株式会社壱番屋の決算/売上/経常利益を調べ、IR情報を徹底調査

執筆: 山中恵子

営業利益25.4%増!過去最高益を更新する見通しとなった「壱番屋」の第3四半期決算

2020年2月期 第3四半期決算

  • 売上高:383億2,900万円(前年同期比+2.4%)
  • 営業利益:42億3,700万円(前年同期比+25.4%)
  • 経常利益:43億8,700万円(前年同期比+23.4%)
  • 四半期純利益:27億8,100万円(前年同期比+19.5%)

カレー専門店『カレーハウスCoCo壱番屋』を中心に国内外で飲食店を展開する「壱番屋」の決算を見ていきます。

2020年2月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し売上高は2.4%成長、すべての利益項目で2桁増益となっています。

増収となった主な要因は、2019年3月に価格改定を行った効果や、海外子会社の売上が堅調に推移したことによるものです。

直営店とフランチャイズ店を合計した国内店舗の売上高は、全店ベースでは前年同期比0.8%増、既存店ベースでは0.6%増と堅調に推移。既存店の客数は8月以降に発生した台風や豪雨の影響、また10月からの消費増税の影響等により前年同期比1.5%減となった一方、客単価は価格改定の効果等により2.1%増に。

9月、10月は売上高・客数ともに伸び悩みましたが、11月より実施した日向坂46とのコラボキャンペーン効果で11月には一気に盛り返しました。

利益に関しては、FC向け商製品の価格改定効果や海外子会社の収益が伸びたこと等により2桁増益に。営業利益率は11.1%と外食産業としては高い水準をキープしています。

壱番屋の株価推移

画像出典元:SBI証券

好決算に加え、通期の利益予想を上方修正したこともあり、決算発表後、株価は急騰。年初来高値を更新しました。

利益予想を上方修正

足元の業績を踏まえ、通期の利益予想について上方修正しました。一方で売上高は下方修正されましたが、前期に対し増収増益予想であることに変わりはありません。

  • 売上高:513億円 → 512億3,000万円(前期比+2.0%)
  • 営業利益:46億3,000万円 → 51億9,000万円(前期比+16.8%)
  • 経常利益:48億4,000万円 → 53億9,000万円(前期比+15.7%)
  • 当期純利益:30億4,000万円 → 32億4,000万円(前期比+16.1%)

売上高については、国内店舗は堅調に推移しているものの、香港で発生しているデモの影響等により海外子会社において予想に満たない見込みであることから、前回発表予想を7,000万円下回る見込み。

一方、各利益については、国内既存店売上が堅調であることに加え、人件費や広告宣伝費等の販管費が予想を下回る見込みであることから、前回発表予想を上回る見込み。4期ぶりの過去最高益更新となる見通しです。

【グラフ】直近の業績推移

 

壱番屋とは

壱番屋の前身は、1974年に創業者の宗次徳二氏が名古屋市にオープンした喫茶店「バッカス」。バッカスは大繁盛し、2号店「浮野亭」をオープンさせましたが、そこで提供された妻・直美氏が作ったカレーが評判に。そこで3号店はカレー専門店にしようと生まれたのが、カレーハウスCoCo壱番屋です。名前には、文字どおり「カレーならココが一番や」という意味が込められています。

1978年にカレーハウスCoCo壱番屋を創業し、愛知県西春日井郡西枇杷島町(現・清須市)に1号店を出店。1980年に壱番屋の特徴である、社員のれん分け制度「ブルームシステム(BS)」を発足。

1982年に株式会社壱番屋を設立し、1988年に国内100店舗を達成、1994年にはハワイ オアフ島に海外1号店をオープンしました。

毎朝4時に起床し、1,000通以上のお客様アンケートを3時間かけて目を通すことを日課にしていた宗次氏は1998年、500店舗達成を機に妻・直美氏と社長を交代し、自身は会長に。2002年には創業時からアルバイトで経験を積み上げてきた叩き上げの浜島俊哉氏が社長に就任し、宗次氏は経営から引退。53歳で引退、息子には継がせずという鮮やかな引き際でした。

宗次氏は生後間もなく孤児院に預けられ、3歳の時より養父母のもとで育てられましたが、養父のギャンブル癖のため生活に困窮したという生い立ちを持ちます。経営を退いてからは、社会に恩返ししたいという思いから2003年にNPO法人「イエロー・エンジェル」を創立、2007年には私財を投じて名古屋市に宗次ホールを建設。現在は若い演奏家の支援など、慈善活動に注力しています。


NPO法人「イエロー・エンジェル」公式HP

話を壱番屋に戻すと、2004年に東京証券取引所市場第二部及び名古屋証券取引所市場第二部に株式上場し、同年には1,000店舗達成。翌2005年に東京証券取引所市場第一部及び名古屋証券取引所市場第一部に株式上場し、2012年には海外100店舗を達成と事業を拡大していきます。

2015年には、ハウス食品グループ本社株式会社による公開買付けにより同社の子会社に。壱番屋の業績は好調だったので、このM&Aは驚きを持って捉えられましたが、ハウス食品と壱番屋はもともと原材料供給や海外事業展開において取引があり、 ハウス食品は2002年までに壱番屋の株式19.5%分を取得し持分法適用関連会社としていました。


ハウス食品グループ本社株式会社公式HP

国内は飽和状態で市場拡大が見込めない中、海外事業の展開をスピードをもって進めるためには一層強固な資本関係が必要であるとし両社合意の上の円満M&A。壱番屋の株式を23.17%の保有していた筆頭株主の宗次夫婦もこれに賛同し、すべて売却に踏み切りました。

現在、壱番屋の店舗数は、国内は1,200店舗を超え、海外は200店舗に迫る勢い。2019年3月には葛原守副社長が社長に就任し、7月にはカレーの本場、インドへの進出も展開していくと発表。今後の海外展開に注目です。

事業内容

グループは、壱番屋と連結子会社6社及び関連会社2社で構成されており、カレー専門店「カレーハウスCoCo壱番屋」を中心に国内外で飲食店を展開。

国内での展開は、直営店及びフランチャイズ加盟店(FC店)に分かれており、FC店に対しては、店舗経営の指導を行うとともに、店舗で使用する食材、消耗品並びに店舗設備等の商製品を販売。その他、食品メーカー等への商標の貸し出しを行っています。

海外での展開は、連結子会社、関連会社及びその他の現地法人によって店舗展開を行っており、商製品販売等による売上やロイヤルティ収入等を得ています。

また、壱番屋はハウス食品グループ本社株式会社の子会社であり、同社は壱番屋の株式を2019年2月28日現在、1,628万2,200株(議決権比率51.0%)所有。

事業内容は、飲食事業並びにこれらの付帯業務の単一セグメントですが、「国内CoCo壱番屋」「海外事業」「国内他業態」「外販事業」の4本立てで事業を展開しています。

1

国内CoCo壱番屋

2019年11月末店舗数:1,262店(うち直営店:152店)

 

2

海外事業

2019年11月末店舗数:183店

 

中国(48)/イギリス(1)/台湾(25)/アメリカ(4)/香港(9)/タイ(32)/韓国(38)/ハワイ(4)/シンガポール(4)/インドネシア(7)/マレーシア(1)/フィリピン(9)/ベトナム(1)

3

国内他業態

2019年11月末店舗数:39店

 

  • パスタ・デ・ココ:33店(うち直営店:21店)
  • 麺屋ここいち:4店(うち直営店:4店)
  • にっくい亭 :2店(うち直営店:4店)

4

外販事業

「CoCo壱番屋」ブランドを活用し、食品メーカー等とのコラボ商品の企画など。

画像出典元:「株式会社壱番屋」公式HP

会社概要

会社名 株式会社壱番屋
事業内容 カレー専門店「カレーハウス CoCo壱番屋」の店舗運営及びフランチャイズ展開、その他の飲食事業など
所在地 愛知県一宮市三ツ井六丁目12番23号
設立日 1982年7月1日
代表 葛原 守
資本金 15億327万円
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