットファッション、なごみ雑貨の製造販売、 リゾート施設の運用管理、商業施設の企画・設計・施工等
【主要な会社】
チャコット株式会社、株式会社クリエイティブヨーコ等
画像出典元:「株式会社オンワードホールディングス」公式HP
アパレル関連会社などを統括する持株会社「オンワードホールディングス」の決算を見ていきます。
2020年2月期第2四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収となったものの、最終244億3,200万円の赤字となっています。上期15億円の黒字予想から一転、巨額赤字に転落。
アパレル関連事業の売上高が前年同期比で減少したものの、ライフスタイル関連事業において株式会社大和を子会社化したことが寄与し増収に。オンワードホールディングスは事業領域を広げることを目的に、ギフト事業を展開する大和の全株式を取得し2019年3月に子会社化しています。
一方、営業利益は、オンワード樫山の営業利益が前年同期比66.2%減、額にして15億3,700万円減少したことが響き、赤字に。
【グラフ】連結営業利益の増減要因
また、オンワードホールディングスは、グローバル事業構造改革として欧米、アジア、国内で不採算事業からの撤退や事業規模の縮小、不採算店舗の廃止等を実施することを決定。その結果、一時費用が増加するとともに特別損失252億8,600万円(うち事業整理損31億1,700万円、減損損失221億3,900万円)を計上したことにより、最終244億3,200万円の赤字に転落。
減損損失の内訳は、国内アパレルで5億200万円、海外アパレルで50億700万円、ライフスタイル関連で57億3,300万円、各報告セグメントに配分していない全社資産で108億9,500万円となっています。
セグメント別の業績をもう少し詳しく見ていきましょう。
上期のアパレル関連事業は、前年同期に対し減収、営業利益は前年同期7億5,400万円の黒字から6億5,500万円の赤字に転落しています。国内・海外ともに減収減益、アパレル関連事業は低迷しています。
●国内アパレル
国内アパレル事業は、前年同期に対し減収減益、利益は約4割減少しています。
なかでも国内アパレル売上高の約8割を占める、オンワード樫山が苦戦。ブランド別では「23区」「ポール・スミス」は増収となったものの、ほか「自由区」「五大陸」などの百貨店ブランドは軒並み売上が落ち込んでいます。
チャネル別では、Eコマースは堅調に伸びていますが、主力の百貨店の売上高が前年同期比7.6%減の382億円となっています。オンワード樫山は、店舗閉鎖およびその一時費用の影響により通期でも減収減益の見込みです。何店舗閉鎖されるかは明らかにされていませんが、相当数に上るものと見られます。
●海外アパレル
海外アパレル事業は、前年同期に対し減収、赤字幅は拡大しています。地域別では、欧米事業は減収、赤字幅が拡大。アジア事業は収益性回復により減収ながら増益となりましたが、香港デモの影響により売上が減少しています。
株式会社大和の子会社化が寄与したことに加え、リゾート事業のグアムへの日本人旅行者の増加により、ライフスタイル関連事業全体として増収増益に。今後、ライフスタイル分野における更なるM&Aも検討しているとのこと。
グローバル事業構造改革実施により、通期業績予想を下方修正しています。
2020年2月期の業績は、前期に対し増収減益、最終240億円の赤字となる見込みです。
グローバル事業構造改革の概要としては、オンワードイタリアの一部事業撤退、オンワードコリアの清算、「オープニングセレモニー」「フィールドドリーム」等不採算事業からの撤退、規模縮小、不採算店舗の廃止等です。
韓国では「23区ゴルフ」を展開していましたが、日韓関係悪化が要因で業績は低迷していた模様です。店舗閉鎖だけではなく、子会社も清算します。
今後、国内外で600店舗閉店するとの報道もありますが、具体的な店舗数は明示されていません。オンワードホールディングスはZOZOTOWNから撤退しましたが、自社ECサイトに注力しており、通期のEC売上は前期比37%増の350億円を見込んでいます。
今後、構造改革がどのように進んでいくのか注目です。
画像出典元:「株式会社オンワードホールディングス」決算説明資料
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