宅急便を展開するヤマト運輸などを傘下に持つ「ヤマトホールディングス」の決算を見ていきます。
2020年3月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収減益となっています。
営業収益は、宅急便単価が上昇したことで前年同期比で増収となりましたが、消費増税の影響などにより宅急便取扱数量が減少し計画下振れで着地。
特に第3四半期(10~12月)は台風など自然災害による影響、消費増税後の個人消費の低迷、大口法人顧客の取扱数量減少、国際情勢の不透明化に伴うB to B貨物の出荷減少等により取扱量数量は前年同期比4.3%減と苦戦。
営業利益は、集配体制の構築に向けて増員などを進めたことで人件費が増加し、前年同期比で2桁減益に。
なお、ヤマトホールディングスは1月30日、発行済株式総数(自己株式を除く)8.88%に当たる、3,500万株、500億円を上限とする自社株買いを行うと発表。取得期間は2月6日から9月30日までです。
足元の業績を踏まえ、通期業績予想が再び下方修正されました。今期、3度目の下方修正です。
デリバリー事業において、プライシングの適正化により宅急便単価が上昇したものの、10月以降、消費増税による個人消費の落ち込みや台風による災害の影響などにより宅急便取扱数量が減少したため、営業収益は前回予想から400億円減に下方修正。
営業利益については、コストコントロール強化により営業費用が前回予想から180億円下回る見込みであるものの、営業収益の下振れを吸収できず、前回予想から220億円減に下方修正。
この結果、前期比で増益見込みから、一転2桁減益見込みとなりました。
一方、配当については、2019年11月29日をもって創業100周年を迎えたことを記念して、1株当たり10円の創業100周年記念配当を実施するとのこと。
なお、新型コロナウイルスの影響は業績予想に含まれていません。
新型コロナウイルス影響としては、日用品の買いだめが起き、配送が追い付かずに一時休店を余儀なくされた通販サイトも出ていることから、国内の宅急便取扱数量は増加すると思われます。一方で、国際クール宅急便など荷受けを停止しているものもあり、先行き不透明感は拭ません。
ヤマト運輸では新型コロナウイルス対策として、希望者には手渡しではなく玄関前等指定の箇所への配達サービスを3月31日まで行うとしています。
画像出典元:「ヤマトホールディングス株式会社」決算説明会資料
2020年3月期第2四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収となったものの、大幅な減益、最終34億5,900万円の赤字となっています。大口法人顧客の取扱数量が減少したことで宅急便取扱数量が想定を下回り、上期の業績は計画未達となりました。
それでも増収を確保したのは、デリバリー事業において宅急便単価の上昇とネコポスの取扱数量の増加があったため。
一方、DM便は減少。また、ノンデリバリー事業においては引越サービスの休止、 スポット案件の反動減、新規案件獲得の遅れなどにより前年同期比で減収となっています。
営業利益は、増員による人件費増が響き、前年同期比で大幅な減益に。人件費だけで200億円も増加し、主力のデリバリー事業は35億6,200万円の赤字となっています。
なお、引越サービスを展開する子会社のヤマトホームコンビニエンスは、代金過大請求問題を受け、引越しサービスの新規受付を2018年9月1日より休止していましたが、2019年9月より一部サービスを再開しています。
前回予想から大幅な下振れで着地したことを受け、通期の業績を下方修正しました。
値上げしたものの、大口法人顧客の取扱数量伸び悩みと人件費増で赤字になるという厳しい状況が続いていますが、下期は取扱数量増を見込んでおり、コストコントロールとあわせて前期比で増収増益となる見通しです。
ヤマトホールディングスは、2019年に創業100周年を迎えた歴史ある会社です。ヤマトHDの前身は、1919年に車両数4台で創立された大和運輸株式会社。1929年に東京~横浜間において、国内初の路線事業として本格的な定期便を開始しました。株式を上場したのは、戦後、東京証券取引所が再開された1949年。
1957年、ヤマトのシンボルマークとして親しまれているクロネコの親子ネコマーク(商標)を制定し使用を開始。誕生のきっかけは、業務提携を結んだアメリカのアライド・ヴァン・ラインズ社の親子猫マークに込められた「careful handling(丁寧な荷扱い)」の意味に共感し、同社からその使用許諾を得たこと。マークのデザインは、社員の娘さんが画用紙に描いた親子ネコがヒントとなったそうです。
画像出典元:ヤマトグループ創業100周年サイト
1976年に小口貨物の宅配システム「宅急便」を開始。 なお、「宅急便」はヤマト運輸(ヤマトホールディングス)の登録商標です。
1981年に東京証券取引所市場第一部に指定替えされ、翌1982年に商号をヤマト運輸株式会社と改称。1985年に引越しサービスを始めますが、2003年に引越事業を分割し、ヤマトホームコンビニエンスに承継。
2005年に純粋持株会社となり、商号をヤマトホールディングス株式会社に変更。 2015年、「宅急便コンパクト」「ネコポス」「クロネコDM便」を発売。
2017年に「デリバリー事業の構造改革」を発表し、社員の労働環境向上を図りましたが、一方で宅急便の総量コントロールや値上げを断行したことにより、大口顧客離れが進み、厳しい状況が続いています。
ヤマトグループは、ヤマトホールディングス株式会社および、子会社55社、関連会社21社により構成されています。主力事業はもちろん、デリバリー事業。そのほかBIZ-ロジ事業、ホームコンビニエンス事業、e-ビジネス事業、フィナンシャル事業、オートワークス事業を主な事業としているほか、これらに附帯するサービス業務等を営んでいます。
宅急便、宅急便コンパクト、ネコポス、クール宅急便、宅急便タイムサービス、国際宅急便、ゴルフ・スキー・空港宅急便、クロネコDM便、国内航空貨物輸送、時間便
ロジスティクス、メディカル製品物流サービス、メンテナンスサポートサービス、リコールサポートサービス、国際貨物一貫輸送サービス、海外生活支援サービス
家財・家電の集配・セッティングサービス、引越・生活関連サービス、物品販売事業
システムの開発、システムパッケージの販売、物流情報サービス、情報セキュリティサービス
宅急便コレクト、ネット総合決済サービス、企業間流通決済サービス、総合リースサービス
車両整備事業、燃料販売、損害保険代理店業
JITBOXチャーター便、シェアードサービス
画像出典元:「ヤマトホールディングス株式会社」決算説明会資料
営業黒字転換!3Qは消費増税と暖冬の影響を受けた「RIZAPグループ」の第3四半期決算
セ・リーグに所属する球団運営会社とその親会社の決算をまとめてみました!
出版社発マンガアプリサービスを中心に急成長する「Link-U」の第2四半期決算
事業拡大期で黒字を継続している「ツクルバ」の第2四半期決算
マザーズ上場へ!電子マネー決済やQRコード決済等、消費者ニーズに合わせた決済手段を提供「GMOフィナンシャルゲート」の第21期決算
世界最速でiPS細胞の具現化を目指すバイオベンチャー「ヘリオス」の通期決算
インフルエンサーマーケティングやMimiTVも好調の「トレンダーズ」の第3四半期決算
マザーズ上場へ!「ヒト.モノ.コト」の正しさを認証、セキュリティシステムで証明、サービスの信頼性を支える「サイバートラスト株式会社」の第19期決算
LINEがグループで300億円出資を決定!巣ごもり消費で需要拡大が期待される「出前館」の第2四半期決算
最終27億円の赤字!新型コロナ追い討ちで資金繰りが悪化している「ペッパーフードサービス」の通期決算