日本で最初にアフィリエイトをスタートさせた「バリューコマース」の決算を見ていきます。
2019年12月期通期の業績は、前期に対し2桁増収増益と好調に推移しています。売上高・営業利益ともに過去最高を達成。
業績好調により、決算前の2019年12月13日に通期の業績予想を上方修正しています。
これは、既存サービスの伸長とダイナテック株式会社の新規連結効果によるものです。なかでも、Yahoo!ショッピングのストア向けサービスが牽引。
なお、2019年9月27日付で連結子会社化したダイナテックの売上高は当第4四半期から計上。
また、STORE’s R∞において、 OS情報を識別するプログラムの一部に不具合があり、コンバージョン情報の一部を取得できない事象が発生していたことが第4四半期に判明。第3四半期までの影響額1億9,500万円は、第4四半期の売上高に計上されています。
【グラフ】連結売上高の推移
営業利益は、販管費増を増収効果で吸収し、前期比で2桁増益を確保。営業利益率は、前期比で1.2ポイント改善し19.3%となりました。
【グラフ】連結営業利益の変動要因
セグメント別の業績を詳しく見ていきましょう。
マーケティングソリューション事業は一般コマース事業者向けサービス、いわゆる成果報酬型広告「アフィリエイト」を行っています。
アフィリエイトは、前期比で増収増益と堅調に推移。広告主数は減少している一方で、アフィリエイトサイト数は増加しているという傾向は変わらず。スマホ経由の注文件数は、当第4四半期で57.9%にまで伸長しました。
【グラフ】アフィリエイト 売上高の推移
カテゴリー別売上高構成比率は、家電とグルメが伸長。一方、一時期50%近く占めていた金融は30%程度で推移しています。
【グラフ】カテゴリー別売上高構成比率の推移
Yahoo!ショッピングのストア向けCRMツール「STORE’s R∞(ストアーズ・アールエイト)」、クリック課金型広告「ストアマッチ」ともに2桁増収増益と好調に推移。
ECソリューション事業の営業利益率は39.2%と高いのが特徴です。
【グラフ】ストアマッチ 売上高の推移
バリューコマースは2019年11月27日、コマース21(ヤフーの完全子会社)が新設分割により設立予定の新会社B-SLASHの全株式をヤフーから取得し、新たにYahoo!ショッピングのストア向けアプリマーケット(APM)事業を開始すると発表。
2020年1月24日付でB-SLASHの株式を取得し、子会社化。取得価額は8億800万円(うちアドバイザリー費用800万円)。
今後は、Yahoo!ショッピングのストア向けサービスを強化していくとのことです。
2020年12月期は、前期に対し増収増益となる見込みです。
既存サービスの伸長と新規連結効果(ダイナテック・B-SLASH)で、前期比で増収増益を見込んでいます。Zホールディングスの連結子会社だけに、Yahoo!ショッピングのストア向けサービス強化による収益貢献が期待できるでしょう。
画像出典元:「バリューコマース株式会社」決算説明資料
日本で最初にアフィリエイトをスタートさせた「バリューコマース」の決算を見ていきます。
2019年12月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し2桁増収増益となっています。通期予想に対する進捗率は、売上高74.7%、営業利益80.3%と計画通りに推移。
増収となった要因は、既存サービスが好調に推移したことによるものです。なかでもストアマッチは前年同期比+78.2%と大きく成長。
販売費及び一般管理費は、人員増、社内業務システム導入等により増加しましたが、増収効果により吸収し営業利益は2桁増益に。営業利益についても、ストアマッチが前年同期比+62.5%と貢献しています。
【グラフ】連結営業利益、営業利益率の推移
一方、前四半期比では売上、営業利益ともに減少しています。これは、アフィリエイトとSTORE's R∞(ストアーズ・アールエイト)が前四半期比で売上・営業利益ともに減少したことによるものです。
なお、通期の業績予想に変更はありません。前期に対し2桁増収増益となる見込みです。
バリューコマースは9月25日、宿泊施設の公式サイト専用ネット予約システム「Direct In(ダイレクトイン)」などを提供するダイナテック株式会社の株式を取得し子会社化すると発表。
ダイナテックはヤフーの連結子会社ですが、バリューコマースが完全子会社化とすることで両社の持続的な成長につながると判断。今後は、成長するオンライン旅行市場で宿泊施設向けサービス(予約・リピート促進)の提供を開始するとのこと。
ダイナテックのトップページ
画像出典元:「バリューコマース株式会社」決算説明資料
日本で最初にアフィリエイトをスタートさせた、ヤフーの連結子会社「バリューコマース」の決算を見ていきます。
2019年12月期第2四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し2桁増収増益と好調に推移しています。
【グラフ】連結売上高の推移
前四半期比では減収減益となっていますが、進捗率は売上高50.3%、営業利益54.5%と計画どおりに進捗しています。
売上が前四半期比で4.6%減となっているのが気になるところですが、営業利益が前四半期比で9.1%減となっているのは夏季賞与および人員増にともなう費用増によるものです。
セグメント別で見ても、マーケティングソリューション事業、ECソリューション事業ともに前年同期比で2桁増収増益と好調に推移しています。
成果報酬型広告「アフィリエイト」のセグメント売上高は87億5,000万円(前年同期比19.5%増)、セグメント利益は15億4,400万円(前年同期比17.3%増)と好調に推移しています。
広告技術とビッグデータに基づく提案を実施したことで、コンバージョン(購入・申込)が増加したとのことです。
【グラフ】アフィリエイト 売上高の推移
ただ、最近の動向として、アフィリエイトサイト数は増加しているものの、広告主数は減少しています。
ECソリューション事業は、CRMツール「STORE's R∞(ストアーズ・アールエイト)」及びクリック課金型広告「ストアマッチ」が好調に推移し、セグメント売上高は35億6,200万円(前年同期比54.6%増)、セグメント利益は14億4,200万円(前年同期比38.7%増)に。
なかでも、「ストアマッチ」は広告掲載面の拡大や、ヤフーとの協業による各種営業施策が奏功し、売上高が前年同期比80.8%増と飛躍的に成長しています。
【グラフ】ストアマッチ 売上高の推移
6月27日付で親会社であるヤフー株式会社がソフトバンク株式会社の連結子会社となったことにより、ソフトバンクが親会社(株式の間接所有)に該当することとなりました。ソフトバンクにとっては、バリューコマースは孫会社となります。
ヤフーがソフトバンクの子会社となったことで関係が変わったと、同じくヤフーの子会社であるアスクルの岩田社長は激白していますが、バリューコマースでは今のところ特に変化はないように見受けられます。
ただ、ヤフーは10月より持株会社体制に移行するため、バリューコマースを含め組織体制が大幅に変更となる予定です。なお、業績予想に変更はありません。
画像出典元:「バリューコマース株式会社」決算説明資料
2019年12月期 第1四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し大幅な増収増益となり、四半期ベースで売上高・営業利益ともに過去最高を更新しました。
Yahoo!ショッピングのストア向けCRMツール「STORE's R∞(ストアーズ・アールエイト)」、クリック課金型広告「ストアマッチ」及び成果報酬型広告「アフィリエイト」、すべてのサービスが好調に推移しました。
既存サービスがいずれも好調に推移したことにより、営業利益率は前年同期比2ポイント増の19.7%に上昇。経常利益・純利益も順調に成長しています。
【グラフ】連結経常利益・純利益の推移
業績好調により、2019年12月期の業績予想を上方修正しました。
日本で最初にアフィリエイトをスタートさせたのがバリューコマースです。
バリューコマースの前身は、1996年にニュージーランド人のシリアル・アントレプレナーであるティム・ウィリアムズ氏が設立したトランズパシフィック有限会社。
1999年にバリューコマース株式会社に商号変更し、インターネットを利用した成果報酬型の広告配信業を開始。イチロー(鈴木一朗)選手がオリックス在籍時にバリューコマースに出資したことでも話題になりました。
2005年にヤフー株式会社の関連会社となり、翌2006年に東京証券取引所マザーズに株式上場。さらに、2012年にはヤフー株式会社の連結子会社となり、東京証券取引所第一部に市場変更。
アフィリエイトマーケティングのパイオニアとして、またヤフーのグループ会社として着実に成長を重ねてきました。
2016年にはスマートフォン向け広告サービスの販売促進、及びYahoo!ショッピングのストア向けサービスの開発へ積極的な投資を行い、一時的に利益が落ち込みましたが、この施策が功を奏し、2017年からは売上・利益ともに右肩上がりに成長しています。
また、サービスの選択と集中も行い、事業の柱をマーケティングソリューション事業とECソリューション事業の2つとしました。
一般コマース事業者向け / 売上高構成比:約7割
ウェブサイト上で商品やサービスを販売している一般コマース事業者向けに、集客から顧客維持までのソリューションを提供する事業で、主要なサービスは成果報酬型広告「アフィリエイト」です。
アフィリエイトプラットフォームでは、約2,000もの広告主と70万以上のウェブサイト、メール、モバイルサイトが参加。
広告主はアフィリエイトサイト経由で商品・サービスの購入や申込みが発生した場合のみ成果報酬として広告費が発生するため、費用対効果の高い販売チャネルとして利用できます。
バリューコマース アフィリエイト
オンラインモールのストア向け / 売上高構成比:約3割
Yahoo!ショッピングをはじめとするオンラインモールのストア向けに、集客から顧客維持までのソリューションを提供する事業で、主要なサービスはCRMツール「STORE's R∞」及びクリック課金型広告「ストアマッチ」です。
優良顧客育成による売上基盤の拡大を支援するYahoo!ショッピング向けマーケティングオートメーションツールです。
「ストアのイチオシ」
検索窓や販促ページなどでストアが入札したキーワードに連動した広告がオンラインモール上に掲載されるサービス
「アイテムマッチ」
カテゴリーとストアが登録している商品を連動させ、オンラインモール上に掲載するサービス
画像出典元:「バリューコマース株式会社」決算説明資料・公式HP
2018年連結会計年度における業績は前期に対し増収増益となり、売上高・営業利益ともに過去最高を記録しました。
これは、Yahoo!ショッピングのストア向けCRMツール「STORE's R∞(ストアーズ・アールエイト)」及びクリック課金型広告「ストアマッチ」が好調だったことと、成果報酬型広告「アフィリエイトマーケティング」が堅調に推移したことによるものです。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度において提供終了を決定したサービスに関連する費用減少分を、プロダクト企画・開発及びプロモーションに投下したことにより、全体としては前期並みとなりました。
第4四半期の業績は売上高60億9,300万円(前年同期比+30.7%)、営業利益11億3,700万円(前年同期比+52.2%)となり、通期同様、四半期においても売上高・営業利益ともに過去最高となりました。Yahoo!ショッピングのストア向けサービスが牽引しました。
当連結会計年度より、サービスを提供する顧客属性に合わせ報告セグメントを以下のとおりに集約・変更しています。売上高構成比は、マーケティングソリューション事業が75%、ECソリューション事業が25%となっています。
マーケティングソリューション事業は、ウェブサイト上で商品やサービスを販売している一般コマース事業者向けに、集客から顧客維持までのソリューションを提供する事業です。主要なサービスは、成果報酬型広告「アフィリエイトマーケティング」です。
マーケティングソリューション事業のセグメント売上高は153億7,454万円(前期比14.6%増)、セグメント利益は26億6,676万円(前期比9.4%増)となりました。
アフィリエイトの売上高は2016年下期から2017年上期にかけて伸び悩んでいましたが、2017年下期からは順調に推移しています。
カテゴリー別売上高構成比率の推移としては、グルメ・通信分野が増加しています。一方、一時期50%を占めていた金融分野はここ2年、30%台となっています。
広告主数は年々減少していますが、広告技術とマーケティングデータに基づく提案を実施したことで広告出稿は伸長しました。
一方、アフィリエイトサイト数は2015年3月末にYahoo!アフィリエイトが終了したことにより一旦落ち込みましたが、それ以降年々増加し、当四半期では73万9,000サイトとなっています。
Yahoo!アフィリエイトはバリューコマースへと引き継がれ、現在、Yahoo!ショッピングでアフィリエイトを提供しているのはバリューコマース アフィリエイトだけとなっています(バリューコマース株式会社はヤフー株式会社の連結子会社です)。
アフィリエイト パートナーが受け取る成果報酬の推移としては、スマホ経由比率が年々増加し、当第4四半期では56.8%となりました。注文件数もスマホ経由比率が49.5%となり、スマートフォンでインターネットを利用する人、買い物をする人が年々増加していることがわかります。
また、前連結会計年度においてサービス提供を終了したアドネットワークサービスに関連する費用の減少分をプロダクト企画・開発及びプロモーションに投下しました。
主な取り組みとして、クーポン等のコンテンツを表示する機能「iPush(アイプッシュ)」を開発し、2018年11月、広告主向けに提供を開始しました。
ECソリューション事業は、Yahoo!ショッピングをはじめとするオンラインモールのストア向けに、集客から顧客維持までのソリューションを提供する事業です。主要なサービスは、CRMツール「STORE's R∞」及びクリック課金型広告「ストアマッチ」です。
優良顧客育成による売上基盤の拡大を支援するYahoo!ショッピング向けマーケティングオートメーションツール
Yahoo!ショッピングなどのオンラインモールに出店するストア向けクリック課金型のインターネット広告配信サービス
ECソリューション事業のセグメント売上高は53億9,043万円(前期比53.2%増)、セグメント利益は24億2,362万円(前期比125.2%増)となりました。
「STORE's R∞」及び「ストアマッチ」ともに好調に推移しましたが、とりわけ2016年9月にサービス提供開始した「STORE's R∞」の伸びが著しく、売上高は前期比95.8%増となりました。
「ストアマッチ」も好調で、売上高は前期比51.7%増となりました。
また、ストアの運用負担を軽減する新機能を追加したこと、ヤフー株式会社との協業体制及び利用ストア数増加のための営業支援策が奏功し、両サービスの収益も向上しました。
2019年12月期の業績は、売上高が238億円(前期比14.6%増)、営業利益が41億円(前期比10.0%増)となる見通しです。
マーケティング領域においては、eコマース市場が拡大していくにしたがい参入者が増え、コマース事業者間の競争が激しさを増しています。そのため、効果的なマーケティングソリューションの需要が一層高まっています。
こうした環境の下、顧客であるコマース事業者のパフォーマンス(コンバージョン=購入・申込)を最大化するため、集客から顧客維持までのマーケティングソリューションを提供することに今後も注力していくとしています。
画像出典元:「バリューコマース株式会社」決算説明資料
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