TOP > 決算公告 > 株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの決算/売上/経常利益を調べ、IR情報を徹底調査
ドン・キホーテなど総合ディスカウントストアを展開する「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」の決算を見ていきます。
2020年6月期第1四半期の連結業績は、前年同期に対し売上高は71.4%成長、利益に関しては四半期ベースで最高益を達成と好調に推移しています。
消費税増税前の駆け込み需要やユニーグループの連結が寄与し、売上高は前年同期比で7割増と大きく成長。売上高の32%(1,608億8,600万円)がユニーグループの売上です。主力業態ドン・キホーテの既存店売上高成長率は2.9%増、長﨑屋は2.7%増、ユニーは0.1%増と堅調に推移。
【グラフ】ドン・キホーテ 月次販売高の状況
上のグラフのとおり、消費税増税前の9月14日から30日まで、全国のドン・キホーテ系列店舗において8%の値引き(一部商品を除く)をする一大キャンペーンを行ったこともあり、9月は客数、客単価ともに大幅に増加しています。
一方、韓国からの訪日客数が急減したことにより、インバウンド消費に係るドン・キホーテ既存店売上高は前年同期比で7.7%減となっています。
営業利益に関しては、業態転換真っ只中のUDリテールは営業損失を計上していますが、それ以外の事業は収益力が向上し、大幅な増益に。
PPIHはユニーグループを連結したことにより、総資産1兆2,670億円(うちユニーGP:4,728億円)、現預金1,607億円(うちユニーGP:183億円)、有利子負債5,267億円(うちユニーGP:1,976億円)とバランスシートが膨張したため、バランスシートの改革に着手。改革を進めながら最適な指標や効率を求めていくとしています。
出店状況は、9月に徳島県にドン・キホーテを初出店し、グループの総店舗数は696店舗に。ドン・キホーテ未出店は高知県のみとなりました。また、今期の業態展開は25店舗(アピタ15店舗・ ピアゴ10店舗)の予定です。
業績好調により上半期と通期の業績予想を上方修正しました。
売上高、営業利益、経常利益は上方修正されましたが、純利益は据え置かれています。なお、PPIHは2019年9月1日付で普通株式1株につき4株の割合で株式分割を行っています。
画像出典元:「株式会社 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」連結業績説明資料
総合ディスカウントストアを展開する「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」の決算を見ていきます。
2019年6月期通期の連結業績は、前期に対し2桁増収増益、すべての項目で過去最高を更新しています。1989年にドン・キホーテ1号店を創業開店以降、30期連続の増収増益を達成。
国内小売企業では、イオングループ、セブン&アイ・ホールディングス、ファーストリテイリングに次いで4社目となる、売上高・総資産・時価総額がいずれも1兆円を超えるトリプルトリリオン企業となりました。
【グラフ】年間業績推移
堅調な業績推移の既存事業に加えてユニーグループが連結子会社となったことにより、中期経営計画として掲げていた「ビジョン2020:売上高1兆円、店舗数500店、ROE(株主資本利益率)15%」すべての項目について1年前倒しで達成。
ユニー既存店の業態転換事業も順調に推移し、2019年6月期は10店舗業態転換(前期は6店舗)を実施。業態転換後は売上高2.2倍、客数1.7倍、粗利高2.2倍という好調ぶり。また、海外展開も進んでおり、米国1店舗、シンガポール1店舗、タイ1店舗を開店し、既存店と合わせて42店舗体制に。
結果、2019年6月期末時点におけるグループの総店舗数は693店舗(前期末は418店舗)と計画をはるかに上回って推移しました。
【グラフ】ビジョン2020進捗
2019年6月期は日韓関係が悪化する以前だったのでインバウンドも好調に推移し、新免税制度開始以来57ヵ月連続の増収を継続中です。直近では円高が進んだこともあり、韓国からの訪⽇客数は急減しているそうです。インバウンドの状況は後ほど詳細に見ていきます。
また、8月13日の決算説明会時には、社長交代の発表もありました。
パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは、9月25日付で大原孝治社長兼CEOが退任し、吉田直樹専務兼CAOが社長兼CEOに就任すると発表。
大原氏は、1993年に株式会社ドン・キホーテ(現株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)に入社し、第一号店府中店のコーナー担当者を経て、木更津店、幕張店、市原店の立ち上げの店長を務めた、叩き上げの社長です。
就任中の6年間(2014年6⽉期〜2019年6⽉期)で、累計新規出店数184店舗、既存店売上⾼19.2%増、ユニーの連結子会社化、30期連続増収増益、ビジョン2020を1年前倒しで達成という功績を残しました。
創業者である安田氏が2015年に会長兼CEO退任時、国内グループの役職を返上しアセアン事業に専念したのと同様に、大原氏も国内グループの役職はすべて返上し、今後は米国事業に専念するとのことです。
セグメント別の業績を詳しく見ていきましょう。なお、2019年6月期は、ユニーが連結されたことから「総合スーパー事業」が追加されています。
ディスカウントストア事業は、主にビッグコンビニエンス&ディスカウントストア「ドン・キホーテ」、ファミリー向け総合ディスカウントストア「MEGAドン・キホーテ」「MEGAドン・キホーテUNY」等の店舗を展開しています。
売上高は前期比で増加しましたが、人件費などを中心としたコストインフレの影響により減益に。コストがかかっても、まずは増収効果を優先するという戦略です。
●主要法人別の業績
グループの主力業態ドン・キホーテは、節約志向が継続する消費環境の下で販売シェアを拡大。さらにインバウンド消費は、化粧品や医薬品などの消耗品需要の貢献が寄与したことなどから、既存店売上高成長率は1.2%増と好調に推移。
一方で、営業利益は前期比で減益となっています。
UDリテールは、ユニーとドン・キホーテのダブルネーム店舗を運営しています。現段階ではコストが先行していますが、MEGAドン・キホーテは新規客の獲得が進み、食品や日用消耗品などの販売高が好調に推移し、既存店売上高成長率は0.4%増に。
●インバウンドの状況
ここで、日韓関係悪化で今後の動向が気になるインバウンドの状況を詳しく見ていきましょう。
【グラフ】国別DQ免税客数の推移
インバウンド販売高は684億円となり、ドン・キホーテ売上構成比9.8%に。
国別客数は韓国がトップで33%を占めます。次いで中国が31%、台湾13%と続きます。国別免税売上高は、中国がトップで40%を占めます。次いで韓国が22%、台湾13%と続きます。客数・売上高ともに、韓国と中国で6割以上を占めているという状況です。
【グラフ】DQ免税客単価
一方、免税客単価は韓国が最下位。客単価が少ないとはいえ、客数はトップなので、韓国からの訪日客数の急減は一定の影響があると思われます。ただ、タイを中心にASEANの増加が顕著であるため、韓国からの訪日客減を一部補える見込みです。
今後の訪日客の変動に注目です。
●業態転換店の進捗
ユニーとドン・キホーテのダブルネーム店舗は売上、客数、粗利高ともに好調に推移し、業態転換2年目でも好調を維持しています。
一方で、ユニーとドン・キホーテの企業カルチャーの違いから人材育成には苦労があるようです。
総合スーパー事業は、主に総合スーパー「アピタ」、小型スーパーマーケット「ピアゴ」を中心とした店舗を展開しています。
ユニーは2019年1月4日に連結子会社となったことから、2019年1月から6月までの損益を連結しています。
テナント賃貸事業は、商業施設におけるテナント誘致、賃貸及び管理を行っています。
ディスカウントストア事業の店舗数増加に加え、ユニーが新たに連結子会社となったことから、テナント賃貸事業に係る対象件数の増加や稼働状況が改善し、大幅な増収増益に。
2020年6月期は、前期に対し大幅な増収、営業利益ベースでは増益となる見込みです。
前期においてユニーからの投資持分利益が計上されていたのが今期はなくなること、業態転換促進によりUDリテールは営業損失を見込んでいること、前期にユニーグループを連結化したことに伴い発生した、負ののれん93億円が剥落することなどにより、純利益は前期比で減益となる見込みです。
2020年6月期には、ユニー既存店約25店舗を業態転換する予定です。また、⽶国市場の本格開拓や、グループ独自の電子マネー「majica」による販売促進活動を強化を行っていくとのこと。
成長ドライバーは「海外」とするパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、今後の海外展開に注目です。
画像出典元:「株式会社 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」本決算説明会資料(CEO)・本決算連結業績説明資料
2019年6月期 第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し大幅な増収増益となりました。既存事業の堅調な推移に加え、ユニーグループが新たに連結されたことにより売上高・利益ともに過去最高を更新。
新規連結に係る諸費用や業容拡大に伴う人件費増などで、販管費は2,058億円(前年同期比46.4%増)と大幅に増加しましたが、増収効果で吸収されました。
インバウンド消費は医薬品や化粧品を中心に好調に推移し、免税販売額は前年同期比21%増の500億円、免税売上高構成比は9.5%に。タイを中心にASEANの増加が顕著です。
ROEは16.4%、自己資本比率は24.9%、当第3四半期末時点におけるグループ総店舗数は695店舗(2018年6月末時点 418店舗)となりました。
第3四半期より、ユニー及びその子会社が完全子会社として連結されたことから、「リテール事業」を「ディスカウントストア事業」「総合スーパー事業」に変更し、区分の見直しを行いました。
セグメント情報/区分変更について
ユニーとドン・キホーテのダブルネーム店舗を運営するUDリテール(UDR)はディスカントストア事業に区分。
従来、「テナント賃貸事業」に含めていた日本アセットマーケティング(JAM)、及び「その他事業」に含めていたリアリットは「ディスカウントストア事業」に変更。
ディスカウントストア事業は、生活必需品商品とインバウンド消費が売上高成長に寄与しました。
総合スーパー事業においては、ユニー株式会社の株式を追加取得し連結範囲に含めたことにより、負ののれん発生益を90億8,200万円計上。
テナント賃貸事業は、順調な新規出店に伴い商業施設事業が好調に推移しました。
ユニーとのダブルネームの業態転換店「ドン・キホーテUNY」「MEGAドン・キホーテUNY」は黒字発進。
ラインナップの拡充やドンキ特有の陳列により、従来ミドルからシニアの女性客が中心だったピアゴ・アピタ店舗が、業態転換後には10~40代のニューファミリーや若年層、さらには男性客にも支持され、売上も大幅にアップしました。
2月の業績予想修正から、売上高は下方修正、経常利益は上方修正しました。
ユニーグループにおいてコストコントロールが進んだことから、経常利益の予想を20億円上方修正したとのことです。
海外展開にも力を入れているPPIHは、2月にタイに「DonDonDonki」を出店。5月には、焼きいもなどのモバイルフードに特化した小型店をシンガポールのチャンギ国際空港内にオープン。
長期的には、グループ総売上高の3分の1を海外が占める規模に拡大させることを見据えています。
画像出典元:「株式会社 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」決算説明会資料
2019年第2四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収増益となりました。同期間において過去最高益を更新。
ドン・キホーテ1号店を創業開店以来、直近期(2018年3月期)まで29期連続増収増益を継続しており、30期連続増収増益に向け好発進しました。
2018年12月末時点におけるグループの総店舗数は、429店舗。
【グラフ】年間業績推移
災害、記録的な猛暑や暖冬などにより、客数動員や一部の季節商品の販売に苦労しましたが、生活必需品とインバウンド消費は想定以上に好調に推移しました。
リテール(一般消費者向け小売)事業は、天候不順を主因として、スポーツ・レジャー用品、DIY用品が前年同期比減となりましたが、その他は好調に推移しました。
海外事業は、2018年10月にTOKYO CENTRAL ヨーバリンダ店を米国カリフォルニア州に開店し既存店と合わせて40店舗に。売上高は453億円(前年同期比+152.4%)と大幅な増収となりました。今後も海外展開を拡大していく予定です。
インバウンド消費に係る免税売上高は、前年同期比+27.0%と高成長が続いています。国別では中国・韓国の客数が大きく伸び、中国・韓国が約30%ずつシェアを占めています。
免税売上高寄与度は着実に上昇しており、免税売上高構成比は10%前後にまで拡大しました。人気商品は、日用雑貨品となっています。
2019年1月、ユニー株式の60%をユニー・ファミリーマートホールディングスから取得し、ユニーを完全子会社とする株式取得が完了しました。
さらに4月、ユニー・ファミリーマートホールディングスは、100%子会社のファミリーマートを9月1日付で吸収合併し、社名も「ファミリーマート」に変更すると発表しました。「ユニー」という社名は消えることになりました。
参考までに、2019年1月末時点でユニー・ファミリーマートホールディングスは小売業時価総額ランキング5位、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは6位でした。
小売業時価総額ランキング
小売業の再編が進み、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは売上高1兆円を軽く超える企業規模に拡大し、単純計算では小売業売上高ランキング4位に躍り出ることとなります。
今後は、ユニー運営の188店中、100店舗程度を2023年までに「MEGA UNY」または「ドン・キホーテUNY」に業態転換し、転換時に店舗運営はユニーからUDリテールに移管します。
既に業態転換済みの6店舗(大口店、東海通店、座間店、星川店、豊田元町店、国府店)は、転換前と比較して売上高+83%、客数+58%、粗利高+59%と業態転換により大きな効果を上げています。
2019年2月1日、株式会社ドンキホーテホールディングスは株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスに社名を変更しました。日本のみならず、環太平洋地域において小売業の有力な企業として発展していくという決意を込めて名付けられました。
ユニーの完全子会社化により、通期の業績予想を大幅に上方修正しました。
PPIHの前身は、1980年に日用雑貨品などの卸売販売及び小売販売を目的として設立された株式会社ジャスト。1989年、東京都府中市に「ドン・キホーテ」1号店となる府中店を開設し、主たる事業形態を卸売業から小売業へ変更。
1998年に東京証券取引所市場第二部に上場し、2年後の2000年に東京証券取引所市場第一部銘柄へ指定変更。
2009年、プライベートブランド「情熱価格」の販売を開始。ドン・キホーテは、「圧縮陳列」「深夜営業」「権限委譲」などのユニークなビジネスモデルで拡大の一途をたどります。
2013年に商号を株式会社ドンキホーテホールディングスに変更し、純粋持株会社体制に移行。府中店(1号店)開店から30周年を迎えた2019年、商号を株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)に変更。
PPIHの主たる事業はリテール事業で、その他にテナント賃貸事業も行っています。
画像出典元:「株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」業績説明資料
2019年第1四半期は、売上高、営業利益、経常利益ともに第1四半期として過去最高益を更新しました。
消費者の節約志向が継続し、食品や日用雑貨品を中心とした生活必需品の販売シェアが拡大。また、インバウンド消費が順調に成長し、化粧品や医薬品の売上に貢献しました。ユニーと取り組んだダブルネーム店の業績伸⻑も著しいものでした。
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