RPAホールディングス株式会社の決算/売上/経常利益を調べ、IR情報を徹底調査

執筆: 山中恵子

純利益9割減!RPA失速で業績予想を大幅下方修正した「RPAホールディングス」の第3四半期決算

2020年2月期 第3四半期決算

  • 売上高:72億8,300万円(前年同期比+24.8%)
  • 営業利益:3億2,800万円(前年同期比△41.0%)
  • 経常利益:2億4,800万円(前年同期比△53.6%)
  • 四半期純利益:3,800万円(前年同期比△87.9%)

2020年2月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し売上高は24.8%成長したものの、すべての利益項目で2桁減益となっています。計画に対し大幅に下回って推移。

既存事業が大幅な計画未達となったことに加え、新規事業への先行投資が響き前年同期比で大幅な減益と失速しています。見通しの甘さが露呈したかたちとなりました。

【グラフ】売上高・営業利益推移

ロボットアウトソーシング事業においては、「BizRobo!Basic」や「BizRobo! mini」の導入企業が拡大することを見込んで人材採用、広告宣伝活動を進めていたものの、販売体制の構築遅延により販売計画未達。結果、大幅な減益に。また、ストック収入が積み上がっている一方で、解約も発生しています。

ロボットトランスフォーメーション事業においては、人材サービス分野、新規参入分野ともに順調に拡大するも、一部新規広告主の立ち上がりが遅れたことで、期初の販売計画が後ろ倒しになり、売上高は大幅に予想値を下回る結果に。

RaaS(Robot As A Service)については、先行投資が響き赤字。株価も下落が続いています。

業績予想を下方修正

足元の業績を踏まえ、通期の業績予想を大幅に下方修正しました。期初予想では2桁増収増益予想でしたが、前期比で増収減益となる見込みです。

  • 売上高:140億1,600万円 → 100億6,200万円(前期比+22.9%)
  • 営業利益:16億300万円 → 4億7,800万円(前期比△49.9%)
  • 経常利益:15億6,100万円 → 3億9,200万円(前期比△56.7%)
  • 当期純利益:9億3,100万円 → 2,200万円(前期比△95.9%)

業容拡大に伴い2021年2月期にオフィス移転を予定しているため、オフィス移転等の費用を特別損失に計上、またRaaS事業は事業立ち上げ期であることから先行投資見込額2.6億円について繰延税金資産を計上しないことにしたとのことです。

画像出典元:「RPAホールディングス株式会社」決算説明資料

 

 

2020年2月期 第2四半期決算(19年10月更新)

  • 売上高:47億7,600万円(前年同期比+31.0%)
  • 営業利益:3億4,600万円(前年同期比+1.1%)
  • 経常利益:2億7,200万円(前年同期比△19.0%)
  • 四半期純利益:9,000万円(前年同期比△56.9%)

バックオフィス業務を自動化するBizRobo!(ビズロボ)や成果報酬型広告サービスを提供する「RPAホールディングス」の決算を見ていきます。

2020年2月期第2四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し売上高は+31.0%成長したものの最終利益は半減となっています。計画に対しては売上・利益ともに大幅に下回って推移。

売上高は、ロボットアウトソーシング事業、ロボットトランスフォーメーション事業ともに売上が伸長したことで前年同期比で大幅な増収に。

一方、ロボットアウトソーシング事業においては、BizRobo! miniのパートナー販売体制の構築が計画より遅延していること、ロボットトランスフォーメーション事業においては、一部新規広告主の立ち上がりが計画より遅れたことにより、予想値に対して売上高は9億1,200万円減で着地しています。

営業利益は、人材採用、事業開発等の先行投資の影響により微増にとどまっています。

【グラフ】売上高・営業利益推移

経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益が予想値を下回ったのは、第三者割当による第5回新株予約権が行使条件を満たし、割当先の行使による新株発行に伴い、株式交付費が営業外費用で発生したことによるものです。

株価下落が続いているRPAホールディングスですが、利益が下振れ着地となったことを受け、さらに下落しています。

セグメント別の業績

セグメント別の業績を見ていきましょう。なお、今期よりRaaS事業本格展開により新たな経営体制となったことに伴い、従来「その他」事業に含まれていた「コンサルティング」事業の名称を「RaaS事業」に変更しています。

① ロボットアウトソーシング事業

売上高は18億1,200万円(前年同期比22.3%増)、セグメント利益は2億3,800万円(前年同期比18.0%減)と増収減益に。

BizRobo!の追加導入や新規導入が順調に推移した一方で、人材採用、事業開発等の先行投資と導入裾野拡大を企図したBizRobo!miniの導入により利益水準が低下。

② ロボットトランスフォーメーション事業

売上高は28億1,700万円(前年同期比47.6%増)、セグメント利益は3億5,000万円(前年同期比213.3%増)と大幅な増収増益に。売上も利益も大きく伸び、主力事業に成長しています。


【グラフ】売上高と広告主継続率推移

成果報酬型広告サービス「PRESCO(プレスコ)」と人工知能とRPAの情報提供に特化した会員制メディア「RPA BANK」を展開していますが、成果報酬型広告サービス、いわゆるアフィリエイトが好調に推移しています。

③RaaS事業

汎用ロボットによるサービスを提供するRaaS(Robot As A Service)の本格展開に向けた先行投資を行った結果、売上高は2,000万円(前年同期比64.3%減)、セグメント損失は△8,300万円(前年同期は△500万円のセグメント損失)と大幅な減収、赤字となっています。

RaaS事業を担うオープンアソシエイツ株式会社は、反社チェック一括自動検索ロボット「RoboRobo リスクチェック」を9月24日に提供開始。 時代のニーズに合ったサービスを展開しています。

今後の見通し

通期の業績予想に変更はありません。前期に対し大幅な増収増益を見込んでいますが、上半期は計画を大きく下回って推移しているため、下半期でそれを取り戻せることができるのか注目です。

画像出典元:「RPAホールディングス株式会社」決算説明資料

 

 

2020年2月期 第1四半期決算(19年7月更新)

  • 売上高:21億2,300万円(前年同期比+19.0%)
  • 営業利益:1億6,900万円(前年同期比△14.6%)
  • 経常利益:1億2,500万円(前年同期比△36.1%)
  • 四半期純利益:5,100万円(前年同期比△58.7%)

ホワイトカラーの業務を代行・自動化させるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)のリーディンカンパニー「RPAホールディングス」の決算を見ていきます。なお、RPAホールディングスは、2019年3月27日に東京証券取引所マザーズ市場から東京証券取引所市場第一部へ市場変更しています。

2020年2月期第1四半期の売上高は前年同期に対し+19.0%成長していますが、利益面においては減益となっています。

セグメント別ではロボットアウトソーシング事業、ロボットトランスフォーメーション事業ともに売上を伸ばしています。

【グラフ】売上高・営業利益推移

一方、ロボットアウトソーシング事業のセグメント利益は前年同期比60.5%減の9,200万円となっています。

減益の要因

減益となった主な要因は、ロボットアウトソーシング事業における人材採用、事業開発等の先行投資に加え、RPAサービスの導入裾野拡大を企図したBizRobo!mini導入によるものです。

販売費及び一般管理費を見ると、前年同期比55%増の6億6,000万円と2億3,000万円増加しています。また、BizRobo!miniの導入が伸長していますが、BizRobo!miniは利益貢献につながらないのでしょう。

BizRobo!の導入社数は2019年5月末時点で累計738社、うちBizRobo!Basicは634社、BizRobo!miniは104社となっています。

中小企業での導入も拡大しているBizRobo!miniは、初期費用を安く抑えることができ、試しに使ってみたいという初心者が安心してスタートできるという特徴があります。利益貢献にはつながらないものの、活用後のアップセルが期待できます。

とにかく使ってもらい、その後のアップセルによって利益の積み上げを狙っています。

さらに当第1四半期では、支払手数料、株式交付費などの営業外費用が前年同期比15倍の4,456万円計上されています。

以上のような理由で大幅な減益となりましたが、今期の業績予想に変更はありません。通期では、大幅な増収増益を見込んでいます。ただ、大幅な減益を受け、株価は急落しました。

RPAホールディングスの株価推移画像出典元:SBI証券

画像出典元:「RPAホールディングス株式会社」決算説明資料

 

 

2019年2月期 通期決算(19年4月更新)

  • 売上高:81億8,500万円(前期比+95.4%)
  • 営業利益:9億5,400万円(前期比+105.2%)
  • 経常利益:9億800万円(前期比+101.6%)
  • 当期純利益:5億5,900万円(前期比+90.7%)

2019年2月期 通期の業績は、大幅な増収増益となりました。

RPAホールディングス株式会社は主に、事務作業をソフトウェアで自動化するロボットアウトソーシング事業を展開しています。

「RPA(Robotic Process Automation /ロボティック・プロセス・オートメーション)」とは、機械学習・人工知能など認知技術を活用したホワイトカラーの業務の効率化の取り組みであり、仮想知的労働者(デジタルレイバー)の導入を意味します。

RPA市場は注目度が高く依然良好で、既存顧客案件の継続・追加及び新規顧客案件の獲得に注力し、引き続き順調に成長した結果、売上高は前期比95%増の81億8,500万円、営業利益は前期比105%増の9億5,400万円となりました。

また、広告宣伝活動と、組織体制強化のための人材採用に取り組みました。

 

 

各セグメントの業績

RPAホールディングスのセグメントは「ロボットアウトソーシング事業」「ロボットトランスフォーメーション事業」「その他」に分かれており、主力の2つは両事業ともに大幅な増収増益となっています。

  • ロボットアウトソーシング事業

売上高は35億4,800万円(前期比104.7%増)、セグメント利益は7億8,200万円(前期比77.8%増)で大幅な増収増益となりました。

既存顧客による「BizRobo!」の追加導入、及び直接販売、パートナー販売による新規顧客への「BizRobo!」の新規導入が急速に導入社数を伸ばし、2019年2月末時点で累計600社の企業に導入しました。

  • ロボットトランスフォーメーション事業

売上高は41億2,700万円(前期比114.4%増)、セグメント利益は2億5,600万円(前期比105.1%増)で大幅な増収増益となりました。

人材サービス関連の既存分野は順調に広告主の利用が拡大するとともに、新規分野へも参入・展開した結果、順調に業績を伸ばしました。

株式会社ディレクトを子会社化

2018年9月、株式会社ディレクトの株式を100%取得し、子会社化しました。

ディレクトは、インターネットメディアおよびアドネットワーク事業を運営しており、この買収によりアドネットワーク事業のRPA化と収益化を加速させていくとしています。取得価格は、約16億6,500万円となりました。

2020年2月期 業績予想

    • 売上高:140億1,600万円(前期比+71.2%)
    • 営業利益:16億300万円(前期比+67.9%)
    • 経常利益:15億6,100万円(前期比+71.9%)
    • 当期純利益:9億3,100万円(前期比+66.6%)

ロボットアウトソーシング事業、ロボットトランスフォーメーション事業ともに、引き続き業績好調を予想し、大幅な増収増益を見込んでいます。

2020年2月期 業績予想の前提

RPAホールディングスとは

RPAホールディングス株式会社は、「RPA」を活用した新規事業創造グループ各社の純粋持株会社です。

2000年、ビジネスプロデュースを目的として「デジタルリパブリック(現RPAホールディングス)」を設立。当初は、大企業向け新規事業コンサルティングに特化していました。

2008年、ロボットアウトソーシングを目的とした「ビズロボ事業部」を設立。
2016年初に欧米のコンサルティング会社によって「RPA」という概念が提唱される前の2008年より、オフィス版のロボットソーシングサービス「BizRobo!」を展開し始めました。

その後、ウェブマーケティングサービスを目的とした「株式会社セグメント」、ロボットアウトソーシングを目的とした「ビズロボジャパン株式会社(現RPAテクノロジーズ株式会社)」、最先端のテクノロジーシーズの発掘・投資を目的とした「OPEN ASSOCIATES USA, INC.」を設立。

2016年に、純粋持株会社へ移行、商号を「RPAホールディングス株式会社」に変更しました。

2018年3月、東京証券取引所マザーズ市場へ上場。
翌年の2019年3月には、東京証券取引所市場第一部へ市場変更しました。

2017年以降、日本でも生産年齢人口が大幅に減少し、解決手段としてRPAは大きく注目され“RPAブーム”とも言える状況となっており、今後のRPAホールディングスに対する期待も非常に高くなっています。

事業構造

RPA中心の事業構造となっており、「ロボットアウトソーシング事業」「ロボットトランスフォーメーション事業」「その他の事業」に分かれています。

1

ロボットアウトソーシング事業


金融、製造など幅広い業界で500社を超える企業に、主力製品である、デジタルレイバー作成プラットフォーム「BizRobo!」等のRPAソリューションを提供。

 

 

「三菱UFJフィナンシャル・グループ」や「日本生命保険」への導入をはじめとして様々な業種・業態の大手企業にRPAを導入しています。

2

ロボットトランスフォーメーション事業

ロボットトランスフォーメーションにより全く新しい顧客体験を提供、PRESCO事業の運営及び、広告領域におけるデジタルレイバーサービスを展開。

「アドネットワーク事業」から「ロボットトランスフォーメーション事業」へ名称変更しています。

 

 

ロボットトランスフォーメーションを実現するための強力なツールを自社で保有し、独自の方法論と合わせて様々なパートナーと協業することで、あらゆる産業の再定義を図っています。

 

 

成果報酬型プロモーション(アフェリエイト)を軸としたサービスを展開。

オンライン広告業界を対象に、データ収集・集計・レポーティング業務の代行する「PRESCO Robo」のサービスを展開。

2018年までは医療系人材領域に特化し、徹底的なロボット化を推進。2019年2月期よりロボット化したサービスを他領域にも展開開始。

3

その他の事業

「コンサルティング事業」「セールスアウトソーシング事業」を展開。

画像出典元:「RPAホールディングス株式会社」決算説明資料

会社概要

会社名 RPAホールディングス株式会社
事業内容 純粋持ち株会社
所在地 東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル13F
設立日 2000年4月
代表 高橋 知道
資本金 58億6,504万1,555円
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