人材領域、不動産領域などのインターネットメディアを運営する「リブセンス」の決算を見ていきます。
2019年12月期通期の業績は、前期に対し減収、営業利益は500万円の赤字となっています。
減収となった主な要因は、2018年12月期において株式会社wajaの株式の一部を譲渡し連結から除外したことと、求人情報メディア事業の売上高減少によるものです。下記グラフの「イーコーマース事業」がwaja社によるもので、この部分が当期において剥落しています。
【グラフ】売上高・営業利益の推移
営業利益は、子会社連結除外等により関連費用が減少したものの、売上高の減少、広告宣伝費の増加、「DOOR賃貸」の期中事業譲渡等により赤字に転落。
なお、親会社株主に帰属する当期純利益が前期を大きく上回ったのは、2019年12月1日をもって「DOOR賃貸」を事業譲渡し、 17億5,000万円の特別利益を計上したことによるものです。
それでは、セグメント別の業績を見ていきましょう。
なお、イーコマース事業を構成していたwaja社が連結から外れたことに伴い、当期よりイーコマース事業は廃止されています。
求人情報メディア事業は、成功報酬型ビジネスモデルを活用したアルバイト求人サイト「マッハバイト」、口コミ付き転職サービス「転職会議」、正社員転職サイト「転職ナビ」、新卒就活サービス「就活会議」、競争入札型転職サービス「転職ドラフト」等で構成されており、前期に対し減収減益となっています。
【グラフ】売上高・営業利益の推移
「マッハバイト」は、「ジョブセンス」から「マッハバイト」へサービス名を変更して以降、認知度が向上。加えて、収益構造の改善により成長を続け、過去最高の売上を更新。
一方、「転職会議」は、転職会議の「転職会議BUSINESS」新規営業見直し等により減収。「転職ナビ」は、広告出稿の調整等に伴う応募数の減少や一部顧客の採用抑制の影響等により採用数が減少し、大幅な減収となりました。
不動産情報メディア事業は、成功報酬型ビジネスモデルを活用した賃貸情報サイト「DOOR賃貸」、不動産情報サービス「IESHIL(イエシル)」等で構成されており、前期に対し増収減益となっています。
【グラフ】売上高・営業利益の推移
「DOOR賃貸」を株式会社キャリアインデックスに事業譲渡したことにより12月の売上が計上されなかった一方で、譲渡対象外である人員の人件費等は通期で計上。加えて、広告の積極投下により広告宣伝費が増加したことなどから減益となりました。
その他事業は、テスト運用中のサービスを含む複数の新規事業及び検索エンジン対策を中心としたWebマーケティングに関する助言業務による収入等で構成されています。
新規事業立ち上げに取り組んでいるそうです。赤字です。
リブセンスは、事業ポートフォリオ組み換えの有力な手段として、収益状況が良好な「DOOR賃貸」の譲渡により、将来の投資資金を一括で確保。人員の移籍を伴わずに譲渡したため、人的リソースを注力する事業に充てることが可能になったとのこと。
現時点で通期の合理的な業績予想の算定が困難であるとし、第2四半期(累計)の業績予想のみ開示されています。
既存事業においては、好調な「マッハバイト」のさらなる成長と、「転職ナビ」の回復を見込んでいます。また、自社開発もしくはM&Aにより、2年以内に複数の新規事業立ち上げを目指すとしています。
新たな成長の柱を立ち上げることができるか、今後の動向に注目です。
画像出典元:「株式会社リブセンス」決算説明会資料
2019年12月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し減収、営業利益ベースで増益となっています。
減収となった主な要因は、waja社の株式の一部を譲渡し連結の範囲より除外したこと、求人情報メディア事業において一部の新規営業の停止、採用数の減少があったことなどによるものです。営業利益は、新規営業の停止により営業費用が減少し前年同期比で2桁増益に。
【グラフ】四半期売上高・営業利益の推移
累計では増益ですが、第3四半期は主に求人情報メディア事業の減益が響き、8,800万円の赤字となっています。「マッハバイト」は好調ですが、「転職会議」は一部の新規営業停止、「転職ナビ」は大幅な減収と不振です。
好調だった不動産情報メディア事業も、一時的な広告費用の増加により第3四半期では前年同期比で減益となっています。
リブセンスは10月17日、既存事業の選択と集中による事業ポートフォリオの組み換えを目的に、成功報酬型賃貸情報サイト「DOOR賃貸」を株式会社キャリアインデックスに譲渡すると発表。譲渡により、将来の投資資金を一括して確保するとともに、注力する事業に充てるとしています。
事業譲渡日は12月1日、事業譲渡に伴う事業譲渡益17億5,000万円は第4四半期に特別利益として計上する見込みです。
通期の売上高、営業利益の業績予想を下方修正するとともに、非開示だった経常利益、当期純利益の業績予想値が開示されました。
売上高は、「DOOR賃貸」の事業譲渡により12月の売上高見込み額6,500万円が計上されないこと、「転職ナビ」「転職ドラフト」において採用数が想定を下回って推移していることなどから下方修正。
営業利益は、「DOOR賃貸」において事業譲渡対象に含まれなかった人件費・一部管理費が事業譲渡後も引き続き計上されること、一時的に広告費用が増加したことなどを踏まえ、0円に下方修正。
親会社株主に帰属する当期純利益は、「DOOR賃貸」事業譲渡に伴う特別利益を計上する見込みであるため12億円となっています。
画像出典元:「株式会社リブセンス」決算捕捉説明資料
2019年12月期第2四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し減収となったものの、利益は大幅な増益となっています。売上高、営業利益ともに計画を上回っての着地。
売上高は、株式会社wajaを連結の範囲より除外したこと、「転職会議」で一部の新規営業を停止したこと等により前年同期を下回ったものの、前四半期比では増加しています。
営業利益が大幅な増益となったのは、上述の新規営業の停止により営業費用が減少したことによるものです。
【グラフ】四半期売上高・営業利益の推移
営業利益が改善されたといっても、営業利益率は3.8%。前年同期の1.2%からは上昇していますが、インターネットメディア事業を運営する企業としては圧倒的に低いものとなっています。一方で、財政状態は引き続き健全です。
セグメント別にもう少し詳しく見ていきましょう。
【グラフ】売上高・営業利益の推移
マッハバイト」は、広告出稿の拡大により増収。祝い金(マッハボーナス)が好評で、2019年オリコン顧客満足度ランキングにおいて、アルバイト情報サイト総合1位を獲得しています。
一方、「転職ナビ」は、広告出稿の調整に伴う新規登録会員数及び応募数の減少により大幅な減収。「転職会議」は、事業方針の転換による一部新規営業停止により減収したものの、費用が5,500万円減少しています。
この結果、求人情報メディア事業は、売上高26億4,200万円(前年同期比2.9%減)、セグメント利益5億8,500万円(前年同期比4.1%増)と減収増益に。
【グラフ】売上高・営業利益の推移
「DOOR賃貸」は、広告の積極投下により集客が伸長。
「イエシル」は、保育園情報の掲載、価格査定エンジンのバージョンアップによる査定精度の向上等、サイト価値向上に向けた取り組みが進展。
この結果、売上高は5億1,200万円(前年同期比23.5%増)、セグメント利益は1億2,700円(前年同期比40.5%増)と大幅な増収増益に。
その他事業は、テスト運用中のサービスを含む複数の新規事業及び検索エンジン対策を中心としたWebマーケティングに関する助言業務等による収入になります。
新規事業の立ち上げに取り組んだ結果、売上高は620万円、セグメント損失は△1,700万円と赤字に。
非開示だった通期の業績予想が、売上高と営業利益のみ開示されました。2019年12月期通期の業績は、前期に対し減収増益となる見込みです。
営業利益が前期比22.6%増と一見すると大幅な増益に思えますが、売上高に対する利益はまだまだ低いと言えるでしょう。一時期は高収益企業と言われていたリブセンス 、このままV字回復となるか注目です。
画像出典元:「株式会社リブセンス」決算説明会資料
2019年12月期第1四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し減収減益となりました。
減収の主な要因は、株式会社wajaを連結の範囲より除外したことと、求人セグメントの減収によるものです。
営業利益は減益ながら、上期業績予想に対しては予定通り進捗。営業利益率は前年同期に対し0.7ポイント低下し3.8%になりました。
費用面では人件費、広告宣伝費が減少。自己資本比率は84.6%、現金及び預金は32億6,200万円、有利子負債はゼロと財政状態は健全です。
ここ数年は売上が伸びても利益は伸びないという状態が続き、株価も低迷しています。予想通りとはいえ、前年同期比で減収減益という厳しいスタートを切り、株価はさらに下落しました。
リブセンスの株価推移
主力の求人情報メディア事業は、「転職会議」「転職ナビ」の減収により前年同期比で減収減益となりました。
注力事業である口コミ付き転職サービス「転職会議」では、事業方針の転換により新規営業の停止、一部送客先パートナーの予算調整等により減収。「転職ナビ」は、2018年度下期において広告出稿を抑制したことに伴う新規登録会員の減少等により、大幅な減収となりました。
不動産情報メディア事業は、前年同期比で増収増益となりました。
「DOOR賃貸」においては広告の積極投下による集客、「イエシル」においては育園情報の掲載等によるサイト価値の向上、株式会社フィルライフにおいては不動産アドバイザーサービスの利用がそれぞれ伸長しました。
【グラフ】四半期売上高・営業利益の推移
なお、前連結会計年度において「イーコマース事業」を構成していたwaja社の株式の一部を2018年9月30日に譲渡し、連結の範囲より除外したことに伴い、当第1四半期連結会計期間より報告セグメントを廃止しています。
2019年12月期上期の業績予想について変更はありません。
求人情報サービス市場は新規プレーヤーが次々と参入し、求人サービスの価値は「情報の伝達」から「最適なマッチングと付加価値の提供」へと移行。リブセンスは、その流れに乗り切れていません。
史上最年少の25歳で東証一部上場を果たした創業者の村上太一氏が繰り出す次の一手に期待がかかります。
画像出典元:「株式会社リブセンス」決算補足説明資料
2018年連結会計年度の業績は、前期に対し増収減益となりました。主要セグメントである求人・不動産セグメントの増収により売上高が伸びました。
一方、求人メディアの「マッハバイト」及び「転職会議」への投資、合弁会社の立ち上げ費用等が響き、減益となりました。
2018年は「マッハバイト」と「転職会議」を注力事業としてプロモーション及び販売を強化しましたが、投資成果は目標水準に及びませんでした。事業ポートフォリオの組み換えは進展しました。
求人情報メディア事業は、売上高が前期比4.8%増、セグメント利益が前期比13.4%減となりました。増収の主な要因は、「転職会議」「転職ドラフト」の売上増によるものです。減益の主な要因は、Web広告及び採用祝い金等の広告宣伝費の増加等によるものです。
求人情報メディア事業はリブセンスの主要事業で、売上の8割弱を占めています。提供メディアは以下のとおりです。
「マッハバイト」は、2017年に「ジョブセンス」から名称を変更して以来、認知拡大のためのプロモーションを実施していますが、投資回収には至っていません。
一方、「転職会議」は、株式会社リブセンスコネクトを通じた「転職会議BUSINESS」の販売等により事業規模を拡大しました。
不動産情報メディア事業は、売上高が前期比69.1%増、セグメント利益が前期比112.5%増と大幅な増収増益となりました。「DOOR賃貸」において広告の積極投下等による集客の拡大を図り、大幅増収となりました。
「IESHIL(イエシル)」では、物件別の災害リスク・学区情報の提供を開始するなど、データの拡充及びサイトの改善を推進しました。
リブセンスコネクトは、「転職会議BUSINESS」の拡大を目指して設立された、株式会社Wizとの合弁会社です。
フィルライフは、スターツコーポレーション株式会社との合弁会社で、不動産相談サービス「住まいのミカタ」を運営する不動産テックカンパニーです。
画像出典元:住まいのミカタ
2018年9月30日をもって海外ファッションECサイト「waja」を運営するwaja社の株式の一部を同社経営陣に譲渡しました。これにより、waja社を第3四半期末から連結の範囲より除外し、損益計算書は第3四半期まで連結しています。
2018年10月31日をもって株式会社ユニラボとのBtoBのサービス比較・発注情報サイト「アイミツ」の共同運営を終了し、ユニラボの単独運営としました。
2019年も、注力事業である「転職会議」「マッハバイト」への投資、また成長の基盤となるデータへの投資を継続予定。
短期的な収益化を見送り、サービスの本質的価値向上、将来の成長のための基盤構築を優先するため、2019年上期は減収減益となる見込みです。通期での黒字化を目指しています。
画像出典元:「株式会社リブセンス」決算説明会資料
第3四半期のリブセンスの事業は、求人情報メディア、不動産情報メディア事業が増収となった一方で、eコマース事業は減収となりました。
また、海外ファッションECサイト「waja株式会社」の株式の一部を経営陣に譲渡したことにより、特別利益を計上しています。
※2018年9月8日更新
第2四半期の累積業績は、売上高は前年比+13.2%で増収となった一方で、純利益は前年比△68.6%で減益になりました。
第2四半期の営業利益を昨年と比べてみましょう。
売上高は増加したものの、広告宣伝費やその他費用により営業利益がマイナスに転落していることが分かります。
四半期ごとの費用の推移を見ていきましょう。
Web広告や採用祝い金等により広告宣伝費が前年同期より1億8,000万円と大幅増加。その他費用では、営業費用やメディア開発関連費用が増加しています。
積極的な先行投資をしているものの、「マッハバイト」「転職会議」は伸び悩み中。業績反映には一定の時間がかかるため、今後の展開に注目です。
リブセンスは、求人情報・不動産情報・eコマースと幅広くサービスを提供しています。中でも、求人情報が売上の8割を占めています。
また、不動産情報の成長が著しく、2018年1Qでは売上成長率100%を記録。主なサービスは「DOOR賃貸」と「IESHIL(イエシル)」の2つです。
賃貸物件の検索ができるサイト。ビジネスモデルは成功報酬型で、問い合わせがあった時点で掲載費用が発生。さらに入居が決まると仲介手数料が発生し、一部が入居者に祝い金として還元される仕組みです。
中古不動産の市場価値をリアルタイムで査定できるサービス。ビッグデータを用いて市場価値を計算し、中立的な立場で集めた情報を公開しています。
リブセンスは今後、以下の具体的な戦略を打ち出しています。
2018年下半期の業績予想に変更はなく、引き続き先行投資をしながら利益を回収していくようです。
2018年通期決算の予想を見てみましょう。
通期決算では、転職会議の成長によって売上成長率8.6%を目標としています。また、リブセンスコネクトを立ち上げ、マッハバイトの認知拡大の投資を継続。営業利益を黒字に転換することを目指しています。
画像出典元:「リブセンス」決算説明会資料
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