エイベックス株式会社の決算/売上/経常利益を調べ、IR情報を徹底調査

記事更新日: 2019/09/09

執筆: 山中恵子

最終3億4,800万円の赤字!音楽事業が伸び悩んでいる「エイベックス」の第1四半期決算

2020年3月期 第1四半期 累積業績

  • 売上高:290億2,800万円(前年同期比△10.1%)
  • 営業利益:3億6,600万円(前年同期比+136.0%)
  • 経常利益:1億2,100万円(前年同期比△50.1%)
  • 四半期純利益:△3億4,800万円

音楽事業をはじめ、アニメ・映像事業、デジタル事業を展開する「エイベックス」の決算を見ていきます。

2020年3月期第1四半期の連結業績は、前年同期に対し減収、営業利益は2.3倍となったものの最終3億4,800万円の赤字となっています。

減収となった要因は、音楽事業において音楽ソフトの販売及びライヴの公演数が減少したことによるものです。アルバム、シングル、DVD/Blue-rayすべてにおいて単価・枚数ともに前年同期比で減少しています。アルバムに至っては、ほぼ半減の売上枚数に。

一方、音楽配信の売上は伸長しています。

なお、当第1四半期における主要タイトルの音楽パッケージ売上枚数は、アルバムCDでは、Kis-My-Ft2の「FREE HUGS!」が26万枚、シングルCDでは、V6の「ある日願いが叶ったんだ/All For You」が12.3万枚となっています。

営業利益が大幅増となったのは、アニメ・映像事業において映像ソフト作品の販売が増加したことや、デジタル事業において販売費及び一般管理費が減少したことによるものです。

純利益は、営業外費用や特別損失の影響等により赤字幅が拡大しました。

今後の見通し

通期の業績予想に変更はありません。売上高は非開示ですが、営業利益、純利益ともに増益を見込んでいます。

エイベックスは、2017年まで6年連続メーカー別セールスシェア1位を獲得していましたが、2018年に1位の座をソニー・ミュージックエンタテインメントに明け渡し、2位に陥落。

エイベックスの売上の8割近くを占める音楽事業を取り巻く環境は、音楽パッケージ市場の縮小で厳しい状況が続いていましたが、有料音楽配信市場においてサブスクリプション型が貢献し、市場は回復基調となっています。にもかかわらず、エイベックスは伸び悩んでいます。

なお、2018年に音楽パッケージが伸びているのは安室奈美恵効果によるもので、一時的なものです。

参考資料

業績とは関係ないところで、浜崎あゆみとエイベックス松浦会長の交際を綴った小説「M 愛すべき人がいて」(幻冬舎)が8月1日に発売され話題になりましたが、話題になっただけで、8月8日の決算発表後、エイベックスの株価は急落しています。

画像出典元:「エイベックス株式会社」業績説明会資料

 

 

2019年3月期 通期決算(19年5月更新)

  • 売上高:1,601億2,600万円(前期比△2.0%)
  • 営業利益:70億8,900万円(前期比+2.2%)
  • 経常利益:65億2,900万円(前期比△0.8%)
  • 当期純利益:23億5,400万円(前期比△9.5%)

2019年3月期通期の業績は、前期に対して減収、営業利益は増益となったものの経常利益、純利益は減益となりました。

減収の主な要因は、NTTドコモとの協業によって提供する動画配信サービス「dTV」の会員減少によりデジタル事業の売上が大幅に減少したことによるものです。

営業利益においては、アニメ事業の利益が減少したものの、本社ビルの建て替えが完了し、仮移転先の家賃や備品等のコスト減少により増益となりました。

一方、純利益は特別損失を計上したことにより減益となりました。

セグメント別売上高変動の内訳

各セグメントの業績

音楽事業

  • 売上高:1,300億8,200万円(前期比+0.7%)
  • 営業利益:67億4,900万円(前期比+6.7%)

音楽事業は、音楽パッケージ販売の増加、販管費の減少等により増収増益となりました。

アルバム販売枚数が前期比で234万枚も減少したのは、2018年3月期には安室奈美恵の最後のベストアルバム「Finally」のリリースにより大幅な販売枚数増があったことによるものです。

DVD/Blu-rayの販売枚数が前期比で110万枚も増加したのは、安室奈美恵の「namie amuro Final Tour 2018 ~Finally~」のリリースによるものです。2019年3月期は、DVD/Blu-ray売上の5割が安室奈美恵の「namie amuro Final Tour 2018 ~Finally~」という結果になりました。

「引退バブル」とも言われましたが、この2年は安室奈美恵のエイベックスへの貢献度は計り知れないものとなりました。

ライヴにおいては、スタジアム公演が減少したことにより、動員数・チケット単価ともに減少しました。

2018年3月期はBIGBANGによるスタジアム公演がありましたが、メンバー5人中4人が入隊のため現在は活動休止中。最年少のV.I(スンリ)はソロで活躍していましたが、性接待疑惑により引退を表明。他のメンバーもスキャンダルが相次ぎ、5人での再活動は難しい状態です。

また、主力アーティストのAAA(トリプル・エー)のリーダー・浦田直也容疑者が暴行容疑で4月20日に逮捕されました。翌21日には釈放されて謝罪会見を開きましたが、株価は急落。アーティストの不祥事が株価や業績に影響を与える事態となりました。

エイベックスの株価推移

アニメ事業

  • 売上高:141億2,400万円(前期比△1.0%)
  • 営業損失:△1億9,500万円(前期は営業利益14億700万円)

アニメ事業はヒット作が生まれず、赤字。利益率も低下しました。

デジタル事業

  • 売上高:175億3,300万円(前期比△23.0%)
  • 営業利益:16億2,500万円(前期比△7.6%)

映像配信サービスの会員数が減少したこと等により減収減益となりました。「dTV」の会員獲得に苦戦しています。

海外事業

  • 売上高:18億1,000万円(前期比△11.7%)
  • 営業損失:△15億1,000万円(前期は営業損失△14億4,500万円)

海外事業は赤字となりました。

海外100%子会社であるAvex International Inc.の清算に伴い、減損損失、事業整理損失引当金繰入額及び事業整理損として10億9,000万円を特別損失に計上しました。

その他の事業

  • 売上高:12億6,200万円(前期比+120.2%)
  • 営業利益:4億2,200万円(前期比+170.8%)

上記報告セグメント以外、不動産賃貸事業等を含むその他の事業は増収増益となりました。

2020年3月期の業績予想

売上高は非開示ですが、増益を見込んでいます。

  • 営業利益:72億円(前期比+1.6%)
  • 当期純利益:28億円(前期比+18.9%)

テクノロジーが凄まじい勢いで成長し、新しいテクノロジーに対応できないと淘汰されるという時代背景のなか、エイベックスは「Entertainment×Tech×Global」をキーワードとした100%子会社、エイベックス・テクノロジーズ株式会社を設立。

事業内容は、クラウド及びブロックチェーン技術を用いたIP(ゲーム、映像、音楽及びVR等) 並びにシステムの企画、開発、制作及び販売等となります。

また、「成長戦略2020」の目標値を取り下げ、新たに2024年3月期に営業利益200億円を目標値に設定。やはり、2020年度に売上⾼2,500億円、営業利益200億円という目標は難しかったようです。

エイベックスの事業内容

エイベックスグループは、エイベックス及び連結子会社19社並びに持分法適用関連会社6社の合計26社により構成されており、音楽事業、アニメ事業、デジタル事業及び海外事業を主として営んでいます。

1

音楽事業

音楽コンテンツの企画・制作・流通、アーティスト・タレントのマネジメント、マーチャンダイジング及びライヴ・コンサートの企画・制作・運営等

2

アニメ事業

アニメにおける360度ビジネス

3

デジタル事業

デジタルコンテンツの企画・制作・流通等

4

海外事業

北米及びアジアにおけるエンタテインメントコンテンツの企画・制作・流通等

画像出典元:「エイベックス株式会社」業績説明資料

 

 

2019年3月期 第3四半期 累積業績(19年3月更新)

  • 売上高:1,226億2,100万円(前年同期比+1.3%)
  • 営業利益:59億5,200万円(前年同期比+28.0%)
  • 経常利益:56億9,100万円(前年同期比+16.8%)
  • 当期純利益:24億1,700万円(前年同期比+14.4%)

2019年第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収増益となりました。増収の主な要因は、音楽事業において音楽ソフト作品の販売が増加したことによるものです。

増益の主な要因は、音楽ソフト作品の販売増加に加え、利益率の高い公演が増加したことによるものです。

累積では増収増益ですが、第3四半期においては前年同期に対し売上高△24.8%、営業利益△41.2%と大幅な減収減益となりました。

前年は、安室奈美恵の最後のベストアルバム「Finally」をリリース。200万枚以上販売し、最終的に前期のエイベックスのアルバム売上の4割が「Finally」という驚異的なセールスを記録しました。

各セグメントの業績

昨年9月16日に引退した安室奈美恵のアルバムやミュージックDVD/Blu-rayのセールスが引退後も伸び続け、「オリコン年間ランキング2018」において年間アーティスト別セールス部門で首位を獲得しました。

8月29日に発売された「namie amuro Final Tour 2018 ~Finally~」は175万枚売り上げ、年間総合ミュージックDVD/Blu-rayランキング1位を獲得。2位の嵐の2.4倍という累積売上数を叩き出し、圧倒的な差をつけての1位となりました。

エイベックスのDVD/Blu-rayの売上の7割弱が安室奈美恵なっています。

一方、アニメ事業はパッケージ販売の減少等に伴い減収減益、3億円の赤字となりました。デジタル事業は映像配信サービスの会員数減少により減収となりました。

エイベックスの成長戦略

エイベックスは、2016年に「avex group 成長戦略2020~未来志向型エンタテインメント企業へ~」という成長戦略を発表しました。

創業以来右肩上がりで成⻑し、2000年代の踊り場の局⾯では、第⼆の創業を掲げた構造改⾰の実施により成⻑軌道に復帰しました。しかし、近年は再び踊り場に直⾯。

そのため、「成長戦略の強化」「組織の改革」「理念の見直し」といった全社的な改革を実施し、これを第三創業と位置づけました。

第三創業に向けた成⻑戦略としては、成⻑市場への選択と集中として、ライヴ・アニメ・デジタル領域に注⼒。組織の改革としては、グループを大幅に再編し、2017年には事業ドメインを音楽・アニメ・デジタルの3つに集約しました。

業績が改善したのは2018年3月期で、5期ぶりの営業増益で着地。2020年度には、売上⾼2,500億円、営業利益200億円を目標とし様々な新規事業に取り組んでいます。

エイベックスのこれから

2018年で設立30周年の節目を迎えたエイベックスは、5月に社長交代の人事を発表しました。

創業者である松浦勝人氏は代表取締役社長CEOを退き、新代表取締役社長COOに黒岩克巳氏が就任。松浦勝人氏は代表取締役会長CEOに就任し、引き続きグループを統括するとともに新規事業創出に注力することとなりました。

今後は、引き続きコンテンツを中心に360°ビジネスを展開する会社であり続けることに加え、積極的に新事業を展開し、 戦略的投資・M&Aも行っていく予定です。

現状では、2020年度に売上⾼2,500億円、営業利益200億円の目標を達成するのは難しいと思われますが、積極的な姿勢のエイベックスに注目です。

画像出典元:「エイベックス株式会社」業績説明資料・公式HP

 

 

2019年第2四半期 累積業績(18年11月更新)

  • 売上高:830億円(前年比+21.4%)
  • 営業利益:37億円(前年比+340.4%)
  • 経常利益:37億円(前年比+515.1%)
  • 四半期純利益:15億円

第2四半期累積業績は音楽ソフト作品の販売が増加したことや、利益率の高いライヴ公演が増加したことにより過去最高の売上を達成して黒字に転換しました。

各セグメントの業績

音楽事業では前期のDVD/Blu-rayの売上枚数が49万枚に対して、今期は215万枚と約4倍に。そのうち180万枚が安室奈美恵の「namie amuro Final Tour 2018 ~Finally~」となり、売上の8割を占めています。安室奈美恵が引退してしまった今、この数字は一時的なものと言えます。

アニメ事業は、パッケージ販売の減少に伴い減収減益。デジタル事業は、映像配信サービスの会員数の減少により減収となったものの、利益率は改善しました。

転換点を迎えるエイベックスは2018年10月にTikTokに大ヒット楽曲を含む2万5,000万曲を解放。新しいヒット曲を生み出せるか注目です。

会社概要

会社名 エイベックス株式会社
事業内容 音楽事業、アニメ事業、デジタル事業、ライヴ事業、マネジメント事業などを展開する総合エンタテインメント企業
所在地 東京都港区南青山三丁目1番30号 エイベックスビル
設立日 1988年4月11日
代表 代表取締役会長CEO 松浦 勝人
代表取締役社長COO 黒岩 克巳
資本金 43億3,381万7,350円

 

kigyolog_kessanの最新記事をチェック

この記事に関連するラベル

他企業の情報

ページトップへ