株式会社マイネットの決算/売上/経常利益を調べ、IR情報を徹底調査

執筆: 山中恵子

最終14億円の赤字!構造改革に伴い約200人の人員削減を実施する「マイネット」の第3四半期決算

2019年12月期 第3四半期決算

  • 売上高:88億9,500万円(前年同期比+0.2%)
  • 営業利益:△6億4,900万円
  • 経常利益:△6億8,300万円
  • 四半期純利益:△14億7,300万円

ゲーム運営に特化したゲームサービス事業を展開する「マイネット」の決算を見ていきます。

2019年12月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し売上高は微増となったものの、最終14億7,300万円の赤字となっています。

売上高については、既存タイトルは逓減しつつも第3四半期に1タイトル仕入れたことにより、前四半期比で横ばい。一方、既存の赤字タイトルが営業利益を圧迫し、赤字幅が拡大しました。

【グラフ】売上高推移(四半期)

親会社株主に帰属する四半期純利益は、構造改革に伴うエンディングタイトルの減損や再就職支援金の発生により、14億7,300万円の赤字となりました。

なお、第3四半期のエンディングは1タイトル(「サンリオ男子」)で、2019年9月末時点で37タイトル運営となりました。

リカバリープランの進捗

マイネットは業績悪化により、2019年8月に「転換点 リカバリープラン」を発表。このリカバリープランは順調に進捗しているとのことです。

赤字運営タイトルを買い取り黒字化を目指す再設計型はとりやめ、データドリブンスマート運営に注力することにより既存タイトルは安定的に推移しています。一方、赤字4タイトルは年内エンディングを決定。

また、人件費を中心にコスト削減を実行中で、25%の人員削減を予定しています。第3四半期には21人の削減を実施し、第4四半期以降に196人削減予定。会社の方針に同意して退職する従業員に対しては再就職支援金を支払い、これは特別損失として計上されます。

人件費・外注人件費を中心にコストは大幅に削減される見込みです。

【グラフ】コスト削減効果

gloopsのブラウザゲーム事業を買収

マイネットは2019年10月24日、株式会社gloopsのブラウザゲーム事業を会社分割(吸収分割)により承継する株式会社MYLOOPSの全株式を取得して子会社化することについて、gloopsの親会社である株式会社ネクソンと基本合意書を締結すると発表。

取得株式数は10株で取得価額は5億円、契約締結日は2019年11月29日、株式譲渡実行日は12月1日。これにより、gloopsの主要タイトル「大戦乱!!三国志バトル」「SKYLOCK(スカイロック)」は12月1日以降、マイネットが運営しています。

なお、通期の業績予想に変更はありません。今期は赤字予想ですが、年内に構造改革を完了させ、来期は黒字化を目指すとしています。

画像出典元:「株式会社マイネット」決算説明会資料

 

 

2019年12月期 第2四半期決算(19年9月更新)

  • 売上高:59億4,400万円(前年同期比+7.4%)
  • 営業利益:△3億8,100万円
  • 経常利益:△4億1,100万円
  • 四半期純利益:△9億800万円

2019年12月期第2四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収となったものの、最終9億800万円の赤字となっています。

赤字運営タイトルを買い取り黒字化を目指す再設計型や、コストをかけて新機能開発などで既存タイトルの売上伸長を狙うグロスアップという戦術がことごとく失敗。

累計では増収となったものの第2四半期では3本のエンディングがあったこともあり、前四半期比では減収減益、赤字で着地。EBITDAは17四半期ぶりの赤字となりました。代表の上原氏も、複数の施策が失敗したと認めています。

【グラフ】EBITDA・営業利益推移(四半期)

なお、買取時に策定した回収計画通りに進んでいない2タイトルについて、固定資産の減損に係る会計基準に基づき、無形固定資産1億6,200万円を特別損失として減損しています。

当第2四半期では、仕入れ 3タイトル、開発 1タイトル、エンディング 3タイトルとなった結果、2019年6月末時点で37タイトルの運営に。

 

戦略の転換

マイネットは、複数戦術の失敗、それに伴う直近業績の悪化を踏まえ、2019年下半期以降は、規模成長の追及から持続的利益体質へと目指す戦略へ転換すると発表。

具体的には、まず大幅な赤字タイトルを買収して再生するという再設計は今後実施しない。国内タイトルの海外新規展開といったグローバルチャレンジも実施しない。コストをかけて売上伸長を狙うグロスアップについては極小化する。

一方で、データドリブンスマート運営などに徹底集中していく。さらに人件費、採用費、外注費などの全社コストを圧縮して収益性を高めていくとのことです。

 

業績予想を下方修正

業績悪化により、通期営業利益黒字見込みから赤字予想へと下方修正されました。

  • 売上高:119億4,400万円〜122億4,400万円(前期比△1.6〜+0.9%)
  • 営業利益:△7億8,100万円〜△6億3,100万円
  • 経常利益:△8億1,800万円〜△6億6,800万円
  • EBITDA:△2,500万円〜1億2,400万円

ここ1年では12タイトル獲得し、うち5タイトルは戦術失敗したものの残り7本は利益が出ている状況です。

利益化できるタイトルがおおよそ年間6~7本であるという状況を勘案して、今後は数を追うのではなく、利益の出るものを峻別して買取を実施していくとのこと。

また、下半期中に持続的な利益体質へと回復させ、来期の営業黒字を必達に。最終的には営業利益率15%の状態にゲームサービス事業を着地させるとしています。下半期の構造改革が成功するか、今後に注目です。

画像出典元:「株式会社マイネット」決算説明会資料・リカバリープラン

 

 

 

2019年12月期 第1四半期決算(19年6月更新)

  • 売上高:29億9,700万円(前期比+23.7%)
  • 営業利益:△1億6,200万円
  • 経常利益:△1億8,800万円
  • 四半期純利益:△2億9,000万円

2019年12月期第1四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収、赤字幅は縮小されました。

不正アクセスインシデントの影響を受けた前年同期からは大幅増となりましたが、一時的なエンディング増により前四半期比では減収となりました。

赤字となった主な要因は、再設計型やAI・コーポレートブランディングに2.2億円の積極投資を行ったことによります。

当第1四半期に2タイトルの仕入と3タイトルのエンディングを行った結果、運営タイトル数は37タイトルに。

【グラフ】売上高推移(四半期)

【仕入れ】
  • 「モバプロ2 レジェンド」(モブキャストゲームス)
  • 「ドールズオーダー」(gumi)

【エンディング(サービス終了)】
  • 「夢色キャスト」
  • 「三国志乱舞」
  • 「逆襲のファンタジカ」

なお、営業利益は赤字ですが、EBITDAは16四半期連続の黒字を達成しています。

RPA導入によるタイトル長寿化

マイネットでは、ゲーム運営にフォーカスしたRPAシステムを自社開発しています。

RPAとは、Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)の略で、ロボットによる業務自動化を意味します。

AIスタジオ下の5タイトルで先行してRPAの効果を検証したところ、人的工数の削減に成功し、5本中4タイトルで1年の期間延長の意思決定を実現。今後、すべてのタイトルに対してRPAを導入していくとしています。



10億円を調達

18年3月、株式会社みずほ銀行を引受け先とする第4回銀行保証付私募債(無担保社債)を発行し、10億円を調達。

財政状態は現金35億円、自己資本比率46.2%となりました。

2019年12月期の業績予想

通期の売上高予想、133億4,900万円(前期比10.0%増)に変更はありませんが、第2四半期連結累計期間の業績予想が開示されました。

第2四半期連結累計期間の業績予想

  • 売上高:60億900万円(前期比+8.6%)
  • 営業利益:△1億6,200万円
  • EBITDA:2億3,000万円(前期比+152.0%)

売上高は累計では増収ですが、第2四半期もエンディングが3本予定されているため、第2四半期は減収となる見込みです。

一方、営業利益は累計では赤字ですが、既存タイトルの業績向上により第2四半期では黒字を目指すとのこと。

AI・RPAへの大型投資が効果を発揮しつつあります。下期での収益拡大に期待がかかります。

画像出典元:「株式会社マイネット」決算説明会資料

 

 

2018年12月期 通期決算(19年3月更新)

  • 売上高:121億3,300万円(前期比+1.5%)
  • 営業利益:1,700万円(前期比-97.2%)
  • 経常利益:△2,900万円
  • 当期純利益:△32億5,700万円

2018年12月期通期の業績は、前期に対し増収減益となりました。

2018年第1四半期に不正アクセスのインシデントが発生し、当初は大幅赤字の見通しを発表していましたが、下期に利益をV字回復し、結果として通期黒字かつ前年比1.5%の増収を達成しました。

想定を上回る売上で利益貢献

昨年3月に一部サーバーに対する不正アクセスが発生したことを受けて13タイトルに長期メンテナンスが発生し、大きな影響を与えました。

7月にはゲームのサービスを再開し、その後売上高が想定していた水準よりも回復したため、収益はインシデント発生以前の水準に戻っています。

また、第2四半期にグラニから獲得した「神獄のヴァルハラゲート」「黒騎士と白の魔王」の収益が想定を上回ったこと、タイトルのエンディングに伴うコスト圧縮、運営効率化が成功したことなどが、大幅に利益貢献しました。

運営タイトル数は37に

マイネットは今現在「100タイトル100チーム10年空間」を事業目標にしており、タイトル数が積み上がる≒利益が積み上がるという仕組みになっています。

2018年度は、プロフィットシェアスキームを積極的に活用し、9タイトルの仕入れを行いました。
一方、6タイトルのエンディングと契約終了に伴い2タイトルの運営終了、1タイトルのスキーム変更を行い、運営タイトルは37となりました。

2014年、2015年、2016年と重なってきた仕入分の回収はすでに全額回収が済んでいます。しかも回収済みのタイトルからは、まだまだプラスのキャッシュフローが生まれてくる状態です。

2017年は回収が上手くいきませんでしたが、それをリカバーし2018年以降のもので再び回収がうまく進んでいます。

マイネットのこれから

2019年度は、売上高133億4900万円(前期比10.0%増)を見込んでおり、第1四半期(1~3月)については、売上高30億100万円(前年同期比23.9%増)、営業損益1億4900万円の赤字、EBITDA5000万円を計画しています。

具体的な施策として「仕入ペースの増強」「全領域のAI進化」「コーポレートブランディング」の3つに注力し、その中でも、中長期の成長に向けたAIとコーポレートブランディングに、8億円の投資をすることを意思決定しました。

マイネットは中期成長戦略として、現在主力としているゲームサービス業で成長を重ね基盤をつくり、次にやってくる時代にむけて、VR領域、AR領域、IoT領域といった新規領域に投資を拡大していく方針です。

画像出典元:「株式会社マイネット」決算説明会資料

 

 

2018年12月期 第3四半期決算(18年12月更新)

  • 売上高:88億7,700万円
  • 営業利益:△1億8,700万円
  • 経常利益:△2億2,900万円
  • 当期純利益:△32億5,800万円

マイネットグループで運営しているタイトルのうち、予定されていた収益が想定以上に獲得できなかった2タイトルがエンディングとなったものの、過去最高の売上高を達成。

また、業績予想の上方修正も発表しました。

通期業績推移

主な事業内容はPARADEというスマートフォンゲームを買取や協業により仕入れ、独自のノウハウでバリューアップした後、ユーザーに長期サービス運営を行うことや、CroProという相互送客の活性化を目的とした相互送客ネットワークを提供することです。

2018年は3月にデータ分析、AIを活用したサービスを提供する「株式会社mynet.ai」を設立しました。4月に「株式会社GMG」の全株式を取得、完全子会社となりました。

2015年12月東京証券取引所マザーズ市場に上場
2017年12月から東京証券取引所市場第一部で取引が行われています。

出典:公式HP

会社概要

会社名 株式会社マイネット
事業内容 ゲームサービス事業
所在地 東京都港区北青山2-11-3 A-PLACE青山
設立日 2006年7月
代表 上原 仁
資本金 29億9,944万円(2018年12月末時点)

 

kigyolog_kessanの最新記事をチェック

この記事に関連するラベル

他企業の情報

ページトップへ