玩具・模型の製造販売、家庭用ゲームの制作販売などを手がける「バンダイナムコホールディングス」の決算を見ていきます。
2020年3月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収、営業利益ベースで増益となっています。同期間として、売上高・営業利益ともに過去最高を達成。
増収増益となった主な要因は、トイホビー事業において、ガンプラ(「機動戦士ガンダム」のプラモデル)、「DRAGON BALL」や「ワンピース」などのフィギュア、プライズ・ロトといったハイターゲット層(大人層)に向けた商品が国内外で好調に推移したことによるものです。
ネットワークエンターテインメント事業は、売上高は前年同期に及ばなかったものの、安定的に推移し増益を確保。
なお、1月に発売した「ドラゴンボール Z KAKAROT」は発売初週で150 万本を突破と好調に推移。今年度中に200万本の販売を目標としています。
画像出典元:バンダイナムコエンターテインメント公式HP
一方、リアルエンターテインメント事業は、アミューズメント施設は好調に推移したものの、業務用ゲームで新規タイトルの発売延期などもあり、前年同期比で減収減益に。
また、映像音楽プロデュース事業も複数の高付加価値パッケージタイトルがあった前年同期には及ばず、前年同期比で減収減益となりました。
足元の業績を踏まえ、通期の業績予想について利益のみ上方修正されました。
第3四半期連結累計期間までの業績は売上・営業利益とも過去最高を達成したものの、第4四半期は前年同期を下回る見込みであるため、前期比では減収減益予想となっています。
これは、トイホビー事業とネットワークエンターテインメント事業において費用先行となるため。
トイホビー事業においては、国内外のハイターゲット層向け商品展開強化に向け、グローバル市場でのECサイトのプロモーションやガンプラ40周年のイベントなどの費用を第4四半期に見込んでいます。
また、国内の年末年始商戦で低年齢層向け玩具やデジタルカードの販売が厳しかったことや、第4四半期は例年、翌年度に向けた新規IP立上げでコストが先行する時期であることも要因です。
ガンプラ40周年の取り組みとしては、「ガンプラ40周年特設ページ」を設けるなど準備が着々と進んでいます。
画像出典元:ガンプラ40周年特設ページトップページ
ネットワークエンターテインメント事業においては、第4四半期はネットワークコンテンツについて9タイトルの新規タイトル投入を予定しており、開発費などの初期費用負担が大きくなる見込みです。
また、家庭用ゲームについては、第4四半期は「ドラゴンボール ZKAKAROT」「ONE PIECE 海賊無双4」の2タイトルの発売となり、このうち「ONE PIECE 海賊無双4」は3月下旬発売予定のため、費用先行となる見込み。また、タイトルの編成と特性からリピートタイトルの販売本数やダウンロード販売比率は前年度に及ばない見込みとのこと。
なお、株式公開買付(TOB)を実施した創通は3月に完全子会社となる予定で、第4四半期はその他事業に計上予定。
新型コロナウィルスの影響については、既に「ラブライブ!サンシャイン!!」のイベントやライヴが中止となるなど影響が出ており、長期化すると生産や物流、消費動向への影響も懸念されます。
2020年3月期第2四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収増益、上半期として過去最高の業績を達成しています。
売上高を牽引したのは、トイホビー事業とネットワークエンターテインメント事業。
なかでも、ハイターゲット層(大人層)向け商品が好調のトイホビー事業は、前年同期比2桁増収増益と大幅に伸長。国内やアジアでガンプラ(ガンダムのプラモデル)、コレクターズフィギュア、プライズ景品などハイターゲット層に向けた商品は依然好調で、上半期のトイホビー事業売上高に占めるハイターゲットビジネスの割合は約40%となりました。
営業利益を牽引したのは、ネットワークエンターテインメント事業。ネットワークコンテンツにおいては、「DRAGON BALL」や「ワンピース」 「アイドルマスター」シリーズなどの主力タイトルの人気が継続。
家庭用ゲームにおいては、新作タイトル「CODE VEIN(コードヴェイン)」を発売したほか、既存タイトルの「DRAGON BALL」のタイトルや「鉄拳7」、「ダークソウル」シリーズなどが好調で、リピートタイトルの上半期累計の販売本数は765万本、フルパッケージのダウンロード販売比率は51%となりました。
なお、上半期のグループ全体のIP別売上高は上表のとおり。
1位 ドラゴンボール:613億円
2位 機動戦士ガンダム:379億円
3位 ワンピース:180億円
ドラゴンボールは不動の1位ですが、2位の機動戦士ガンダムについては、ガンダムの版権完全掌握に向けての動きがありました。
バンダイナムコホールディングスは10月9日、機動戦士ガンダムなど数多くのアニメーション作品の版権を管理する株式会社創通に対するTOB(公開買付け)を行い、創通の完全子会社化を目指すと発表。
創通を完全子会社化することで、機動戦士ガンダムに関連する事業を中心に意思決定の一元化・迅速化を図ることが狙いです。
創通トップページ
長らく、機動戦士ガンダムの版権はサンライズと創通に分断されていましたが、サンライズは1994年にバンダイが買収しており、現在はバンダイナムコホールディングスの子会社となっています。一方、創通は持分法適用関連会社で、10月9日現在、株式所有割合は22.79%(429万株)。ガンダム関連の商品化の度に、創通と協議を重ねる必要がありました。
公開買付期間は10月10日から11月25日までで、買付価格は1株につき3,100円、買付予定株数は1,131万4,255株(下限721万株)。
約350億円で全株式(自己株式除く)を取得する予定でしたが、筆頭株主である創業者の那須雄治氏(29.27%)、3位のナスコ株式会社(19.92%)は応じたものの、過半数の少数株主は反対。
公開買付けの結果は応募株券の総数868万3,500株、買付後の所有割合は82.05%となり、目標の90%以上には届きませんでした。そのため、株式併合による完全子会社化を行う予定。
なお、創通はJASDAQスタンダード市場に上場していますが、上場廃止となる見込みです。
家庭用ゲームでは大型タイトルとして、2020年1月に「ドラゴンボール Z KAKAROT」、 2020 年に「ワンピース海賊無双4」を、そして発売時期は未定ですが「ELDEN RING」の投入を予定。
トイホビー事業においては、年末年始商戦に期待がかかりますが、業績予想に変更はありません。ネットワークエンターテインメント事業における開発費・技術研究費等の増加などにより、前期に対し減収減益となる見込みです。
画像出典元:「株式会社バンダイナムコホールディングス」補足資料
2020年3月期第1四半期の連結業績は、前年同期に対し売上高は+5.5%成長、すべての利益項目で2桁増益となっています。第1四半期として過去最高の売上を達成。
売上を押し上げたのが、国内外でハイターゲット層(大人層)に向けた商品が好調だったトイホビー事業。ガンプラ(ガンダムのプラモデル)や、コレクターズフィギュアなどの商品が国内外で人気です。
今年はガンダム40周年、2020年にはガンプラ40周年を予定しており、国内外での需要はますます高まると予想されます。
利益を押し上げたのは、セグメント利益が前年同期比41.4%増となったネットワークエンターテインメント事業。
ネットワークコンテンツにおいて、新作タイトルが前年同期5本だったのに対し当第1四半期では1本だったことにより開発費および広告宣伝費が減少。また、家庭用ゲームにおいては、既存タイトルのリピート販売やフルパッケージ販売のダウンロード比率が56%と高い水準で推移。これらが要因で大幅な増益に。
グループ全体のIP別売上高は、1位 ドラゴンボール、2位 機動戦士ガンダム、3位 ワンピースですが、仮面ライダー、ウルトラマンも伸びています。
一方、リアルエンターテインメント事業は増収となったものの、新業態の展開強化や業務用ゲームにおいて新製品開発を行うなどして赤字に。また、映像音楽プロデュース事業、IPクリエイション事業はともに減収減益となっています。
業績好調により、上期の業績予想を利益のみ上方修正しました。なお、通期の業績予想は変更ありません。
上期は増収減益、通期では減収減益を見込んでいますが、バンダイナムコホールディングスの業績は堅調に推移しているので、通期の業績予想も今後上方修正される可能性も否定できません。
バンダイナムコ ホールディングスの株価推移画像出典元:グーグルファイナンス
株価も右肩がりです。国内外において変化が激しい市場環境が継続しているとはいえ、今後も底堅い業績が続くと期待されます。
画像出典元:「株式会社バンダイナムコホールディングス」補足資料
2019年3月期通期(2018年度)の業績は、前期に対し大幅な増収増益となりました。
各事業において主力IPや商品・サービスが好調に推移したほか、グループを横断した事業連携が効果を発揮し、売上高・営業利益ともに過去最高を更新しました。
中期ビジョン「CHANGE for the NEXT 挑戦・成長・進化」を掲げた3ヵ年の中期計画1年目は、IP価値の最大化をはかる「IP軸戦略」が奏功し、好調なスタートを切りました。
なお、IP戦略投資としては、IP創出や IPマーケティングへの投資を中心に60億円の投資を行ったとのこと。
IP別売上高は、2位の機動戦士ガンダムを大きく離し、ドラゴンボールが1,290億円と圧倒的No.1の売上となりました。
トイホビー事業は、国内・アジアを中心に、ガンプラやコレクターズフィギュア、プライズ等のハイターゲット層(大人層)に向けた商品や、カード関連商品の売上等が好調に推移しました。
国内においては、「機動戦士ガンダム」シリーズのプラモデル、「ドラゴンボール」「仮面ライダー」「プリキュア」等の定番IP商品が好調に推移。
海外においては、アジア地域では「機動戦士ガンダム」「ウルトラマン」の商品等が人気となったほか、中国市場での事業展開を強化。欧米地域では、コレクターズフィギュアや「ドラゴンボール」シリーズのカード商品等のハイターゲット層に向けた展開を推進しました。
ネットワークコンテンツにおいては、「ドラゴンボール」や「ワンピース」等の既存主力タイトルが好調に推移し、第4四半期のネットワークコンテンツ売上高は四半期としては過去最高となりました。
家庭用ゲームにおいては、「SOULCALIBUR Ⅵ(ソウルキャリバー6)」「ACE COMBAT7: SKIESUNKNOWN(エースコンバット7:スカイズ・アンノウン)」「JUMP FORCE(ジャンプフォース)」等の新作タイトルが計画本数を上回ったほか、リピート販売が好調に推移。
リアルエンターテインメント事業は、国内既存店の好調により見込みを上回りました。
業務用ゲームにおいては、「機動戦士ガンダム エクストリームバーサス2」等の販売が好調に推移。アミューズメント施設においては、新業態の出店等が好調に推移しました。
映像音楽プロデュース事業は、「アイドリッシュセブン」や「アイドルマスター」等のパッケージ販売や、ライブイベント関連の好調が継続しました。
IPクリエイション事業は、IPに係るライセンス収入の売上が見込みを上回りました。
「機動戦士ガンダム」シリーズや「ラブライブ!サンシャイン!!」「アイカツ!」シリーズ等の新作映像の公開を行い、話題喚起をはかり人気となりました。
2020年3月期は、ネットワークエンターテインメント事業における開発費・技術研究費等の増加などにより前期に対し減収減益となる見込みです。
2019年度は、スピーディなコンテンツへの投資を行う「バンダイナムココンテンツファンド」が始動します。
ALL BANDAI NAMCO での成長としては、映画公開に合わせて行われた「ドラゴンボール」の北米7都市ツアーに続き、7月のサンディエゴ・コミコンを皮切りに世界8都市でツアーを開催予定。
重点地区として位置付けている中国では、中国マカオ特別行政区(マカオ)にてVR事業を開始することを5月21日に発表。2019年秋に「VR ZONE MACAU」を開業予定です。
画像出典元:「株式会社バンダイナムコホールディングス」プレゼン資料
2019年第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収増益となりました。特に利益面では大幅な増益となり、同期間において売上高、営業利益ともに過去最高を更新。
主力IPや商品・サービスが好調に推移し、全ての事業において売上が拡大しました。
グループ全体のIP別売上高は、1位 ドラゴンボール、2位 機動戦士ガンダム、3位 ワンピースとなっています。ドラゴンボールは、国内外で不動の人気を誇っています。
ハイターゲット(高い年齢層)向けの「機動戦士ガンダム」シリーズのプラモデルや「ドラゴンボール」シリーズのカード関連商品等が好調に推移。家庭用ゲームでは、株式会社ディンプスと共同開発した新作タイトル「SOULCALIBUR VI(ソウルキャリバー6)」が順調なスタートを切りました。
今期は、「CHANGE for the NEXT 挑戦・成長・進化」というビジョンのもと、2018年4月よりスタートした3ヶ年の中期計画の1年目となります。
「IP軸戦略の核となるIP創出に力を入れること、国内外の各地域で ALL BANDAI NAMCO で一体となり総合力を発揮していくことに注力する」としていますが、中期計画1年目としては順調なスタートを切ったと言えるでしょう。
国内では少子化傾向にあり、玩具やゲーム市場は先細りのイメージがありますが、ハイターゲット層向けの商品の開発やグローバル展開を積極的に行う戦略により成長を続けています。
2018年12月には、中国市場におけるトイホビー事業とリアルエンターテインメント事業展開を強化するため、子会社2社を中国に設立。さらに2019年1月には、北米にトイホビー事業のハイターゲット層向け展開強化を目的とした子会社を設立しました。
業績好調により、2019年通期業績予想を上方修正しました。
新規IPの立ち上げ、ガンダム40周年に向けたプロモーション費用、グローバルでのECインフラ整備費用、家庭用ゲームの開発費コスト先行などの要因により、第4四半期は営業利益が前年同期を下回る見込みです。通期では過去最高の売上高、営業利益は前年並みを目指すとのこと。
バンダイナムコホールディングスは、「世界で最も期待されるエンターテインメント企業グループとなる」ことをビジョンに掲げ、2005年にバンダイとナムコが経営統合して設立されました。
合併直後は業績が低迷し、2009年には営業利益がほぼゼロとなりましたが、6年目からV字回復。それ以降、堅調に推移しています。
2019年3月期より中期計画の各戦略を推進するため、グループの組織体制の変更を行いました。
この組織体制見直しに伴い、トイホビー事業・ネットワークエンターテインメント事業・映像音楽プロデュース事業としていた報告セグメントを、トイホビー事業・ネットワークエンターテインメント事業・リアルエンターテインメント事業・映像音楽プロデュース事業・IPクリエイション事業に変更しました。
玩具、カプセルトイ、カード、菓子・食品、アパレル、生活用品、プラモデル、景品、文具などの企画・開発・製造・販売
主幹会社:株式会社バンダイ
ネットワークコンテンツの企画・開発・配信、家庭用ゲームなどの企画・開発・販売
主幹会社:株式会社バンダイナムコエンターテインメント
アミューズメント機器の企画・生産・販売、アミューズメント施設の企画・運営などリアルエンターテインメント事業
主幹会社:株式会社バンダイナムコアミューズメント
映像音楽コンテンツおよびパッケージソフトの企画・製作・販売、ライブエンターテインメント事業
主幹会社:株式会社バンダイナムコアーツ
アニメーションの企画・制作、著作権・版権の管理運用、アニメ作品に係る音楽制作ならびに楽曲および原盤の管理・運用
主幹会社:株式会社サンライズ
画像出典元:「株式会社バンダイナムコホールディングス」補足資料・公式HP
2019年第2四半期連結累計期間においては、前年同期および年初見込みを大きく上回り、上半期としては過去最高業績となりました。トイホビーと映像音楽プロデュースの業績が伸びたほか、各事業の主力IP(Intellectual Property:キャラクターなどの知的財産)や商品・サービスが安定的に推移。
少子化が進む中、ただゲームや玩具を提供するだけでなく、キャラクターを軸にして戦略を立てる「IP軸戦略」をグループ一体となって取り組むことで売上を伸ばしています。なかでも牽引しているのが、キャラクターではドラゴンボールと機動戦士ガンダム、商品ではハイターゲット層(大人層)向け商品です。
トイホビー事業はハイターゲット層向けの強化が功を奏し、ハイターゲット層向けフィギュア・カードなどが好調。特に、ガンプラ(機動戦士ガンダムシリーズのプラモデル)は国内だけでなく、中国を中心にアジアでも高い人気を誇っています。
同じくドラゴンボールもハイターゲット商材が⼈気で、欧米地域ではドラゴンボールのトレーディングカードゲームやコレクターズアイテムが好調です。
ネットワークエンターテインメント事業では、主⼒タイトルの好調が継続。今後は、eスポーツへの取り組みを強化するとしています。
映像音楽プロデュース事業では、ラブライブ!サンシャイン!!、アイドルマスターシリーズの映像パッケージソフトや音楽パッケージソフト等が人気。
今後は、 トイホビー・ネットワークエンターテインメント以外の事業についても中国市場に本格的に展開していく予定です。
画像出典元:「バンダイナムコ」補足資料・説明会資料
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