旅行事業のほか、ハウステンボスや『変なホテル』の運営、エネルギー事業も手がける「エイチ・アイ・エス」の決算を見ていきます。
2020年10月期第1四半期の連結業績は、前年同期に対し増収減益となっています。
増収となった主な要因は、Red Label Vacations Inc.の新規連結効果と電力小売事業の伸長によるものです。
エイチ・アイ・エスは2019年3月、北米における旅行事業の強化と拡大を目的とし、オンライン販売事業・ホールセラー事業を展開するカナダの大手旅行会社Red Label VacationsInc.を子会社化。
なお、日本政府観光局(JNTO)によると、当第1四半期(11月~1月)の旅行市場において、日本人出国者数、訪日外客数ともに前年同期比で減少しているそうですが、第2四半期以降は新型コロナウイルスの影響で両者とも激減することは間違いないでしょう。
営業利益は、国内外の旅行子会社及びハウステンボスが低調に推移したことから、前年同期に対し2桁減益に。
旅行事業は人件費等の費用増加が響き、ハウステンボスはクリスマス時期の日並びや訪日観光客の落ち込みなどを受け入場者数が減少したことが響きました。
経常利益は、為替差益2億6,000万円計上したことにより42億8,800万円(前年同期比△17.5%)に。
純利益は、投資有価証券売却益5億1,200万円計上した一方で特別損失2億4,900万円計上し、21億7,700万円(前年同期比△7.6%)となりました。
新型コロナウィルスの感染拡大に伴う影響を踏まえ、通期の業績予想が大幅下方修正されました。上場来初の赤字に転落する見込みです。
旅行事業・ハウステンボスグループ・ホテル事業を中心に新型コロナウィルスの感染拡大に伴う影響が見込まれることに加え、ハウステンボスの入場者数に改善が見られないことから、連結業績予想が大幅に下方修正されました。
親会社株主に帰属する当期純利益については、九州産交グループにおいて「阿蘇山ロープウェイ」の再建設を中止したことにより、第2四半期に減損損失を特別損失として最大13億円計上する見込みです。
なお、ハウステンボスグループにおいては、ハウステンボス(長崎県佐世保)、ラグーナテンボス(愛知県蒲郡市)ともに、2月29日から3月15日まで臨時休園となりましたが、この影響額については反映されていないこと。反映されると、さらなる下方修正の可能性も。また、感染拡大の状況によっては臨時休園の延長も予想されます。
画像出典元:ハウステンボス公式HP
なお、今回の修正は、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う影響が7月まで続くと仮定したものであるため、実際の終息時期によっては変動する可能性もあります。
いずれにしろ、新型コロナウイルスの影響で大打撃を受けることは必至です。
エイチ・アイ・エスの前身は、1980年に海外航空券の販売を目的として設立された株式会社インターナショナルツアーズ。1989年に初めての自社主催商品を発売し、1990年に商号を株式会社エイチ・アイ・エスに変更。
以降、旅行事業だけだなく、さまざまな事業にチャレンジしていきます。
1996年には航空会社「スカイマークエアラインズ」を設立し、オーストラリアでホテル事業も展開(※いずれも現在はグループ外)。
2002年に東京証券取引所市場第二部に上場し、2004年に東京証券取引所市場第一部に指定。
2005年に熊本県熊本市に本社を置く「九州産業交通株式会社」(現九州産業交通グループ)がグループ会社の一員に。
2010年にハウステンボス株式会社を子会社化。2014年に株式会社ラグーナテンボスを設立し、ラグーナ蒲郡の3事業を承継。
2015年、ハウステンボスに最先端の技術を導入したホテル「変なホテル」をオープン。
2016年に電力小売事業開始。
創業40周年目を迎えた2019年11月1日、コーポレートロゴを一新。10年ぶりに変更となりました。
今後、旅行業を中心としつつも旅行関連事業にとらわれることなくサービスの提供を続けていくために、グループ経営戦略機能の強化、権限と責任の明確化による意思決定の迅速化、グループシナジーの最大化を企図し、2020年8月1日を目処に持株会社体制へ移行する予定。
旅行会社として確固たる地位を築き、経営破綻したハウステンボスを再生させたりと成長を続けてきたエイチ・アイ・エスですが、ここに来て、国内の人口減少や訪日客の減少等、不安要素も。ハウステンボスの入場者数は減少を続け、追い打ちをかけるように新型コロナウイルスの感染拡大。
どうやってこの危機を乗り切っていくのか注目です。
格安航空券の販売から始まったエイチ・アイ・エスですが、現在は主力事業である旅行事業のほか、ハウステンボスグループ、ホテル事業、九州産交グループ、エネルギー事業、その他の事業を展開しています。
旅行事業(海外旅行及び国内旅行)及びその付帯事業
長崎県佐世保市及び愛知県蒲郡市においてテーマパークの所有及び運営
日本、台湾、アメリカ及びインドネシア等においてホテル事業及びその付帯事業
自動車運送事業、不動産賃貸業等
電力小売事業、再生可能エネルギー等新規電源の開発及びその付帯事業
損害保険事業および不動産事業等
画像出典元:「株式会社エイチ・アイ・エス」決算補足説明資料
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