スルガ銀行株式会社の決算/売上/経常利益を調べ、IR情報を徹底調査

記事更新日: 2019/04/02

執筆: 山中恵子

961億円の赤字、預金は8,600億円流出!金融庁から一部業務停止命令を受けた「スルガ銀行」の第3四半期決算

2019年3月期 第3四半期 累積業績

  • 経常収益:1,090億4,600万円(前年同期比△7.2%)
  • 経常利益:△789億100万円
  • 四半期純利益:△961億6,500万円

2019年第3四半期連結累計期間の経営成績は、△961億6,500万円の赤字となりました。経常収益は、貸出金利息の減少による資金運用収益の減少等により前年同期比85億6,300万円減少しました。

経常費用は、シェアハウス関連融資等にかかる与信費用の増加により前年同期比1,210億2,800万円増加しました。

スルガ銀行の不正融資問題の影響は他銀行にも及び、個人投資家向け融資審査の厳格化が進みました。

スルガ銀行に対する行政処分

金融庁は昨年10月5日、10月12日から4月12日までの6ヶ月間、新規の投資用不動産融資を停止すること。また、自らの居住に当てる部分が建物全体の50%を下回る新規の住宅ローンについても同様に停止すること」という厳しい処分を下しました。

行政処分以前から、既に貸出金が減少しているのがグラフからわかります。当第3四半期会計期間末残高は、前年度末比で

  • 貸出金:3.2兆円 → 2.9兆円
  • 個人ローン:2.9兆円 → 2.7兆円

となりました。

シェアハウス向け融資では金利交渉に応じていることもあり、貸出金利回りは下がっています。それでも延滞率は38.7%と非常に高い数値となっています。

財政状態

貸出金もさることながら、預金残高は前年度末比で8,600億円流出しています。

不良債権処理額は991億円。実質与信費用は、前年同期比1,225億円増加の1,281億円となりました。

かつては自己資本比率12%を超える優良銀行でしたが、不正融資事件が発覚以降、急低下。9月末には8.65%まで下がりましたが、12月末には9.05%となりました。

スルガ銀行のこれから

金融庁の行政処分を受け、業務改善計画を11月30日に提出しました。

これによると、「不祥事の根本原因である創業家本位の企業風土を抜本的に改め、ガバナンス態勢及びコンプライアンス体制を再構築し、顧客本位の業務運営を行っていく」と示しています。

シェハウス物件オーナーから565億円の賠償請求を求めて提訴され、前途多難のスルガ銀行の通期業績予想は△975億円の赤字です。

画像出典元:「スルガ銀行株式会社 」決算短信

 

 

2019年第2四半期 累積業績(18年12月更新)

  • 経常収益:750億2,700万円(前年比-0.9%)
  • 経常利益:△834億1,800万円
  • 中間純利益:△985億9,500万円

2019年上半期の経常収益は、貸出金利息の減少により前年度から7億4,800万円減少しています。さらに、シェアハウス関連融資にかかる与信費用が1,584億4,500万円に上ったことにより、経常利益は△834億1,800万円、△985億9,500万円となりました。

個人預金期末残高は前年に比べて6,601億円減少して、2兆円7,433億円となっています。不正融資問題によって預金流出が相次いでいることが伺えます。

2019年3月期 第1四半期 決算

※2018年9月11日更新

  • 経常収益:352億6,800万円
  • 経常利益:47億2,700万円
  • 四半期純利益:31億6,000万円

2019年第1四半期の経常収益は352億6,800万円、経常利益は47億2,700万円となりました。経常収益は、貸出金利息の資金運用収益が減ったことにより、前年同期比7%減です。

特に注目すべき点は、経常利益が前年同期に比べて約70%減少している点です。

経常費用を見てみましょう。

左:前期 右:今期  (百万円)

経常費用の中で、「その他経常費用」が前年同期の約4倍の120億円に膨れ上がっています。この原因はシェアハウス関連融資について、貸倒引当金繰入額等の与信費用が増加したことによります。

貸倒引当金繰入額とは、将来的に回収できなくなる可能性のある売上債権や金銭債権を見積もって費用に繰り入れることです。実際に貸倒れた場合は貸倒損失を計上、貸倒れの見積もり金額は貸倒引当金繰入額として計上します。


決算短信からは、個人向け融資を債権者から回収できない可能性があると読み取れます。その額は2018年4月から7月の間でおよそ120億円。また、昨年2017年4月から2018年3月の間では約402億円となりました。

では、なぜここまで貸倒引当金繰入額が膨れ上がったのでしょうか。最近話題となっているスルガ銀行の不正融資問題について見ていきましょう。

スルガ銀行の不正融資問題とは

問題の発端となったのは、女性向けシェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営する不動産会社スマートデイズです。

同社のビジネスモデルは表面利回りが高く、長期間一定の家賃収入を保証する「サブリース」。不動産会社がアパートを一括で購入し、入居者の有無に関わらず所有者に一定の家賃を支払うことを保証します。そのため、入居者がゼロでも所有者には家賃収入が入るというビジネスモデルです。

所有者は土地購入や建設費を自己負担する必要がありますが、ここでデータの改ざんをして融資をしたのがスルガ銀行です。しかし、スマートデイズが2018年4月に経営破綻し、所有者は多額の借金を抱え、スルガ銀行は回収ができない可能性がある貸倒引当金繰入額を計上することになりました。

では、なぜスルガ銀行は不正をしたのでしょうか。

スルガ銀行のビジネスモデル

2018年9月に第三者委員会が発表した調査報告書では、スルガ銀行のビジネスモデルが個人融資に依存したことにより、融資審査が機能しなかったと発表しました。

スルガ銀行は早期に企業向け融資から個人向け融資へ事業転換。低金利の日本経済の中で、アパートローンで高めの金利を設定し、利益を確保してきました。

(単位:百万円)

実際、2019年第1四半期の貸出金3兆1,504億円のうち、約91%に当たる2兆8,573億円が個人ローンです。個人融資の欠点としては、他銀行がより低い金利のローンを提示して顧客を奪い合う可能性があることです。そのため、スルガ銀行は営業員に常に高いノルマを設定していました。

不正問題となった不動産融資の時にも、土地代の融資以外に、不必要なフリーローンを組んでノルマ達成をしたといいます。

個人預金残高が減少

一連の騒動を受けて、特に影響が大きかったのは個人預金額期末残高です。

2018年6月は前年同期に比べて、個人預金期末残高が1,852億円減少しました。個人預金者離れが続けば、経営破綻の可能性もあります。今後、どう対応していくのか注目が集まります。

会社概要

会社名 スルガ銀行株式会社
従業員数 1,484名
所在地 静岡県沼津市通横町23番地
設立日 1895年10月19日
代表 有國 三知男
資本金 300億円4,300万円
店舗数 国内132店舗
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