株式会社LIXILグループの決算/売上/経常利益を調べ、IR情報を徹底調査

記事更新日: 2019/08/02

執筆: 山中恵子

事業利益2.5倍!瀬戸氏が社長兼CEOに返り咲いた「LIXILグループ」の第1四半期決算

2020年3月期 第1四半期 累積業績

  • 売上収益:4,453億円(前年同期比+2.1%)
  • 事業利益:116億円(前年同期比+151.5%)
  • 最終利益:129億円(前年同期比+320.5%)

建材・設備機器の製造、販売など住宅関連サービスを幅広く展開する「LIXILグループ」の決算を見ていきます。

2020年3月期第1四半期の連結業績は、前年同期に対し増収増益、最終利益は4倍になっています。

事業別に見ると、ビルディングテクノロジー事業を除く全事業において増収増益を達成する一方で、ペルマスティリーザ社及び同社子会社に関連する事業が含まれるビルディングテクノロジー事業は29億円の赤字に

国内の売上収益は、ハウジングテクノロジー事業とウォーターテクノロジー事業が牽引し+5.1%成長しています。

ハウジングテクノロジー事業ではエクステリア、インテリア建材が、ウォーターテクノロジー事業では衛生陶器の売上が好調に推移。これは、1-3⽉期の新設着⼯数が増加したことによるものです。

一方、海外の売上収益は、北⽶・アジア地域でウォーターテクノロジー事業が苦戦したことや、為替の影響もあり、前年同期⽐2.6%の減収に。為替影響を除くと海外売上成⻑は+0.3%となります。

【グラフ】売上収益・事業利益の増減

事業利益は、販管費抑制により前年同期比2.5倍に。ピエール瀧さんの問題でCMを中止せざるを得なくなったことも販管費抑制につながりました。抑制というよりも、使えなかった部分も。

最終利益が大幅な増益となっているのは、販管費抑制による事業利益の改善と、関連会社に対する持分の処分益110億円を計上したことによるものです。

瀬戸氏が社長兼CEOに返り咲き

業績もさることながら、お家騒動の結末も気になるところではないでしょうか。

6月25日の定時株主総会で、プロ経営者と言われる瀬戸氏が取締役代表執行役社長兼CEOに就任、創業家の潮田氏と社長の山梨氏は、それぞれ代表執行役会長兼CEO、取締役代表執行役社長兼COOの座を退任することが決定されました。

これで、2018年10月に瀬戸氏が社長兼CEOを突然解任されて以降、勃発していたお家騒動に一旦の決着が着いたことになります。騒動が収束するまで8ヶ月要しました。

画像出典元:SBI証券

株価推移を見ると、瀬戸氏が解任された後、株価は急落しましたが、瀬戸氏が社長兼CEOに返り咲くと回復しています。市場が瀬戸氏に期待していることが伺えます。

瀬戸氏が返り咲いたことで、今後の戦略的方向性も一転しています。

潮田氏体制のもとでは、「MBO・本社移転・シンガポール上場という一連の計画を検討することを取締役会で決議している」という報道も出ました。

瀬戸氏が社長に返り咲くと一転、「本社機能の国外移転、国内の証券取引所における上場廃止および海外の証券取引所における上場については検討を行わない」と正式に発表されました。

今後の見通し

業績予想に変更はありませんが、懸念事項はペルマスティリーザの構造改革費用と、新設着工数の減少です。

4月、5月の新設着工数が前年同期比で減少しているので、第2四半期の売上収益に影響があると思われます。

瀬戸氏もそのことに危機感を持っており、今後は事業構造・コスト構造の見直しを行うとともに、損益分岐点を下げ、外部環境の変化に影響を受けにくい経営構造への変⾰を加速させていくとしています。

返り咲いた瀬戸氏の手腕に注目です。

画像出典元:「株式会社LIXILグループ 」決算説明会資料

 

 

2019年3月期 通期決算(19年6月更新)

  • 売上収益:1兆8,326億円(前期比+0.2%)
  • 事業利益:128億円(前期比△83.2%)
  • 最終利益:△522億円

2019年3月期連結会計年度における業績は、前期に対し増収減益、最終522億円の赤字となりました。

上期には国内自然災害による落ち込みの影響があったものの、下期は国内事業が持ち直し、売上収益は前年並みに。

利益面においては、ペルマスティリーザ社の業績悪化に伴い、今後の物件完成までに要する工事コストの損失引当や貸倒引当金の計上等を実施した結果、大幅な減益となりました。

加えて、ペルマスティリーザ社の売却を前提として前連結会計年度に計上していた繰延税金資産の減少に伴う法人所得税費用の増加等により、最終522億円の赤字となりました。

業績悪化の要因であるペルマスティリーザ社の中国企業への売却が米国の対米外国投資委員会(CFIUS)から承認されなかったことは、LIXILグループにとって大きな痛手となりました。

セグメント別の業績

ウォーターテクノロジー事業

  • 売上収益:8,331億円(前期比+1%)
  • 事業利益:602億円(前期比△18%)

⽇本事業の売上は横ばい。海外事業は積極的なマーケティングが奏功し、中国を中心に増収に。

一方、販管費削減を進めるも、商品構成の変化に伴う粗利減や資材価格の上昇、アジア地域におけるショールーム設置等の先行投資が響き減益となりました。

ハウジングテクノロジー事業

  • 売上収益:5,408億円(前期比+1%)
  • 事業利益:207億円(前期比△25%)

下期における需要回復により、増収。

一方、利益面においては、コストダウンによる粗利率改善に努めたものの、上期に発生した国内自然災害による工事遅延の影響や資材価格の上昇などもあり減益に。

ビルディングテクノロジー事業

ペルマスティリーザ社及び同社子会社の事業等から生じる損益を継続事業からの損益として表示することとなったことに伴い、同社及び同社子会社の事業を「ビルディングテクノロジー事業」に含めています。

  • 売上収益:2,560億円(前期比△6%)
  • 事業損失:△381億円(前期は46億円の事業利益)

堅調なビル需要により、国内事業は増収。

一方、ペルマスティリーザ社の収益性回復に向けた再生計画の策定にあたり全受注物件について厳格な精査を実施した結果、北米地域を主とした工事コストの引当や貸倒引当金の大幅な増加などにより、381億円の赤字となりました。

流通・小売り事業

  • 売上収益:1,764億円(前期比+1.6%)
  • 事業利益:78億円(前期比+12%)

リフォーム関連売上が既存店売上を牽引し、増収増益となりました。

住宅・サービス事業等

  • 売上収益:579億円(前期比+11%)
  • 事業利益:35億円(前期比+36%)

重点施策である新事業領域・⾮新築領域への注⼒により、増収増益となりました。

2020年3月期の業績予想

2020年3月期は、前期に対し増収増益、黒字転換を見込んでいます。

  • 売上収益:1兆8,500億円(前期比+0.9%)
  • 事業利益:470億円(前期比2.7倍)
  • 当期利益:150億円(前期は522億円の当期損失)

M&Aで急拡大してきたLIXILグループですが、買収後の海外子会社の不祥事や業績悪化が続いています。また、トップ人事を巡って混乱を極め、株価も大幅に下落。

今期は増収増益、中期経営計画においては2024年3月期に売上収益2兆円、事業利益1,250億円を見込んでいますが、先行き不透明感は拭えません。

米中貿易摩擦やブレグジット(英国のEU離脱)問題に加え、消費税増税の景気への影響が懸念されています。また、ペルマスティリーザ社の構造改革費用も見込まれます。

中長期的には新設住宅着工戸数の減少傾向が予想され、赤字が続くのではないかという見方も。

6月25日には定時株主総会が控えています。まずはトップ人事を巡る混乱に終止符を打てるか、注目です。

 

事業内容

LIXILグループでは、「ウォーターテクノロジー事業」「ハウジングテクノロジー事業」「ビルディングテクノロジー事業」「流通・小売り事業」「住宅・サービス事業等」の5区分を報告セグメントとしています。

1

ウォーターテクノロジー事業

衛生設備、水栓金具、バスルーム、システムキッチン等の製造及び販売

2

ハウジングテク ノロジー事業

サッシ、ドア、シャッター、内装建材類等の製造及び販売

3

ビルディングテクノロジー事業

カーテンウォール等の製造及び販売

4

流通・小売り事業

生活用品、DIY用品、建築資材等の販売

5

住宅・サービス事業等

住宅ソリューションの提供、不動産の販売・管理、介護付マンションの運営等

画像出典元:「株式会社LIXILグループ」決算説明資料・中期経営計画

 

 

2019年3月期 第3四半期 連結業績(19年3月更新)

  • 売上高:1兆3,812億円(前年比+0.8%)
  • 事業利益:371億円(前年比-45.8%)
  • 営業利益:383億円(前年比-18.9%)
  • 税引前利益:362億円(前年比-17.2%)
  • 親会社の所有者に帰属する四半期利益:21億円(前年比-94.5%)

2019年第3四半期の連結業績は、増収減益となりました。

前年同期で比べると減益していますが、上期に86億円の赤字だった四半期利益が、今期は21億円に回復しています。

主力の国内事業が貢献し、中でもハウジング事業が増収増益となり、全体の減益幅が縮小しました。

各セグメントの業績

第1四半期連結会計期間より、報告セグメントを6区分から5区分に変更しています。

  • ウォーターテクノロジー事業:海外含め全地域で増収。コストダウン・販売費低減により事業利益減益幅は改善。
  • ハウジングテクノロジー事業:9ヵ⽉累計では減収減益。エクステリア商品等の需要増により第3四半期において⼤幅改善。
  • ビルディングテクノロジー事業:国内事業の伸びにより増収。北⽶における⼯事コストの⼤幅増加により減益。
  • 流通・小売り事業:リフォーム関連が既存店売上を牽引し、増収増益。
  • 住宅・サービス事業:重点施策である新事業領域・⾮新築領域への注⼒により増収増益。

第3四半期3ヵ⽉においては、ハウジング事業の貢献を主因として増収、減益幅縮⼩となりました。

株式譲渡の契約を解除

2017年8月、LIXILグループの財務体質を悪化させる要因となっていたイタリア建材子会社「ペルマスティリーザ」の株式を、中国の建築装飾の設計・施工などを手掛ける「グランドランド社」に約600億円で譲渡すると発表していました。

しかし18年11月、対米外国投資委員会(CFIUS)から売却の承認を得られず、この契約は解除となりました。

これにより、ペルマスティリーザが継続事業となり235億円の減益要因となったため、19年3月期の連結純利益は、従来見込んでいた500億円から15億円に下方修正しました。

 

LIXILグループとは

株式会社LIXILグループは、LIXILグループの純粋持株会社です。
建築材料・住宅設備機器を扱う「株式会社LIXIL」や、ホームセンター・ビバホームを運営する「株式会社LIXILビバ」など、約300社の事業会社で構成され、約150の国と地域で商品・サービスを提供しています。

1949年に「日本建具工業株式会社」設立。2012年、現在の社名に変更しました。

主な事業は、住宅資材・住宅設備機器製造で、アルミサッシ・水回り製品でトップクラスです。

東京証券取引所第1部と名古屋証券取引所第1部に上場しています。

 

 

2019年第2四半期 連結業績(18年10月更新) 

  • 売上高:8,882億円(前年比-0.2%)
  • 事業利益:138億円(前年比-66.1%)
  • 営業利益:147億円(前年比-2.5%)
  • 税引前利益:139億円(前年比+12.5%)
  • 親会社の所有者に帰属する四半期利益:△86億円

2019年上半期の事業利益は1,379億円、前年比-66.1%となりました。

2019年第1四半期で新取引制度を導⼊したことで約35億円を計上したことが響いています。その他、国内では自然災害の影響によってリフォーム事業が軟調に、海外では資材価格の上昇によって費用が膨らみました。

2019年下半期は、売上高9,568億円、事業利益313億円を見込んでいます。

会社概要

会社名 株式会社 LIXILグループ
事業内容 サッシ・建材・住宅機器メーカーを傘下とする持株会社
所在地 東京都江東区大島2-1-1
設立日 1949年9月19日
代表 瀬戸 欣哉
資本金 681億2,100万円
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