ソーシャルゲームの企画・開発・運営を行う「オルトプラス」の決算を見ていきます。
2020年9月期第1四半期の連結業績は、前年同期に対し減収、最終1億7,200万円の赤字となっています。赤字幅は縮小していますが、依然厳しい状況が続いています。
大幅な減収となったのは、前期において不採算タイトル等の事業整理を行ったためですが、事業整理以降は四半期ベースで横ばいで推移しています。12月末に「RenCa:A/N(レンカアルバニグル)」がリリースされたので、運営中のタイトルは8タイトルとなりました。
利益については新規2タイトルの開発費用が先行し赤字が続いていますが、原価・販管費ともに圧縮傾向にあり、赤字幅が縮小。
オルトプラスは1月23日、「ヒプノシスマイク -Alternative Rap Battle-」を共同開発する、アイディアファクトリー株式会社とパブリッシング(配信)業務を主に行う合弁会社、株式会社アイディアファクトリープラスを設立すると発表。
法人設立は1月。オルトプラスが100%子会社として設立後、アイディアファクトリーへ株式の49%を譲渡し、2月に合弁会社形態へ移行。
さらに2月13日、株式会社モブキャストホールディングスの連結子会社である株式会社モブキャストゲームスが展開しているモバイルゲーム事業のうち、スマートフォン向けスポーツゲームに関する一部タイトルを会社分割(吸収分割)により承継する会社の全株式を取得し子会社とすると発表。
株式譲渡日は3月31日、取得価額は非開示。
これにより、スポーツゲームカテゴリーでのシェア拡大を目指すとしています。また、運営中タイトルの譲渡のため、即時収益貢献も期待できます。
なお、業績予想は非開示ですが、上期は開発が先行するものの、下期から収益が拡大する見込みとのこと。
3月下旬には「ヒプノシスマイク –Alternative Rap Battle-」がリリースされ、4月にはモブキャストプラス買取のスポーツゲーム群が追加されます。収益寄与に大いに期待がかかります。
画像出典元:「株式会社オルトプラス」決算説明資料
2019年9月期通期の業績は、前期に対し減収、すべての利益項目で赤字幅は縮小したものの最終10億7,800万円の赤字となっています。
減収となった主な要因は、採算性を踏まえ運営の継続が難しいと判断した8タイトル(自社・協業1タイトル、パブリッシング1タイトル、運営移管タイトル6タイトル)の運営を終了したことによるものです。一方、リリースしたタイトルは、株式会社KADOKAWAとの協業タイトル1タイトルのみで、運営中のタイトルは7タイトルとなりました。
営業損失及び経常損失は、運営タイトルの選択と集中を行ったことと、開発費のコントロールにより前期比で縮小。
親会社株主に帰属する当期純損失は、特別損失として投資有価証券評価損、株式報酬費用消滅損、減損損失の計上があった一方で、関係会社株式売却益の計上及び経常損失の縮小があったことにより、前期比で縮小しました。
オルトプラスは2014年に東京証券取引所市場第一部に上場しましたが、2014年9月期から6期連続の赤字と大変厳しい状況が続いています。
売上が伸びているのに赤字が続いているのは、ゲームコンテンツのリッチ化によりネイティブアプリゲームの開発及び運営費用が増加し、新規タイトルの開発費が既存タイトルの運営等から得られる収益を大きく上回ったことによるものです。
しかし、ここに来てようやく資金調達が進み、業績回復への道筋が開かれました。
オルトプラスは9月13日、NHN JAPAN株式会社及び株式会社クアーズと資本業務提携契約を締結し、新株式を各社に対して第三者割当により発行すると発表。アイディアファクトリーと合わせ、合計4億2,763万8,600円の資金調達を行いました。
資金調達の状況
また、第5回新株予約権(行使価額修正条項付:2018年9月18日発行)の行使が進んだことにより、9億7,923万7,950円の資金調達が2019年9月~10月で完了。資本業務提携に係る資金調達と合わせて、約14億円(第10期に限ると5.9億)の資金調達ができました。
資金調達の状況
また、第5回新株予約権については、潜在的株式による希薄化懸念を軽減するため残存分すべてについて消却を完了。これにより、開発中の新規ヒットタイトルへリソースを集中するとしています。
通期の業績は非開示となっていますが、9月24日、アイディアファクトリーが配信予定でキングレコード原作「ヒプノシスマイク」の公式ゲームアプリ「ヒプノシスマイク -Alternative Rap Battle-」の開発に参加していることを正式に発表したところ、株価は急騰。高い期待が寄せられています。
オルトプラスの株価推移
画像出典元:SBI証券
現在、新規開発中のタイトルは「RenCa:A/N (レンカ アルバニグル)」と「ヒプノシスマイク -Alternative Rap Battle」の2タイトルのみですが、リリース後の運営はオルトプラスが引き受け、運営収益をレベニューシェアで受領するとこのこと。
「RenCa:A/N (レンカ アルバニグル)」は12月11日にリリース、「ヒプノシスマイク -Alternative Rap Battle」は12月リリース予定が延期され、2020年3月下旬のリリースとなっています。
この2タイトルで赤字脱却となるか注目です。
画像出典元:「株式会社オルトプラス」決算説明資料
2019年9月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収となったものの、利益項目はすべて赤字、最終9億200万円の赤字となっています。赤字幅は縮小したものの、厳しい状態が続いています。
当第3四半期では、6タイトル(自社・協業1タイトル、パブリッシュ1タイトル、運営移管4タイトル)の運営を終了したことにより、売上高は前四半期比で78.2%減と大幅に減少。
第3四半期連結会計期間末における運営タイトルは8タイトル(自社・協業6タイトル、運営移管2タイトル)、開発中のタイトルは2タイトルとなっています。2019年中に「RenCa:A/N(レンカ アルバニグル)」を配信予定としていますが、配信日は未定です。
営業利益は、外注費の削減、体制の見直しによる人件費及び各種販管費の削減を進めたものの、運営中のタイトルから得られる収益が想定を下回ったことから赤字に。
【グラフ】四半期売上高・営業利益推移
オルトプラスは、XPEC社とXPEC社の前董事長である許金龍氏に対して、2018年7月2日付で損害賠償請求訴訟の提起を台湾にて行っています。現在係争中ですが、投資有価証券として計上しているXPEC 社株式 9,235万5,000円全額が当第3四半期決算において特別損失として計上されています。
オルトプラスは6月6日、アイディアファクトリーと資本業務提携契約を締結し、6月21日付で第三者割当による自己株式の処分を行うと発表。処分株式数は11万4,300株、調達資金は2,766万600円。
女性向け恋愛ゲームブランド「オトメイト」等を主力とするアイディアファクトリーと、 女性向けソーシャルゲームの開発・運営を行ってきたオルトプラス において、 同領域における知見を相互に共有することで、 両社の企業価値を高めることができると判断し、資本業務提携を実施したのこと。
現在、協業で1タイトルを開発中です。なお、業績予想については非開示となっています。
画像出典元:「株式会社オルトプラス」決算説明資料
2019年9月期(第10期)第2四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収となるも、最終△4億8,700万円の赤字となりました。
ゲーム事業において一部タイトルを終了したこと(終了告知含む)、 オフショア事業において納品・検収タイミングが第1四半期に集中したことにより、前四半期からは売上が低減しました。
営業損失においては、運営中タイトルにおける外注費の削減、人件費及び各種販管費の削減を進めたことにより、 前四半期からは改善しました。
第2四半期連結会計期間において、株式会社KADOKAWAとの協業タイトル(1タイトル)をリリースする一方で、他社からの運営受託タイトル(1タイトル)の運営を終了した結果、自社・協業7タイトル、パブリッシング1タイトル、運営移管6タイトルとなりました。
14タイトル運営中
業績低迷によりゲーム事業においては選択と集中を進めていますが、第3四半期以降、6タイトル(自社・協業 1タイトル、パブリッシング1タイトル、運営移管4タイトル)の運営終了を予定。
既に終了したものを含めると、今期は合計7タイトルが運営終了となります。
オルトプラス は、2018年8月30日付でマッコーリー・バンク・リミテッドとSBI証券を割当先とした第5回及び第6回新株予約権の発行を行っていますが、株価が下限行使価格を下回って推移していることにより資金調達が進んでいません。
オルトプラス 株価推移
引き続き、 引受先であるマッコーリー・バンク・リミテッドと資金調達に関する協議を進めるとともに、取引金融機関とも協議を進めていくとしていますが、資金調達は難航しています。
業績低迷が続き、資金調達も進んでいない中、グループにおけるコア事業をゲーム関連開発・運営事業と今後需要が見込まれる人材事業に設定し、その他の事業については他企業との協業や売却、MBO等を通じてグループの連結適用外とする事業再編を進めています。
これにより、管理コストの低減と経営資源の最適化を実現し、コア事業の収益改善に集中していくとしています。
具体的には、オフショア開発事業は収益化には至っていない状況であることから合弁会社に移管。コミュニティオ事業も子会社へ移管。
ゲーム事業においては、収益性の低いタイトルの運営を順次終了させることにより売上高は下がりますが、運営費用の削減も進むため、継続タイトルの売上が低減しない限り収益改善が見込まれます。
第3四半期中に新体制を確立し、第4四半期以降に効果を顕在化させ黒字化の達成を目指すとのこと。
現在、「RenCa:A/N(レンカ アルバニグル)」とタイトル非公開の2タイトルの開発を進めていますが、「RenCa:A/N」は2019年中に配信予定です。起死回生となるか注目です。
開発中タイトル「RenCa:A/N」
なお、業績予想については開示されていません。
画像出典元:「株式会社オルトプラス」決算説明資料・公式HP
2019年第1四半期連結累計期間の売上高は、前年同期に対し+27.6%と増加したものの想定を下回る結果となりました。
新規タイトルの開発費や新規事業の費用等が収益を上回って推移したため、最終△2億7,800万円の赤字となり、前年同期に対し赤字幅が拡大しました。同期間においては、2015年より5期連続の赤字となりました。
【グラフ】四半期売上高・営業利益推移
上のグラフのとおり、売上高が伸びてもなかなか赤字が改善されない状態が続いています。資産においても現金及び預金は前年同期比△40.3%となり、約9億円減少しました。
当第1四半期連結会計期間末において、自社・協業6タイトル、パブリッシング1タイトル、 運営移管7タイトルの運営を行うとともに、新規2タイトルの開発を進めました。
「RELEASE THE SPYCE secret fragrance(リリフレ)」 を2月12日にリリース
5期連続の赤字という状況を解消するため、収益の獲得並びに費用の削減を進めるとともに財務基盤の安定化に取り組んでいきます。主力と位置付けたタイトルに注力し、収益性の低い一部タイトルについては運営を順次終了させる等、一層の選択と集中を進めていく予定です。
通期の業績予想は開示されていませんが、今期は第2四半期以降に新規タイトルがリリースされることで売上が増加し、 営業利益が改善する見込みです。
オルトプラスは、創業当初よりソーシャルアプリの開発に特化して事業を展開してきました。
ソーシャルゲーム事業を主たる事業としていますが、その他にゲーム支援事業、オフショア開発事業、新規事業として福利厚生サービス「コミュニティオ」 のサービスを開始しました。
全体の収益のうち9割をソーシャルゲーム事業が占めます。SNS運営事業者が提供するプラットフォームを通してSNSユーザーへソーシャルゲームを提供しています。グリー株式会社が運営する「GREE」を中心に配信されています。
オリジナルタイトルの制作だけでなく、アニメや漫画等のユーザー認知度の高いキャラクターのIPを有する他社との協業により、IPを利用したソーシャルゲームの制作も行っています。
ソーシャルゲーム会社に対して、ゲーム開発・運営人材のマッチングサービスを提供しています。
ベトナム子会社を利用したオフショア開発事業を行っています。
オフショア開発とは、ソフトウェア開発やWebシステム開発、アプリ開発、ゲーム開発、運用保守管理などを海外の開発会社や海外子会社にアウトソースすることで、開発コストを削減する手法のことを言います。
オルトプラス ベトナムでは、海外開発会社を探している企業や海外進出を検討している企業へ開発ラボとして社内の優秀な人材を提供しています。
ソフトバンク・ペイメント・サービス株式会社の決済サービスを活用し、企業向けの社内仮想通貨サービス「コミュニティオ」を2018年10月から提供開始しました。
社内仮想通貨とは、仮想通貨に利用される技術を用いて作られ、社内で利用されることに限定されたポイントなどの名称です。コミュニティオは、企業独自の名称をつけたオリジナル社内仮想通貨を発行できるサービスです。
社内仮想通貨に「ありがとう」のメッセージを添えて同僚に送ったり、良い行動をとった従業員に会社からプレゼントすることでコミュニケーションの活性化や自主的な行動を促します。手に入れた社内仮想通貨は、社員食堂やオフィスコンビニなどの社内施設で利用できます。
コミュニティオを導入することで、社員の能力や日々の業務での創意工夫、士気向上による業務の効率化などを引き出し、新しい働き方改革の推進が期待できます。
画像出典元:「株式会社オルトプラス」決算説明資料・コミュニティオ公式HP
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