ソーシャル・ネットワーキングサービス『mixi』やスマホゲーム『モンスターストライク』などを提供する「ミクシィ」の決算を見ていきます。
なお、グループの決算期間を統⼀するため、2019年に子会社化したチャリ・ロト社が6か⽉分、スフィダンテ社が4か⽉分、第3四半期に計上されています。
2020年3月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し大幅な減収減益となっています。
大幅な減収となった主な要因は、「モンスターストライク」の売上減少によるものです。ミクシィは、「モンスターストライク」のリバイブおよびスポーツ領域の事業成長に注力していますが、「モンスターストライク」はV字回復ならず。
また、スポーツ領域においては、プロスポーツチーム経営、公営競技関連事業への投資を行っている段階です。
営業利益は、「モンスターストライク」の売上減少により大幅減益に。なお、第3四半期は営業赤字となっていますが、本社移転に係る一時費用を控除すると7億円の営業利益になるとのこと。
財務状況は潤沢ですが、現金及び預金は前期末から202億2,100万円減の1,241億9,600万円に、自己資本比率は5.1ポイント低下の87.4%となりました。
通期の業績予想が上方修正されましたが、前期比で大幅な減収減益となる見込みであることに変わりはありません。
売上高については、連結子会社化した3社や、譲受したゲームタイトルの業績を加味したことにより30億円増。
また、移転コストが削減できたことに加え、「モンスターストライク」のプロモーションを効率化できたことにより、営業利益は40億円増加する見込みとなっています。
今後の展開として、スポーツファンが好きなアスリート・チームへ簡単にギフティングできるサービス「Unlim(アンリム)」を2月19日よりサービス開始。
また、「モンスターストライク」は、人気アニメ「鬼滅の刃」とのコラボが2月14日から期間限定で開催されます。
「モンスト」依存度が高いミクシィ 、「モンスト」のリバイブでV字回復するか、それとも次なる事業の柱を生み出せるか注目です。
ミクシィの始まりは、1997年に創業者である笠原健治氏が東京大学在学中に立ち上げた求人情報サイト「Find Job!」。一人で開発した「Find Job!」は順調に成長し、1999年にミクシィの前身である有限会社イー・マーキュリーを設立。
同年、インターネットオークションサイト「eHammmer」をオン・ザ・エッヂと共同でローンチし、翌2000年、株式会社イー・マーキュリーへ組織変更。「eHammmer」は、「ヤフオク!」などの巨大なサービスに勝てず、売却されました。
そんな折、当時流行していたソーシャルネットワークサービス(SNS)の草分けである「Friendster(フレンドスター)」からヒントを得て、インターン生だった留学生からの提案で2004年にSNS「mixi」の運営を開始。
当時の「mixi」は登録ユーザーから招待を受けないとユーザーになれないという完全招待制でしたが、これが安心感を生み、瞬く間に広がっていきました。
2006年2月に株式会社ミクシィへ社名変更し、同年9月、東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場。
その後、TwitterやFacebookの台頭によりmixi利用者は減衰していき、2014年3月期には赤字に転落。
2013年、笠原氏は新規サービスに注力すべく会長職に退きましたが、同年、提供を開始したスマホゲームアプリ「モンスターストライク」がミクシィの救世主となり、業績はV字回復。
波に乗るミクシィは2015年にチケットフリマアプリを提供する株式会社フンザの全株式を取得・子会社化しますが、サイト上の表示について商標法違反および不正競争防止法違反の容疑で捜査当局による捜査を受けたことをうけ、チケットキャンプ事業は終了に。
「モンスト」の売上も徐々に減少し、2016年3月期をピークに業績は下降の一途を辿っています。
現在は、「モンスト」のリバイブとスポーツ領域の事業成長に注力。また、M&Aも積極的に行い、2019年には
を子会社化しています。
事業内容は、エンターテインメント事業とライフスタイル事業を展開していますが、売上の9割以上がエンターテインメント事業で占められています。
スマートフォンネイティブゲームを中心としたゲームの提供。
「モンスターストライク」を主力として収益を上げる一方で、スポーツ領域での事業成長を目指し先行投資を行っています。
スマートフォンの特性を活用した、誰でも簡単に楽しめる爽快アクションRPG。一緒にいる友だちと最大4人 まで同時に遊べる協力プレイ(マルチプレイ)が特長です。
SNS「mixi」、家族向け写真・動画共有アプリ「家族アルバム みてね」、サロンスタッフ直接予約アプリ「minimo」を中心に各種サービスを運営しています。
子どもの写真や動画を無料・無制限で家族だけにいつでも簡単に共有することができるアプリ。
美容室・ネイルサロン・まつげサロンなどにお得に行けるビューティアプリ。美容師やネイリスト、アイデザイナーなど4万人以上が登録。
画像出典元:「株式会社ミクシィ」決算説明会資料・公式HP
2020年3月期 第2四半期の業績は、前期に対し大幅な減収減益となっています。
【グラフ】事業別業績推移(四半期推移)
セグメント別の業績は、上記の通り。エンターテインメント事業は売上⾼251億円、ライフスタイル事業は売上⾼8億円。
エンターテインメント事業は、前年同期⽐で減収。主に、モンスターストライクのARPUが前年同期と⽐較して低下したことによるものです。
短期的な業績リバイブ(回復施策)と、中長期的なブランド構築戦略を並行して展開している「モンスターストライク」は、7⽉より、ゲーム内通貨「オーブ」の配布や、⼈気キャラを排出対象としたガチャなどの施策を断続的に⾏うことで、主に休眠ユーザーを呼び戻し、MAUを昨年以上の⽔準に押し上げることに成功。
瑛太、成田凌、安田大サーカスのクロちゃんが出演する『モンストプリズン』シリーズのTVCMが印象に残っている人も多いのではないでしょうか。
その他、プロスポーツチーム経営では、Bリーグチーム「千葉ジェッツふなばし」の株式を取得し、⼦会社化。
また今期から連結となった、競輪およびオートレースの車券販売サービス「チャリ・ロト」の売上推移も右肩上がりとなっており、業績は拡大。
一方、ライフスタイル事業は「家族アルバム みてね」の派⽣サービスとして、オンライン年賀状サービス「みてね年賀状」を開始。
売上の先⾏指標となる「試し刷り」の依頼件数が⾮常に多く、「みてね」のユーザーアセットを活⽤したマネタイズ⼿段として、⼿応えを感じているとのこと。
しかし、ウェルネス領域の新サービスとして2019年1月にスタートした、グループ会社であるスマートヘルスの女性専用コンディショニングスタジオ「ココサイズ」は同年11月末をもってクローズ。これによる業績予想への影響につきましては軽微。
【グラフ】販管費(四半期推移)
広告宣伝費が、XFLAG PARKの開催や、モンスターストライク6周年のカウントダウンキャンペーンの影響で1Q対⽐では増加していますが、前年同期より低いコストで推移。これらの施策によってMAUの⼤幅復調を実現しています。
なお、通期の業績予想に変更はありません。
利益の進捗率が⾼くなっていますが、下期に移転⼀時費⽤40億を⾒込んでおり、現時点では、業績予想に対して計画通りに進んでいる状況とのこと。
画像出典元:「株式会社ミクシィ」決算説明会資料
2020年3月期 第1四半期の連結累計業績は、前年同期に対し大幅な減収減益となっています。
主な要因は、主力の『モンスターストライク』が前年同期と比較してアクティブユーザー数とARPU(ユーザー1人当たりの平均売上高)が低下した影響によるものです。
【グラフ】セグメント別業績推移
セグメント別の業績は、以下の通り。
ゲーム運営やプロスポーツチームの経営を行う事業。
売上高は199億7,000万円(前年同期比38.9%減)、セグメント利益は41億7,200万円(前年同期比68.4%減)で大幅な減収減益に。
モンスターストライクでの新キャラクター投入や、他社IPや異業種とのコラボレーション等を行いましたが、アクティブユーザー数とARPUが低下したことにより減収減益となりました。
しかし、ゲーム利用者数は2019年7月には全世界で5,100万人を突破しており、モンスターストライクのIPを活用した新規ゲームの開発等を積極的に進めているとのこと。
SNS「mixi」、家族向け写真・動画共有アプリ「家族アルバム みてね」、サロンスタッフ直接予約アプリ「minimo」を中心に各種サービスを運営。
売上高は8億1,000万円(前年同期比56.2%減)、セグメント損失は2億7,200万円(前年同期はセグメント損失4億2,400万円)で減収増益となっています。
減収の要因は、結婚支援事業を手掛ける「株式会社Diverse」を、同業のIBJに18年7月に譲渡した影響によるもの。
一方、「家族アルバム みてね」は利用者が500万人を突破。
4月に機能を充実化させた月額課金制のプレミアムサービスを開始するなど、マネタイズを強化しています。
また、19年6月には、スマホフォトプリント事業等を手掛ける「株式会社スフィダンテ」を買収しました。
なお、通期業績予想には変更ありません。
画像出典元:「株式会社ミクシィ」決算説明会資料
2019年3月期通期の業績は、前期に対し減収減益となりました。
主力のスマートフォンゲーム「モンスターストライク」の売上減少が、減益の主な要因となっています。
ミクシィは、モンスターストライクが主力の「エンターテインメント事業」と、家族アルバムみてね等を運営する「ライフスタイル事業」の2つのセグメントに分かれています。
売上内訳をみると、エンターテインメント事業が全体の90%以上を占めています。
売上高は1,386億700万円(前連結会計年度比△21.2%)、セグメント利益は515億6,100万円(前連結会計年度比△34.3%)で減収減益となりました。
エンターテインメント事業はさらに「デジタルエンタメ領域」と「スポーツ領域」に分かれています。
「モンスターストライクの国民的IP化」と「新たなIPの創出」の2つの事業方針を掲げ、取り組みました。
モンスターストライクのMAU(月間アクティブユーザー)はやや減少傾向にあるものの、国内モバイルゲームとしてはトップクラスの水準を維持し、ゲーム利用者数は2019年5月には全世界で5,000万人を突破しました。
しかし、ARPU(1ユーザーあたりの平均的売上)が低下し、売上予想は未達となりました。
また、モンスターストライク派生ゲーム、新規IPゲームは、リリース延期および一部プロジェクトの中止を決定。
通信系サービスの中止もあり、デジタルエンタメ領域では、期初110億円の投資を予定していましたが、実際の投資額は50億円となりました。
各種プロスポーツとのマーケティングパートナーシップ契約やスポンサード契約が進んでいます。
また、今後の成長が期待できる領域として、事業展開のコアとなる会社のM&Aを実施しました。
売上高は54億2,700万円(前連結会計年度比△58.7%)、セグメント損失は16億9,000万円(前連結会計年度はセグメント利益16億3,800万円)で大幅な減収減益となりました。
ライフスタイル事業はさらに「メディア領域」と「ウェルネス領域」に分かれています。
家族向け写真・動画共有アプリ「家族アルバム みてね」が、2019年1月に利用者が400万人を突破。
また、サロンスタッフ直接予約アプリ「minimo」が、2018年6月に累計300万ダウンロードを突破しました。新規事業の立ち上げを加速するため、先行投資を実施しています。
一方で、事業の「選択と集中」を進め、2018年7月2日付でミクシィが保有する「株式会社Diverse」の株式のすべてを、株式会社IBJに譲渡。2019年3月29日付けで「株式会社ノハナ」の株式のすべてを、株式会社ノハナSPCに譲渡しました。
ほか、チケットフリマサービス「チケットキャンプ」は、2018年5月をもってサービス提供を終了しています。
2019年1月、健康寿命延伸を目的とした女性専用コンディショニングスタジオ「ココサイズ」の1号店をオープンしました。
2020年3月期の業績予想は、大幅な減収減益となる見込みです。
売上高については、モンスターストライクのARPUの現状の悪化を考慮し、前期比△30%に。
なお、今後のモンスターストライクのリバイブ施策や新規ゲーム等の売上高を加味しない数字で見込んでいるとのこと。
2019年3月期からの営業利益の変動額の内訳は、
となり、合計360億の減益となる見通しです。
事業領域への先行投資の主な増加分は、
となっています。
2020年3月期の方針として、【モンスターストライクのリバイブ】と【スポーツ領域の事業成長】を掲げています。
今後は、モンスターストライクの3周年に売り上げを回復させたマーケティング責任者を事業のトップに据え、ライトユーザーも楽しめるゲームに立ち返り、ユーザー全体の活性化を図るとしています。
また、スポーツ領域では「プロスポーツチーム経営」「公営競技」において、M&Aをテコにした早期の収益貢献を目指していく方針です。
画像出典元:「株式会社ミクシィ」決算説明会資料
2019年第3四半期連結累計期間の業績は、減収減益となりました。
これはモンスターストライク5周年イベントと年末年始キャンペーンによる、広告宣伝費の増加が影響しています。
前年同期比12.4%の減少となりましたが、セカンドクォーターは14.4%の減少だったため、減収幅は縮小しています。
スマートフォンネイティブゲーム「モンスターストライク」を主力とするエンターテインメント事業においては、国内外で、TVCMや屋外広告等のプロモーション、eスポーツ促進を含むリアルイベントの実施、グッズの製作、映画や人気アニメとのタイアップ、オリジナルアニメの配信や劇場版公開などに加え、グッズ販売等を行う常設店舗を東京・渋谷店に加え、新たに2018年6月に大阪・心斎橋店、2019年1月に東京・羽田店をオープンしました。
2019年1月には、ゲーム利用者数が全世界で4,900万人を突破。
今後はサービスのライフタイムの長期化を目指し、アプリ内外でのユーザー還元の実施、映像・ソフトウェアの充実、マーチャンダイジング等のゲーム以外の領域の確立、新規タイトル等の開発を行っていく方針です。
12月に購入したゲーム内通貨のうち約40億円は、主に1月にゲーム内で消費され売上が計上されます。
前年同期比では大幅な減収となりました。
これは2018年5月にチケットフリマサービス「チケットキャンプ」の事業終了および、7月にダイバースの株式のすべてを株式会社IBJに譲渡したことで、売上が減少したことによるものです。
2019年1月、家族向け写真・動画共有アプリ「家族アルバムみてね」の利用者が400万人を突破。2018年6月には、サロンスタッフ直接予約アプリ「minimo」が累計300万ダウンロードを突破しています。
ほか、新規事業の立ち上げを加速するため、先行投資も実施しています。
第2四半期で修正した予想からの再修正はありませんでした。
第4四半期に季節的な要因による売上高の増加が見込まれていますが、第3四半期までの進捗率は前年同期に比べて若干悪く、今後の進捗状況によっては速やかに業績予想を修正すると発表しています。
2019年第2四半期はモンストの売上減が響き、減収・減益となりました。いずれも前年比2桁減となり、通期業績予想を売上高1,750億円から1,550億円に、営業利益480億円から420億円に下方修正しました。
平成25年に提供開始した「モンスターストライク」は平成29年にアクティブユーザー数が過去最高を更新しましたが、現在はピーク時よりも下回っています。
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