居住用不動産の販売・仲介を行う「オープンハウス」の決算を見ていきます。
2020年9月期第1四半期の連結業績は、前年同期に対し2桁増収増益と好調に推移しています。第1四半期として過去最高の売上高・利益を更新。
これは、戸建関連事業と収益不動産事業の販売が大きく伸長したことによります。
戸建関連事業は、新築マンションの価格上昇及び販売戸数減少により、都心部の戸建住宅に対する需要が高まっていることを背景に販売が順調に推移。消費税率引き上げ後の需要の減少傾向も今のところ見られません。住宅ローン控除期間の延長など住宅取得支援施策が後押しになっているようです。
消費税率引き上げの影響
収益不動産事業については、金融機関による投資家、物件の選別が進む中、富裕層が投資対象とする賃貸マンション、オフィスビル等に対する需要は高まっており、売上高は前年同期比で2倍、営業利益は4倍と大きく伸長。
一方、マンション事業は物件の竣工時期が第4四半期に集中するため前年同期の実績を下回ったものの、事業は計画通りに進捗しているとのこと。
なお、業績予想に変更はありませんが、売上高の内訳は変更されています。海外不動産に関する税制改正により、アメリカ不動産に対する投資意欲の低下が懸念されますが、それ以外の事業で補っていくようです。
画像出典元:「株式会社オープンハウス」決算説明資料
居住用不動産の販売・仲介を行う「オープンハウス」の決算を見ていきます。
2019年9月期通期の業績は、前期に対し2桁増収増益となっています。売上高は当初予想を300億円も上回り、7期連続過去最高の売上高、利益を更新。絶好調です。
これは、戸建関連事業、マンション事業、アメリカ不動産事業が好調に推移したことと、株式会社ホーク・ワンを連結子会社化したことが寄与したことによるものです。
一方、収益不動産事業は、売上高は横ばい、営業利益は減益となりました。
【グラフ】売上高・純利益推移
オープンハウスは2013年に東京証券取引所市場第1部に上場しましたが、上場から6年で売上高は5.6倍、当期純利益は7.0倍、配当は10.1倍に。売上高、当期純利益ともに年平均30%以上成長しています。
次期も2桁増収増益の見通しであることから決算発表後の株価は大幅高となりましたが、11月27日、「政府・与党は海外の不動産への投資を通じた節税をできないようにする方針だ」と報じられ、アメリカ不動産事業を手がけるオープンハウスの株価は急落。下落率トップとなりました。
オープンハウスの株価推移
画像出典元:SBI証券
セグメント別の業績を詳しく見ていきましょう。
都心部の戸建住宅の販売が順調に推移したことに加え、ホーク・ワンの連結化が寄与し売上高・利益ともに大幅に伸長。
都心部の戸建に対する強い実需により、引渡件数は前期比873棟増の4,754棟まで伸長。
東京23区の新築マンション平均価格は上昇を続け、今や7,000万円を突破。また販売戸数も減少しています。一方、オープンハウスの戸建(建売)の平均価格は4,400万円前後を保って推移。都心部の戸建てであること、価格が抑え目なところが人気のようです。
【グラフ】戸建(オープンハウス・ディベロップメント)の業績推移
その他、仲介、建築請負(オープンハウス・アーキテクト)も好調に推移。なお、ホーク・ワンは首都圏の準都心部を中心として新築一戸建住宅の分譲を手がけており、売上高は822億8,800万円となりました。
東京都23区及び愛知県名古屋市の都心部において展開する新築分譲マンションの引渡件数が前期比147戸増の949戸となったことにより、売上高・利益ともに大幅に伸長。
都心立地で利便性の高い新築マンションは名古屋でも需要が高く、販売は好調です。
【グラフ】マンション事業の業績推移
引渡件数が前期比で34件減の255件となり、前期に対し売上は横ばいを保ったものの、営業利益は減益となりました。
顧客は富裕層が中心であり、金融機関による賃貸アパートを対象とする個人投資家への融資厳格化の影響は限定的だとしていますが、これまでの勢いは見られなくなっています。
【グラフ】収益不動産事業の業績推移
アメリカ不動産事業において、海外不動産への投資を志向する日本国内の富裕層に対して、アメリカの戸建住宅等の販売が好調に推移し、売上高は前期比2倍、営業利益は1.6倍と大きく拡大。
今後さらに伸びるとされていたアメリカ不動産事業ですが、富裕層が節税対策のために行う海外不動産投資に政府が待ったをかけたことで、先行きは不透明となりました。
2020年9月期は前期に対し2桁増収増益、8期連続過去最高の売上高、利益の更新を見込んでいます。
マンション事業は前期比で減収見込みですが、戸建関連事業、収益不動産事業、その他(アメリカ不動産等)は増収予想。戸建関連事業では、消費税増税の影響は軽微であるとし、年間9,000棟を超える戸建の供給を見込んでいます。
アメリカ不動産事業は業容拡大を図っていくとしていましたが、政府の方針により先行きは不透明となりました。ただ、全体の売上に占める割合は6%未満のため、業績への影響は限定的と思われます。
画像出典元:「株式会社オープンハウス」決算説明会資料
都心の狭小住宅で急成長する「オープンハウス」の決算を見ていきます。
2019年第3四半期連結累計期間の業績は、売上高は前年同期に対し+40%成長、利益項目はすべて2桁増益となっています。売上、利益ともに同期間として過去最高を更新。
セグメント別の業績を見ると、戸建関連事業とマンション事業が増収増益を牽引していることがわかります。
なかでも、売上高の7割弱を占める戸建関連事業が+62.8%と大きく成長したことが大幅な増収増益につながっています。
これは、株式会社ホーク・ワンの新規連結の影響もありますが、戸建住宅の販売が好調に推移したことが主な要因です。第3四半期連結累計期間の戸建ての引渡件数は、前年同期比668棟増の3,302棟に。新築マンションの価格上昇及び販売戸数の減少から、戸建に対する高い需要が続いています。
規模はまだ小さいですが、国内の富裕層向けアメリカ戸建住宅販売も好調に推移しています。
業績好調により、2019年9月期の業績予想を上方修正しました。
マンション事業、収益不動事業、アメリカ不動産事業等において、当初計画を上回って業績が推移することが見込まれるとし、業績予想が上方修正されました。
また、配当予想も上方修正。一方で、株主優待制度は廃止されます。さらに、2019年9月30日を基準日として、普通株式1株につき2株の割合をもって分割すると発表。
これら発表後、材料が出尽くしたと一旦は株価が急落しましたが、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が16日付でオープンハウスの目標株価を7,800円から8,100円に引き上げた影響で株価は急伸。
オープンハウス 株価推移
消費税増税の駆け込み需要はいま一つ盛り上がっていませんが、少なからず住宅購入に影響を与えると思われます。今期、どこまで業績を伸ばせるか注目です。
画像出典元:「株式会社オープンハウス」決算説明会資料
2019年9月期第2四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収増益となりました。業績予想を上回り、売上高・利益ともに過去最高を更新しました。
前連結会計年度に実行した株式会社ホーク・ワンの連結子会社化、及びアメリカ不動産事業の拡大に加え、戸建関連、マンション事業が堅調に推移し、増収増益を牽引しました。
一方、収益不動産事業は第1四半期での落ち込みが響き、減収減益となりました。
前連結会計年度末にホーク・ワンを連結したことに加え、都心部の戸建住宅に対する高い需要を受け、販売が好調に推移し、売上高は1,649億5,900万円(前年同期比60.8%増)となりました。
うち、戸建(オープンハウス・ディベロップメント)の売上高は996億7,600万円(前年同期比15.1%増)。販売形態別の状況は以下のとおりです。
オープンハウスの強みは、都心の戸建て住宅が一般的な相場よりも安いという点。入り組んだ土地、狭小地、変形地など他社では仕入れない土地を取り扱い、土地の仕入れから企画・設計・建築・販売までの流れを速くすることで価格を抑えています。
実際、東京23区新築マンションの平均価格は上昇しているにもかかわらず、オープンハウスの戸建(建売)平均価格は新築マンションよりも割安で、価格推移も横ばいとなっています。
都心部は今後も世帯数の増加が予想され、住宅の取得需要が見込まれます。
今期より名古屋市での引き渡しを開始。利便性の高いマンションの需要は強く、東京含め2拠点とも業績は伸長。件数構成比では、名古屋のマンションが24%を占めるまでに成長しました。
第1四半期では引き渡しを迎えた件数及び単価が低下したことにより前年同期の実績を下回ったものの、第2四半期においては前年同期の実績を上回って推移。
海外不動産への投資を志向する日本国内の富裕層に対して、アメリカの戸建住宅等の販売が好調に推移。
2019年9月期の業績予想に変更はありません。
売上高5,100億円の内訳は以下のとおり。
金融機関の不動産向け融資厳格化の影響は限定的であるものの、収益不動産事業においては保守的に計画しています。
画像出典元:「株式会社オープンハウス」決算説明資料
2019年第1四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収減益となりました。増収の主な要因は、前連結会計年度末より株式会社ホーク・ワンを連結したことに加え、戸建関連・マンション・アメリカ不動産事業が堅調に業績を拡大したことによるものです。
一方、収益不動産事業が大幅に落ち込んだことが響き、営業利益は前年同期に対し3.4%減となりました。減益は上場以来初となります。
ホーク・ワンの連結により売上高が大幅に増加。仲介契約件数は前年同期比21.6%増となり、計画通りに推移しています。特に都心部の戸建住宅に対して高い需要がありました。
東京都23区に加え、当連結会計年度より名古屋市での新築分譲マンションの引き渡しを開始したことにより業績が大幅に伸長。職住近接志向の強い単身者、2人世帯を対象とするコンパクトタイプのマンションが好調です。
売上高は前年同期に対し48.4%減と半減、営業利益は75.5%減と大幅な減益となりました。減収減益の主な要因は、同期間に引き渡しを迎えた件数及び単価が低下したことによるものです。
前連結会計年度より取り組みを開始したアメリカ不動産事業においては、日本国内の富裕層によるアメリカの戸建住宅等の販売が好調に推移。
金融緩和政策を背景に収益不動産に対する需要は高まっていましたが、スルガ銀行の不正融資問題以降、金融機関は個人投資家向け融資厳格化を打ち出しました。
オープンハウスグループの主要顧客は事業法人や富裕層であるため影響は限定的としていますが、通期の予想としても収益不動産事業は減収の見通しとなっています。
収益不動産事業の減収は織り込み済みのため、通期の業績予想に変更はありません。それ以外の事業は増収を見込んでおり、7期連続の最高売上、営業利益更新を目指すとしています。
画像出典元:「株式会社オープンハウス」決算説明資料
2019年通期業績は6期連続で過去最高の売上を達成し、各売上・利益とも25%の成長を記録しました。
2019年の通期目標は、
と発表しています。
新たにホーク・ワン株式会社をグループに加え、7,000棟以上の戸建を供給を目標としながら、アメリカ不動産産業での更なる成長を織り込んでいます。
※2018年9月6日更新
オープンハウスの2018年9月期第3四半期は全ての項目で前年同期より成長し、過去最高となりました。
売上高・営業利益の詳しい内訳を見ていきましょう。
売上構成比は、「戸建関連事業」と「収益不動産事業」が約90%を占めており、収益の柱となっています。
特に注目すべきポイントはその他に含まれるアメリカ不動産事業です。オープンハウスは、テキサス州、オハイオ州、ハワイ州の現地法人の買収によって、物件紹介を本格的に進めてきました。業績は好調で、2018年通期の売上目標の100億円を上回っての着地予定です。
過去8年で売上が10倍成長したオープンハウスですが、今後も急成長が期待できます。
オープンハウスの事業内容は大きく分けて2つです。
売上の約60%を占め、「製販一体型」で一戸建の企画、建築、販売を行う。
首都圏の小さなオフィスビルや古いマンションを購入、リノベーションをした後に、投資用不動産として事業会社や富裕層に販売。リスク軽減のために小規模かつ短期間で販売が見込める物件を中心に進めています。
オープンハウスは「東京に、家を持とう。」をキャッチコピーに不動産事業を展開しており、売上は創業20年で3,000億円突破。土地の取得から、企画設計、販売までを一気通貫で行うことが強みです。都心部を中心に狭い敷地を有効活用することで、リーズナブルな販売価格を実現してきました。
それでは、今後どのような成長戦略を打ち出しているのか見ていきましょう。
2017年11月に中期経営計画HopStep5000を発表し、2020年に売上5,000億円、経常利益600億円という野心的な目標を設定しました。その上、新規事業やM&Aなどは含めず、既存の事業のみで1.6倍の成長を実現したいと考えています。
日本では人口減少が問題視されますが、東京23区では2020年代まで増加傾向だと予想されています。人口増加を踏まえて都心への戸建事業に力を注ぐことで、持続的な成長を狙います。
さらに、オープンハウスはAirbnb Japanと、小山薫堂氏率いる企画会社オレンジ・アンド・パートナーズと三社提携を決定しました。
オープンハウスの開発力を活かし、Airbnb公式デザイン住宅「ORANGE DOOR」を提供予定。ホームシェアリング対応型住宅を共同開発し、年内の販売を目指すようです。
画像出典元:「オープンハウス」決算説明会資料
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