時価総額6,000億円、価格.com、食べログを運営する「カカクコム」の決算を見ていきます。
2020年3月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し2桁増収増益と堅調に推移しています。
カカクコムはインターネット・メディア事業、ファイナンス事業を展開していますが、両事業とも2桁増収増益を達成。主力の価格.com、食べログも好調で、営業利益率は46.1%と高収益体質も維持しています。
唯一、縮小しているのが食べログのユーザー会員事業のみ。これは、有料サービス加入者数の減少によるものです。
【グラフ】連結売上収益の四半期推移
2019年12月には、グループ全体の月間利用者数が前年同期比4.8%増の2億6,705万に。価格.comは横ばい、食べログは拡大、そしてその上に着実に新サービスが積み上がっていることがわかります。
【グラフ】カカクコムグループ積み上げ⽉間利用者数
なお、利益に関しては計画を上回って推移していますが、第4四半期における消費増税の影響や費用増を考慮し、通期の業績予想は据え置かれています。
株式会社カカクコムの創業者は、槙野光昭氏(現ヘアサロン「アルバム(ALBUM)」を運営するオニカムの代表)。
槙野氏はメルコ(現バッファロー)を1年で退職し、1997年に「価格.com」の前身となる「¥CORE PRICE¥」を開設。同年、サイト名を「¥パソコンの価格が分かるページ¥」に変更し、 有限会社コアプライスを設立。
「¥パソコン価格情報¥」を経て、2000年に現在の名称「価格.com」に変更。その後、株式会社カカクコムへ組織及び商号変更し、価格比較分野での取扱いサービスを拡大していきました。
2001年、出資元であるベンチャー投資を行う株式会社アイシーピーの代表を務めていた穐田誉輝氏が2代目社長に。槙野氏は起業5年でリタイアしました。このとき、わずか28歳。カカクコムを売却して得た売却利益は25億円とも言われています。
画像出典元:株式会社アイシーピートップページ
社長に就任した穐田氏は、これまで中心だったパソコンや家電、カメラジャンルに加え、旅行やグルメなどへサービス分野を拡大し、カカクコムを成長させていきます。
2002年、株式会社デジタルガレージの連結子会社に。
画像出典元:株式会社デジタルガレージトップページ
2003年に東証マザーズ上場。2005年には東京証券取引所市場第一部へ市場変更し、グルメサイト「食べログ」、保険のコンサルティングを行う「カカクコム・インシュアランス」を立ち上げます。
2006年、デジタルガレージから3代目社長として田中実氏が就任。穐田氏は退任後、クックパッド代表を経て、現在はくふうカンパニーの取締役会長に。2017年には女優の菊川怜さんと結婚したことでも話題となりました。
田中氏のもと、グルメサイト「食べログ」が第二の柱として急成長を見せるとともに、サービスラインナップの拡充も順調に進んでいきました。
2016年、日本たばこ産業を経てカカコクムに入社した、畑 彰之介氏が4代目社長に就任にし、現在に至っています。田中氏は現在、ロコンドの取締役に就任しています。
今や時価総額6,000億円の企業に成長したカカクコムは、「インターネット・メディア事業」と「ファイナンス事業」を展開し、インターネット・メディア事業は「価格.com」「食べログ」「新興メディア・ソリューション」で構成されています。
収益の柱は価格.comと食べログで、全社売上の8割強を占めています。
カカクコムの収益は、手数料収入と広告収入によるもの。主にWebメディアを起点として成り立っているビジネスモデルです。
運営サイトによる広告収入及び役務提供等による手数料収入を得ています。
連結子会社、株式会社カカクコム・インシュアランスにおいて保険代理店事業等のサービスを行っています。
画像出典元:「株式会社カカクコム」決算説明資料・有価証券報告書・公式HP
インターネット・メディア事業、ファイナンス事業を展開する「カカクコム」の決算を見ていきます。
2020年3月期第2四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し2桁増収増益となっています。事業別でも、インターネット・メディア事業、ファイナンス事業ともに2桁増収増益。好調です。
インターネット・メディア事業においては、価格.com、食べログ、新興メディア・ソリューションすべて堅調に推移。なかでも新興メディア・ソリューションは前年同期比42.7%増と大きく成長し、売上収益に占める割合も徐々に拡大しています。
営業利益率は、前年同期比0.4ポイント上昇の46.0%と、相変わらずの高収益体質です。
【グラフ】連結売上収益の四半期推移
なお、食べログのレビュー点数評価操作疑惑がTwitterの投稿を発端として炎上しましたが、公正取引委員会は10月9日の定例会見で、飲食店向けのポータルサイトに関して調査を行っていることを明らかにしました。また、カカクコムは10月10日、「飲食店向け有料サービスを含む食べログとの何らかの取引によって、店の点数やランキングが変動することは一切ない」と疑惑を否定しました。
セグメント別の業績を見ていきましょう。
●価格.com
価格.comは、消費税増税前の需要によってパソコンや大型家電を中心にショッピング事業が好調に推移。また、増税前需要を見込んだ広告出稿が好調に推移し、広告事業も増収。
サービス事業は金融、通信、車、引越、その他すべての事業が好調に推移しましたが、なかでもキャッシュレス決済拡大に伴い、クレジットカード発券数が当第2四半期では前年同期比で35.5%増加し、今もなおその傾向は続いているとのこと。
●食べログ
食べログは、ユーザー会員事業と広告事業が減収となったものの、飲食店販促事業が牽引し増収に。ネット予約契約店舗の増加によりネット予約人数が増加する一方で、食べログの有料サービス加入者数は減少しています。
●新興メディア・ソリューション
新興メディア・ソリューションは「求人ボックス」「スマイティ」、子会社のタイムデザインが提供するダイナミックパッケージ予約システムが伸びています。なかでも「求人ボックス」は、売上高が前年同期比で約3.5倍、月刊利用者が450万人を突破と好調です。
●ファイナンス事業
ファイナンス事業は、子会社のカカクコム・インシュアランスが提供するペット保険に加えて海外旅行保険の契約が増加。
運営サイトの利用者属性
参考までに、価格.comと食べログの利用者は50〜64歳が最も多いそうです。
なお、通期の業績予想に変更はありません。上期は好調に推移しましたが、10月は増税前の駆け込み需要の反動で数字が弱くなっているとのこと。駆け込み需要の反動が続くのか、もしくはキャッシュレス推進の恩恵を受けて盛り返すのか先行きが見通せないため、業績予想は据え置かれています。
画像出典元:「株式会社カカクコム」決算説明資料
価格.com、食べログを運営する「カカクコム」の決算を見ていきます。
2020年第1四半期の連結業績は、前年同期に対し2桁増収増益と好調に推移。インターネット事業では価格.comが+8.0%、食べログが+10.7%、新興メディア・ソリューションが+48.7%成長し、ファイナンス事業は+19.4%成長しています。
なかでも、価格.comのサービス事業、食べログの飲食店販促事業、新興メディアの求人ボックスが売上収益を牽引しました。
【グラフ】連結売上収益の四半期推移
費用面では、食べログに係る広告宣伝費の増加、従業員増による人件費の増加により営業費用が増加していますが、営業利益率は45.3%と依然高い水準を維持しています。
2019年6月度の月間利用者数は価格.com5,473万人、食べログ1億1,877万人と食べログの利用者数は価格.comの2倍に。食べログは、売上も利用者数も価格.comを上回り、収益の柱として成長を遂げています。
新興メディア・ソリューション/ファイナンス事業の売上構成比は16.3%と目標の20%に向け順調に進捗しています。
セグメント別にもう少し詳しく見ていきましょう。
価格.comではすべての事業が好調に推移。なかでも、サービス事業と広告事業が伸びています。サービス事業は、金融、通信、車、引っ越し、その他すべて好調に推移。広告事業は、スマートフォンや自動車メーカーからの広告収入が増加。
食べログではユーザー会員事業と広告事業が減収となったものの、飲食店販促事業が大きく伸びています。飲食店販促事業では、契約店舗数、ネット予約人数ともに順調に進捗。
一方、ユーザー会員事業では有料サービス加入者数が減少。また広告事業は、ネットワーク広告及び他のメディアへの送客による手数料収入が減少しています。
新興メディア・ソリューションはすべての事業が計画通り、もしくは計画以上に進捗。なかでも求人ボックスは売上が前年同期比+413.3%成長し、6月の月間利用者数は400万人を突破。
生命保険及び損害保険のオンライン契約申込数が増加したことにより手数料収入が増加。ペット保険加入者が大幅に増加しています。
なお、業績予想に変更はありません。
画像出典元:「株式会社カカクコム」決算説明資料
2019年3月期通期の業績は、前期に対し増収増益となりました。
増収の主な要因は、「食べログ」の飲食店販促事業、「食べログ」「価格.com」の広告事業、「求人ボックス」、および連結子会社カカクコム・インシュアランスの各事業における売上収益が増加したことによるものです。
営業利益においては、「食べログ」に係る広告宣伝費が増加したため、前期に対し増益となったものの達成率は99.5%となりました。
【グラフ】カカクコムグループ積上トラフィック
グループ全体の月間利用者数は年々増加し、2019年3月には2億7,118万人に。「食べログ」利用者の比率が圧倒的に多いですが、新興メディア・ソリューションの比率も徐々に伸びてきました。
営業利益率は45.7%と収益性も高く、売上・利益とも右肩上がりに成長しています。「価格.com」の伸びは頭打ちになってきましたが、「食べログ」が急成長。
加えて、新興メディア・ソリューションも急速に伸びています。カカクコムは、収益性といい、事業規模といい、インターネット・メディア分野で手堅く安定した成長が続いています。
売上収益の内訳は
となりました。
全体の売上収益のうち80%超が「価格.com」と「食べログ」で占められますが、「食べログ」が順調に伸び、2019年3月期は「価格.com」を上回りました。
【グラフ】四半期別 売上構成の推移
詳細を見ていきます。
【価格.com】
「価格.com」は、サービス事業および広告事業が好調に推移しました。月間利用者数は2019年3月に5,615万人に。
ショッピング事業は、消費材の売上が減少した一方で、耐久財の売上が増加。消費財の流通総額は前期比で16.3%減少。サービス事業は、金融、通信及び引越の各領域の売上が増加。広告事業は、家電、自動車メーカーに加えてスマートフォンメーカーの広告が増加しました。
【食べログ】
新プラン契約店舗数およびネット予約人数の増加により、飲食店販促事業の売上収益が増加。月間利用者数は1億1,917万人、有料サービス加入者数は100.3万人となりました。
飲食店販促事業は、3月時点で新料金プランの契約店舗数が37,100店舗に。また、ネット予約契約店舗の増加によりネット予約人数が順調に推移しました。
一方、ユーザー会員事業においては、有料サービス加入者数が減少。
広告事業は、地方自治体、商業施設といった“施設・観光” 業種の取引額が拡大したことによりバナーおよび記事広告が大幅な増収となりました。
【新興メディア・ソリューション】
「求人ボックス」およびカカクコム・インシュアランスの各事業における売上が増加。新興メディア・ソリューションは急成長しています。
2020年3月期の業績は、前期に対し増収増益となる見込みです。
今後は、グループ全体の月間利用者数の増加および新興メディア・ソリューション/ファイナンス事業の売上構成比20%を目指すとのこと。また、事業規模拡大のためのオフィス増床に伴う費用が一時的に発生する予定です。
画像出典元:「株式会社カカクコム」決算補足説明資料
2019年第3四半期決算の業績は、増収増益となりました。
通期業績予想に対して、売上収益は76.7%、営業利益は72.2%の進捗率となっています。
カカクコムは「インターネット・メディア事業」「ファイナンス事業」の2つのセグメントがあります。
インターネット・メディア事業はさらに「価格.com業務」「食べログ業務」「新興メディア・ソリューション業務」の3つに分別されています。
ショッピング事業は、消費財の流通総額の減少により消費材の売上が減収した一方で、耐久財が増収したため、売上収益は前年同期比0.4%増となりました。
サービス事業は、金融サービス比較や引越の事業者比較サービスが好調で、売上収益は前年同期比2.3%増。
広告事業は、記事広告やバナー広告が増加したため売上収益は前年同期比8.0%増となっています。
飲食店販促事業は、新規契約の獲得と旧料金プランから新料金プランの切替により12月時点で新料金プランの契約店舗数は35,100店舗と好調に増加しました。
またネット予約契約店舗の増加により、ネット予約人数が前年同期比+51.6%増の894万人と順調に進捗しました。その結果、売上収益は前年同期比29.3%増となっています。
広告事業は、飲食店と連携した企画型広告の収入が増加したため売上収益は前年同期比6.9%増となりました。
一方、ユーザー会員事業は、有料サービス加入者数の減少により売上収益は前年同期比2.2%減となっています。
「キナリノ」の企画型広告収入が増加、「求人ボックス」のトラフィック増加に伴い手数料収入が増加したことで、売上収益は前年同期比105.8%増となりました。
前期に引き続き、連結子会社のカカクコム・インシュアランスによる保険代理店業務において、生命保険・損害保険の申し込み数、広告収入が増加しています。売上収益は前年同期比44.2%増となりました。
第2四半期連結累計期間及び通期の連結業績予想に変更はありませんでした。
価格.com、食べログともに、引き続き堅調な成長を継続するとともに、新興メディア・ソリューション事業、ファイナンス事業の売上構成比を中期的に20%増を目指します。
2019年3月期第2四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収増益となっています。上期業績予想に対して売上収益は106.9%、営業利益は102.2%を達成。
好調な理由は、食べログの飲食店販促事業、食べログ、価格.comの広告事業及び新興メディア・ソリューションの既存事業の成長と新規連結によるものです。今期から食べログの売上収益が価格.comの売上収益を上回るようになりました。
価格.comショッピング事業では、家電・パソコンなどの耐久財の手数料収入が増加。価格.comサービス事業では、通信・金融サービス比較や引越の事業者比較が好調に売上を伸ばした一方、自動車関連サービス比較が減収となりました。
食べログは飲食店販促事業が好調に推移し、売上収益59億5,200万円と前年同期比+21.2%となりました。2018年9月には、月間利用者数(サイトを訪れた人をブラウザベースで数えた人数)は1億人を突破し、新料金プランの契約店舗数は3万店舗を超えました。今後は契約店舗数とネット予約人数をさらに拡大し、ネット予約ができるグルメサイトとしてNo.1を目指すとのこと。
新興メディア・ソリューション事業では、求人ボックス、キナリノ、スマイティが売上を伸ばしました。
ファイナンス事業では、連結子会社カカクコム・インシュアランスによる保険代理店業務において、生命保険及び損害保険の申し込み数、広告収入が増加。
今後は、主力事業の価格.com、食べログの安定した収益を確保しつつ、新興メディア・ソリューション事業とファイナンス事業の売上構成比を伸ばすしていくとしています。
画像出典元:「カカクコム」決算説明資料
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