株式会社大塚家具の決算/売上/経常利益を調べ、IR情報を徹底調査

執筆: 山中恵子

最終56億円の赤字!販売不振とたな卸資産評価損計上で赤字が拡大した「大塚家具」の第4四半期決算

2020年4月期 第4四半期決算

  • 売上高: 273億7,000万円(前年同期比△26.8%)
  • 営業利益:△56億8,800万円
  • 経常利益:△58億3,800万円
  • 四半期純利益:△56億5,000万円

ヤマダ電機の子会社となった「大塚家具」の決算を見ていきます。なお、今期より決算期を12月から4月に変更したため、今回の決算は通期ではなく第4四半期決算となります。

2020年3月期第4四半期累計期間の業績は、前年同期に対し2桁減収、最終56億5,000万円の赤字となっています。

大幅な減収となった主な要因は、閉店による店舗数の減少と販売不振によるものです。売上高は消費増税前の9月のみ前年を上回り、それ以外は前年を下回って推移。増税後には反動減も見られました。

利益については、売上高の低迷に加え、ヤマダ電機の連結子会社となったことに伴い、家具等について親会社の分析評価手法を参考に評価基準を見直し、当第4四半期においてたな卸資産評価損18億900万円を売上原価に計上したことから赤字幅が大幅に拡大しました。

大塚家具ではコスト削減のため、さまざまな施策を実施しています。

具体的には、人件費抑制のため新卒採用を控え、賃借料の削減を図るため、2019年1月から12月において直営店3店舗・提携店1店舗を閉店。結果、2019年12月末現在、直営店13店舗、1営業所、提携店4店舗の展開となりました。

業績予想を開示

未定だった業績予想が開示されました。今期は、最終66億600万円の赤字となる見込みです。

  • 売上高: 368億4,500万円
  • 営業利益:△66億8,500万円
  • 経常利益:△67億7,900万円
  • 当期純利益:△66億600万円

変則決算となるため通期の対前期増減率については記載されていませんが、4ヶ月分上積みされるにもかかわらず、売上高は2018年12月期比で減収、赤字幅は大幅拡大予想となっています。

大塚家具は2019年12月にヤマダ電機の傘下に入りましたが、以降、ヤマダ電機との協業が進んでいます。

ヤマダ電機の家電住まいる館への商品導入は18店舗から34店舗に増加。また、2月7日に4店舗同時リニューアルオープンしたヤマダ電機の「LABI」 4店舗のリニューアルにコラボレート。


LABI1 日本総本店 池袋

今後も、ヤマダ電機のLABIおよび家電住まいる館で大塚家具の商品取り扱いを進めるとともに、これまで扱いのなかった家電製品を大塚家具店舗でも取り扱っていくとしています。ヤマダ電機との提携で相乗効果が生まれるか、そして黒字化を達成できるか、今後の動向に注目です。

なお、中国事業展開に関しては、新型コロナウイルス発生によりさらに遅れが生じる見込みであるとのことです。

画像出典元:「株式会社大塚家具」公式HP

 

 

2020年4月期 第3四半期決算(20年1月更新)

  • 売上高:210億300万円(前年同期比△23.2%)
  • 営業利益:△29億1,800万円
  • 経常利益:△30億1,700万円
  • 四半期純利益:△30億6,200万円

ヤマダ電機の子会社となった「大塚家具」の直近の決算を見ていきましょう。

2020年4月期第3四半期累計期間の業績は、前年同期に対し2桁減収、最終30億6,200万円の赤字となっています。なお、今期より決算期を12月から4月に変更したため、今期は16ヶ月の決算となります。

9月には増税前の駆け込み需要等があり月次売上高は前年同月に対し増加したものの、閉店による店舗数減少と大型店を中心とした入店件数減少により前年同期比で大幅な減収に。

営業利益に関しては、継続的な経費コントロールにより前年同期比で赤字幅は縮小しています。ただ、2019年5月に発表された事業計画では中国事業を勘案しない前提で16ヶ月で黒字となる計画でしたが、現状、今期の黒字化は困難ではないかと思われます。

2015年に久美子氏が社長に復帰しましたが、2016年12月期から3期連続で大幅な赤字と厳しい状況が続き、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせる事象または状況が存在しています。

ヤマダ電機の連結子会社に

そのような状況の中、大塚家具は2019年12月12日、株式会社ヤマダ電機と資本提携契約を締結し、ヤマダ電機の連結子会社となることを発表。大塚家具とヤマダ電機は、2019年2月に業務提携を結んでいましたが、資金調達と並行した株主作りの一環としてヤマダ電機に株の保有を打診したところ、ヤマダ電機より、大規模な資本提携の提案がなされたとのことです。

大塚家具は2019年2月にもハイラインズ日中アライアンスファンド等から資金調達を行うと発表しましたが、スキームも複雑で、進捗も滞っています。


業務提携・増資スキームの全体像

第三者割当による新株式の発⾏により約38億円、第三者割当による新株予約権の発⾏により約38億円、あわせて約76億円の資金調達を実施すると発表しましたが、第三者割当による新株式の発行は一部払い込みがなされず、第三者割当による新株予約権の発⾏は株価が行使価格を下回る状況が続き、行使未了となっています。

2018年には中国の家具販売大手企業イージーホーム(居然之家)と業務提携を、2019年には越境ECマーケティングを行う株式会社ハイラインズと業務・資本提携を結び、中国市場への参入を開始していますが、こちらも苦戦しています。

このような状況の中、救いの手を求めた先がヤマダ電機。ヤマダ電機を割当先として第三者割当による新株式の発行により43億7,400万円、さらに新株予約権の行使により21億8,700万円、あわせて資金調達額は最大65億6,100万円となる見込みです。

なお、ヤマダ電機は12月30日、大塚家具の発行済み株式の51.74%を43億7,400万円で取得し、同社の連結子会社化を完了させました。

業績予想を「未定に」修正

ヤマダ電機の連結子会社となることを発表した同日、2020年4月期の業績予想について、すべての項目を「未定」に変更すると発表

今期は16ヶ月決算となるため、売上高は前期比で増収、黒字を見込んでいましたが、第3四半期累計期間において売上高が計画を下回り、また消費増税の反動や天候不順等により10月、11月の売上高も計画を下回って推移しているとのこと。

また、中国事業の影響や、ヤマダ電機との資本提携による影響も考慮する必要性が生じ、現時点で算定が困難な状況であるとし、業績予想は一旦未定とされました。

大塚家具とは

大塚家具の前身は、1969年に大塚勝久氏が家具等の仕入・販売を目的に設立した株式会社大塚家具センター。1972年、事業規模の拡大を目指して家具等の販売会社を分離し、株式会社桔梗を設立。これに伴い、株式会社大塚家具センターは仕入れ会社に業務変更。

1978年、不二越銃砲火薬店(商号を株式会社大塚家具に変更)を合併会社、株式会社大塚家具センター及び株式会社桔梗、合資会社大塚箪笥店(1953年設立、不動産の賃貸会社)を被合併会社として合併。

1980年に株式を店頭登録(現東京証券取引所JASDAQスタンダードに上場)。

1993年に会員制を導入し、顧客一人ひとりに丁寧な積極を行うことで収益を上げていきますが、2001年をピークに業績は悪化。2009年に創業者の大塚勝久氏の娘である大塚久美子氏が社長に就任し、父である勝久氏とは違った、カジュアルで入りやすい店舗作りで一定の効果を上げます。しかし、久美子氏の方針を良しとしない勝久氏は、2014年に久美子社長を解任。記憶に新しい、大塚家具のお家騒動へと発展します。

勝久氏が会長と社長を兼任したものの赤字に転落し、1年で久美子氏は社長の座に返り咲きます。久美子氏は会員制を廃止し、セールなどにより黒字化を達成しましたが、2016年12月期からは3期連続の赤字となっています。

画像出典元:「株式会社大塚家具」決算説明資料・公式HP

会社概要

会社名 株式会社大塚家具
事業内容 家具等の仕入・販売
所在地 東京都江東区有明3-6-11
設立日 1972年8月28日(創業 1969年3月7日)
代表 大塚 久美子
資本金 23億9,429万円(2019年6月30日現在)
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