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オンラインゲームを開発・運営する「ガンホー・オンライン・エンターテイメント」の決算を見ていきましょう。
2019年12月期通期の業績は、前期に対し増収増益となっています。増収増益は5年ぶり。
これは、既存ゲームの「パズル&ドラゴンズ」と、子会社が配信する「Ragnarok M」が堅調に推移したことによるものです。
2012年にスマートフォン向けパズルRPG「パズル&ドラゴンズ」をリリースして以降、急成長を遂げたガンホーですが、2014年12月期をピークに業績は右肩下がりが続いていました。それが、パズドラ大感謝祭や年末イベントの実施により、既存・新規・休眠ユーザーの掘り起こしに成功。
また、Gravityの主力タイトルである「Ragnarok M」が全世界で3,000万ダウンロード突破したことも大きく貢献しました。
一方、四半期推移を見ると、第1四半期をピークに売上・利益ともに減少しています。「パズル&ドラゴンズ」「Ragnarok M」ともにMAU減少に伴い売上高が減少し、営業利益は売上高の減少に加え、テレビCMやイベント開催に伴う広告宣伝費の増加により減益が続いています。
通期では増収増益となりましたが、四半期推移を見る限り、楽観できる状況ではないと言えるでしょう。
【グラフ】四半期連結業績推移
カプコンと共同開発したスマートフォン向けカードゲーム「TEPPEN」については400 万ダウンロード突破。国内外のゲームイベントへ出展し、認知度とユーザー層を拡大していくとしています。
なお、ガンホーは2月13日、発行済株式総数(自己株式を除く)の2.6%にあたる180万株、30億円を上限とする自社株買いを行うと発表。取得期間は2月17日から3月31日となっています。
新作パイプラインは9本で、そのうちの一つが2020年春リリース予定の「Ninjala」。Gravityにおいても、複数の新作タイトルが配信される予定。
また、「パズドラ」シリーズ最新作であるNintendo Switch向け「パズドラGOLD」は1月15日より販売開始されています。
「パズル&ドラゴンズ」は、2020年2月20日で8周年を迎えました。さまざまな8周年記念イベントが用意され、イメージキャラクターの「嵐」を起用した新作 TVCMを2月22日より全国でオンエアするなど積極的な広告宣伝を行っているパズドラ、再びMAU・売上が増加するか注目です。
なお、業績予想は非開示となっています。
画像出典元:「ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社」決算説明会資料
2019年12月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し2桁増収増益と好調に推移しています。
増収となった主な要因は、既存ゲームの「パズル&ドラゴンズ」、子会社が配信する「Ragnarok M:Eternal Love」の貢献によるものです。また、6月5日より日本にてサービスを開始した新規タイトル「ラグナロク マスターズ」、カプコンと共同開発したスマートフォン向けカードゲーム「TEPPEN」も増収に寄与。
7月4日より配信を開始した「TEPPEN」は9月4日に累計300 万ダウンロードを突破、「パズル&ドラゴンズ」は10月24日に国内累計5,300万ダウンロードを突破しました。
営業利益は、売上原価率の上昇や新規タイトル配信に伴う広告宣伝費増を増収により吸収し、2桁増益を確保。
【グラフ】売上高・営業利益四半期推移
一方、第3四半期は前四半期比で売上高は横ばいだったものの、営業利益は減益となっています。これは、「パズドラ」や新規タイトルのテレビCM、イベントの開催等により広告宣伝費が増加したためです。
前期、10月末より開催したパズドラ大感謝祭で大きくMAUの活性化に成功しましたが、今期も11月1日よりパズドラ大感謝祭を開催。アイテムやキャラクター、新ダンジョン等の提供により、徐々に減少しているMAUの活性化を再び図れるか注目です。
「TEPPEN」は、メインスポンサーAmazon、賞金総額5,000万円の世界大会を12月に開催予定。子会社のGravityが配信する「Ragnarok M: Eternal Love」は、10月にヨーロッパへの配信を開始。やや伸び悩んでいましたが、第4四半期には売上に貢献すると思われます。
なお、業績予想は開示されていません。
画像出典元:「ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社」決算説明資料
2019年12月期第2四半期連結累計期間の業績は、既存ゲームの「パズル&ドラゴンズ」、子会社が配信する「Ragnarok M:Eternal Love」が貢献し、前年同期に対し大幅な増収増益となっています。
6月5日にサービスを開始した、日本版「ラグナロク マスターズ」は順調な立ち上がりとなりましたが、業績を押し上げるほどの勢いは見られません。
第2四半期単独の業績も前年同期比で増収増益となりましたが、前四半期比では大幅な減収減益に。これは、第1四半期に行ったパズドラの年始や周年イベントが好調だった反動によるものです。顧客単価も減少しています。
また、韓国子会社のGravity(グラビティ)についても、第1四半期は東南アジア・北米・南米・オセアニアがほぼフル寄与したものの、18年第4四半期以降に配信が開始された地域の売上が落ち着いてきたことから減収に。
「Ragnarok M」は第3四半期以降にヨーロッパ圏に配信予定となっているので、今後、売上に寄与していくと考えられます。
第2四半期が前四半期比で減収減益となったことが要因なのか、決算発表後に株価は急落。ナスダックに上場しているGravityの株価も急落しています。なお、ガンホーは7月1日に株式併合(10株を1株に併合)を行っています。
「パズドラ」は、2019年5月時点で国内累計5,200万ダウンロードを突破。
ニールセン デジタル株式会社調べによると、2018年第4四半期(10~12月)に国内のスマートフォン利用者数は7,000万人を超えたとされているので、単純計算するとスマホ利用者のうち7割を超える人が「パズドラ」をダウンロードしたことになります。
一方、MAU推移を見ると、2014年をピークに徐々に減少していますが、2018年11月に再び増加。これは、2018年10月末より開始した「パズドラ」7周年を記念したイベントを機に休眠ユーザーが復活したことによるものです。
以降、MAUは高水準を維持しているとはいえ、再び減少傾向に。
【グラフ】「パズドラ」日本 MAU・課金率推移
今後の取り組みとしては、引き続きIPコラボを行い、夏休み向けのイベントや冬に向けてのイベントも実施していくとのこと。
さらに、2019年内に新ダンジョン「ストーリーダンジョン」を実装予定。既存ユーザーだけでなく、休眠ユーザーや新たなユーザーを取り込む機会を作ることで盛り返しを狙っています。 そのほか、「パズドラ」シリーズ最新作として、Nintendo Switch 向けに「パズドラ GOLD」を今年冬に発売予定。
ガンホーは、カプコンと共同開発した、スマートフォン向けカードゲーム「TEPPEN(テッペン)」を7月4日より北米・欧州にてサービスを開始。8月3日に累計100万ダウンロードを突破し、8月8日からはアジア・日本へのサービスも開始しました。
「TEPPEN」は、カプコン人気キャラクターが多数登場するアルティメットカードバトル。運営はガンホーが担当しています。日本でのサービスは始まったばかりですが、既に面白いという声も聞かれます。今後、売上を押し上げる原動力となっていくか注目です。
なお、業績予想は非開示となっています。
画像出典元:「ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社」決算説明会資料・補足資料
2019年12月期第1四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し大幅な増収増益となりました。
増収の主な要因は、既存ゲームの「パズル&ドラゴンズ」、子会社が配信する「Ragnarok M:Eternal Love」が堅調に推移したことによるものです。
2018年10月末より開始した「パズドラ」7周年を記念した様々なイベントが奏功し、MAUが増加。当第1四半期連結累計期間においてもMAUは堅調に推移しました。
韓国子会社のGravity(グラビティ)が配信するスマートフォン向けゲーム「Ragnarok M:Eternal Love」は、2019年1月から北米・南米・オセアニアでもサービスを開始。世界展開が順調に進んでいます。
なお、「Ragnarok M:Eternal Love」の日本版「ラグナロク マスターズ(ラグマス)」は、6月5日より日本国内向けの正式サービスを開始しました。
利益面においては、売上高増加とともに広告宣伝費の効率化も行ったことで増益となりました。
ガンホーは、1,500万株・50億円を上限とする自己株式の取得を5月20日から開始していましたが、取得株式数が上限に達したとして取得終了を6月18日に発表。取得株式数は1,500万株、取得価額の総額は47億7,321万円となりました。
ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社の前身は、1998年に設立されたオンセール株式会社。
当初は、インターネット上でのオンラインインタラクティブオークション事業を目的にソフトバンク株式会社(現ソフトバンクグループ)と米国のオンラインオークションの最大手であるオンセール社との合弁会社として設立されました。初代社長は、孫正義氏の弟である孫泰蔵氏 。
2002年、韓国のゲーム会社である株式会社グラビティとオンラインゲームRPG「ラグナロクオンライン」の日本国内独占配信・販売権の契約を結び、主な事業内容をオンラインゲームサービス事業へ変更するとともに現商号に変更。
スマートフォンゲーム、コンソールゲーム、PCオンラインゲームの企画・開発・運営・配信など
2005年、大阪証券取引所ヘラクレス市場へ上場。2008年、グラヴィティを子会社化。
2012年にリリースしたスマートフォン向けパズルRPG「パズル&ドラゴンズ」が大ヒットし、2015年に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)から同市場第一部へ市場変更。急成長するも、2014年をピークに年々売上が減少。
業績回復の見通しが立たない中、パズドラ7周年記念イベントにより休眠ユーザーが復活。あわせて「Ragnarok M:Eternal Love」の海外でのヒットにより業績回復の兆しが見えてきました。
一過性のものか、それとも再び成長軌道に乗れるか、今後の動向に注目です。
画像出典元:「ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社」決算説明会資料
2018年連結会計年度における業績は、前期に対し減収減益となりました。国内のスマートフォンゲーム市場の飽和により、2015年から売上高減少が続いていましたが、2018年は売上高の減少トレンドが止まり前期比横ばいとなりました。
減益の主な要因は、パズドラが減収となったこと及び新作配信に伴う費用が発生したことによるものです。
前期に対しては減収減益となりましたが、四半期推移で見ると第4四半期で売上高、営業利益ともに急回復しています。これは、年末のパズドラのイベントでMAUが大幅に増加し売上が伸びたこと、連結子会社Gravityの売上増が貢献したことによるものです。
営業利益に関しても、大きな広告宣伝費用の発生もなく増益となりました。
主要タイトル「パズル&ドラゴンズ」は2019年2月20日でサービス開始から7周年を迎え、8年目に突入します。昨年10月末に行った「パズドラ大感謝祭」等のイベントにより、休眠ユーザーの復帰並びに新規ユーザーの取り込みに成功しMAU が大幅に増加。1月には国内累計5,100万ダウンロードを突破しました。
引き続き7周年に向けたイベントを続々と行っており、ユーザーのアクティビティが非常に活性化しています。イベント効果がどこまで続くか注目です。
連結子会社のGRAVITY Co.,Ltd.が2018年3月よりスマートフォン向けゲーム「Ragnarok M(ラグナロクM): Eternal Love」を韓国で新たに配信開始し、堅調に推移しています。
10月には東南アジア地域でも配信開始し、好調な立ち上がりとなっています。タイ、フィリピン、インドネシアなどの東南アジアの主要な地域において、App Store 及びGoogle Playで売上ランキング1位を獲得しています。また、配信から1ヶ月弱で東南アジア地域において500万ダウンロードを突破しています。
2019年1月からは新たに北米・南米・オセアニアでも配信開始となりました。日本への配信は準備中ですが、リリースへの期待も高まっており、今後の動向に注目です。
なお、通期の連結業績予想については開示されていません。
画像出典元:「ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社」決算説明会資料
2019年第3四半期の連結業績は、売上高は前年比-11.8%の618億円、純利益は前年比-40.9%の106億円となりました。
主力ゲームである「パズル&ドラゴンズ」の売上高が減少したことが減収・減益に直結しています。2018年6月にリリースした「妖怪ウォッチ ワールド」は約3ヶ月で200万ダウンロードを達成しましたが、「パズル&ドラゴンズ」の減収分をカバーするには至っていない状況です。
ここ数年で売上高は右肩下がりで減少しているので、早急に新しいタイトルを生み出すか「パズル&ドラゴンズ」を再ヒットさせる必要があるでしょう。
画像出典元:「ガンホー・オンライン・エンターテイメント」公式HP
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