国内初の民間衛星放送会社として設立された「WOWOW」の決算を見ていきます。
2020年3月期第3四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し増収、すべての利益項目で2桁増益となっています。
増収となった主な要因は、有料放送収入は前年同期比で減少したものの、イベント収入など付帯事業収入の増加に加え、連結子会社のグループ外での売上が増加したことなどによるものです。
営業利益は、番組費が前年同期に比べ大幅に減少したこと等により2桁増益を確保。
一方、加入者数は伸び悩んでいます。
当第3四半期連結累計期間の加入状況は、新規加入件数は40万2,000件、解約件数は44万7,000件、正味加入件数は4万5,000件の純減。累計正味加入件数は、前年同期比で4万4,000件減の285万7,000件と厳しい状況となっています。
加入者数減少の要因としては、前年は全米オープンテニスで大坂なおみ選手が優勝して10万件を超える新規加入があったという特殊要因のほかに、Netflix(ネットフリックス)などの有料動画配信サービスの普及があります。
対策として、オリジナルコンテンツの強化と新ジャンルの開発を行っていくとしていますが、14期連続の正味加入件数純増という当初計画の達成は厳しいでしょう。
なお、通期の業績予想に変更はありません。前期比で増収増益の見込みです。
画像出典元:「株式会社WOWOW」決算説会明資料
2020年3月期第2四半期連結累計期間の業績は、前年同期に対し売上高は+0.9%成長、すべての利益項目で2桁増益となっています。
上期は減益予想でしたが、番組に関わる費用等の発生が第3四半期以降へずれ込む見込みであるとし、決算発表前に上期の業績予想を営業利益15億円、経常利益17億円、純利益12億円上振れで上方修正。
増収となった主な要因は、有料放送収入が増加したことによるものです。これは、前年同期と比較して累計正味加入件数が平均して多かったため。また、その他収入として、主にイベント収入等が増加したことも貢献。
利益については増収に加え、番組費減や退職給付費用減等により増益に。
当第2四半期連結累計期間の加入状況は、新規加入が28万2,000 件、解約件数が30万3,000 件、正味加入件数は2万1,000 件の純減となりました。昨年9月には、全米オープンテニスで大坂なおみ選手が優勝したことで10万件を超える新規加入がありましたが、今年はなかったことが大きな要因です。
株式会社WOWOWとスカパーJSAT株式会社は9月5日、スカパー! サービスでWOWOWの放送・契約受付を開始することで合意したと発表。
2006年12月より、スカパー! プレミアムサービス(CS124/128)およびスカパー! プレミアムサービス光でのWOWOWの放送・契約受付は順次展開していましたが、より多くの人にWOWOWを視聴してもらいたいということで、スカパー! サービスにおいての放送・契約受付を新たに開始。10月25日より「WOWOWプライム」「WOWOWライブ」「WOWOWシネマ」の放送を提供しています。
なお、上期の業績予想は修正されましたが、通期の業績予想に変更はありません。前期比で増収増益を見込んでいます。
画像出典元:「株式会社WOWOW」決算説会明資料
2020年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期に対し1.1%成長、利益項目はすべて2桁増益となっています。増収の主な要因は、有料放送収入の増加によるものです。
利益については増収に加え、番組費減や、前年同期に退職給付債務の計算方法の変更に伴い計上した退職給付費用3億3,300万円が当四半期はないことにより増益に。
累計正味加入件数は前年同期比0.3%増の289万件となりましたが、前期末比では減少しています。5月に行われた、井上尚弥選手のボクシング世界タイトルマッチが新規加入を牽引しましたが、5月の大量加入の反動により6月に解約数が増加。当四半期の解約数は前年同期比8.3%増の16万件に。
【グラフ】累計正味加入件数の推移
今後もコンテンツの差別化を図り、加入件数を伸ばしていくとのこと。なお、業績予想については変更ありません。上期は増収減益、通期は増収増益、14期連続の正味加入件数純増を見込んでいます。
画像出典元:「株式会社WOWOW」決算説会明資料
2019年3月期通期の業績は、前期に対し増収減益となりました。
有料放送収入の増加や、テレマーケティング事業における外部売上の増加等により売上高は過去最高を更新。減益の主な要因は、戦略的なコンテンツ強化による番組費の増加等によるものです。
2018年度末時点での累計正味加入件数は290万1,000件となり、年度末としては過去最高に。また、13期連続の正味加入件数純増となりました。大坂なおみ選手がグランドスラム2大会連続優勝を成し遂げたことが話題となったテニスや、安室奈美恵や、東方神起、B’z等のライブが新規加入に貢献。
一方、解約件数は前期比18.2%増の63万5,000件と解約件数も増加しています。背景として、Netflix (ネットフリックス) やHulu(フールー)、DAZN(ダゾーン)などの定額制(サブスクリプション)動画配信サービスの拡大があります。
WOWOWにおいても2018年12月より、PC・スマートフォン・タブレットで放送中の番組が視聴できるネット同時配信がスタート。2019年2月からは、「Paravi WOWOWプラン」がスタートしました。
WOWOWは他社との差別化を図るため、オリジナルコンテンツの強化に取り組んでおり、番組費は前期比で24億900万円増に。
オリジナルドラマでは、滝沢秀明が初の外科医役に挑んだ「連続ドラマW 孤高のメス」や、「連続ドラマWコールドケース2 ~真実の扉~」「連続ドラマW ダブル・ファンタジー」等が好評を得ました。
2020年3月期の業績予想は、上期は増収減益、通期では増収増益となる見込みです。
機動的に番組編成や番組制作を行うこと及び効果的・効率的なマーケティング活動を行うこと等により、新規顧客の獲得・解約の低減を目指すとのこと。累計正味加入件数は293万1,000件(前期比+1.0%)、14期連続の正味加入件数純増を見込んでいます。
画像出典元:「株式会社 WOWOW」決算説明会資料
2019年第3四半期連結業績は、増収減益となりました。
有料放送収入や、テレマーケティング事業における外部売上の増加が増収に繋がりました。
一方、大型コンテンツに費用投下を行ったことで、番組費が前年同期比で約24億円増加し、減益となっています。
有料放送収入が増加し、売上高は前年同期比0.8%増の581億7,600万円となりました。
大坂なおみ選手が日本人初のグランドスラム優勝となった「全米オープンテニス」、テレビ初放送となった「B'z」のライブや、「安室奈美恵」「東方神起」の人気コンテンツが新規加入に貢献しました。
累計正味加入件数は、2018年度第3四半期で前年同期比1.5%増の290万1098件。12期連続右肩上がりで推移しています。
【グラフ】累計正味加入件数の推移
一方、セグメント利益は番組費が前年同期に比べ増加したことなどにより、前年同期比30.3%減の64億8,300万円となりました。
番組費の内訳は、以下となっています。
【グラフ】番組費の推移
有料放送番組費が、前年同期に比べて22億7,700万円増加しています。
また映画番組配給費は、ハリウッドメジャーから調達する映画コスト費用が為替の影響差を受け、4,100万円増加となりました。
既存外部顧客からのテレマーケティング業務の受注が増加したことや、セグメント間の内部売上の増加により、売上高は前年同期比17.1%増の64億7,200万円となりました。
セグメント利益も前年同期比95.6%増の2億8,100万円と大幅な増益となっています。
今後は、オリジナルコンテンツと主要ジャンルの強化をはかっていきます。
2019年2月には「第61回 グラミー賞」「第91回 アカデミー賞の授賞式」の独占生中継を配信しました。
来期は、WOWOWとシネフィルWOWOWの共同で、昨年を上回るボリュームでアカデミー賞関連の作品を放送し、映画ファンに向けてのプロモーションを展開していく予定です。
ほかにも、前作好評だったオリジナルドラマ「ダイイング・アイ」第2弾や、連続ドラマWでの「ミラー・ツインズ」シーズン2を放送予定。
スポーツジャンルでは、シーズン通じてテニスに力を入れ、メンバーズオンデマンドで限定ライブ配信している試合を、今年は昨年以上のボリュームで配信していきます。
2018年度中には、累計正味加入件数290万6,000件を見込んでいます。
WOWOWは、1984年初の民間衛星放送会社「日本衛星放送」として設立しました。
1989年チャンネルの愛称を「WOWOW」と決め、1990年に12時間無料放送のサービス放送を開始。
翌年、24時間有料放送で開局しました。1992年には、累計正味加入契約数100万世帯を突破しています。
その後、2000年に社名を「株式会社WOWOW」に改め、BSデジタル放送を開始しました。
2001年東証マザーズに上場、2011年東証一部に市場変更しています。
画像出典元:「株式会社WOWOW」決算説明会資料
2019年上半期は番組制作費に約15億円を投下したため、前年に比べて減益となりました。
累計正味加入件数は右肩上がりで推移し、2018年2Qでは293万人に達しました。
画像出典元:「株式会社WOWOW」決算説明会資料
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