料理レシピ投稿・検索サービス『クックパッド』の企画・運営を行う「クックパッド」の決算を見ていきます。
2019年12月期通期の業績は、前期に対し減収減益、最終9億6,800万円の赤字となっています。上場以来、初の赤字に転落。クックパッドは、2017年より10年間は企業価値向上のための投資期間としているため、コスト先行が続いています。
減収となった主な要因は、国内レシピサービス広告売上が減少したこととと、通信キャリアとのレベニューシェア型の売上収益が減少したことによります。広告売上は、スマートフォン広告のニーズの一巡、内食市場の環境悪化により苦戦。
一方、国内レシピサービス会員売上は、プレミアム会員数の増加および単価の上昇により前期比3.1%増の73億7,800万円に。国内レシピサービス会員売上は、全社売上の約6割を占めています。
販売費及び一般管理費は、海外の採用活動強化に伴う人件費およびそれに付随する費用と、国内の新規事業に係る費用が増加したことにより前期比8.6%増の103億6,700万円に。
営業利益は、販管費増に加え、のれんの減損損失7億6,900万円を計上したことにより前期比で8割減益となりました。IFRSに基づく減損テストを実施した結果、当第4四半期にロシア、ギリシャ、ハンガリーの海外連結子会社ののれん全額を減損損失としてその他費用に計上したとのこと。
なお、直近では2017年3月期第3四半期、2018年3月期第4四半期においても、それぞれのれんの減損損失を計上しています。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、繰延税金資産の取り崩しによる法人所得税費用の計上に加え、2018年8月に実施したCookpadTV株式会社の第三者割当増資に伴い、子会社の損失の一部が非支配持分に帰属することにより、9億6,800万円の赤字に転落しました。
「クックパッド」の2019年10月~12月の国内平均月間利用者数は前年同期比10万人減の5,251万人、海外は164万人増の4,185万人。国内利用者は年々減少する一方で、海外利用者数は増加しています。なお、展開国数は74カ国、言語数は32言語(日本を含む)となっています。
プレミアム会員数は増加しているということですが、実際にはほぼ横ばいで推移していると言えるでしょう。
クックパッドのビジネスモデルは、国内レシピサイト 「クックパッド」の利用者数が増加することで、広告売上や有料サービスを利用するプレミアム会員数が増加し、売上収益も増加するという仕組み。
しかし近年、他社動画レシピサイトの台頭などにより利用者数は減少傾向にあり、既存のビジネスモデルが成り立たなくなってきています。
また、一時は右肩がりに上昇していた通信キャリアとのレベニューシェア型の売上収益も減少傾向に。
正念場を迎えているクックパッドは、CookpadTVをはじめとする新規事業や海外展開に活路を見出そうと先行投資を行っています。しばらく投資フェーズが続きそうです。
なお、業績予想に関しては非開示となっています。
画像出典元:「クックパッド株式会社」決算説明会資料・公式HP
2019年12月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し減収、すべての利益項目で2桁減益となっています。
減収となった主な要因は、国内レシピサービス広告売上と通信キャリアとのレベニューシェア型の売上が減少したことによるものです。一方、国内レシピサービス会員売上は前年同期比で増加。これはプレミアム会員数の増加や、単価の上昇によるものです。
第3四半期だけを見ると、広告売上が持ち直し、前年同期比、前四半期比ともに増収となっています。
ただし、プレミアム会員数は2018年3月期第4四半期の204.8万人をピークに減少しています。当第3四半期連結累計期間末のプレミアム会員数はピーク時から5.9万人減の198.9万人に。200万人を切りました。また、国内の「クックパッド」平均月間利用者数は前年同期比41万人減の5,483万人に。
一方、海外の「クックパッド」平均月間利用者数は前年同期比398万人増の4,207万人と、海外の利用者は増加しています。
営業利益は、海外の採用活動強化に伴う人件費およびそれに付随する費用と、国内の新規事業に係る費用が増加したことにより前年同期比6割減と大幅な減益に。
一方、現金及び現金同等物は219億円、有利子負債4,000万円、親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)86.2%と財政状態は良好です。
クックパッドの売上収益は2016年3月期の168億円をピークに減少を続けています。2017年から10年間は投資フェーズということなので、特に利益に関してはしばらく厳しい状況は続くと思われます。
画像出典元:「クックパッド株式会社」決算補足説明資料
料理レシピ投稿・検索サービス『クックパッド』の企画・運営を行う「クックパッド」の決算を見ていきます。なお、今期よりIFRS第16号「リース」を適用しています。
2019年12月期第2四半期連結累計期間の業績は、売上高は前年同期比2.6%減の57億8,600万円、営業利益は7割減、純利益は5割減となっています。
広告売上の大幅な減少に加え、通信キャリアとのレベニューシェア型の売上収益が減少し、前年同期比で減収に。
大幅な減益の要因は、人件費と、CookpadTVをはじめとする新規事業に係る費用が増加したことによるものです。販売費及び一般管理費は前年同期比19.7%増の52億1,000万円と大幅に増加し、そのうちの46%が人件費。CookpadTVと海外で採用を積極的に行っています。
販管費が大幅に増加したことにより、営業利益率は前年同期から18.8ポイント低下の7.9%と大きく落ち込みました。
純利益は、法人税等の計上に加え、2018年8月に実施したCookpadTVの第三者割当増資に伴い、子会社の損失の一部が非支配持分に帰属することにより、前年同期比52.3%減の2億8,900万円に。
一方、連結子会社のCookpadTVが三菱商事から40億円の資金調達を行ったことで、現金及び現金同等物は前年同期比30億円増の225億円となっています。
売上収益のうち63%を占めるのが、国内の「クックパッド」のプレミアム会員の売上です。会員売上は、プレミアム会員数増加により前年同期比4.0%増の36億8,300万円に。
プレミアム会員数の増加スピードはやや落ちたものの、当第2四半期末では202.5万人に。なお、クックパッドの利用が最も多くなる時期は例年バレンタインデーの時期。第1四半期(1-3月期)が最も利用者数が多い四半期となります。
広告売上は前年同期比14.1%減の13億9,900万円に。スマートフォン広告のニーズの一巡、内食環境市場の悪化により苦戦しています。
その他売上は、前年同期比8.3%減の7億300万円に。新規事業の売上が徐々に伸長しているものの、通信キャリアを中心としたレベニューシェアの売上収益が減少しているため軟調に推移しています。
国内の利用者数が減少するなか、海外展開を積極的に進めているクックパッドですが、現時点で海外事業では広告も販売していないし、課金も行っていません。
サービスに価値を感じてもらえるようになった段階で課金を行っていくとのこと。その指標となるのが、月間利用者数とレシピ数。
当第2四半期の海外の平均月間利用者数は、前四半期比240万人減の3,864万人。展開国数は72ヵ国、言語数は29言語で(日本を除く)、投稿レシピ数は前四半期末比45万品増の286万品となっています。
どの時点で有料サービスを開始するのかわかりませんが、しばらくコスト先行の時期が続きそうです。なお、業績予想については開示されていません。
画像出典元:「クックパッド株式会社」決算説明会資料
2019年12月期第1四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し減収減益となりました。
プレミアム会員数が増加したものの、広告売上や通信キャリアとのレベニューシェア型の売上が減少し、前年同期比で減収となりました。
減益の主な要因は、国内外の採用活動強化に伴う人件費およびそれに付随する費用と、CookpadTVをはじめとする新規事業に係る費用が増加したこと等によるものです。
四半期利益は、2018年8月に実施したCookpadTV株式会社の第三者割当増資に伴い非支配持分に帰属する四半期損失が発生したことにより、前年同期比28.6%減となりました。
営業利益率は、前年同期比17.8ポイント減の10.1%に。
国内の「クックパッド」平均月間利用者数は前四半期比では102万人増の5,564万人となりましたが、2016年には6,000万人を突破していたことを踏まえると、国内利用者数は頭打ち、もしくは減少傾向であると言えるでしょう。
一方、海外の「クックパッド」平均月間利用者数は年々増加し、前四半期比83万人増の4,104万人に。展開国数は71ヵ国、言語数は28言語(日本を除く)となりました。
クックパッドが運営する「Cookpad(海外版)」は、Google Play Awards 2019のStandout Build for Billions Experience部門に選出されました。
クックパッドは、毎日の料理を楽しみにする事業に集中することを明確にするために、セグメント名称及び開示区分の変更を行いました。
2019年12月期より「毎日の料理を楽しみにする事業」の単一セグメントに、開示区分は「国内レシピサービス会員売上」「国内レシピサービス広告売上」「その他売上」となりました。
原点回帰を進めているクックパッドですが、現在はエンジニア・デザイナー等のサービス開発人材を獲得するとともに、新規事業への積極的な投資を進めている段階。
CookpadTVをはじめとする新規事業、海外事業の収益化はまだ先のようです。なお、CookpadTVの第1期決算は、最終△9億9,951万円の赤字となっています。
画像出典元:「クックパッド株式会社」決算補足説明資料
2018年通期の業績は、前期に対し大幅な減収減益となりました。減収の主な要因は、国内のクックパッドの会員事業のうち、dグルメをはじめとする通信キャリアとのレベニューシェアの売上収益が減少したこと、及び広告事業の売上収益が減少したことによります。
減益の主な要因は、人件費、業務委託費、広告宣伝費や地代家賃が増加したことに加え、のれん及び事業用固定資産の減損損失を6億3,700万円計上したことによるものです。
2018年度は、海外事業と動画事業を中心に積極的に投資を実施しました。
右肩上がりに成長し、高い営業利益率をキープしてきたクックパッドですが、2016年をピークに売上も株価も下降しています。クックパッドの内紛、及び他社レシピ動画サービスの成長時期と重なります。
売上が減少しても2017年度の営業利益率は40.2%と高いままでしたが、2018年度の営業利益率は14.0%と大幅に低下しました。
クックパッドは、主に会員事業と広告事業で成り立っています。売上構成比は会員事業が7割、広告事業が3割弱ですが、両事業とも減収となりました。
会員事業の収益は、プレミアム会員収入と通信キャリアと展開するレベニューシェアの売上収益で構成されています。会員事業の業績は、以下のとおりです。
プレミアム会員収入は前期比2億6,000万円増加しましたが、レベニューシェアの売上収益が5億7,000万円減少しました。
レベニューシェアの売上収益が減少した要因については、dグルメの会員数が減少した、またはPV数が減少した等考えられますが、詳細については明らかにされていません。
プレミアム会員数は200万人を突破しました。海外の平均月間利用者数は好調に推移し、4,021万人となりました。レシピ数も、国内のレシピは305万品、海外のレシピは212万品と積み上がりました。
2018年12月末には展開国数71ヵ国、言語数26言語となり、特にロシア語圏やインドネシア語圏が好調に推移しています。
一方、国内の平均月間利用者数は2016年をピークにじりじりと減少しています。スマートフォンからの利用が拡大してきましたが、頭打ちになった模様です。
2016年ごろからは他社レシピ動画サービスが急成長していますが、クックパッドがレシピサイトNo.1であることには今も変わりありません。しかしながら、「レシピサイトといえばクックパッド」ではなくなっているのが現状です。
広告事業の業績は、以下のとおりです。
内部要因としては、サービス開発優先のための販売枠制限、営業体制の変化。外部要因としては、食品業界における広告資源のテレビCMや店頭販促へのシフトが挙げられます。その結果、前期に対し売上収益が7億9,000万円減少しました。
当第4四半期では若干収益が改善しましたが、ネットワーク広告・ディスプレイ広告・タイアップ広告すべてにおいて減少傾向となっています。
クックパッドの創業者は、現執行役兼取締役である佐野氏。1997年に有限会社コインを設立し、1998年に料理レシピの投稿・検索インターネットサービスである「kitchen@coin」を開始。翌年クックパッドに改称。
「毎日の料理を楽しみにする」を理念としたサービスであり、ユーザーのためという思いが強い佐野氏は、単純に広告を載せて収益化を図るというビジネスモデルを良しとせず、理念に合わない広告は載せないという姿勢を貫きました。
そのため、創業後はしばらく赤字が続くことになります。2007年、穐田氏がエンジェル投資家としてクックパッドに出資し、社外取締役に。2009年に上場を果たし、会員数も伸び、事業が軌道に乗ります。2012年に穐田氏が佐野氏の後継社長となって以降は、さらに急成長を遂げます。
しかし、事業の多角化を推進する穐田氏に創業者である佐野氏が反対姿勢を示し、内紛へと発展。穐田氏は2016年に退任しますが、イメージ悪化は免れず株価は急落。売上もそれ以降、下降気味となっています。
穐田氏は現在、くふうカンパニー取締役会長となり、タレントの菊川怜さんと結婚されています。
通期業績予想は開示されていません。
2017年より10年間は、サービス開発、ユーザーベース獲得、ブランド構築に積極的に投資を行っていく予定です。海外に積極的に展開し、それぞれの国において圧倒的No.1のポジションを実現していきます。
また、従業員の業績向上に対する意欲や士気を高めるとともに、優秀な人材の確保を目的として、ストック・オプション制度を導入することを発表しました。
再び成長軌道に乗ることができるか、今後の展開に注目です。
画像出典元:「クックパッド株式会社」決算説明資料・公式HP
2018年第3四半期は、前年同期に比べて減収減益となりました。
減収の理由として、国内クックパッドの会員事業および広告事業の売上収益の減少が挙げられます。投稿レシピ数と海外の利用者数は増加傾向にありますが、国内の利用者数は減少し続けています。
また、人件費や業務委託費の増加、料理動画スタジオの開設により地代家賃の増加、為替差損の計上等が要因で営業利益も前年比-50.4%と大幅に減少しました。
「kurashiru」や「DELISH KITCHEN」などの動画レシピサイトへの顧客流入は著しいものです。遅れをとった形でクックパッドも動画事業に進出しましたが、今後は「cookpad storeTV」の事業をさらに加速させていく予定です。
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