ほっともっと、やよい軒などのフランチャイズを運営する「プレナス」の決算を見ていきます。
2020年2月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し減収となるも営業利益は黒字化を達成。一方、9月以降に退店したほっともっと直営店舗の固定資産に係る減損損失を計上したことにより、最終9億4,900万円の赤字となっています。
まず、売上高構成比を見ていきましょう。売上高の7割がほっともっと事業、2割がやよい軒事業です。その他は、連結子会社の宮島醤油フレーバー株式会社で、調味料・加工食品のOEMを主な事業としています。なお、宮島醤油フレーバー株式会社は、2020年3月1日をもって商号を株式会社エムエスエフに変更となります。
次にセグメント別売上高ですが、海外事業は前年同期比で増収となったものの、ほっともっと事業、やよい軒事業、MKレストラン事業は減収に。既存店売上高は伸び悩んでいます。
営業利益に関しては、効率的なプロモーション展開や店舗諸経費の改善等によってほっともっと事業の赤字幅は大幅に縮小したものの、やよい軒事業、MKレストラン事業、海外事業の利益は悪化しています。
利益悪化の要因を、やよい軒事業においては既存店売上高の減少や原価率の上昇等によるもの、MKレストラン事業においてはリブランディングやキャンペーンに伴う販売促進費や人件費の増加等によるものとしています。
プレナスは業績悪化に伴い、ほっともっと直営店の退店を進めており、2019年9月には直営店187店の退店を実施しています。
その結果、第3四半期連結累計期間末の店舗数は
となりました。
なお、通期の業績予想は8月に下方修正された以降、変更ありません。8億3,000万円の最終赤字となる見込みです。ほっともっと事業の構造改革は進んでいますが、その他の事業も厳しい状況です。
2020年2月期第2四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し減収増益となるも、ほっともっと直営店の退店予定店舗の減損損失の計上などにより最終8億7,300万円の赤字となっています。
天候不順の影響で売上高は予想を下回って推移。なかでも、主力事業のほっともっとの売上高は前年同期比で12億円減と売上減が顕著です。
営業利益は、販促コストや店舗諸経費の改善により、原価率上昇や既存店売上減少を吸収し、前年同期比10倍と大幅な増益に。ただし、計画に対しては大幅に下回って推移。経常利益も為替差損が響き、計画を大幅に下回っています。
【グラフ】営業利益増減要因
第2四半期連結累計期間末の国内グループ店舗数は前期末比16店減の3,145店、海外店舗数は前期末比9店増の251店に。今後も国内店舗は退店が続くも、海外店舗は拡大していく見込みです。ただし、海外事業はいまだ赤字です。
それでは、ほっともっと、やよい軒、MKレストランのそれぞれの業績を見ていきましょう。
売上高は前年同期比で減少していますが、赤字幅は縮小。
TVCMを強化していた前年からは客数が減少し、既存店売上高も減少(前年同期比1.6%減)しています。店舗数は新規出店6店、退店28店となり2,726店に。9月以降はさらに店舗数が減少するので売上も減少していくと思われますが、まずは黒字化が優先。
【グラフ】既存店売上高前年比
やよい軒は前年同期に対し増収増益と一見好調に見えますが、既存店売上高は減少(前年同期比2.2%減)しています。やよい軒も、TVCMやキャンペーンを強化していた前年対比では客数が減少。
一方、店舗数は新規出店6店、退店1店となり382店に。増収は店舗数増加によるものです。
【グラフ】既存店売上高前年比
売上高は前年同期比で減少し、赤字幅も拡大。人件費やリブランディングに伴う販売促進費が増加しています。キャンペーンによって客数回復は見られたものの、客単価は減少。店舗数は新規出店1店となり、37店に。
【グラフ】既存店売上高前年比
通期の業績予想については、8月9日に下方修正して以降、変更はありません。前期に対し減収、営業利益は黒字化、減損損失計上で最終8億3,000万円の赤字となる見込みです。
下期からはほっともっと大量閉店が始まり、消費税引き上げによる消費マインドの冷え込みも懸念されますが、ほっともっとは軽減税率が適用され、消費税8%で価格据え置き。外食の消費税10%と比較して有利に働くと思われます。
一方、食肉価格は不透明感が増し、玄米価格は上昇傾向にあります。
このような背景のなか、プレナスは内製化の推進とFC化の推進に取り組んでいます。内製化の推進では120億円投資し、前期で工場への設備投資は完了しています。また、直営店の比率を下げ、FC化を推進することで利益が改善される見込みです。構造改革により、来期以降の業績回復に期待がかかります。
画像出典元:「株式会社プレナス」決算説明会資料
ほっともっと、やよい軒などのフランチャイズを運営する「プレナス」の決算を見ていきます。
2020年2月期第1四半期の業績は、前年同期に対し増収となったものの、最終1億2,200万円の赤字となっています。
売上高が前年同期比で微増となったのは、既存店売上高が前年同期実績を下回ったものの、前年の新規出店による店舗数の増加や、連結子会社の売上増加によるものです。
一方、営業利益は、前年より実施してきた商品力強化による原価率の上昇などにより赤字に。
なお、下記グラフの※2の数字は当初予想していた通期業績予想の数字であり、8月9日に業績予想は下方修正されています。
プレナスの2019年2月期の業績は、商品力強化、人材確保・育成への投資、仕入コストの上昇などにより5億円の営業赤字でした。これに加えて店舗の固定資産に係る減損損失が増加し、最終29億円の赤字に転落。上場来初の最終赤字となりましたが、今期も赤字からのスタートに。
当第1四半期末の店舗数は国内3,155店舗、海外247店舗、合計3,402店舗に。前期末より海外店舗は5店舗増加しているのに対して、国内店舗は6店舗減少しています。なかでも、ほっともっとは4店舗新規出店する一方で、13店舗退店しています。
セグメント別の業績をもう少し詳しく見ていきましょう。
報告セグメントは、「ほっともっと事業」「やよい軒事業」「MKレストラン事業」「海外事業」の4つに区分されています。
売上高は、既存店売上高の減少(前年同期比0.7%減)が要因で前年同期比で減少。利益面は、前年より実施してきた商品力強化による原価率の上昇などにより赤字に。
売上高は、既存店売上高の増加(前年同期比0.3%増)と、新規出店により店舗数が増加したことが要因で前年同期比で増加。営業利益は、原価率の上昇や人件費の増加等により前年同期比で減益に。
売上高は、既存店売上高の減少(前年同期比7.0%減)が要因で前年同期比で減少。利益面は、人件費やリブランディングに伴う販売促進費の増加等により赤字に。
海外事業は、マーケットに応じた売上向上施策の実行、食材調達の現地化による店舗原価低減、出店の推進等により、前年同期比で赤字幅は縮小。
調味料・加工食品のOEM(相手先ブランド名製造)を主な事業としている連結子会社宮島醤油フレーバーは、売上高は前年同期比で増加したものの、のれん代の償却があり赤字に。
プレナスは8月9日、ほっともっと直営店のうち、人件費等の店舗運営コスト上昇により売上を伸ばしても加盟店への移管が見込めない190店舗の退店を9月以降実施すると発表。これに伴い、業績予想を下方修正しました。
8月末現在、ほっともっとの店舗数は2,726店。うち直営店は906店ですが、9月以降、直営店の2割に上る190店退店するとしています。
190店退店に伴う一時的なコストの発生と、将来発生する退店時の原状回復費用見直しによる資産除去債務の追加計上に伴う修繕費等の増加により、当初2億4,000万円の最終黒字予想から一転、8億3,000万円の最終赤字となる見込みです。
参考までに、下記グラフは2019年2⽉期のセグメント別売上⾼・営業利益のグラフです。
【グラフ】2019年2⽉期 セグメント別売上⾼・営業利益
前期と同様、当第1四半期も営業黒字はやよい軒のみ。ただ、黒字とはいえ、前年同期比で減益となっているのが気になるところです。原価率の上昇や人件費の増加が響いているようですが、10月からの消費増税が追い打ちとなるか、不採算店舗退店が奏功するか今後に注目です。
プレナスグループは、同社と子会社11社(うち連結子会社10社)及び関連会社5社(うち持分法適関連会社3社)の合計17社で構成されており、外食事業を中心に事業活動を展開しています。
フランチャイズチェーンシステムにより、つくりたてのあたたかいお弁当を持ち帰り方式で販売する「ほっともっと」店舗を全国的に展開。
直営店での販売のほか、加盟店等に対して食材・包装等資材及び事務機器(保守・修理含む)を販売するとともに、ロイヤリティ、その他の収入を得ています。
フランチャイズチェーンシステムにより、定食類を店内飲食方式にて提供する「やよい軒」店舗を全国的に展開。
直営店での販売のほか、加盟店等に対して食材・包装等資材及び事務機器等(保守・修理含む)を 販売するとともに、ロイヤリティ、その他の収入を得ています。
結子会社株式会社プレナス・エムケイは、しゃぶしゃぶや本格飲茶等を店内飲食方式で提供する「MKレストラン」店舗を、直営店にて展開。
持ち帰り弁当の販売及び定食類を販売するとともに、ロイヤリティ、その他の収入を得ています。
連結子会社宮島醤油フレーバー株式会社は、調味料・加工食品の開発・販売を行っています。
画像出典元:「株式会社プレナス」説明補足資料・公式HP
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