株式会社セブン銀行の決算/売上/経常利益を調べ、IR情報を徹底調査

記事更新日: 2019/06/17

執筆: 山中恵子

経常ベースで最高益達成もセブン-イレブン出店抑制の影響で減益見込み「セブン銀行」の通期決算

2019年3月期 通期決算

  • 経常収益:1,472億8,800万円(前期比+15.3%)
  • 経常利益:407億1,400万円(前期比+6.2%)
  • 当期純利益:132億3,600万円(前期比△47.6%)

2019年3月期通期の業績は、経常ベースでは前期に対し増収増益、経常収益・経常利益ともに最高益を達成しました。

ATM台数が順調に増加し、利用件数が伸長したことに加え、米国でのATM事業本格化による収益が上積みされました。

一方、米国連結子会社FCTI及びインドネシア連結子会社ATMiに係る収支が計画を下回って推移したことから、事業計画の見直しを行い、FCTI・ATMi両社に係る固定資産(主にFCTIの株式取得時に発生したのれん)等について減損損失148億3,000万円を特別損失として計上したことにより、当期純利益は前期比△47.6%と半減しました。

【グラフ】業績推移(連結)

 

セブン銀行単体の業績

  • 経常収益:1,195億6,700万円(前期比+2.5%)
    (うちATM受入手数料:1,078億円)
  • 経常利益:430億5,900万円(前期比+1.9%)
  • 当期純利益:145億7,200万円(前期比△50.2%)

基幹事業のATMプラットフォーム事業が堅調に推移したことにより、セブン銀行単体においても経常ベースでは前期に対し増収増益、経常収益・経常利益ともに最高益を達成しました。

一方、海外子会社等の株式について実質価額の低下を認識し、関係会社株式評価損218億8,900万円を特別損失として計上したことにより、当期純利益は前期比△50.2%と半減しました。

【グラフ】セブン銀行単体の業績推移



セグメント別の業績

国内事業セグメント

  • 経常収益:1,198億4,400万円(前期比+2.6%)
  • 経常利益:427億9,400万円(前期比+1.0%)

国内事業においては、ATM利用者拡大のため、金融機関以外の資金移動業者等との新規提携を積極的に推進。

また、銀行口座を介さないで現金が受取れる現金受取サービス、交通系電子マネー及び楽天Edyへのチャージの取扱いを開始しました。

その結果、2019年3月末の提携金融機関等は、銀行124行、信用金庫257庫、信用組合127組合、労働金庫13庫、JAバンク1業態、JFマリンバンク1業態、商工組合中央金庫1庫、証券会社11社、生命保険会社7社、その他金融機関等73社の計615社に。

預貯金取扱金融機関との提携数は横ばいですが、ノンバンクとの提携数が伸長しました。

ATM設置台数は年々増加し、2019年3月末には前期末比760台増の25,152台(前期末比3.1%増)に。ATM設置台数は年700~800台、多い時では年1,000台ペースで増加してきました。

【グラフ】ATM設置台数と提携金融機関等数の推移

一方、総利用件数は8億2,900万件(前期比1.8%増)となりましたが、ATM1日1台当たりの平均利用件数は92.3件(前期比1.9%減)と平均利用件数は低下傾向ります。

これは、地方銀行の手数料有料化等の影響によるもので、新たにこれから有料化する地域もあるため、平均利用件数の低下傾向は続くと思われます。

平均利用件数の低下傾向をATM設置台数の増加で補うことにより総利用件数が増えるという構造になっています。

【グラフ】ATM利用件数の推移


個人の預金口座数は200万口座を突破し、200万1,000口座(前期比9.5%増)に。個人向け預金残高は4,346億円(前期比6.1%増)、個人向けローンサービスの残高は226億円(前期比0.1%減)となりました。

【グラフ】決済口座事業 主要計数

 

海外事業セグメント

  • 経常収益:275億4,700万円(前期比+152.5%)
  • 経常利益:△20億1,800万円

米国連結子会社FCTIは赤字となりました。

【グラフ】業績推移(FCTI)

FCTIの2018年12月末現在のATM台数は12,795台となりました。

【グラフ】ATM設置台数と利用件数の推移(FCTI)

 

中期経営計画の進捗

「本業を伸ばしつつ事業の多角化を実現」を掲げて2017年度よりスタートした中期経営計画2年目の進捗状況は、ATMプラットフォーム事業と決済口座事業が大きく下振れとなりました。

中期経営計画のKPIを「3年で経常収益プラス400億円、経常利益プラス80億円」としていましたが、計画進捗の遅れを回復するのは困難であると判断し下方修正しました。

【2019年度(2020年3月期)目標】
  • 経常収益:1,616億円→1,489億円
  • 経常利益:447億円→397億円

 

2020年3月期の業績予想

2020年3月期の業績は、前期に対し増収となるも、経常利益ベースで減益となる見込みです。

  • 経常収益:1,489億円(前期比+1.0%)
  • 経常利益:397億円(前期比△2.4%)
  • 当期純利益:267億円(前期比+101.7%)

セブン銀行単体においても、前期に対し増収となるも、経常利益ベースで減益となる見込みです。

【セブン銀行単体の業績予想】
  • 経常収益:1,202億円(前期比+0.5%)
  • 経常利益:417億円(前期比△3.1%)
  • 当期純利益:289億円(前期比+98.3%)

セブン-イレブンが構造改革に集中するということで出店ペースをスローダウンした影響により、ATM設置台数もスローダウンを余儀なくされることに。ATM純増台数は350台の見込みで、受入手数料は3億円の減少が予想されます。

また、次世代のATM設置によるコスト増も。

米国連結子会社FCTIにおいては大規模なリストラ策を進め、また低採算のATMを約1,000台整理し黒字化を目指すとのことです。

画像出典元:「株式会社セブン銀行」決算説明会資料

 

 

2019年3月期 第3四半期 累積業績(19年3月更新)

  • 経常収益:1,114億3,500万円(前年同期比+17.6%)
  • 経常利益:321億4,200万円(前年同期比+7.0%)
  • 四半期純利益:75億100万円(前年同期比△63.4%)

2019年第3四半期連結累計期間の業績は、経常収益、経常利益ともに同期間において過去最高を更新しました。一方、海外事業を推進する過程で発生した減損損失147億1,900万円を特別損失として計上したことにより、純利益は前年同期比△63.4%となりました。

国内事業は好調に推移していますが、インドネシアにおける連結子会社ATMiは事業計画から大幅な乖離が生じていることにより、事業撤退の準備を進めています。

ATMはさらに拡大中

セブン銀行 単体

セブン銀行単体では、経常収益が910億9,800万円、経常利益が342億2,800万円となりました。ATM受入手数料は821億円で、収益のうち9割がATM受入手数料となります。

四半期純利益は、特別損失計上に伴い、米国連結子会社FCTIならびにインドネシア連結子会社ATMiの株式について実質価額の低下を認識し、関係会社株式評価損217億5,600万円を特別損失として計上したことにより、85億7,500万円となりました。

国内のATM設置台数は、今期中に25,350台設置予定です。2018年12月末現在の提携金融機関は616社となりました。

当第3四半期連結累計期間のATM1日1台当たり平均利用件数は93.6件(前年同期比1.7%減)、総利用件数は63,200万件(前年同期比2.1%増)と推移しました。

米国連結子会社FCTIの2018年9月末現在のATM設置台数は13,525台、米国セブンイレブンに設置したATM設置台数は8,202台となりました。米国連結子会社においては来年度の黒字化を目指します。

セブン銀行のビジネスモデル

セブン銀行は、提携金融機関からの手数料を主な収益としています。これを受入手数料と呼びます。

個人がATMを利用する際に支払う手数料は提携先銀行の収入となり、提携先銀行はATMサービスの対価としてセブン銀行に受入手数料を支払います。

たとえATM利用手数料が0円であっても提携先からは受入手数料が支払われる仕組みです。提携先銀行に手数料を支払ってもらい、ATM利用者数により収入が決まるというビジネスモデルとなっています。

セブン銀行のビジネスモデル

今後の見通し

  • 経常収益:1,472億円(前期比+15.3%)
  • 経常利益:399億円(前期比+4.1%)
  • 当期純利益:128億円(前期比△49.4%)

連結決算における特別損失(のれん等の減損損失)が発生することに加え、海外事業における収益性改善の遅れ等のため、2018年9月に通期の業績予想を変更しましたが、それ以降変更はありません。

ATMをさらに拡大していく予定です。

セブン銀行の事業内容

セブン銀行は2001年に開業。原則24時間365日止まらないATMネットワークをベースとした金融サービス=「ATMサービス」を主な業務とする銀行です。

また、子会社を通じて、海外でのATMサービスの提供や事務受託サービスの提供も行っています。

1

ATMプラットフォーム事業

ATMは、セブンイレブンやイトーヨーカドーをはじめ、商業施設や駅、空港などに設置されています。2019年3月17日時点では全国で25,098台設置され、さらに拡大を続けています。

提携金融機関は600社を超え、提携金融機関からの手数料がセブン銀行の収益の約90%を占めています。

カードを使わないスマホATM対応、nanacoや交通系電子マネー、楽天Edyのチャージ(入金)および残高確認も可能です。

また、連結子会社株式会社セブン・ペイメントサービスは、企業から個人宛ての送金をセブン銀行ATMとセブンイレブンのレジで受取ることができる「現金受取サービス」を開始しました。

2

決済口座事業

  • 個人向け
    セブン銀行口座において、普通預金・定期預金・ローンサービス・デビットサービス・海外送金サービスなどを提供。
  • 法人向け
    入金専用カードを使ってATMに入金し、本社口座へ直ちに資金を集中させることができる売上金入金等のサービスを提供。
3

海外事業

子会社FCTI, Inc.(北米)とPT.ABADI TAMBAH MULIA INTERNASIONAL(インドネシア)において、現地でATMサービスを提供。インドネシアは撤退予定。

4

子会社を通じて提供しているサービス

  • 子会社バンク・ビジネスファクトリーは、提携銀行から事務を受託。
  • 子会社株式会社セブン・ペイメントサービスは、「現金受取サービス」等、送金・決済サービスを提供。

画像出典元:「株式会社セブン銀行」決算説明資料・公式HP

 

 

2019年第2四半期 累積業績(18年11月更新)

  • 経常収益:734億円(前年比+18%)
  • 経常費用:207億円(前年比+5%)
  • 純利益:△2億円

2019年上半期の累積業績は、米国連結子会社FCTI, Inc.とインドネシア連結子会社PT.ABADI TAMBAH MULIA INTERNASIONALの収支が計画を下回っため、減損損失146億円を特別損失に計上し、純利益はマイナス2億円となりました。

米国事業については、約8,000店舗のセブン-イレブンにATMを設置し、安定した利益体質の構築を目指しています。一方で、インドネシア事業は収益改善の見通しがつかないため撤退準備を進めると発表しました。

会社概要

会社名 株式会社セブン銀行
事業内容 ATM事業、金融サービス事業
所在地 東京都千代田区丸の内1-6-1
設立日 2011年9月
代表 舟竹 泰昭
資本金 306億円
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